とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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皆さん、こんにちは!
そして、あけましておめでとう御座います!

細々とではありますが今年も宜しくお願い致します。

今回は、猫娘なんて呼ばれてるあの艦娘です。

まあ、猫娘と聞いて最大3人連想すると思います。
(妖怪と閣下と艦娘ですね。)

どれを先に連装されるかで“愛”が解りますが(笑)

私は閣下の方とだけ申しておきます。

解る方は・・・同志かなと(笑)


それでは新年第一段をどうぞー。


便覧番号18

はぁ〜あ。・・・アタシって、何でいっつも思っても無いような事くちばしっちゃうかなあ〜。

 

 

 

間宮さんの喫茶店で特性羊羹をあっつ〜い番茶を啜りながらパクつくアタシ・・・

 

 

 

ふんっ、あたしひとり頑張ったところ大勢に影響ないしね・・・

 

戦艦や空母のお姉さん達の力が有ればアタシの様な小娘の力なんて要らないよね〜

 

私の価値なんて、資材や発見物のお運びさんくらいよね

ー。ぞろぞろドラム缶引っ張りながらカルガモですかっての。

 

秋月姉妹みたいに嘘みたいに防空できまーすとか、島風みたく「はっやーい」とか言ってる割に強スペックとか、夕雲や白露姉妹みたいに一芸に秀でるとか、お、お・・・おっぱ、ハァー何か惨めになってきた・・・。

 

あ〜あ、なんだろうな。この湿度高すぎる感情は。

 

装備した弾薬が全て湿気って不発しそうだよ。

 

 

 

「ほら、せっかくの間宮羊羹を、そんな顔して食べてて失礼ですよ?撮りましょうか、その顔?!」

 

う、磯波までそんな事言わないでよぉ〜。

アタシ、言う程に心の装甲無いよ?

 

「軽巡のお姉さん達から笑われますよね、私も一枚良いですか(笑)」

 

 

ちょ、ちょっと待ってよ!なに?浦波までバカにし過ぎだよ!

 

「私だってもっと役に立ちたいし、格好良く深海せーかん達をやっつけたいんだもんっ!・・・だけどアタシの力だって限度があるのは分かってるし、適材適所な事・自分の身の丈は分かってるつもりだもん!」

 

「秋月や夕雲姉妹のエリートに敵わないのくらいわかってるもん!でもさ、でもさ〜〜!!」

 

「くぅ〜〜っ、もう良い!フンっ、知らないもん!!」

 

 

「あーあ、行っちゃいましたー。もう磯波・浦波?からかい過ぎですよ?!」

 

モチモチのほっぺをぷくっと膨らませて怒る綾波。

普段はのほほんな綾波だが、怒らせると厄介だ。

 

「あー、ごめんなさい(汗)」

「ちょっとやり過ぎましたかー」

 

「ほら、姉妹仲良くしないと駄目ですよ?ギスギスしたままのお仕事は良くありません!川内さんや神通さん達に、お互いに叱咤激励しながら高みを目指す。一体何を教えてもらったのですか?」

 

「ううっ、間宮さん・・・ごめんなさい・・・。」

 

「私に謝るならあの娘を探して、ちゃんと謝りなさい。それまでは私のお店はお預けです!お茶の一杯もお出ししませんからね。」

 

「はぁいぃ!!」

 

 

 

そそくさと駆け出す、磯波・浦波

 

珍しく、しっかりと怒る間宮。

磯波たちを叱っていた綾波ですらびっくりだ。

綾波も、取り敢えず羊羹代をちゃんと支払ってから追いかけて行く。

 

 

 

そこへ現れる軽巡コンビ

 

「間宮さん、お手を煩わせてしまって済みませんでした。あの娘はいっつも怠そうにツンツンしながら任務こなしてるから。もっと良い顔してって、戦いの時までニコニコしろとは言いませんが、やる気のある顔して任務をこなしてくれれば。」

 

「まあねー。駆逐達はいっつもピーチクパーチク煩いけど、あたし達よりもっと矢面に立つ場面多いからね〜。だからこそ姉妹はもちろん、他の姉妹やあたし達上級生と仲良くしてもっと頑張って欲しいのさー。」

 

 

「大井さんに北上さんこそ、いつも面倒みて気苦労ばかりで、私がもしお二人の立場では潰れてしまいそうですよ」

 

 

「やめてよー、間宮さん(汗)あたしは後々厄介ごとが降り掛かる位なら、ちょっとメンドイ位で済む方が楽だからさ〜。」

 

「北上さん!そんな事言いながら、あの娘達はあのままじゃ良くないよ?助けてあげようよ〜って、あの憂いを帯びた表情!!もうカッコ良すぎて、今沈んでも悔い無しって思いましたわ!!!!」

 

「や、辞めてよ大井っちぃ〜!あたし、大井っちが居なくなったら嫌だよ・・・。」

 

「北上さん〜。そんな、それは言葉の綾って言うものでして(汗)」

 

「大丈夫だよ、大井っち。大井っちは強い娘だから沈んだりしないって解ってるから。アタシも大井っち遺して逝く気は無いから(プイッ)」

 

「〜!!・・・(照汗)」

 

 

「まあまあ、北上さんも大井さんもね・・・(汗)」

 

「でも、何でも屋である駆逐艦の娘達が身を挺して頑張ってくれてるのは確かですから。あちこちの鎮守府で辛いお話は流れてきます。」

 

「洗濯した制服やお布団が、お気に入りのオヤツが・・・しまわれたまま・食べられないまま。私達、間宮や伊良湖ちゃんにとって本当に悲しい事です。明るく振る舞ったとしても、今は戦争中。皆さん砲火飛び交う中へと突き進むわけです。」

 

 

辛い話としても、優しく懐かしむ様に語りだす間宮。

北上も口調は飄々としていても、柔らかな感じだ。

 

「そうだよね〜。こんなナリしてたってドンパチやって傷付いてさ、血みどろになって戦うからね。体も心もどんどん傷付くよ。ましてや駆逐や海防艦のチビちゃん達なんかさ、ほんとにすごいよ。」

 

 

「私は産まれつき主機の調子が悪くて、ここに来るまでは訓練学校の教官をやっていましたわ。その時の教えた娘が活躍すれば嬉しいですけど・・・はい。いちいち全部の娘に思い入れ過ぎては駄目な事位、頭では解っていても、心は・・・。」

 

「うんうん、優しいね、大井っちは。」

 

普段見せない儚げな大井を北上と間宮が優しく宥めた。

 

「さてさて、あの娘達は仲直りちゃんと出来るかな?」

 

 

 

 

さてここは、鎮守府の練習用海域。

今は、艦隊訓練も無いから区画割されてフリー練習時間とされている。

 

錘を詰め込み満載重量を想定したドラム缶を3セット曳航して海上を走る。

 

遠距離地域への資源回収・運搬任務の訓練である。

 

資材を満載したドラム缶を曳航するのだが、ただ引っ張れば良いというものではなく、主機のトルクバランスや巡航速度・波の状況・残存燃料等、色々と要因を踏まえて曳航しなければならない。

 

ワイヤーがずっしりと重さを伝えてくる。緩やかに、かつ、波やうねりを加味して加速・舵を切らないと・・・

 

 

「うわっとと!!」

 

「あぁ、舵が効かない?流されてる??」

 

「後ろに引っ張られるー?!」

 

「あれ、油(燃料)が全然無いよ?!」

 

 

「きゃっ、ドラム缶が来るッ!!」

 

徐行が上手く出来ず自分が停まっても、後ろのドラム缶の推進力が殺しきれず、後ろから不意打ち・追突される形となり、ダメージを受けてしまう。

 

 

艤装に中身が満載のドラム缶が当たり主機と脚周りにダメージを追ってしまう彼女。体全体で海面に打ち付けられ、華奢な体にかなりの衝撃が走る!

 

「うわぁっ!きゃあッーーっ!!」

 

ズシャアアアァァッッッんん・・・

 

ぶつかった衝撃で波止場の岸壁まで飛ばされ、打ち上げられグッタリとしたところで意識が遠くなる。

遠くに、磯波や浦波の叫び声が微かに・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さあ、みんな積んだかにゃ?休憩も良いにゃ?帰りは体力ガンガン奪われっから気をつけるにゃよ?」

 

「お前は無理し過ぎにゃ。ゆっくりやれるだけの事でいいにゃ〜。んにゃっ?あー、あいつらは、お前より練度もお使いのコツも解ってるにゃよ?お前が敵わないのは当たり前にゃ?!」

 

「うにゃあぁぁっ!!

・・・いいな、お前たち先行くにゃ。あの深海ハエどもはたき落としてからじゃなきゃ気が済まないにゃ!!

多摩は今から虎になるにゃ・・・。

奴等にゃ明日は拝ませてやらないにゃ!」

 

「ぐはっ、ゲッ、ゲホッ・・・。し、しくじったにゃあ、お前は多摩みたいに焦るじゃにゃあよ。・・・・じゃあにゃ。」

 

 

 

 

 

「さあ、一緒に訓練・訓練です。訓練で積み上げたものは裏切りません!」

 

「・・・学習室でも訓練です。装備に海域、敵戦力に陣形に艦隊編成知識も訓練です、知識も私達を裏切りません!」

 

「朝潮は弱いです。でも、貴女と一生懸命練度研鑽できて楽しかったです。貴女が居たから挫けず教育期間を過ごせました!!」

 

「今日は初の実践、お互い頑張りましょう!!まずは目指せ改ニです!!」

 

「みんな逃げてーっ!早く!!

・・・くそっ鬱陶しい!!寄るな!来るな!・・・くっ。単装砲が残弾ナシ?!・・・あッッ!!」

 

「・・ご免なさい。

・・・まさか、初作戦でやられるなんて・・・。」

 

「うぅッ、一緒に改二改装を受・・け・・た・・。」

 

 

 

 

 

「さあ、私の教えた通りにやってみて下さい。」

 

「そうです。一つ一つの動きのムダを省くのです。舵を切る動き、魚雷発射管の回し方1つ疎かにしてはいけません。」

 

「夜戦では呼吸の仕方一つが生死を分けるのですよ。よくよく覚えて下さいね。」

 

「グアァ・・・!!クルナァ・・クルナ、コナイデトイッテルノニィィッ!!・・・クライ、ミエナイ、コワイ、ツメタイウミナノヨォッ!!」

 

「ミンな、みンなのかおが、ミエナイの・・・。ひかりだけガ・・・マブシくて。・・・わたシ、ウカベるのかし・・・ラ・・・・。」

 

 

 

・・・あれ、朝潮ちゃん?多摩さん?

 

・・軽じ、神通先輩?

 

・・・何で?皆んな居なくなるの?沈むの?私は、ただ生き延びるの?

 

ねぇ、何で?なんで皆んな物言わなくなるの??

彼女の周りで、皆が朽ちていく・・・

 

錆びた鋼材・ひしゃげた弾丸・異臭を放つ油・グチャグチャと屑ボーキの塊

 

 

かつての仲間や先輩の影形も無い。

目を背けたくなるような残骸が遺る。

 

 

「〇〇☒⊿◇⚠」

 

声にもならない音が聞こえ振り向く

 

 

「なっ、えっ、あ!!・・・ううおぇぇっ!?」

 

 

そこには艦娘なのか、深海棲艦なのか、特に鬼姫級と呼ばれる上位個体か判断の付かないようなオドロオドロしい何かが呻いている。

 

娯楽映画に恐ろしい怪物・怪談映画があると記憶するが、それに出てくるゾンビか物の怪かと見紛うナリだ。

 

あまりの禍々しさと異臭に、胃の中のものどころか体内全てのものを吐き出しそうな勢いだ。

 

 

見たくもないが、それでも目を凝らして相手の隅々を見てみると・・・

 

 

「えっ?まさか・・・間宮さん?北上さんっ?!」

 

「い、いやだ・・・大井さんも?伊良湖・・・さん」

 

「綾波でしょ?ねえ、白雪!浦波まで!!チョット皆んな!!」

 

「ちょっと何かの冗談でしょ?ふざけないでよ・・・」

 

 

 

 

皆が、続々と朽ち果て廃材と化し、よくよく見ると海もコールタールかヘドロの様になり、鎮守府も瓦礫と化していく。

 

 

そして、ガタッ?ガクンっ!!

 

「えっ?ちょっと、・・・ヤダ、ヤダ!!」

 

 

自分の身体まで腐り朽ちていく。被弾した様にボロボロになった訳でもなく、泥のように溶けていく。

 

そして脚や身体、腕が溶け・・・グシャッン

 

何故?

 

 

 

と悲しい顔をした自分の頭が転がった。

 

 

 

・・・そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあああっ!!」

 

 

 

ガバアッーと布団を跳ね除け一気に起きる彼女。

汗は身体中びっしょりと、でも身体は、ガクガクと震え歯が噛み合わなくガチガチと鳴る。

 

 

 

ここは・・・?!

「アタシの部屋かなあ・・・。」

 

落ち着きを取り戻し、よく見回すと自分の私室の様だが、何となく違う様な?

 

妙に洗練された感じが・・・

起きてすぐのせいかイマイチ頭が働かない。

 

 

カチャ・・・

 

そこへ、男性が入ってくる。

司令官の様でどことなく違うような・・・。

でも声はソックリだし、ちょっとした動作の端々はおんなじだ。

 

 

「やあ、目覚めたみたいで何よりだ。気分はまだまだ優れないようだが体の調子だけはマトモ。といった感じかな?」

 

 

 

「うん。助けてくれてありがと・・・ございます。」

 

 

「うん、そうだぞ。ちゃんと挨拶・礼が言えるのは人だろうが艦娘だろうが大事なことだ。良いぞ良いぞ〜。」

 

と言いつつ、あぐらでどっかりと座り頭をやや乱暴にクシャクシャって撫でてくる。

 

 

「や、やめろよ〜・・・。やめてください。髪が乱れるますから・・・。はぁ〜・・・。」

 

「・・・と言うか、ここ何処ですか?ぱっと見はアタシの部屋なんだけど、何か違うような気がする。します。」

 

 

 

「ハハ。まぁ・・・いつかは、見られる景色かも知れない場所だよ。」

 

 

 

「???」

要領得ない、はぐらかされた回答に謎が膨らむばかりのアタシ。

 

 

 

「君が素直に頑張れる艦娘になれば、ご褒美でたどり着ける景色さ。」

 

 

 

「頑張る?アタシは頑張ってるよ。一応だけど任務はちゃんとこなしてる。訓練も手抜きはしてないよ?」

 

アタシはやるべき事はやってると分かって欲しいから、チョットムキになり答えを返す。

 

 

 

それに対して男の人は、宥める様にしてまたくしゃくしゃと荒く頭を撫でる・・・

 

「あっはっはっはっと・・・。まだまだいっぱしのレディへ道のりは遠いなぁ〜。っと、これじゃあ暁や熊野だなぁ。」

 

 

「べっつに、そこまで背伸びして大人ぶるつもり無いけどさ。あたしだって頑張ってるんだもん!・・・決められた事は少なくとも手を抜いてないよ?ただ、最初から備わってる力は何ともならないじゃん?頑張っても絶対的な性能差はあるじゃん?」

 

 

 

今まで、久々に来た年下の従姉妹か姪っ子かと言う様に話を聞いていた男だが、あぐらはかきながらだが姿勢を正して語り始める

 

「なあ、本当に自分がやれるだけの事やったからって言う満足感・達成感だけに浸ってないか?」

 

 

 

「何だよ、それ?アタシが手を抜いてるって事ぉ?」

 

 

 

「ま、訓練や任務として課せられた事は抜かり無くこなしているのだろうと思うよ。見た感じ君を弱い艦娘とは見えない。場数をこなして来た者じゃなきゃ出ないものが備わってると感じる。」

 

 

「ふ、ふーん・・。アタシがそこそこには練度が上がってる事が解るなんて。一応、アンタ提督の有資格者なんだ。ま、艦娘の私室に平然と居る訳だし、そりゃそうか・・・。」

 

 

「まあ、僕を提督業に関わる人物と思って欲しいのはあるけど、何者かは秘匿事項にしてもらえるとな。ムダな先入観無しで話を聞いて欲しいから。」

 

 

「解った。アタシもややこしい事は嫌だから良いよ。んで、話の続き?手は抜いてないけどもアタシのやりように引っ掛かりがあるのでしょ?」

 

 

「うん、さっきも話したように君を弱い艦娘とは思わないし思えない。ただ、未熟ではあると思うな。」

 

 

「それ、どういう事?」

 

 

「与えられた・示された課題や目標には真面目に取り組んでいるが、そこに何故だろうとか、おかしくない?とか、もっと上手くやれないかなと言う、向上心と言うか改良・改善しようと言う気持ちは無いのかな?と言う事だよ。」

 

 

「だって、武器や装備は明石さんや工廠妖精さんがやってくれてるしー、私達駆逐艦や軽巡の装備品は夕張さんが試製装備の実験艦娘として試験してくれてるよ?海域や作戦は司令官や大淀さん、その鎮守府の秘書艦が考えるでしょ?と言うかそれが役割だし?」

 

「あたしたちのご飯や大好きな甘味だって間宮さんに伊良湖さんが美味しいもの作ってくれてるし、お酒飲みたい人は鳳翔さんが夜店を出してくれてるしー。」

 

 

「うんうん、確かにそのとおり。役割を与えられ任務としてこなしてるね。まあ、鳳翔さんはちょっと例外な感じもするが・・・。皆それぞれに役割が与えられて活動しているが、型にはまりきってないかなと言うことさ。」

 

「あの人にはあの役割。私にはこの役割。だから私は私の与えられた事だけをやれば大丈夫。あとは、まぁ私には関係ないやって考えになって無いかな?」

 

 

「それで良くない?その役割を負った人が責任を持ってやれば良いんじゃないの?」

 

 

「うん。最終的な責任は、役割を与えられた人が取るべきだと思う。そうじゃなきゃ役割分担した意味がないからね。・・・だからと言って、役割以外に無関心・無関係でいいと思うかい?」

 

 

「それは、私の姉妹は吹雪姉さんや、綾波ちゃんが凄いしっかりしてるから色んな事考えて心配したり、・・・その、下着の世話まで・・・子供じゃないっての(笑)。

 

だけどね、一緒に海に出ると安心できると言うか。何か想定外な事があっても何とか帰って来れる、絶対沈まないって安心感があるんだ。」

 

 

「そうだな。姉妹艦の長女は大抵がしっかり者だね。それは何故だと思う?普通に任務や訓練してれば身に付くものではないぞ?!常に周りに気を配り、より良い方を模索する。

 

今よりも、もっと良い戦い方・効率の良い資材回収の方法・最適な航路選定、深海棲艦の装備や癖、編成の情報。

 

僚艦の損耗から健康状態、好みや癖、仲の良し悪しとかも気遣う。前回の出撃や任務で失敗して気負ってないか?調子が良すぎて慢心してないか?とかまで気にする娘は気にするしな。」

 

「もちろん全部が把握できる訳じゃないし責任者のノウハウには勝てないさ。だけど、知識は武器にもなり盾にもなる。知識に裏付けされた経験と力。その経験を元に知識を身につける。その繰り返し・・・“たゆまぬ努力”ってやつが各艦の長女や総旗艦・秘書艦が一目置かれる所以だよ。」

 

「たしかに基本能力が高いに越したことはない。ただそれに胡座をかいて磨かなければ早晩見える結果は・・・解るよな?」

 

 

「君は今まではどうだったかな?自分のやってきた事に満足して安心しきってないかな?向上心はあったかな?秘書艦になってやる・総旗艦になってやる位の野心というか気概は有っても良いと思うよ?その熱量を正しく皆の為に発揮できるならね」

 

 

そこまで一気に話すと、アタシを覗き込む。

すっかり、今までの自分のやりようを顧みて意気消沈である。

 

反論したくても、今までのことを考えたら吹雪や綾波が一生懸命、姉妹の事を気に掛けながらも厳しい深海棲艦との戦いを生き残るには、相当な努力の積み重ねがあったと容易に想像できる。

 

 

・・・おそらく、吹雪にしてみれば 

 

 

「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう!」

 

「まだまだ、わたし頑張っちゃうんだから!」

 

 

なんて言うだろうし、綾波は綾波できっと

 

 

「このぐらい大丈夫ですよぉ〜」

 

「綾波、やりますよ〜」

 

 

なんてやんわり言いつつ、いっつも目一杯張り切って頑張るし・・・。磯波や浦波もけっこう気に掛けてくれる・・・。

 

どれだけ自分が甘えてるし心配かけてたかが、心にズシッと伸し掛かる。本当に悔しいし恥ずかしいし、情けないしで気持ちがぐちゃぐちゃになる。

 

 

「〜〜!!アタシだって・・・ぐすっ、アタシだって、吹雪ちゃんや綾波みたいに格好良く皆をまとめたり、磯波や浦波みたいにコツコツ取組んだり・・・。」

 

「ぐすっ・・・。いっつも皆を羨んでばかりでさ。決められた事以上はやってこなくて、くさくさしてるばかりだったから・・・。多分1番アタシがヘッポコだなぁ。多分じゃないや間違いなくヘッポコだよ。」

 

ただでさえ、捻くれてジメジメした性格のため、益々落ち込むアタシ。

 

「こんなんじゃ、他の鎮守府や泊地にいる特型姉妹にも恥ずかしいよ。いっそ沈んでしまいたいよ・・・。」

 

 

 

グスグス・メソメソと泣いてるアタシに、さっきよりも優しく手の温もりが伝わるくらい優しく頭を撫でる。

 

 

「なんだよぉ・・・。ひとにさんざん説教しておいて、また宥めて来て、何がしたいんだよぉ!」

 

 

「まあ、そんなツンケンするな〜。可愛い顔が涙だらけだぞ?!」

 

 

「誰のせいでこうなったと思ってる!!責任取れよぉ。」

 

 

「むっ?責任かぁ・・・。それは困ったなぁ(汗)

なかなか、面倒くさいのが居てな?まあ、アドバイス位で勘弁して貰えると助かるがな。」

 

 

「何だよぉ?海軍の男の癖に情け無い奴だなぁ・・・。で、どうするのさ?」

 

 

「何て事は無いよ。皆んなの手伝いして、色んな事に関心を持って取り組む、ちょっとした疑問や関心を持てばあっという間に興味が湧くし、知識も増えるよ。それに姉妹以外の沢山の娘と関わりを持てば、もっと色んな発見やアドバイスがあるよ。」

 

 

「アタシ、きっと皆んなからジメジメした奴と思われてるだろうしなー。アタシが入っていって変な空気ならないかな・・・。」

 

 

「自分から引き籠もったら進まないよ?!勇気出さないとね。相手の懐に入らなきゃ相手も気持ちを開いて見せてくれないと思うよ?どうだろうか、姉妹の誰かに連れて行ってもらう所から、顔を広げていったら?段々と仲良くなって交流も増えるさ。そうすればどんどん、色んな事に気付けて楽しくなるよ。」

 

 

「そうかな・・・・。そうだよね、怖がってたら何もできないよね。・・・ちょっと怖いけど、吹雪や綾波に付いてくところから頑張ってみようかな?」

 

 

「少しずつで良いから。一度進み始めたら勝手に流れはできて行くから。」

 

 

「うん。アタシ頑張ってみるよ。ありがとう・・ね。 ふわぁぁ〜・・・。・・・何か眠たくなったよ。もう一眠りして良いかな。」

 

 

「泣き疲れたかい?ゆっくり休んで身体を休めるといいよ。目が覚めたらそこからが再スタートだ、良いかい?」

 

 

「うん、でも本当にありがとう、司令官さん・・・。」

 

 

ギュッと抱きついて、頬にチュッとキスをする。

 

「えっ?!?!」

 

 

「ちゃんと前を向けるように諭してくれたお礼・・・。ケッコンした娘にはナイショにしておきなよ?!」

 

 

「あ、ああ。・・・わかったよ。(うーん後が面倒だよなぁ)」

 

 

「それじゃ、本当に・・・お休みなさい。」

 

 

 

 

アタシが眠ったのを見て部屋を後にする“彼”

愛する人に向ける眼差しをしつつ

 

“カチャリ”とドアを閉める・・・

「ま、まさかとは思ったけどね。」

 

 

廊下の向こうの方から声が聞こえてくる。

 

「ちょっとー、野良潜水艦が出たってよー!ちょい頭数が多いってー?!第8護衛隊全員で出る?」

 

 

「そうだな、被害が出る前に鎮圧するぞ!スクランブルだ!」

 

 

「ふーん。じゃ、帰ってきたら美味しい肉じゃが作るからね・・・って

 

・・・ん?提督からアタシ以外の娘の艤装反の

 

・・・あれ??アタシの?んー?」

 

 

「出撃前に電探故障はだめだぞー(棒読)」

 

 

「何か、怪しい・・・。ま、晩ごはん、腕によりをかけるからね(照)」

 

 

「だったら、早く鎮圧してこいよー。」

 

 

先頭切って出撃ドックに駆け出す娘の左手には指輪が光っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目を覚ますかな、大丈夫かしら・・・」

 

「不安になること言わないでよ・・・私だってこのままは嫌よ・・・。」

 

「きっと大丈夫よ・・・。」

 

 

浦波・磯波・綾波が目を覚まさないアタシを囲み泣きそうな顔で心配する。

 

 

「う、うーん・・・良く・・・寝た?!・・・あれっ?アタシはヤケっぱちになって一人で突っ走って・・・。気を失って」

 

「磯波とか綾波も、鎮守府みんながお化けになったり、朽ち果てて・・・海も鎮守府もグチャグチャで。ううっ、アタシもグチャグチャになって・・・。」

 

「怖くて、怖くて・・・。夢ん中で誰もがおかしくなっちゃって・・・。ホントに怖かったよぉぉっ」

 

 

磯波がすぐに駆け寄る

「ああっ、ほんと良かった、無事で何よりです。一生懸命悩んでたのに、ごめんね馬鹿にしてしまって。」

 

 

浦波も続けて謝る

「本当にごめんなさい。私こそあなたの事をからかって馬鹿にして・・・。ごめんなさい。」

 

 

「いいよぉ。良いんだよお・・・。アタシも今までの事ウジウジして捻くれてばかりでさ。みんなに心配かけさせて甘えてばかりだったから・・・。」

 

 

しみじみと綾波も

「心配だなんて・・・・水臭いですよ。私達大事な姉妹ですよ。」

 

 

「でもね、夢の中?で司令官そっくりな人に出会って気付かされたんだ・・・。その人はアタシがもっと前向きになれるように、色々と諭してくれてね。色んな事に興味・関心を持ってみんなを手伝って勉強すれば、もっと良い駆逐艦娘として成長できるって。」

 

 

「なんか、正夢と言うか妙に現実味がある夢ですね?」

 

「でも、そういう事なら私達いくらでも手伝うし協力しますよ。」

 

「そうですね。特型姉妹の発展の為いくらでも頑張りますよ〜」

 

 

部屋に続々と鎮守府の面子が入ってくる。

 

 

「お、目を覚ましたかにゃ。」

 

「目を覚まされましたか、本当に良かったです!」

 

「よく頑張りましたね。」

 

「大井っち泣いちゃダメだよ〜。これからいっぱい面倒見てあげるんでしょう?」

 

「うう、それでも・・・ぎだがみざぁ〜ん(泣)」

 

 

などと、わちゃわちゃ賑やかになってる所へ、間宮さんが様子を見に来た。

 

「はいはい、皆さーん。まだ、起きたばかりで本調子ではないので、一旦下がりますよ?綾波ちゃんか浦波・磯波ちゃんがお世話役で残って解散しましょう。」

 

 

はーい(にゃ・了解です!)

 

 

「じゃあ、私は梅がゆでも作ってきますね。また後でね。」

 

 

「お世話かけます、間宮さん。」

 

 

 

間宮さん達が退出した後で、綾波と2人になる。

 

 

「綾波も、心配かけてごめんね?でもアタシは頑張るよ。今まで皆があたしにしてくれた分の恩返しもあるし、皆んなともっともっと協力して助け合って強くなりたいな。そしたら綾波や吹雪みたいに格好良く・強くなれるかな?」

 

 

「改ニの事ですか?元々、頑張ってきた訳だしちょっと頑張ればお呼びが掛かりますよ。」

 

 

「そ、そうかなー?・・そうだといいな。」

 

 

「それよりも、夢の中で励ましてくれた司令官はどうでした(笑)カッコ良かったでしょうか?」

 

 

「へっ?何でぇ?・・別に何でもいいじゃんか。」

 

「まあ、いつもの司令官より若いっていうか・・・。そう!子供が居たらあんな感じかな。ちょっと可愛い感じ・・・って何を言わせるのさ!」

 

「司令官さんって・・・。内地に奥様いらっしゃいますよね?確か、男の子と女の子のお子様いらっしゃるとか。」

 

「ふーん。・・・え?じゃあ何?綾波はさー、アタシが夢の中で時間旅行したっての?だいたい息子さんが提督似で、仮に憧れたとしても提督の素質や実力があるかなんて解んないじゃん?」

 

「そうですよね〜。まあ、貴女の妄想が拗れたんじゃないでしょうか?」

 

「何よ?アタシが拗らせ女子っての?」

 

「実際、今まで燻って拗れてたじゃない?!」

 

「それは、艦娘としての在り方だよ、もー!・・・それに、これからは色んな事に積極的に関わって。自分の殻に閉じこもるの辞めにするよ。」

 

 

「じゃあ、後で間宮さんに美味しい肉じゃがの作り方を聞きに行きましょうよ〜。たぶん今なら、鳳翔さんや那智さんも夜のお酒のお店の仕込みをやってるから、楽しいですよ?」

 

 

「そうしよっかな?那智さんや鳳翔さんなら物知りだし、たくさん教えてもらおうかな」

 

 

コンコン!と、小気味よくノックの音

 

 

「間宮です。・・・お粥をお持ちしましたよ。あと伊良湖ちゃんからアイスを差し入れですよ。綾波ちゃんの分もお持ちしましたから、一緒にどうぞ。」

 

 

「わぁ~、ありがとうございます〜!ツヤツヤで梅の香りもほんのり香ります。さっそく頂きますね。」

 

 

「あ、あのっ間宮さん。後で、綾波と一緒に厨房にお邪魔していいですか?」

 

 

「あら、身体は大丈夫?」

 

 

「間宮さんのご飯食べれば、すぐ元気になれますよ。」

 

「それに、ちょっとずつ色んな事に積極的になりたいと言うか頑張りたいというか・・。恥ずかしいよ(汗)」

 

 

「はい、気持ちは解りました。じゃあ、食べてひと休みしたら来てください。鳳翔さんや那智ちゃんも居るから楽しいと思いますよ?まずは、冷めないうちにどうぞ。」

 

 

「「はい、いただきま~す。」」 

 

 

その後、綾波と厨房に度々お邪魔するようになった

 

それと共に鳳翔さん・那智さんと良く戦術のお話を勉強させて貰うことも増えた。

 

那智さんは、武闘派な艦娘の方と仲が良く、その繋がりで戦艦や重巡のお姉さん達にも可愛がってもらいました。

 

「シブヤン海で不覚を取らぬ戦い方教えてやろう」

 

「良いか?機銃でタコヤキ共を落とすにはな・・・」

 

「我輩の索敵と連携をして相手の機先を制するのじゃ」

 

 

・・・何か、今までウジウジしていたのが馬鹿みたいだなー(笑)

こんなに皆さん気兼ねなくお話してくれる。私の話も親身に聞いてくれるんだ。

 

 

「そうですね、いくら私達がバイタルパートが厚くても、あなた達の守りがなければ、やはり心許ない物です。」

 

「お前達が一人一人意識高めてくれるとよー、相手の懐に入ってブチかますのが楽なんだよな~。ってなんだよ龍田?睨むなよー、毎回大破なんかしてねーだろ?」

 

 

 

と、まあアタシの周りは賑やかになった。

 

そして・・・

ある日の鎮守府食堂にて。

 

 

 

「ねぇ、おねぇちゃん〜、ご飯ごちそうさま〜!おねえちゃんの肉じゃが美味しかったよ。ここに来たら、また食べさせてくれる?」

 

 

「えっ?そうねー、そうね。

・・・ここは、パパみたいに艦娘を大事に出来る強くて優しい人になれたら入れる場所だから。今日此処に入れたのは、たまたまパパがママや妹ちゃんを特別に御招待できたからだよ。」

 

 

「だったら、ボクがおねえちゃんを、艦娘を守れる強い人になるから、また食べさせて!絶対だよっ?!」

 

 

「ええっ?!うん。いい・・・よぉ(照)」

 

 

「おい、何勝手に胃袋掴んでるだぁ〜?息子はやらんぞ(笑)」

 

「私の専売特許の肉じゃがが負けるとは〜。綾波はショックです〜」

 

「あ、コレはスクープですね。浦波撮りましょうか!」

 

「後で青葉さんに高く売れますよ!間宮羊羹詰め合わせゲットですよ!」

 

 

「な、なんだよぉ?みんなして〜~!」

「もう、知らない、・・・フン!!」

 

 

・・・そっか、あの時、夢の中の司令官は。

 

アタシは希望を見つけたよ。

 

アタシの希望・・・

 

 

みんなの希望・・・

 

 

守り続けるよ!




お読みいただきありがとうございました。

史実では、それほど華々しい活躍が出来なかった彼女ですが、この作品の中では頑張るきっかけを見つけて、未来へ繋いでいくというエンディングにしました。

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