とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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どうも!糸田です!!

リアルが忙しく、細々書いてましたがやっと目処が付きました。北上&大井の3話目をお出しします。


今回は、旅行から鎮守府に帰って来てからのお話です。


便覧番号19+20③

のんびりと列車を乗り継いで(新幹・・・せん?いいえ、知らない娘ですね?!)鎮守府へと帰ってきた2人。

 

何だかんだ言って駆逐艦に優しい北上さんは、駆逐艦の宿舎、その足で巡洋艦の宿舎にお土産を渡しに回ってくださるとの事。

 

「駆逐たちはウザいけど、お土産渡すとスッゴク喜ぶんだよねー。アタシが遠征でしばらく居ないと寂しがる奴も多いしさ、ほ〜んと甘えん坊さんばかりだよねー。

じゃ、大井っちは提督とお姉さんズのお土産を(戦艦と空母達まとめてるらしい)よろしくねー」

 

「言ってる事のキツさと顔の表情の優しさのギャップが北上さんのチャームポイントですわよね。」

 

朝から尊いものが見られて気分3割増しの大井。早速、空母寮と戦艦寮へと向かい、お土産が届いているかを確認し(手土産の量がハンパないので宅配して貰っていた)帰着の挨拶もしてきた。

 

間宮さん伊良湖ちゃんには、名産の山葵と上等な煎茶&和菓子を。

 

鳳翔さんには、大井川の伏流水仕込みで女性好みに仕上げたお酒を見つけたのでプレゼントしました。

お酒の名前からしても私達、女性に合う名前でしたので。(気になる方は調べてみて下さいね。大井川・酒でヒットします。)

 

鳳翔さんは居酒屋のラインナップに入れて提督の前にお出しするとか・・・。スッゴク気まずい顔して呑むのが想像できます。

 

そして執務室へ挨拶がてらに手土産を渡しに行く。

 

「提督大井・北上両名休暇より戻りましたお休みを頂きありがとうございましたこれはつまらないものですがどうぞ提督のお口に合えば幸いですがどうぞそれでは高雄さんと秘書艦業務を引き継ぎいたします・・・高雄さん。秘書艦業務、大変お疲れさまでした!今日は非番でしたよねっ。ごゆっくり休まれてください。」

 

「なんで句読点の一つもなく、且つ澱みなく報告ができるんだ?!そして、高雄君には心からの労い。・・・提督、ちょいと横にならさしてもらっていいかなぁ?ねっ?

 

・・・あ、高雄君。ご苦労様、ゆっくり休んでくれ。

(高雄、退室)

・・・そんで、なぜお土産が山葵づくしなんだい?練り山葵、茶漬、アイス、サイダー、飴、ポテチ、山葵の粕漬、山葵マヨ、弁当の防腐シート・・・」

 

「もちろん、鼻水と涙を流して喜ぶ姿が見たいからですわ・・・。はい、お茶です。一応、最上級の玉露ですわよ。茶園の方々の汗と努力の結実ですわ。・・・我が生涯に一片の悔い無し!くらいの覚悟でお飲みなさいな。尤も?!味の違いが分かれば良いですが〜?」

 

「・・・あ、あぁ、ありがとう。君のオナモミの様な刺々しさの中に隠れている優しさを噛みしめて味わうとするよ。

(ズズッ・・・何だ?本気で旨いお茶だな。これ幾らしたんだ?絶対にお高い値段するヤツだぞ・・・?!)

 

・・・それで、神主殿は息災だったかい?志は弾んでおいたから、かなり手厚くやってくれただろ?」

 

「ええ、街の有志の方まで立ち会って頂きそれは有意義なモノでしたわ。・・・ただ。」

 

 

私が急に神妙な顔になって言い淀むので流石に引っ掛かるらしい。

 

 

「なんだ?何か不備でもあったかい?」

 

「いいえ、先程も話したように式自体は恙無く終わりましたわ。ただ、私自身変な体験をしたので、その事に引っ掛かりが有りまして。北上さんは気にし始めると様々な事に支障が出るから、気にしたら駄目だと仰って下さいましたわ。まあ、変な体験というのは・・・」

 

式の最中に、トリップして生と死の境のような場所で肉体と精神を分離する女神妖精のような者に遭ったこと。

 

艦娘も深海棲艦も正と負の因子に引っ張られて性格付けられている部分がある事。

 

原初の艦娘や深海棲艦からどんどんと因子が混ざり合いその者の生き方で正にも負にも因子は磨かれていく事。

 

生まれ変わる時には必ずしも同じ艦種に転生するとは限らない事。艦娘から深海棲艦、その逆も有り得ること。

 

だからこそ艦娘が深海棲艦に貶されたり、深海棲艦が倒されて負の因子が浄化され艦娘ドロップする反魂現象が起きる事。

 

覚えている限り正確に伝えた。

・・・そして、私にも近く覚悟すべき事が起きると言われた事も。

 

「何か、偉く摩訶不思議な体験だな。まぁ、既に研究されて艦娘と深海棲艦に様々な因果関係がある事は公表済みな事も混ざってはいるが、薄気味悪い中身な。

お前が気にするなんて余程だと思うが、いつも通り自分の仕事をしてくれたら大丈夫だよ。北上に同じ事を言われてそうだしクドくなるだろうから俺からの話は止めとくよ。」

 

「わかりましたわ。じゃあ、業務を始めていきます・・・

 

と、提督に一礼したところで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えっ?   また、此処にっ!?

 

 

 

ーーーあ、貴女また来たんですか?そんなに生き急ぎたいのですか?

 

気付くと、また女神達の選別?の場所に居た。

 

「んな訳無いじゃないの!そんなに早くあの世になんか行きたくないわよ!!んで、今回も貴方達が呼び寄せた訳じゃないのね?」

 

 

「ええ、そうですよ。私共も次から次へと沈んで来るので作業が大変なんです。変な話、ブラックな環境が産み出されるほど私達の作業環境もブラックになるのですよ?!こんな不毛な事、いつまで続けるのですかねぇ?」

 

また別の女神妖精は

「ええ、何時までも戦いに明け暮れ、オセロの駒がシロクロ返し返される様に・・全く大概にして欲しいですね。」

 

女神さん達は彼女たちなりの不平というか感情はある様だ。しかし、こんな訳のわからない次元に毎度来させられ私も困る。

 

「私だって北上さんだって、それにあのボンクラ提督だって下らない非生産的で未来の無い戦いで消耗するだけなんてクソ喰らえと思ってますわ」

 

「ならば、せいぜい足掻いて諍いや争いの無い海へ、少なくとも不毛な亡骸が山になる事だけは避けてくださいね。それと・・・」

 

「解ったわよ!皆まで言わなくとも。私の運命?魂?そっちも足掻いてあげますわよ?!・・・まあ、どっちに転んでも憎まれ口を言われるシナリオしか見えませんけどね。」

 

言い返したら眉間にしわ寄せてました(笑)私に意見するなんて100万年早いですわ。・・・ま、慢心はしないけど。

 

「それじゃあ、とっとと元の世界に戻して貰えるかしら?ここに居るくらいなら唐変木の顔見てたほうが清々しいですから。」

 

「言われなくても戻しますよ。仕事の邪魔ですからね。はい、さようなら。」

 

 

ーーーー目を開けると、執務室のソファで私は寝ていました。窓からは西日が落ちかける頃・・・

 

「現在時刻、ヒトハチマルマル。この鍋は何かって?勿論、愛情たっぷりの、提督特製カレーです!・・・おはよう、大井」

と、私のソプラノ定時ボイスではなく提督の声。

 

「ああ、夢から醒めるってこの事ね。」

 

「いきなり崩れ落ちる様にダウンするから、本気でビビったぞ?!今はどうだ、気分は悪かったりしないか?」

 

「そうですね・・・まさか提督に膝枕されて、頭撫でられるなんて、あまつさえ何ですか提督の手料理?」

 

「・・・駄目だったか?」

 

「フン・・・。北上さんの方がどれだけ良かったか。尊厳破壊も良いとこですわ。」

 

「そっか。お前からの扱いが酷かろうが、間違いなく俺の秘書艦だし、鎮守府を支えてくれる艦娘だ。お前が居てくれなきゃ俺もみんなも困る。」

 

「・・・」

 

「ん、どうした?」

 

「そういうデリカシーの無いのがクソ提督なんですわ!フンッ!!」

 

頭を撫でる手を手繰り寄せ、手の甲を思い切りつねる。

 

「んなっ??・・・痛っっってぇぇーーっ!!

むっ、むっー!」

 

思いっ切り痛みで叫んだ提督の口を私の口でふさぎ込む。・・・キスをする。

 

「ーーっ。・・・・いいですか?そういう事を仰る時は言葉の選び方と使い方を練り上げる事を進言します。良いですわね?」

 

「お、おう(焦)」

 

さ、さあ、緊張と腹を立てたせいでお腹が空きましたね・・。

 

 

カレーとサフランライス、オニオンとポテトのサラダ。食後にハーブティーなんて無理しちゃって。

・・・ヤケドの塗り薬の跡も隠さずに。

 

「さ、カレーを頂いて、遅れてしまった書類を片付けますわよ。」

 

「お、おう(汗)」

 

「あらっ、提督?美味しいじゃない?中々やるわね。」

 

「お、おう。(照)」

 

「語彙が。・・・ヤバいわよ?」

 

「お、おう。(あう)」

 

「・・・この人、耐性0だわ。」

 

 

 

 

それからしばらくの間、鎮守府では国の偉い人が来て観艦式を執り行ったり新しく着任して来た艦娘の訓練に明け暮れたりと忙しかった。

 

私も、秘書艦筆頭として特別正装で謁見したり、新人のドタバタに付き合ったりと忙しい日々。

もちろん、北上さんの駆逐達へ指導の協力もあって無事任務は消化していきましたわ。

 

 

 

そんなある日、大本営から不穏な話が持ち掛けられたのです。

 

「私達をダウン改装する?!

雷巡から武装だけを軽巡に戻して補強増設する?

・・・高速輸送軽巡?はあ?何それ??」

 

「何それ〜、あたし達を馬鹿にしすぎじゃない〜。

提督〜?・・・これ、本気で言ってんの!」

 

北上さんが胡乱な目付きとなる。

これは、手が着けられないレベルの怒りに達する表情。

 

何でも、苦戦を続ける南方の各泊地や警備府に新開発の特殊魚雷を届けて欲しい。

 

そして、その指導と運搬を雷巡である私達と駆逐艦の中でも精鋭を揃えて部隊を組む事になった。

 

その為には、特設の格納庫やクレーンが必要でそれは北上さんに、私は北上さんの護衛艦兼輸送部隊の隊長と言う事らしいです。

 

やや、やつれた顔で提督は口を開く

 

「・・・ああ、冗談でも口にして言える話ではないよ。何故2人にこんな話を振ったのか、特殊魚雷のスペックは軍機として俺すら開示されず、ただ専任の武装妖精さんがビクビクとして着いてきてるだけだ。しかも何も教えてくれず他の妖精さんにすら近付かないんだ。」

 

 

「転属してきた敷波さんも、ただこちらの鎮守府に移って私達と隊を組んで護衛輸送任務としか言われてないそうよ?」

 

 

「アタシも他の駆逐に聴きまわったし、わかる限りのツテを頼ったけど分からずじまいだね。」

 

 

「相当にキナ臭い作戦に回された事は間違いないな。俺も色んな所に首を突っ込んでみたが、駄目だった。」

 

 

「何を運ばされるか分かったものじゃないじゃないの!!・・・提督、こんな得体の知れない。北上さんに何かあったらただじゃ済まないわよッ!!」

 

 

「大井っち・・・無駄だよ。提督ならと思ったけどさ。頼りにならないね・・・アタシは別に良いよ。

だけど、駆逐たちや大井っちに何かあったその時は酷いから・・・。行くよ大井っち。」

 

 

二人が荒々しく去った後

 

「はあ〜・・・言えるかよあんな武装。正気の沙汰じゃあ無い。俺が悪者になれば丸く収まる。彼女らに恨みの気持ちは持たせたくない。」

 

結局、観艦式なんて華々しくブチ上げたのは戦意高揚で後ろめたい事をぼやかす為かよ。

 

 

 

ーーー提督の手元には特別甲標的魚雷〇〇の武装概要がグシャグシャに握られていた。

 

 

 

 

 

そして暫くの日数の後、南方各地の泊地・警備府への高速輸送作戦は開始された。

虚しくなるくらい盛大な出港式と共に。

 

激しい怒りは消え何か生気すら感じられない様な北上。

何か痛々しい顔の大井。

それを察する敷波。

そして、何も知らず意気高揚する他の駆逐達。

 

 

暫くは本土と南洋各地を往復する任務だ。

 

 

南西諸島に差し掛かると途端に蒸し暑さが士気を押し下げる。天気図・海図・最寄りの泊地からの通信を勘案してもスコールに遭うときもある。

 

あまりの酷さに予定外だが近隣の補給港に寄る。

 

作戦が始まって早数往復。

 

あの執務室での作戦会議以降、作戦の不透明さにイライラが積もり、私は秘書艦として業務が重なり、北上さんは艤装調整で忙しくまともに話せていない私達。最低限の打合わせでしか会話が成り立っていない。

 

 

簡素な控室でぼーっとスコールが止むのは待つ。

 

 

 

それでもと思い話しに行こうと北上さんの居場所を探そうと立ち上がる時に・・・

 

コトン・・・と優しくほのかに湯気の立つマグカップが目の前に置かれた。

 

 

「ほら、お茶だよ大井っち・・・。」

 

「北上さん・・・。」

 

 

それから二人して横並びで座る。

互いに頭を預け合い何を話すでもなくただスコールの音が鳴り止まずにいる。

 

今までの不協和音のような日々は何だったのか解らなくなってくる。

 

 

「大井っちごめんね。どうにもならないイライラをぶつけてしまって。提督だって本当は知ってるんだよね。あたしの積んでるブツが相当にヤバい武器なの。・・・妖精さんがあんな死相の浮かんだ顔したの見た事が無いし。」

 

 

「そうね・・・。私にも高雄さんにも一切口を割らないで、全部背負い込むつもりみたい。」

 

 

「最近、あちこちで深海棲艦に反撃されてるみたいで、お偉い様たちはコレが決戦兵器で確実に倒せるぞって息巻いてるそうよ。」

 

 

「妖精さんを苛めて泣かして・・・。いつか大変な事になるよ。人を艦娘を信じて協力してくれてるのにさ・・・。いつか裏切られるよきっと。」

 

 

「真っ黒な武器をみんなに使わせたくないわよ?そして、そんな武器の発射台に北上さんの艤装が改装させられてるなんて!!」

 

 

「帰ったらさ、提督に真実を話して貰おうよ?それで改めて各泊地と連合艦隊組んで深海棲艦の討伐を具申しようよ、ね?」

 

 

何時しか互いに向かい合い真剣に話していた・・・

こんな馬鹿げた作戦を終わらせようと。

 

 

そして、目的の各泊地へ武器・物資の輸送完了後鎮守府に帰還する途上だった。

 

 

「もう!缶の不調だなんて、暫く無かったのに。」

 

「ここら辺は先日、各泊地と深海棲艦の戦闘があった海域だから、なるべく早く抜け切りたいですね。」

 

「みなさ~ん!!深海棲艦の感あり!!囲まれてまぁす!!」

 

随伴艦の敷波から、緊急電が入る・・・

 

駆逐艦と軽巡級だ・・・深海水雷戦隊!!

 

早々とこちらを補足し、砲撃で牽制しながら魚雷を執拗に放ち行動範囲を狭めてくる!!

 

 

私達はダウンスペックされている為、敵索敵・敵の攻撃予測もままならず敷波に頼る部分が多い。

 

 

「ええい、鬱陶しいわね・・・ッ!」

 

「大井っち、冷静にね〜。ここを乗り切れば・・・

何?この悪意??」

 

 

次々と深海駆逐艦や深海軽巡がドス黒いモヤを飲み込み、次々と金色や青紫のオーラを放つ更に異形の深海棲艦へと変わっていく!!

 

 

「アレはナ級?!たぶん亜種だよね〜。あっちはへ級やチ級の亜種・・・完全に怨念を喰ってるよね〜」

 

 

「あの艤装にくっついてるのは何よ、砲台鬼?小鬼?

違うわね。・・・よ、妖精さん?!目つきがおかしい?」

 

 

「大井っち。・・・言いたくないけど、あの駆逐の黒い妖精は最初に鎮守府で泣いてた子だよ。あっちの軽巡にいるのは、一昨日この泊地で下ろした甲標的の妖精さんだね。」  

 

 

「何で、妖精さんが深海棲艦にくっついてるのよ?」

 

「あんまり考えたくないんだけどね、アタシの予想だと深海棲艦自体・・・」

 

 

なるべく死角を晒さないよう背中合わせになり敵の攻撃を把握していたが・・・敷波から檄が飛ぶ!!!!

 

 

「北上さん!!雷跡あり!!!!避けてーーッ!!」

 

 

急な雷跡が現れ北上さんの側面へと襲い掛かる。

 

 

「危ない!!」

 

咄嗟に大井が北上を突き飛ばし砲撃で魚雷を撃ち抜き大爆発と巨大な水柱と共に処理する!!

 

それも束の間、私が背後から雷撃に襲われる!!

 

 

「しまった!!コレが本め・・・」

 

 

 

とてつもない大瀑布の如く水柱が上がったと思うと、遅れて、落雷の様な爆発音が鳴り響く!!

 

「お、大井っちーーっ!!」

「大井さーーんッ」

 

「・・・・っ!!」

「あぁ・・・・ぁ・・・!」

 

 

 

必死の叫びや願い、そして絶望感の中で

 

大井が雷撃の猛威に呑み込まれていくのだった。




お読み頂きありがとうございました。

北上さんがダウンスペックされて積まれたのは、本人が忌み嫌ってるアレです・・・。
妖精さんの悲壮感からお解りですよね。

敵の水雷戦隊が亜種と化してましたが


・姫級より強い最悪の駆逐艦のヤツですね。
・軽巡も色付きに強化されてました。
ゲームでは空母達には遭遇させたくない奴らです・・・


そして、カットインで魚雷を狙い撃ちされたと言う事は
面倒臭いアイツらも居たと言う事になります。


この後はどうなるでしょうか・・・
次話で北上・大井の最終回としてお出しできたらと思います。

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