とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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毎度お世話になります、糸田です。

まだまだ続く特型シリーズです!
さて、ソロモンの武勲艦と呼ばれる艦娘ですが・・・
餅餅ですよね。
まるで、きよめ餅みたい〜(解る方ありがとうございます)

改二になると、だいぶスマートなイラストに変わりますが皆さんどちらがお好みですか?

さて、今回はどんなお話でしょう?!



便覧番号17

ここは、とある鎮守府。

 

大きな作戦前でピリピリした雰囲気がする筈なのだが、なぜか和んだ雰囲気。

 

お囃子の賑やかな音まで聞こえてくる。

 

 

軍事施設の鎮守府になぜ?

 

 

 

今回の大規模作戦の旗艦を務める霧島と水雷戦隊・隊長の川内がボヤいている。

 

 

 

「本当にびっくりだよ、あたしも。ほんとにウチの提督変わってるよねー。」

 

「私も計算外の驚きです。まあ、我が鎮守府の変人提督なら何か私達に仕掛けて来ると思いましたが・・」

 

「作戦準備真っ只中にさー、いきなり「明後日は大規模な戦勝祈願をするからな」って言うから、てっきり・・・」

 

「私も、いつもお世話になってる神主さんをお越し頂いて盛大にお祓いするのだとばかり。昨日、私からも明日は宜しくおねがいしますと連絡したら、お楽しみにって言われて・・・」

 

「蓋を開けたら、お祭りとはね・・・。夜戦は相手の裏をかいてナンボだけど、流石にアタシもたまげたよ。」

 

「・・・でも、貴女もだけど最前線で動く駆逐艦の娘達は大規模作戦となると悲壮感漂う娘も多いし。そう思うと粋な計らいだったかしら?!」

 

 

 

 

 

離れた所から祭りの喧騒を微笑ましく見る二人の先には、軽巡や駆逐艦の娘らがはしゃぐ様子が見受けられた。

 

その一角には・・・

浴衣に着飾った特型姉妹が集まっている

 

 

 

 

 

「焼きそばも、りんご飴も食べたし〜、次何食べようかしら?」

 

「チョットねーちゃん食べすぎたよぉ。浦波ねーちゃんからも何か言ってやった方がいいよ?」

 

「だってー、あれもこれも美味しそうだしワクワクしますよ〜、食べてると「はぁ〜、癒やされます〜」って思いませんか?浦波姉さん??」

 

「そうね。この娘はモチモチ感が良くないかしら?まったく敷波も心配性ね?」

 

「ここは司令官のご厚意に思いっきり甘えましょう〜、敷波ちゃんはつまらないのですか〜?」

 

「そ、そんなんじゃ無いけど。あたしはただ・・・。」

 

「雷は思いっきり楽しめば良いと思うわ。こういう時だからこそ、弾けるぐらいが丁度良いくらいよ。」

 

「そうね、五十鈴もいっつも気を張り詰めていたら、良い戦果も挙げられないもの。」

 

「そうですよ。五十鈴さんや雷ちゃんの言うとおりですって、・・きゃっ!!

・・あーっ、せっかくのぶるーはわいが〜(泣)」

 

「五月雨、相変わらずのドジっ娘ねぇ、あんた。ま、コレも厄祓いね」

 

「はいはい、五月雨ちゃん大丈夫ですか?セーラーに染みが付いちゃいますよ?」

 

「ドジっ娘サミー、ここに有り。」 

 

「ふぇ〜、ひどいです〜(泣)」

 

 

 

・・・姉妹の白雪・初雪や僚艦の五十鈴・雷・五月雨も混ざりさらに賑やかな一団。

 

 

 

「うーん、食べるのがダメなら、射的なんてどうかしら?」

 

「あら。ナイスアイデアね。水雷屋として腕が鳴るわ!」

 

 

「良いですね。私も頑張っちゃいます!」

 

 

メゲない五月雨は既に鼻息荒くふんすふんすして待ち構え、五十鈴も好戦的な顔付きをしている。

 

 

「敷波も射的ならどうかしら、コレならモチモチの心配もしなくて良いでしょ?」

 

「アタシはー、そのー、これ以上可愛くなられたら、勝てないもん・・・」

 

「何?敷波妬いてるの?さっき、あの娘が司令官に声掛けられてたのが気になるの?浴衣姿が似合ってるものね。」

 

「うえっ?!そ、しょ、そんな事。・・・浦波ねーちゃんの馬鹿、イジワル・・・。」

 

 

「敷波・浦波姉さんも置いてきますよ〜?」

 

 

ぽつんと後方に残される2人。

 

「あの娘ったら、無邪気よね?」

 

「この時点で負け確定かなアタシ・・・」

 

 

和んでいる中、一人の男性が現れる。

 

 

この鎮守府の主の提督である。艦娘達からは司令官とも呼ばれ、絶対的な信頼を受ける指揮官だ。

 

 

「お、楽しんでるかー?お前達。いや、いきなり面食らっただろうがお前達にはいつも死ぬか生きるかギリギリの戦いをさせちまってるからなぁ。お使い任務でも、時として悪天候の中無理をさせてしまう事があるしな。」

 

「司令官・・・。」

 

「アタシはー・・・ちゃんと司令官の優しさは理解してるよ。みんな司令官の指示はアタシ達の事を考え抜いて最善の方法考えてるって。だから皆、こうやってニコニコしてられるし、す、好きだなって娘も居るとかー、居ないとかゴニョゴニョ・・・」

 

 

敷波の頭をぽんぽんする提督。

 

 

「ハハハ・・・。敷波ー、俺を買いかぶりすぎだぞ?!俺はそんな出来た人間じゃ無いってよ。上官として適材適所でお前達を動かしてるだけだし、今日のお祭りだって戦意高揚みたいなもんさ〜。」

 

「そうやって、子供扱いするなー!!

・・・でも、撫でるのはアリ、・・・ゴニョゴニョ」

 

 

「司令官さん・・・自覚ありますか?」

 

 

「んお? 浦波?何だって??」 

 

 

「鈍すぎですよ、司令官・・・。」

 

 

「そ、そうか?気を付けるな??」

 

 

「・・・話は戻すがアイツをしっかり見ていてやってくれ・・・。ここ最近、練度も上がり改になってから戦果も目覚ましい。潜水艦掃討に泊地強襲に船団護衛。どれも素晴らしい。」

 

「ええ。あの娘ったら帰投しては、やーりまーしたーって凄い喜んで。私達も特型姉妹で頑張ったねって褒めてあげますよ。かと言って次の作戦を慢心してる様子も有りませんが?」

 

「そうか。・・・だが、あの娘は基本は穏やかで優しい娘だ。」

 

「あの娘が理不尽に怒ったり、蔑むような事はないし、誰かの為に自分を矢面の危険に晒す事さえ厭いません・・・」

 

「だが、1度火が着けば狂った様に攻撃を始めてしまう。大本営や他の鎮守府からは鬼神とか南海の黒豹と持ち上げられているが、それは違う!!一種の亡我の状態だ。」

 

 

 

やけに強い口調に式波や裏波は訝しげに見る

 

 

「司令官?よく聞く無心になるとかーーほら、無我の境地とか言うのは違うのですか??」

 

「どちらも極度に集中してるのに変わりはないと言えば無いのだが・・・。無我というのは、変に欲を出したり気負ったりと。・・・まあ、雑念が入らずに純粋な気持ちで集中できてるのが無心とか、それが極まった状態を無我の境地と呼べる代物だ。良い方に言葉を捉えたら、体が勝手に動くとか言うよな。」

 

「あ、そう言われたらアタシもそう思う。」

 

 

敷波は一生懸命、提督の言葉を咀嚼して理解をしている様だ。

 

 

「そうなると、ねーちゃんは無心になれずに何か雑念があるから、無我じゃなくて、ぼうが?の状態になるって事?」

 

「残念ながら今のアイツはそうだ。いっぱしになったとは言え、自分や味方がいつ撃たれ沈むか分からない恐怖感。深海棲艦の獰猛な攻撃に必要以上に恐怖し抗う心を制御できず。今までに少なからず傷付き沈んで行った仲間を知っている。そう言った負の感情が昂り狂った状態になってしまっている。」

 

「でも、あの娘は場数も経験もあります。なのに、新造艦の娘に見られる状態が?」

 

 

「以前、暗礁に主機を引っ掛けて身動き出来なくなったり、諸島部の海戦で無線や電探が働かなくて連携が取れず敵陣真っ只中に単艦で突っ込んでしまった事があっただろう?」

 

「あの時は、信じられない程敵艦にダメージを与え再起不能レベルで相手を撃ち果たしましたが、あの娘も艤装が爆発して全身ボロボロで・・・。まかり間違えば・・・。」

 

「轟沈してたよね・・・」

 

 

「奇跡的に救助が間に合って回復も後遺症なく出来たかと思ってた・・・。だが、そうじゃ無かったんだ。あいつの心ん中はまだ全然癒えてねぇんだ。まだ、大破轟沈寸前も良いところだ!!」

 

 

提督が歯軋りし、手の爪で血が滲むほど手を握りしめる。・・・尋常ではないと察する二人。

 

 

「PTSD、正式名で心的外傷後ストレス障害って言う、一種の心の大怪我だってさ」

 

 

「な、何ですかソレ・・・。」

 

 

「死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり悪夢を見たりしてな、不安や緊張が高まって辛さのあまり現実感がなくなったりする状態だそうだ。」

 

 

「酷い状態じゃないですか?!そんな状態でねーちゃんは、ずっと戦場・・・出てたの?まかり間違ったら、戦ってる途中に・・・」

 

 

先程の怒りに塗れた顔から一転、あざけたような、それでいて悲しみに満ちた顔で口を開く。

 

 

「あぁ、深海棲艦墜ちまっしぐらさ。あいつの力なら、それこそ鬼姫級だな。強ぇーぞ・・・?!駆逐古姫なんて、やっつけるの一苦労だったしな、ハハハ。」

 

 

普段、特型姉妹の中でも影が薄いとも言える浦波が顔を真っ赤にして、提督に掴み掛かる!!

 

 

「司令官!!貴方はそれを解っていて、あの娘を表面上の傷が癒えたからと、戦闘に出し続けたのですか!!」

 

「貴方は、私達の事を裏ではそんな風に見下してらしたのですか?私達は、貴方だからこそ、貴方の言葉を信じて、どんなに苦しくとも海に出て深海の化け物と戦ってきたんですよ?」

 

例え艤装はなくとも更に駆逐艦とは言え、そこは艦娘である。成人男性の軍人とは言え締め上げてしまう力は出る。

 

「浦波ねーちゃん!!止めてよぉ!!司令官は今まで、そんな無茶苦茶やらない人だったでしょう?理由があるんじゃないの!白雪姉、初雪姉!!」

 

必死に止める敷波たち。

 

流石に事ここに及んで、祭りに興じていた艦娘達が集まる。

 

「浦波・・??・・・貴方!!何をやっているか解ってるのか!!」

 

普段の知的な顔と違い怒りの表情を見せる霧島

 

「チョットお痛が過ぎるよ!」

 

浦波に一気に詰め寄る川内!!

 

 

鎮守府の双璧とも呼べる二人に詰め寄られる浦波。

鎮守府内で一触即発状態になろうかと、その時!

 

 

 

「待ってくださーい!!」

 

大きなライフルの空砲の音が鎮守府に轟く。

 

 

「貴方・・・」 「ねーちゃん・・・」

 

 

「いい、貴女?浦波は提督を手に掛けたのよ?これがどれ程の事かが解らない貴方では無いでしょう?」

 

「そう。寄りにもよって大規模作戦の前だよ。霧島の言う通りタダじゃ済まない事だって解るよね。」

 

「浦波姉さんが、司令官に反抗したのは私の事で。・・・ですよね?」

 

 

私は霧島・川内さんペアと提督を掴んだままの浦波姉さんの間に立つ。

 

 

姉さんは提督の胸ぐらを掴んだまま、・・・先程よりは締め上げた圧も無い。ただ、持ち上げた程度だが。

 

「そうよ、司令官が・・・こいつが、貴方の病を識っていて、尚且、私達姉妹にも教えずに復帰させ継戦させてた事・・・私は絶対に許せません!!」

 

 

そう、暴露する浦波。周りの艦娘たちは何とも言えない表情になる。まさか提督が隠し事をしていたなんてという表情に。

 

流石の霧島と川内も微妙な顔となり、警戒はしつつも話を聞く流れとなる。

 

 

「俺が・・ゴホッ・・・。簡単に言えば身体的に完治しても精神的には、まだ大破したままのコイツに戦闘をさせたんだよ。」

 

 

「なぁ?!提督!それは霧島も予想を超える話です。」

 

「ちょっと提督?それは捨て置けない話じゃないかな?」

 

 

「・・・霧島や五月雨達には酷な話になるが。先の海戦では比叡や暁、夕立がやられた初段の夜戦後の反抗海戦は皆んなも記憶に新しい所だな。」

 

霧島と雷は思わず下を向く、五月雨に至っては既に涙が浮かんでいる。姉妹艦が傷付き斃れるのはそれだけで身を割かれる辛さである。

 

「霧島筆頭に川内ら水雷戦隊が頑張って緒戦で仇を討ってくれた。その後も皆の輸送や警備で奮闘のお陰か近隣の泊地や警備府の各種資材は不安なく運営出来ている。これは大本営からも大変に評価を受けている。」

 

 

提督が、語りだした為、浦波も提督を下ろし続きを見守る。

 

 

「そんな中で、反抗海戦で酷く大破して鎮守府に帰ってきたのがコイツだったな。あの時は五十鈴たちの捜索が間に合って本当に良かったよ・・・。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

・・・私はその時川内さんや姉妹の浦波・式波と諸島部の地形効果により電波が遮断され、正確な連絡を受け取れず孤立したまま敵艦隊の中に1人突っ込んでしまいました。

 

 

「みんな、何処なの?!連絡が通じない・・・。」

 

 

 

そこへ、響く敵の砲火!!

 

  ダァーンッ! ダンッ!! 

         

          ダンッ! ダダーンッ!

 

 

 

きゃっ?!敵艦隊の包囲?!不味い・・・。

 

何とか撃ち負けない様に・・・。

 

 

 

距離・・・。何とかいける!!っ撃てー!

  まだ、やられるません!!撃ちます・・・!!

 

しかし、1対6の多勢に無勢・・・

 

相手の執拗な砲撃が私に情け容赦無く被弾する

 

ぐぅっ!・・・まだ、これしき!

 

ガハッ・・・。痛いなんて・・・・!

 

     

      ・・・きゃうっ。・・・苦しいよ。

 

 

  く、クラクラしてきた・・・。嫌だ・・・

 

       沈みたく無い、嫌だ。いやだ・・・

 

ドゴォーーッ!!

 

      ドドォーーン!!

 

         ズドーーォォン!!

 

 

「あ、・・・・・・・あ。あっ・・・がっ・・・?」

 

戦艦主砲から夾叉弾の圧力・衝撃波が私の身体を右に左にと吹き飛ばそうと襲い掛かり、その度に意識が削られ朦朧とする。

 

・・・例え被弾しなくとも、精神的な苦痛を与えるには十分有効である。

 

前哨戦で比叡さん率いる艦隊が帰らぬ惨事となった事。

その中には、仲の良い雷や、五月雨の姉妹である夕立や暁が居り。すごく身近に死を感じていた。

 

 

・・・そこに来てのこの状況だった。

 

 

私は段々と痛みと敵の襲い来る恐怖と、自分の命が狩り取られるかもと言う恐怖で自分を見失い始め、手当たりしだいに打ち始める。

 

 

照準も何もあった物ではありませんでした。

 

訳もわからず、ただ声にならぬ奇声を上げトリガー引き乱射していたようです。

 

もし仮に、隣に姉妹が居たとしても形振り構わず撃ち抜いていただろう。

 

ボロボロの身体にも関わらず主砲・機銃・魚雷、恐らくあの時の手持ちの弾薬を全てぶち撒ける勢いで撃っていた。

 

 

どうしょうもない戦力差の中で、深海勢の駆逐艦2隻轟沈・2隻大破。そして、戦艦2隻を小破、混乱させ、撤退させる戦果を上げた。

 

・・・しかし体中に砲撃や銃撃を一身に浴びてしまい

 

魚雷管や主機が爆発炎上・・・

 

 

「ア・・・熱い・・・・。

 

        燃エルヨ・・・。

 

                イタイヨぅ。」

 

 

 

ドシャン!!と海面に倒れ伏し、記憶を失った。

 

意識は深く水底へと堕ちていく感覚。

冷たく暗く淋しい・・・そんな感情に支配されながら。

 

 

その後の記憶は一切無かったです。

 

奇跡的に交戦海域で倒れたまま浮いていた私を五十鈴率いる捜索艦隊が私を救助し連れ帰ってくれたみたいでした。

 

 

目が覚めたのは鎮守府の医務室でした。

 

白雪姉さんを始め水雷戦隊の皆からは無事に意識を取り戻した事を、心の底から喜んで貰い、帰って来れたのだなと・・・。

 

しかも艤装の修復・体の傷は、私の戦果を鑑みて大本営が直ぐに潤沢な量の工廠妖精や資材を供出してくれたみたいです。

 

拠点施設とは言え、破格の報酬を出す程に私の戦果は凄まじく、いつの間にか私は“鬼神”や“南海の黒豹”と二つ名が着いました。

 

私の体も万全になり(なった様に見え)、艤装の修復も整い潜水艦討伐や哨戒任務、輸送船団護衛などの通常任務へと戻っていきました。

 

 

しかし、異変は既に私の身体を蝕んでいました。

 

 

特に、対深海棲艦と交戦となると異変

・・・いや、そんな言葉で済まない事になるのです。

 

 

連装砲を構え深海棲艦と対峙すると、途端に世界が歪み始めるのです。

 

 

海から禍々しい霧が上がり、私の身体へと鎧の様に纏い付く。

 

 

視界がぼやけ色がセピアに褪せて、目が血走る!

ふと見ると艦娘か深海棲艦かどちらとも付かない亡者が私の周りを彷徨う。

 

鼓動が速くなり息が苦しく荒くなる!口の中が生臭く粘りつく。

 

うめき声の様な金切り声の様な、怨嗟に塗れた唸り声が聴こえる。

 

錆びた鉄粉の様な、それでいて血生臭い臭いが鼻を突く

 

砲を握る手をみると赤い血と青黒い体液が混ざりベッタリと付いて幾ら足もとの海水で濯いでも取れない。

 

 

ここは、無間地獄なのか?!

私はいつ終わる事も無い地獄の最奥に落とされたのか?

 

 

得体の知れない異形の者たちが私の周りを取り囲む。

 

 

 

 

私を取り込むの?誘っているの?

 

 

 

いや!嫌だ、私はこんな者たちと一緒では無い!

 

 

 

 

嫌だ、イヤだ、いやだ、嫌だ、イヤだ、いやだ、嫌だ、イヤだ、いやだ、嫌だ、イヤだ、いやだ、嫌だ、イヤだ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。

 

 

私は恐怖心の臨界点を超え、発狂しはじめる。

 

砲を機銃を射線構わず乱射し、魚雷を四方八方に放つ。

 

 

訳もわからず次々と討ち果たされる深海棲艦。

 

 

 

周りの僚艦は、あまりの事に退避しながらも呆然とする。

 

 

 

 

本来ならばS級の完全勝利ではあるが、とても喜べる代物ではない。

 

硝煙の立ち込める中から現れた煤だらけでフラフラの駆逐艦1人。

 

砲と言う砲や魚雷発射管は全てが焼き切れ未だ赤く焼け爛れ光っている。

 

 

「ね、ねぇ・・・。凄、・・かったね?体は大丈夫?」

 

 

「・・・・ーー」

 

「私は、わ、かはっ・・・かっっ・・・せはっっ」

 

 

「ちょっと、ちっとも大丈夫じゃなんかじゃないよ、この娘?!鎮守府に!大淀さん、提督さん!誰でもいいから繋いで!!」

 

 

僚艦の娘達に曳航して貰い鎮守府に帰投しました。

 

その頃になると、殆ど何事も異常が無かったかの様に落ち着く。しかし艤装や装備を確かめれば、異常があった事は直ぐわかります。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

この時、俺は彼女の様子を見て一抹の不安があった。

 

「ふぅむ・・・。」

 

「装備の異常、これだけでは判断付きませんね。取り敢えずはしっかり休養と栄養を摂りましょうか?復帰後間も無いから、艤装や装備とのリンクが合わなかったかもですね。」

 

「たしかに、彼女は周りの鎮守府や泊地からの期待と言いますか・・・注目度合いが凄まじいですから。精神的負担もあるでしょう。出撃も彼女の為にも必要でしょうけどケアはそれ以上に大切ですね」

 

 

明石・大淀の鎮守府の頭脳ツートップからの意見。

 

 

これは、最もと言える。装備と練度は確かに彼女達が戦う上で必要な要素だが、メンタルの維持も必要だ。

精神的な高揚と不調では総ての面に於いて天と地の差がでる。

 

そして懸念されるのが・・・考えたく無い事例だが、彼女らが不幸にも斃れた時に、余りにも心に闇を抱えてしまってないかと言う事だ。

 

余りにも悲惨な戦い、不遇な中での戦いにより大きな無念や後悔等、不幸な気持ちを抱えたまま沈むと負の心に拐かされ深海棲艦化するのではと言う話だ。

 

もっとも確証の無い話であり、そもそも艦娘と深海棲艦は全く別の生体であると大本営からの言い分である。

 

 

「・・・提督?」  

「司令官、お顔が険しいですが?」

 

 

「あ、あぁ。そうだよな!お前等の言う通りにしよう。姉妹艦たちにもフォローを。」

 

取り敢えず彼女達に指示を出し私室へと戻る。

嫌な気持ちが拭いきれず手持ちの資料や文献を漁り、それとなく適当な口実で、近隣の鎮守府・泊地から艦娘や深海棲艦の生体文献を集め調べてみた。

 

そうして調べを進める間でも、日常的な出撃や遠征は続く。その度に彼女は苛烈過ぎる戦いを行い、周りをヒヤヒヤさせながらも無事帰還する。

 

戦果情報を提出する分には、彼女のS級戦果だけが独り歩きし、大本営や近隣泊地からは軍神・神格化されている。

 

あまり過剰な期待を彼女に押し付けるなと提督同士の連絡でも、散々に訴えるが、

 

 

 

「持てる者の余裕」

「謙遜と言う、ただの嫌味」

「扱いに困るなら、当方に寄越すが良い」

「戦力格差を傘にしている」

「より国威高揚の為励む気はないのか」

 

 

 

などと悪し様に言われるだけだった。

 

 

大本営や周囲の期待が大きく、彼女の出撃が必須とも言える状況になってきてしまい、俺一人が意見具申したところで何ともならない所まで来ている。

 

彼女のオーバーワークに懸念しかない状況であり、明石や大淀の物理的なケア・姉妹艦たちによる精神的なケアもあり、何とか彼女の心身は保っていると考えていた。

 

 

「連日、励んでもらって助かるぞ。身体は大丈夫か?艤装は明石にしっかり見させてはいるが、使ってる本人しか解らない事もある。疑問が有れば言うんだぞ?」

 

「はい。明石さんには、いっつも艤装をボロボロにしてしまっても、ピカピカに直してもらえるので有難いです〜。浦波姉さんや敷波ちゃんも優しいし。」

 

「そうか、みんなオマエを大好きだからなー。ウチのマスコットだよ(笑)」

 

「みんなが笑顔なのは私も嬉しいですよ〜。・・・あんな嫌な思いしても、戻ってこれば大丈夫だから。」

 

「ん?・・・あんな思いとは?」

 

「それはー・・・」 

 

彼女が交戦状態に入り砲戦を仕掛けると

意識が昏く歪む。

あらゆる感覚がおかしくなる。

意識が暗転する。

気が付くと残弾0なっている。

被弾は殆ど無いが、精神的に疲れ果て何も感覚が無い。

鎮守府に近くになるに連れ正常化していく。

 

完全に精神に異常をきたしている。

艤装や見た目に惑わされ、本人も問題視してなかったのか、軽症で済んでいると錯覚してしまっていた。

 

 

「なぜ、早く言ってくれなかった?!どう見ても大丈夫では無いだろう!!」

 

「周りの泊地や国の人からの期待もあります。この鎮守府のみんなの為、司令官さんの為にも頑張りたいから挫けたらだめなんです。自分が自分じゃなくなる様な怖い気持ちをぐっと堪えて、私がんばります!!」

 

「俺としては、出来ればこれ以上海には出したく無い。・・・何も考え無しに言ってる訳では無いぞ。」

 

ぱさりと手製の資料を渡す。

 

「先の反抗作戦で敵の集中砲火の中で身体的なダメージよりも先に、精神的に致命傷ダメージを受けてしまい倒れた。その時に体は艦娘としては回復できたが、精神的には壊れたまま回復できていない。むしろいつお前は生きながら精神崩壊を起こしてしまうか解らない。」

 

「私は・・・既に死んでるのですね?では何故、今もまともで居るのですか?」

 

「すまないが明確な答えが解らない。お伽噺のような話だが、姉妹との絆・この鎮守府への思いがお前をこちら側に繋ぎ止めてくれている・・・俺はそう推察している。」

 

「そうなのですね。じゃあ戦いに出て何かきっかけが有れば・・・。」

 

「ああ、その時が来るかもしれない。ひょっとしたら轟沈しない限り無いかもしれない。神のみぞ知る世界だな」

 

「それでも私は出ますよ海に。例え、その時が来たとしても。」

 

「おまっ、それは余りにもリスクが高い!万が一の時は、誰かがお前を討たなければならないぞ?!姉妹達がお前に砲を向けられるか?」

 

「ならば艦隊司令として、私を撃沈する指示を出せばよいのですよ。司令官なら最高指揮官だから、私の一人や二人どうこうするのは簡単ですよね?」

 

「命1つ軽々しく扱うような事を言うな!ましてや自分自身の命だぞ?」

 

「司令官、命は軽く名は重くって言葉知ってます?」

 

「昔の家訓なんざ持ち出したって仕方ないだろ?お前の場合は命も名も重いんだ、ずっしり詰まってるんだよ。幾ら深海棲艦に取り憑かれたからってお前を撃沈してみろ?鎮守府全体が何を言われるか分かりゃしないよ。」

 

「それに普段からでも、いつ爆弾が爆発するか分からないんですよね?たまたま皆が私のケアをしてくれてるから発作が起きないだけで・・・。」

 

「だから、鎮守府に近づけば何でも無い様に見えてしまい分からなかったんだな。ああ、もう・・・分かったよ。その変わり、お前を中心にした輪形陣で戦う。絶対に沈むな、沈ませるなよ。いいな?!」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

ここまでの司令官とのやり取りを打ち明ける。

 

 

「じ、じゃあ、この娘は既にやばい事なってんじゃん?」

 

「そうしたら、解た・・・いや。そんな。」

 

 

震えながら話す、霧島・川内。

 

 

「いや、もうこいつは大物過ぎてオレ一人の権限でどうこうできないんだよ。こいつの所属は既にウチの鎮守府じゃなく大本営部付なんだ。戦力不足と喘ぐ我が鎮守府を救うべく遣わされた女神様。ありがたくも優秀な駆逐艦娘を1人貸して頂いている状態なんだ。」

 

 

「何ですかそれ?!この娘は私達と一緒に司令官の鎮守府で産まれた姉妹よ!そこら辺の見ず知らずの他人の空似の艦とは違います!!」

 

「そんな、ねーちゃんはねーちゃんだよ!今まで一緒に頑張ってきた・・・のに・・・。」

 

「呆れた話ね。幾ら戦意高揚の為とは言え、でっち上げも程々にして欲しいものね」

 

 

浦波や敷波を始めと姉妹や駆逐艦の面倒をみる五十鈴たちが怒りの声を上げる。

 

 

「すまん、この通りだ皆。俺の司令官としてね力量も威厳も無いばかりに、このザマだ。本当にすまない。既に次の作戦指令書も発行・実施されている。当然こいつも作戦参加艦娘として登録され外せない。進むしか無い状態なんだ。」

 

 

取り囲むように居る艦娘達一人ずつに頭を下げる司令。

 

 

「待って下さい、司令。・・・貴方の力量うんぬんで済まない事は理解しました。・・・この霧島、何としても鎮守府からの参加者誰一人沈ませぬよう、知力と武力の限りを尽くします!」

 

「総旗艦に、こうまで言わせたらねー。あたしも夜戦に殴り込みに全力掛けるよ!五十鈴、駆逐艦隊の皆絶対に勝ち続け生き残り続けるよ、良いね?」

 

今までの、おちゃらけた雰囲気から、一気に冷え切った暗殺者の如き表情になる川内。皆に檄を飛ばす。

 

 

 

そして数日後・・・

 

 

 

ついに深海棲艦への反抗作戦が再開される。

霧島さんを核に、川内さんと五十鈴さん、新しく仲間になった長良さん旗艦の各水雷戦隊でル級率いる深海棲艦に対して砲雷撃戦を仕掛ける。

 

「皆、絶対に私の為に無理しないでね。いざとなったら、私を見捨てて行けば良いから。」

 

「そんな事は絶対に出来ません!・・・これ以上、お友達が居なくなるのはやです。その為にドジっ娘しない様に訓練沢山してきたんです。」

 

「五月雨ちゃん、ありがとう。うん、最初から無理っていうのは駄目ですね!頑張りましょう!」

 

 

私は特型姉妹の浦波や敷波と川内さんの僚艦として進軍している。これは、私に万一の事が有ればすぐに対処しやすくする為です。

 

「異常が出たら、すぐに教えてよ。何としても最悪は回避するから・・・」

 

「はい。ただし、伝えられる状態でない場あ・・」

 

「あなた、そんなこと言ってもしもの場合はわたしたちはどうすればいいのよ?」

 

「考えないよ!!その話だけは却下だよ・・・。ほら、前衛部隊が来た。みんな、砲雷撃戦、用意して!!」

 

 

遠くに深海の軽巡と駆逐艦の艦隊が押し寄せて来るのが解る・・・

 

軽巡に関しては全艦種、駆逐艦はハ級後期で揃えられている様だ。なかなかにしぶとく長期戦になると辛い。

特にツ級がいるとなると今後艦載機の損耗率に関わってくるから尚更に厄介だ。

 

 

私は体の中から息苦しさを覚える。

 

私の状態を鑑みて川内さんの合戦合図ギリギリまで姉妹が寄せ合う様に居てくれたお陰か、決定的におかしくなるまでに至らない・・・。

 

 

「少しでも、優しくしてくれた皆んなに恩返しを、しなきゃ、期待してくれてる人達に・・・返さ、なきゃ。」

 

 

苦しさや焦燥感を押し殺し、隠し通して戦闘海域へ・・

 

川内さんや浦波・敷波が、敵艦隊の側面から一撃離脱戦法で切り崩していく。

長良さんも短時間ではありながら、持ち前のスピードで相手に的を絞らせず、徐々にではあるが確実にダメージを与えている。

 

 

「皆んな・・・頑張ってる。私も、一太刀・・・浴びせます!」

 

 

行き足が、やや覚束ないものの周りを警戒しながら戦闘海域を進んでいる・・・はずだった。

 

砲を構え、機銃や魚雷管を指向していても悪寒や息苦しさ、ドロドロとした気持ちは湧いて来ない。ただ、ザワザワとした焦燥感は有ったが逆にそれだけだった為に油断してしまった。

 

 

 

・・・そして、それはまるで誘われるかのように、あの時の様に敵陣の真っ只中へと。

 

 

「えっ!?何で・・・?意識もしっかりあるし・・・電探の反応も・・・正常。・・・何で?』

 

『艦隊間通信は・・・繋がらない?霧島さん?川内さん?・・・浦波、敷波聴こえる!五月雨ちゃん!長良さあん!」

 

『そうだ、司令官!司令官!・・・駄目だ」

 

 

誰一人、応答しない。

 

 

『そうだ!大本営には?!大本営応答願います!』

 

 

あらゆるチャンネルを使い試みるが徒労に終わる

ただ、その時が迫りくる様に包囲網が狭くなる。

 

ユラユラと禍々しい泥金色や紅くたぎるオーラを纏う軽巡・駆逐の深海棲艦達に取り囲まれ、徐々に抜け出す間もない程に取り囲まれる。

 

ここに来て、抑え込めていた恐怖や苦しさが一気に吹き出し。別の荒々しい何かが自分に湧き上がる・・・。

 

 

それに併せ、深海棲艦から奴らの体に纏わり付くオーラが砲撃として放たれる。

 

至近距離での砲撃なので否応にでも、次々と被弾する。

しかし不思議と表面上にはダメージは無いが、被弾した跡は次々と遺る・・・

 

何か染みのような物が付くが直ぐに消えていく

それは・・・?

 

 

『うぁあぁあぁ・・・まだ。」

 

「まだ、行けますぅ!!」

 

 

私も近接攻撃でもお構いなしに、砲雷撃に機銃、はては

爆雷や煙幕まで投げつけ反撃する!

 

 

「私は頑張れる・・・皆の優しい・・・ああぁぁ』

 

『私いはぁ・・・ーーまだ・・・あ・・・』

 

 

ふと思う。

 

戦っている間に抜錨して半日とも経たない記憶が何故かセピアに霞がかる。それどころか、ところどころ剥がれ落ちるペンキの様にセピアな記憶が抜けていく・・・

 

 

「あれ?この小さい八重歯の・・だあぁれぇ』

『キレイな青髪のお姉さん・・・カアァコいぃわねえ』

 

 

 

そして、最後のペンキが剥がれ落ちる・・・。

 

 

 

『誰だあ?こおの男のひいいとはぁ〜?』

『ずいぶんヒョロおぉい、にぃんげえんねえ』

 

 

 

 

 

『だあぁれぇ、この娘おお。クライジメジメした娘ねええぁ』

 

『随いぃ分とお、泣かしがぁいが艦娘うねぇ?どこおがいいのよおぉう?』

 

 

何時しか、深海棲艦に向かって放ち続けた攻撃を止め、深海棲艦からの禍々しい砲撃を浴び続ける。

 

普通なら既に水底に沈むか、跡形も無く撃ち抜かれていてもおかしくないはず。

 

 

しかし、汗を流すお風呂の様に気持ち良い!

体に当たる被弾の一つ一つが染み込み何故か熱くザワザワと高揚感が高まる!

 

そして、魚雷管に被弾した時、私は自身の魚雷が暴発し大爆発をする!!

 

 

そして爆発が収まった後に漂っていたのは・・・?!

 

 

 

 

 

 

「浦波ねーちゃん!!急にねーちゃんの反応が?!」

 

「敷波落ち着いて。私も今、反応が・・・。今さっきまで付いていたじゃない!!・・・川内さん!!そちらは?」

 

「何かあったのは確かね・・・。でも、あたしは信じないよ、見たものしか・・・。」

 

「最終の発信座標へ行くよ。皆んな、警戒を厳にして!!」

 

 

 

座標へ近づくと、砲撃音が聞こえる!

 

あの娘が戦っている??

いや違う。あれは、長良の水雷戦隊・・・。 

すでに消耗が激しい!!

霧島さんの計算し尽くした支援砲撃も意味をなしていない?!

 

 

あの娘は一体何処へ行った?

 

 

そして、あの物凄い速力で跳ね回り砲撃と雷撃をしてくる正体不明の深海棲艦・・・。

 

確実に長良の艦隊を1人ずつ狙いを絞り喰らいついてくる・・・。

 

額の高角砲、口内の単装砲の砲撃が早く確実だ。

背中の雷撃の破壊力は巻き込まれるだけでダメージが酷い・・・。

 

そしてこちらの動きを確実に先回りする・・・。

 

 

 

まるで獲物狩る・・・『黒豹』

 

 

 

そうか、そうなんだ・・・

 

あたし達が戦ってるのって解っちゃった。

そうすると、奴らが今まで何かしら恨み辛みを吐いてくるのは・・・。

 

霧島さん・・・。ああ、眼鏡の奥の瞳・・・信じられないよね。

 

 

この後、控えてる深海棲艦の戦艦の正体は・・・

あたし、考えたくもないや。

 

 

 

尚も、次々と味方水雷戦隊を大破行動不能とし荒らし回る金泥のオーラを纏う深海棲艦。

 

紫の眼からたなびくオーラが涙の様な、それでいてギラつく獲物を追い求める視線の名残とも思える。

 

荒ぶったサメかシャチか、はたまた黒豹の様に、相手の周りを警戒しながらも一瞬にして近づき砲撃、時には噛みつきに来る。口刃の周りは引き裂かれたモノの名残が見える・・・。

 

金切り声の様な悲痛とも耳障りとも受け取れる叫び声を上げながら突貫し続ける。

 

時折、現れる深海棲艦の友軍すら撃ち抜き喰いちぎり、ただ只管に暴れまわる。

 

 

 

「皆んな被害甚大だし、撤退するよ・・・。」

 

「え、ねーちゃんは何処へ?探さないの?あんな奴のさばらせたままは危なすぎるよ。」

 

 

消息不明・・・。

 

不慮の事故や被弾での大破・轟沈を見る者無し。

今後は捜索の要有り。

但し海域には友軍すら迷い無く撃沈する初見の駆逐種のはぐれ深海棲艦有り。

当鎮守府艦隊で交戦するも被害甚大で撃沈能わず。

 

当海域に踏み込む際は警戒を最も厳にすべし。

当該深海棲艦が移動しない限り刺激しない事が最良と判断する。

 

総旗艦 霧島

水雷戦隊旗艦 川内

 

 

「何なんですか、これは・・・。あの娘は行方知れずで放って置けと!!」

 

「これで鎮守府に打電するから異論は挟まない事」

 

「そういう訳だから、皆んな宜しくね・・・」

 

 

一気に険悪なムードになる中で・・・

 

 

 

遠くから正体不明の深海棲艦が遠巻きに視線を送ってくる。その形からは感情は読み取れないが、ただじっと睨んでいる様にも、突き放している様にも見える。

 

金泥色のオーラだけは絶えることなく、おぞましさを撒き散らしている。

 

 

その紫の眼には何が写り、何を思うのだろうか。

 

 

 

 

 

そして、いつの日にか・・・。

はぐれ深海棲艦が討伐されたと報じられた。

その際に精神崩壊を起こし、人で言うところの植物状態でドロップされた特型駆逐艦が居たと言う資料が大本営の封印された書庫に眠っている。

 




お付き合い頂きありがとうございました。

ちょっと年末仕事等で、色々トラブルや忙しさで心ザワザワした状態で書いていたら、だいぶヤバくなってしまいました。

何とか最後は救いのある結末仕様に収めようと思いましたが、こういう結末にさせて貰いました。

次の娘は救いのあるシナリオでちゃんと考えたいと思います。

それでは、次回もお読みいただけたら幸いです。
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