とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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ども!糸田です。

全国各地で豪雪や寒さが厳しき折、皆さん如何お過ごしでしょうか?(2022.1.16)

そんな時はお家やお気に入りの場所で、温かい物と好きなお菓子でのんびり駄文でも読んでリラックスしては如何でしょうか。
もちろん、優秀な作者様一杯いらっしゃるので、お気に入り作品を読んで寛ぐ人の方ですが。

今回この二人は名前をガッツリ呼び合うので、敢えて固有名を出さずに描写するのが無理だなと(笑)。
なので、
●大井と北上は普通に呼び合います。
●あと、四航戦回以来の二人合作で書きます。
●この前書き書いてる時点での予定ですが③か④まで
 話を小刻みに出す予定です。

4作で、何時もの1.5話〜2話分ぐらいの文字数でまとめる予定で、トータルで何時もの文字数になる予定です。


それでは、お付き合いの程を・・・。



便覧番号19+20①

ねぇ大井っちー、このお茶羊羹美味しいよ〜。

 

間宮さんの羊羹も絶品だけど、コレも良いね〜

 

 

次はっと・・・何これー、黄色いの?!

 

・・・ちーずけーきぃ?カステラじゃないんだぁ。

一口サイズでカワイイね。大井っちみたいだ〜

 

 

食べていい?

 

ありがとー。じゃ、いただきまーす・・・

 

 

ムッ?ムフーーっ!!!!

 

 

溶けちゃう?ケーキが口の中で甘く溶けちゃうよ??

ねぇ、凄いよ!!

世の中にはこんな甘味も有るんだねっ!大井っち!!

 

 

 

ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・

 

 

中部地方有数のお茶処、静岡の川根路を力強く優雅に駆ける蒸気機関車が客車を牽引する。

 

山あいの始発駅を後にして、吊橋が掛かる大井川を眺めながら隣り合って座る旅の女学生が2人

 

 

・・・に見えるが実は球磨型の軽巡洋艦の艦娘である。

 

黒髪おさげの少女が、北上

 

そして、亜麻色のセミロングヘアの少女が、大井

 

 

この二人は提督より特別休暇を貰い、大井の艦名由来となる静岡県の大井川。

その河口・島田の街に鎮座する大井神社に参詣に行く為だ。

 

彼女たち艦娘の艤装内には、艦内神社と呼ばれるお社が祀られており何かしらの加護を受けている。

 

大井は先述の大井神社より分祀を受けており、数々の任務や戦闘で大過なく帰投出来ている御礼詣りの為だ。

 

 

だが大井は独りで行くのも味気が無く、大の仲良しコンビ・北上と離れるのが、どうしても寂しくなり(はっきり言うと離れるのはイヤだ。)提督にペア旅行で行きたいと強い熱意(強い脅し)を訴えることで、ペア旅行の許可を勝ち取り今に至るのだ。

 

 

 

ふふっ、北上さん凄く喜んでくれてますわ!

あぁ〜、良かったぁ〜。

 

もし、北上さんにイマイチだねとか、おいしくなーい。とか言われたら、この後どんな顔して過ごしたら良いかドキドキしていました。

 

 

今回の旅行は艦内神社の神事もありますが、北上さんとより絆を深めこの先もずっと唯一無二の僚艦として共に歩みたい。それを確かな物にしたくて同行してもらいました。

 

私の艤装に分祀して頂いている大井神社は、旅人の神様でもあります。

 

そして大井川は、天龍川(天龍さんの艦名由来の川ですわ)と並ぶ旅人を阻む川として恐れられる事もありました。

 

・・・これから、どんな困難な任務や海域・凶悪な深海棲艦が現れたとしても、無事に乗り越えて二人が艦娘としての生を全う出来る様に祈願する為です。

 

・・・そして平和になった暁には、小さな家で二人仲良く睦まじく・・・キャ〜キャ〜!!

 

等と、大井が絶品の地元銘菓に口も付けず、風味豊かな汽車型土瓶入り川根茶も飲まず、難しい顔やら赤い顔で車窓を眺めていると・・・

 

 

飄々とした表情の北上が顔を近づけるーーー

 

 

えっ?えっ〜!何ですの?北上さんっ!!

おおお、お、お顔が近いわっ!!

 

北上さんの瞳にあたしの顔が写ってる!!

やだっ、顔が赤い・・・(汗)

 

いきなりのセッツブーン・・・じゃない。

 

せせせせ、せっ、せっ、接吻?

衆人環視の中で大胆ですわっ!!

 

・・・・あ、でも。

 

皆様の驚きと歓喜の中で誓い、そして、む・む・むっ、結ばれる2人・・・・

 

・・・・いい!!実にExcellentおぉぉっ!!!

 

と大井が妄想と言う爆雷を脳内で掃海処理してる中で・・・

 

 

 

 

 

 

おでこをぴとっ・・・。

 

うーん?

 

 

 

もう一度、ぴとっ・・・。

 

どうだろ?風邪熱は無さそうだねー?

 

 

 

頬も・・・・ぺたっ。

 

変な熱は無いねー。

 

 

 

体も・・・背中に手を入れてインナー越しに触る。

まあ、平熱かな?

 

 

 

 

 

あぁ、天使!!天使が降臨されたわぁっ!!

あぁっ、北上さんの絹のような手が私の体を!!

 

 

あ、そんな!北上さんっ!!

もう、時よこれ以上進まないで(切実)

 

もう、私っ・・・北上さんに・・・

 

 

 

 

等と悶える中、更に容赦ない第二次攻撃が襲いかかる。

もはや、大井の心の耐久は0であるのに・・・

 

 

 

ねぇ大井っち、熱はなさそうだよ?

ひょっとして、乗り物酔い?・・・な、訳無いよねー。渦潮でも、荒波の赤い海でもへっちゃらな大井っちだし。

 

 

・・・あれっ、本当に調子悪い?

ちょっとこの椅子硬いから、しんどくなったかなー?

 

 

じゃあ、あたしが膝枕、するね。

ほいっ、体倒すよ〜。

終点の駅に着いたら教えるね。

 

 

おやすみなさい、大井っち。

ゆっくり、休んでねと優しく大井の髪を梳く北上。

 

 

ストンと、膝枕をなされるがままに受け入れる大井。

もう完全に北上の膝枕&撫で撫でというCI連撃により敢え無く轟沈したのだった。

 

 

 

 

アッ、あっ、北上さんの膝枕?!

何て温かい・やわーかいのでしょう。

 

 

何か北上さんがもしも母親になったらこうなるんでしょうか?すごく落ち着きますわ。

 

 

それにしても、軍艦の生まれかわりの私達が、いつの日か子を成し育む日が来るのでしょうか・・・。

 

 

あら、いやだ!・・・わたしったら(汗)

何、変な事考えてるのかしら?

折角だから、もう少し堪能させて貰いますわ。

 

 

それにしても・・・暖かくて、何だか・・・

ねむひゃくなってぇ・・・・

 

 

 

 

 

すぅーー。  すぅーー。

 

 

 

 

 

あれっ、大井っち?何だかウソんこで寝てたみたいだけど、本当に寝ちゃったのかな?

 

 

 

 

大井っちて、本当に憎めないし優しいよねー。

あんなに提督にツンケンしながら、周りに気を配って一生懸命でさ。

 

「ちょっと提督ぅ?ま・た・カレーの染みが付いてますよ。・・・あれだけ金曜日の夕食は気を付けて下さいと言ったのに。ソナーでも耳に縫い付けますか?

 

・・・仕方無い人ね、染み抜きしますから上着脱いでくださる?

 

・・・え、中は肌着1枚だけ?し、し仕方ありませんわね(汗)私が特別に手洗いしてあげますから!

 

・・・はあ〜?比叡さんに次ぐ江田島の御召艦をナメないで下さいますかぁ?砂粒大の染みすら退治してあげますわッ!!」

 

 

 

それに新規艦やドロップ(海上発見)されて右も左も分からないオロオロしてる娘たちを、悪態付きながらも1人でも心配無くなるところまで面倒見てあげるんだよねー。

 

「あらー、大井さ〜ん。提督執務室はどちらだったかしら〜?」

 

「はあーっ、・・・愛宕さん。何回言ったら、何往復したら場所覚えて頂けるのですか?

中央庁舎・東階段上がって3階の左廊下突き当りです。」

 

「えー、東庁舎・西階段を地下3階右廊下突き当りじゃなーい?」

 

「それ・・・危険物処理室です。提督は不発弾か何かですか?・・・もう、仕方ありませんわね。一緒に行きますよ?」

 

「パンパカパ〜ン!大井さん優しいから大好き〜。」

 

「ちょ、うっとし・・・ムダに胸部装甲が邪魔っ!!」

 

「えぇっ〜?!」

 

たまに戦艦や重巡の方々が戸惑ってるところに、あの態度で世話焼いてるの見てると微笑ましくってさー。

 

 

 

上の駄目姉2人と、下のゴーイング妹ウエイが本当に世話が焼けるからってね・・・

 

「あ、北上〜。温かいお茶に間宮羊羹が欲しいク〜マ〜。寒いから動きたく無いクマ〜」

 

「多摩も甘いの欲しいニャ〜。食べたいニャ」

 

「北上の姉貴ー、俺も酸素魚雷の手入れで忙しいから伊良湖最中、酒保で買ってくんないか?」

 

 

「(ピキイッ)何ですって、あなた達ぃ!!

 

北上さんが汗水たらして!!遠方まで行って駆逐艦たちと沢山資材を回収してくださるのですよ?!

 

貴方達はたまたま防空仕様だったり、雷撃戦仕様にされてるから、遠征に行く事無いからカンタンに言っちゃってくれますけど、あちこちクタクタになって資材採集したり、各地のプラント行って頭下げまくりまくってカンパ貰ったりしてくるのに、どーれーだーけっ大変だと思ってるのですか!!

 

帰りもドラム缶や艤装満載の資材ですからね。しかも、穏やかな海域ばかり通って帰れる訳じゃないですよ!!

渦潮に時化に深海棲艦の不意打ちとかたまりませんわよ。マッチ一本大爆発な燃料を満載で持っててみなさいな。ワ級の単装砲一発でもガチでビビりますわ!!

遠征部隊がたまに、武器弾薬減ってるの何でか解りませんか?解りますよね、戦ってるからですよ!!

 

合同訓練や演習でも鎮守府代表で出張って貰うからですよ。高練度の南方拠点泊地相手ならまだ黒星付いても言い訳も立ちますがですが、そんじょそこらの泊地や補給地の艦隊に負ける訳にも行きません。

 

たとえ練度向上・相手の胸を借りる事前提でもプレッシャーですわ。そんな中で北上さんはウチの顔として提督のメンツを潰せないプレッシャーをひしひし感じながら行くのですよ?!

 

貴方達が満足に戦えるのも、こうやってグダグダできるのも、みんな後方部隊の血と汗と涙の努力ですよ!

砂糖一粒、血の一滴!小豆一粒、汗と涙の一滴です!

 

よぉ〜っく!!お・わ・か・り・で・す・か!!」

 

 

某対空番長重巡・防空駆逐艦による対空射撃かの如く北上を称える熱弁を撃ち込まれ、這々の体である。

 

「お、お、はい・・・姉貴、ごめんなさい。」

 

「!!  自分で行ってくる・・・」

 

「チョット防空演習行って稼いでくる・・・」

 

 

あー、行っちゃったよ・・・

もう口調も語尾もハイライトも無くなってる(汗)

大井っち熱すぎるよ。まあ、アタシを庇ってくれてるんだよね。優しいよねホントに。

 

 

これだから・・・うん、ありがとう。

でも木曽っちや、球磨ネェがちょっち可哀想だしなー。

 

 

よし!これで折り合いつけますかね~。

 

 

「ねぇ、大井っち?アタシも何か自分にご褒美買いに行こうかな?」

 

「えっ!北上さん。遠征帰りだしゆっくりして下さいな。私が行ってきますから。」

 

「それじゃ大井っちに悪いから、せっかくなら一緒に和菓子屋さんに行かない?」

 

「あー、北上さんとデート?行きます、行きます、すぐ行きましょう!!」

 

「もー、大井っちたらー(笑)」

 

鎮守府を出て和菓子屋さんに向かう道すがら

 

 

「相変わらず、アタシ以外には当たりが厳しいんだから、もうちょっと優しくしてあげたらー?」

 

 

「えっ、私は平等ですよ?・・・駄目姉達?確かに、最前線で戦ってるのは解ってますよ?危険な海域に踏み込むのは危険極まりない事ぐらい。

 

・・・だけど、北上さんの努力を分かってないのよね。おチビちゃん達を面倒みてケアしながら、対深海棲艦哨戒しながら進むなんて、ストレスばかりだわ。」

 

 

「まあ、駆逐達はベタベタ・キャイキャイうざいけど、アタシを守ったり、あの子達なりに気遣いしてくれるからねー。なんか母性本能だよねー。」

 

 

「北上さんがお母さん?!幼稚舎の先生なんてどうでしょう?きっと素晴らしい教師になれますわ。」

 

 

「えー?!よしてよー(照)。それ言うなら大井っちこそ、何だかんだ最後まで面倒を見てるってー。アタシは厄介事が大きくなる前に片付けるだけで面倒臭がりと変わんないよ?大井っちこそ、みんなをちゃんと見守るから、優しいよね。」

 

「そ、そうでしょうか・・・。何か照れ臭いですね。」

 

 

そう言いながら球磨や多摩、木曽っちにちゃんと最中やおまんじゅう、提督にも羊羹を買って行ってあげてさ。

 

照れ屋さんなだけで、誰よりも皆んなを見てあげてさ。

 

しばらく秘書官が続いて、遠征隊長に来ないと駆逐たちが寂しがってるんだよ?

 

アタシも大井っちの前じゃ気楽に振る舞ってるけど、あとは提督や間宮さんとか伊良湖ちゃん位しか気楽に喋ってないかも。他所よそしくなる娘のほうが多いかもね?

 

大井っちが居なかったら、アタシはダメ艦娘だったかもしれないね?

 

ずっとベストパートナーで居てよね。約束だよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタン・ゴトン、ガタン・ゴトンと汽車は街へ向かい走る。山あいの景色から茶畑や農家の件数が増えてきた。

 

 

 

 

 

恥ずかしくて狸寝入りしていた大井だが、途中で頭を撫でられる感触で目が覚めてきた。

起きようと思ったのだが、北上が車窓を眺めながら何やら独白をしている。

 

どうやら自分がツンケンしてる態度にやれやれと思いながらも、皆のことを突き放したままにせずちゃんと対応している事

 

北上自身が持ち合わせていない優しさ・面倒見の良さが自分自身の良いところであり敵わない所であると。

駆逐達に、実は北上以上に懐かれていた事など。

 

何より自分の事を相棒として、末永く一緒に居て欲しいと思っている事。

 

普段の、のらりくらりとした北上からは中々に聞けそうもない内容だった。多分、今起きてもう1度聞きたいと願っても頑なに拒否されるだろう。

それにしても、何とも絶妙なタイミングで覚醒出来たなと思った、が。

 

 

 

え、絶妙な・・・タイミング・・・?

 

 

 

さっきまで撫でられていた手が止まっている。

ふと気付くと、車窓を眺めていたはずの北上がこちらの様子を見ていた。

 

ドキッとした。聞いてるのがバレた?

 

 

「目が覚めた大井っち?どう、気持ち悪いのは収まった?」

 

何となく、早口だ。気付かれたのかしら?

変に焦った感じはしない。でも、北上さんは中々の策士だから隠し切ろうとしてるのかしら。

 

「ええ、スッキリしたわ。やっぱり旅行の為に業務を詰め込んだのが良くなかったかしら?でも、北上さんの膝枕は万病に効くみたい。ありがとう北上さん!」

 

何もわかってない風に装った方が良いわね?北上さんの心を無理やり引っ掻き回すのは良くないわよね?!

 

 

「いいって事ー。さっ、景色眺めながら大井っちのオススメを食べようよ。やっぱり一人じゃ味気無いし。」

 

大井っちらしいや、知らないふりするなんてさ?・・・でも、その不器用な優しさが大井っちだよね。

 

 

 

そんな、互いを思い合う2人を乗せて汽車は大井川河口の街へと向かった。




お付き合いありがとうございました。

今回は、序盤のト書きの通りで
大井の艦内神社に参詣に行く所からスタートです。

汽車についてはファンならご存知・大井川鐵道です。

路線はJR金谷(かなや)〜千頭(せんず)を結び更に奥にある井川までは、アプト式鉄道と呼ばれるトロッコ列車で運行されます。

汽車は新金谷〜千頭間で運行。
作中の山あいの駅と河口の街は、始発と終点の駅。

定期的に、きかんしゃトーマスにガワを改装されているバージョンも走ります。

とにかく大人も子供も楽しめる路線です。

あと一つ鉄オタ要素がありますが、私鉄会社で退役した車輌を引き取り運行している点です。
現在は南海、近鉄、東急で走ったあの車両が・・・。


※詳しくは鉄道会社のホームページを参照されたし


◎北上が食べてたお菓子2品もモチーフはあります。
地元民がいらっしゃるとピンとくるのでは?

◎川根は大井川流域では有名な茶処です。他にも牧之原・掛川など、あちこち有名ですね

◎吊橋はドラマや映画のロケ地でも使用された有名なスポットです。


次回は神社へ参詣する前後から話を再開したいと思っています。

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