無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~   作:Kkmn

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9. こいついっつも朗報ばっかりだにゃ

「♪♪」

 

「こら、あんまり飛び跳ねにゃいで。落ちちゃうよ」

 

 

 

自分は今、スライムをお供に夜の岩礁へお手製のヤリを持って魚取りに来ていた。

 

ヤリといってもあの巨大なドラゴンらしき骨の爪を3つ、まっすぐな流木にツルで縛り付けた単純なモノだ。

 

 

 

「...エルゥ、大丈夫かにゃ」

 

 

 

結局あの後、突然の行動に慌てながらも必死に慰めた。

 

泣き疲れて眠ってしまうまでずっと強く抱きしめられ続け、もうドキドキしっぱなしだった。

 

あれが、女の子の....すっごいふわふわで....いい匂いで...あぁもう!!思い出しだだけでも頬が紅く...

 

 

 

「きっとにゃにか事情があるんだろうけど...起きてからゆっくり聞いてみようかにゃ

 

....あっ!!いたっ!!!」

 

 

 

じゃぽんっ!!

 

 

 

大きく振りかぶったヤリは水面に深く突き刺さったが手応えはなく、ツルをたぐい手元に引き戻す。

 

 

 

「やっぱり難しい....夜でも猫目のおかげでよく見えてもこれは....」

 

 

 

海面を覗き込むと、猫耳の可愛らしい少女の緑色の瞳だけが光を放っていた。

 

すると、海面の下の小魚たちがある一定の方向に泳いでいるのをみつけ、その先を見てみると―――

 

 

 

「~♪♪♪」

 

 

 

小さなスライムが発光しながら、海面に映る自分と戯れている姿があった。

 

 

 

「あぁ....にゃるほど、魚って光に引き寄せられるもんね.....これは使えるかも」

 

「??」

 

「あっ、大丈夫。そのまま遊んでていいからね」

 

 

 

じゃぷんっ

 

 

 

....!!今度は若干手応えがあった気がする。

 

 

 

モリを引き上げてみると、尾びれが立派な茶色の魚が一匹突き刺さっている。

 

これなら二人分くらいにはなるかも!!やった!魚がこんなに簡単に手に入るなんて!

 

 

 

「よしっ!!まず一匹っ....!」

 

 

 

ビチビチと跳ねる魚を陸へ放り投げ、すぐさま次の獲物を探そうとする。しかし

 

 

 

「あ、あれ?」

 

 

 

いない、あれだけ居た魚達が今の一投だけでほとんど逃げてしまっていた。

 

それに逃げ出してしまったのは魚だけではなかった。

 

 

 

『こわい』『しみる』『とけちゃう』

 

 

 

さっきまで岩の上でぴょんぴょんと跳ねていたスライムが陸の方へ逃げてしまい、ぷるぷると怯えていた。

 

 

 

「あっ、あわわわ、ごめんね...うーん、これはちょっと問題ありかも...」

 

 

 

そもそもほとんどの魚が小さすぎて、この槍では突き刺せなさそうだ。

 

きっと昼間拾った網でもすり抜けてしまうだろう。

 

もう少し魚に関しては別の方法を探さないといけないようだ....。

 

 

 

「とにかく一匹捕れたし。今日はまともにゃご飯ににゃりそうでよかった....

 

アレは普通にマズかったし....」

 

 

 

あのイモムシの味を思い出して思わず戻しそうになる。

 

意外と珍味として美味しいとか、焼いたらまろやかとかいうのは無く、普通にただ泥の味で最悪だった。

 

下痢しないだけよかったけど!

 

 

 

まぁでも貴重なタンパク質だし...あれのおかげでなんとか消費カロリーと摂取カロリーはトントンくらいになったはず。

 

 

 

「よし、帰ろうか、おいで」

 

「!!....♪」

 

 

 

頭の上にぴょんとスライムが乗ってくるのを確認し、まだ薄暗い中を帰路についた。

 

 

 

「そういえば、あにゃたにもにゃまえ付けようかにゃ...自分がアンノウンのノウンだから.....

 

アンでいいか」

 

「???」

 

「これからよろしくにゃ、アン」

 

「??...♪♪」

 

 

 

名前というモノを理解しているかは不明だが、とにかく喜んでいるらしく頭上の紫の光が揺れ跳ねた。

 

 

 

魚が捕れた安心感と、可愛らしいスライムに、どこか和やかな空気が漂う中。

 

 

 

 

 

――――ケシャアアアァア”ァ”ァ”ァ”ア”ア”ア”ア”!!!!!!!

 

 

 

 

 

けたたましい何かの奇声が、無人島の夜の静寂に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を、見ていました。

 

 

 

商団長のお父様に入ってはいけないと固く禁じられていた、とある商品の倉庫。

 

 

 

まだ幼かった私は好奇心を抑えられず言いつけを破り、目を盗んではそこに出入りしていました。

 

 

 

そこに一人、檻の中にいた獣人の友達と遊ぶ為に。

 

 

 

彼女の言葉を理解するために、難しい本で彼女語の勉強もしました。

 

 

 

内気だった私の、初めてできた、たった一人の友達。

 

 

 

でも、彼女はやがて商団の人達に連れて行かれ...私はそれをただ...。

 

 

 

 

 

 

 

「....あっ....」

 

 

 

目が覚めると、そこはベッドではなく草木の寝床。

 

あたりを見渡しても、あの獣人の少女はどこにも見当たりません。

 

あの見たこともない奇妙な種類のスライムも、同じく消えてしまっていました。

 

 

 

「........」

 

 

 

不思議なことばかりでした。

 

お父様の代理として別の都市での商団の会同に参加した帰りの船で、不運な嵐に見舞われました。

 

 

 

あぁ、私の人生はここで終わりなのだ。と自分でも驚くほど簡単に受け入れられました。

 

 

 

でも違いました。

 

私は幸運にもどこかの島へ漂着し....そして、あの獣人の少女に救われた。

 

 

 

何故、彼女は獣人であるにも関わらず、人間の私を救ってくれたのでしょうか....。

 

 

 

罪悪感から隠さずに「マトーヤ」の名を告げたにも関わらず.....。

 

 

 

 

 

―――――ガサッ。

 

 

 

 

 

「......!?」

 

 

 

 

 

海岸からではなく、密林から聞こえてきた茂みを掻き分けるような音。

 

 

 

「ノウン...?」

 

 

 

私は最初、獣人の少女が戻ってきたのかと思い、音がした方へ歩み寄っていきました。

 

ですが、それは大きな誤りでした。

 

 

 

木々を掻き分け、茂みを踏みつけて現れた巨大な影、それは

 

 

 

「........ケシャアアアァア”ァ”ァ”ァ”ア”ア”ア”ア”!!!!!!!」

 

 

 

「......ボア、サーペント....!?」

 

 

 

もたげた鎌首だけでも私の身長を遥かに上回り、頭上から私を、獲物を睨んでいます。

 

 

 

商団の狩人達が大規模な狩猟チームを組み、討伐を行うのを見学したことがありました。

 

主に密林に生息し、その巨体を維持するために大型の家畜や他の魔物を一日に10匹食らうと言われる凶暴な魔物。

 

何よりも印象に残っているのが、不注意からその毒牙に蝕まれた若い狩人。

 

彼がもがき苦しみながら、母親の名前を叫びながらドロドロに崩れていったあの光景――――。

 

 

 

「.....クシュルルルル.....」

 

「あぁ....」

 

 

 

ボアサーペントが私との距離を詰め、いつのまにか私の背後にはその長い尾が回り込んでいます。

 

そうか、私もそうなってしまうのでしょう。

 

 

 

きっと報いなのです、マトーヤの家が犯した罪への。

 

いや...もしかすると、あの獣人の少女がこの蛇をけしかけたのでしょうか。

 

 

 

もしそうならば...甘んじて受け入れましょう。

 

 

 

「.......」

 

 

 

魔物が開いた大きな口の中には、鋭い牙から毒々しい黄土色の液体が滴っているのが見えます。

 

 

 

...お父様....先立つ不幸をお許しください....。

 

 

 

両手を胸の前で合わせ跪いた私を、逃げるのを諦めたのだと思ったのでしょう。

 

 

 

魔物は大きく後ろにしなり、舌なめずりをするように舌をちろりと覗かせて....そして....

 

 

 

 

 

「るニャぁぁぁぁあああああああっっっっ!!!」

 

 

 

 

 

上空から落ちてきた獣人の少女が、その脳天に棒状のモノを深く突き穿ちました。

 

 

 

「ジャ”ア”ァア”ァ”ァ!?!?」

 

 

 

突き刺さったそれはボアサーペントの頭から顎の下までを貫通し、魔物は目を見開いて苦しみ悶えています。

 

彼女は....ノウンはその上から飛び退き、私の肩に手を回し庇うように蛇の魔物と相対しました。

 

 

 

「この子に!!手を出すにゃっ!!!」

 

 

 

その声はとても勇ましく、その添えられた手はとても力強くて...。

 

 

 

この少女を疑っていた自分が、ひどく矮小で、どうしようもない存在に思えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだコレは一体!?なんなんだこの蛇!?

 

 

 

「ケ"シ"ャ""ア""aa....ジ”ュ"ル"ル".....」

 

 

 

脳天を貫かれたというのにまだ生きている上、こちらを襲う意思を失ってない。

 

昔、とあるサバイバルに詳しい友人に聞いたことがある気がする....!!

 

 

 

「蛇を殺すなら、頭を抑え首と胴体を切り分けるのが良い」と。

 

 

 

「しまった...アにゃコンダの殺し方も聞いておくべきだったにゃ.....っっうにゃぁ!!?」

 

 

 

大きく背後に飛び跳ね、飛び掛かってきた蛇の口からエルゥと共に逃れる。

 

 

 

「ひぅっ....!!」

 

「大丈夫!!大丈夫だから!」

 

 

 

「殺気立ってる蛇に背中を見せてはいけない、必ず調子づいて襲ってくるだろう」

 

あの友人はそう言っていた。

 

後ろ走りで、この子を抱えながら、この蛇から逃げ切る。

 

 

 

...無理だ、この身体の体力が持たない。やるしか無い...!!

 

 

 

 

 

「っ....!!来るにゃらこ.....こら!!今はあぶにゃい!!隠れてにゃさい!!」

 

 

 

 

 

不意に、膨らんだ胸元に押し上げられた布地から触覚が飛び出し、それに続いてスライム.....アンが飛び出てくる。

 

 

 

だが様子がおかしい。こちらの呼びかけ応じず、構えた槍の柄に飛び乗り....

 

 

 

 

 

『メインシステム、戦闘モード 起動します』

 

 

 

「.....え?」

 

 

 

 

 

無邪気で稚拙な単語ばかりだった声が、妙に機械じみた単語を口にした。

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