とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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どうも、糸田です。

大井・北上回の第4話を投下いたします。

ますが・・・・、すみません話を大きくしすぎまして4話で収まりつかなくなりまして(泣)

まずは続きをお読み頂ければと思います。


便覧番号19+20④

もうもうと水煙と硝煙が入り混じる中・・・

北上達の悲痛な叫びが響く

 

 

「大井っちぃぃぃーッ!!!!」

 

「お、大井さ・・・さんっ!!」

 

 

 

「は・・・クッ・・・・はぁはあ・・・あっ!」

 

 

肩で息をして辛うじて海上に浮いている大井が現れる。

一瞬生きていてくれた事に安堵をしたが、

 

 

 

 

その姿を見て・・・

 

 

 

 

背嚢部は爆風で有り得ない形へと変形し火煙を上げ、

 

魚雷発射管は砕け散り、

ほんの僅かに残った炸薬が小さく誘爆・破裂している。

 

機銃・砲塔類は見る影もなく・・・

 

 

大井自身半身が酷く焼け爛れ、服は煤けボロと化して、片腕・片脚は既にあり得ない『損壊状態』である。

周りに毒々しい硝煙が漂っている・・・

 

 

所謂、一発轟沈していないのが不思議な状態である。

 

 

 

そして生き残った片手には、深海潜水艦の残骸を持ったまま動かない。

 

 

「ね?ねぇ大井っち・・・。帰ろ、うん。すぐに、今すぐに鎮守府に帰るよ。」

 

 

周囲を警戒しながら北上がそっと声を掛ける、敷波は鎮守府本部と交信をしている。

 

 

僚艦の駆逐艦たちは更に輪形陣を組み絶対守り切ると悲壮な覚悟を決める

 

 

「提督!?お、大井さんが轟沈寸前の大破してます!!

ただ、深海水雷戦隊の後期改修型や潜水艦隊に囲まれ非常に不利な状態です!!包囲網を何とか破って至急撤収します。」

 

「すまん、大丈夫かっ!!弾薬・運搬資材何でもありったけ使えば良い!!絶対に生きて戻ってくれッ。どうか頼むっ!」

 

「北上さん、持ち物はどれだけ散財しても構わないから包囲網を突破して帰投せよと。」

 

「うん・・・。

敷波、駆逐たち良い?アタシ派手に掻き回すから・・・絶対に近くに来ちゃだめだよ?手加減出来ないから。」

 

「はい・・なるべく北上さんの背中を守る形で動きます。」

 

そこからは北上さんは振るわない主機に鞭打って相手艦隊を屠りに掛かる。

 

砲撃・機銃掃射・雷撃と敷波たちも混じり交戦する。

砲身が焼き切れ、弾薬が尽きたら片っ端から輸送物資を漁り使っていく。

 

しかし、深海棲艦勢は闇に囚われた妖精に先導され、的確に我々に対し圧倒的かつ執拗な攻撃で我々にダメージを与えてくる。

 

エモノ ネラウ・・・

 

ヒカリヲ カキケシ クライミナソコヘ・・・

 

ヤケル クルシム イキタエル シズム・・・

 

 

 

呪詛の様な言葉に載せて敵の猛攻が襲い掛かる!

 

 

 

「くそったれが・・・誰も、何も・・・守れないっての?!」

 

 

 

そして再び、北上に危機が訪れた時・・・

 

 

 

先程の火煙に混じり昏い金泥と灰青の禍々しいオーラが吹き上がる!!

 

 

・・・・・だった者が動いた。

 

 

ニクイ! 

 

カナシイ!! 

 

イマイマシイ!!

 

ワタシノスベテヲカコム、アリトアラユルモノガ。

メザワリダ!イラツク!!

 

ミンナミンナ・・・ムニキセバイイノニィィィ!!

 

 

 

咆哮を上げながら潜水艦?だった物を深海駆逐艦に投げつけ当てる。当てる威力だけで大破する駆逐艦!!

 

また、大破した駆逐艦を両手で摑みあげ・・・ブチュリッ!!と一気に引き裂き更にそれを投げつける!!

 

 

投げる、大破する。

大破した深海棲艦を引き裂き投げつける・・・。

 

そこら中に異形の肉塊が飛び散り青黒い血を、鼻に付く異臭を放ち瘴気が立ち込め、海も赤黒く変色していく・・・。

 

それを呼び水に、深海棲艦が寄り集まってくる。

 

 

北上・敷波ともに最大の警戒をしているが、既にイロハ級の深海棲艦は気にしてない。そんな奴らを気にする暇があるなら警戒すべきは、大井だった者・・・。

 

 

行動が余りに常軌を逸し過過ぎている。

深海棲艦を寄せ集めながら自分で沈めている

ある種マッチポンプ状態だ。

 

 

 

既に鬼姫級の禍々しいオーラを纏い、八つ当たりの暴力の如く、醜い深海棲艦の残骸の山を築く。

 

 

駆逐たちは惨状を見てしまい際限無く嘔吐する者、恐怖心に呑まれガタガタと震えるもの。既に気を失い肩を借りながら浮いてるだけの者と惨憺たる状況だ。

 

 

そんな中、僚艦達のまとめ役の天霧と浦波が駆逐艦隊を離れ大井に恐る恐る距離を近め声を掛ける。

 

「大井さん、天霧です。もう、止めましょう!!そんなやり方は見るに堪えないです。」

 

「浦波です、そんな怨嗟の血に塗れるなんて、周りを見てください。怨みが怨みを呼んでいるのが分かりませんか?」

 

大井は既に鬼姫級のオーラに憑かれてしまっている。

さっきまで対峙していた雷巡級を遥かに凌ぐ負の力とオーラ、軽巡棲姫ならぬ雷巡棲姫だろうか・・・。

 

「あっ!ばかッ二人とも!!早く離れろ!!」

 

「「え、何・・・」」

 

海中から音も無く忍び寄る深海棲艦の標的艦。

 

二人が脚を絡め取られ海中から怪光が覗く

 

「うわ・・・!」「き・・・!」

 

深海甲標的が二人を補足し、魚雷を叩き込まれてしまう。叫び声を上げる間もなくボロボロに吹き飛ばされる

 

辛うじて二人とも起き上がると大井と同じ様に、あちこちが大破している。そして、もうもうと水煙と火煙が漂う。

 

「天霧ちゃん、浦波ちゃん!!」

 

敷波、次いで北上が二人に駈け寄ろうとするが・・・

被弾した破孔した箇所から怪しい瘴気が上がる

 

「イタイ・クルシイ・ツライ・シズム・シズンジャウ!!・・・止めてく・・・れよ。そんな・・・やめて、くれ・・・ぇ。」

 

「コワイ・コワイ・ヤメテヨ・コワレテイク。・・・嫌だ、やめて!そん・・な感情・・・要らないわ・・。」

 

二人は呻きのたうつ・・・慌てて北上が怒鳴る!!

 

「駆逐達ぃ!バケツっ。バケツだっ!応急(修理妖精)ちゃんは居る?!」

 

「敷波っ!雑魚と・・・棲姫(大井)を近寄せるなっ!!あいつは甲標的を使ってくる!!索敵を最大限に!!」

 

「(大井っち・・・、ねぇ?完全に呑まれたの?本当に戻れないの?)」

 

北上の指示で、ドタバタと皆で輸送物資を引っ張り出し後先考えず二人へと惜しげなく使う。やがて、一命を取り留め、多少の混濁は有るが意識はまともに戻りつつある。

 

早急に戦線を下げ、深海棲艦の残党と『水雷棲姫(大井)』から距離を大きく取る

 

水雷棲姫は北上の艦隊が交戦圏内から離れると、再び深海水雷戦隊が沈黙(轟沈もしくは残骸と化す)するまで、狂戦士となり戦い続けた。

 

そして、自分が感知できる圏内に交戦可能な者が無くなると北上と敷波にヨロヨロと彷徨い近づいてくる。

 

「敷波、他の駆逐達は天霧と浦波を連れて鎮守府へ先に帰投させて。敷波は腕を見込んで残ってもらうけど良い?」

 

「いいも何も!ケリをつけないと・・・。覚悟はしてる・・・つもりです。」

 

「ありがとう、敷波。ねぇ、まだ雷装の予備はある?」

 

「・・・え?ーーーーあ、あります。まだ有ります。」

 

「じゃあ、ちょっと貰っていくよ。・・・さてと。」

 

 

手際良く「装備」を付け直し補給物資で応急回復する北上

 

 

「・・・大井っち、戻っておいでよ。提督とみんなと馬鹿やってさ仕事して・・・。あたし、大井っちと何時までも楽しくやって来たいから。」

 

 

対する大井だった水雷棲姫・・・既に屠った深海棲艦達の破片が癒着し艤装となり異形感を増している。

 

 

大井の足廻りには烏賊の様な潜航艇が漂う。

そして、ちゃぷんと潜って行く・・・。

 

「さあ、ちょっち派手な喧嘩になるかな。こんな喧嘩は最初で最後にしたいよ・・・。

『雷巡』北上・・・行くよ!!」

 

一気に加速しつつ前方へ蜘蛛の子を散らす如く魚雷が疾走る!!

 

そして、暫くの後二人の前を高く隔てる壁の様に誘爆の水煙と硝煙が立ち昇る。

 

互いに開幕雷撃の応酬である。

 

雷巡棲姫の魚雷からは爆発と共に瘴気が立ち昇る・・・

風に乗り、怨みとも悲痛とも言える声が聞こえる。

 

「あの特殊雷撃は曰く付きもいい所だね。真っ黒も裸足で逃げてくよ。あまり長引くと足元掬われそうだ・・・何とか糸口を掴みたいね。」

 

「クルシイ、クライクライ、アツイ、イタイ、シズムシズム・・・ヤケル・・・モエルンダヨオ!!」

 

瘴気のオーラを撒き散らして呪詛の如く言葉を発しながら、砲撃や機銃を放ってくる。

 

「相変わらず厳しい射線だねぇ。流石、秘書艦だよね。提督の相棒でありボディーガード。重巡の高雄さん達をはじめお姉さんズ誰もが一目を置く。」

 

そう呟くと負けじと北上が砲撃や雷撃で反攻する。

 

互いの砲弾が飛び交い、水柱や弾頭同士がドォン!と爆ぜて黒煙を上げ、北上の雷撃が防がれて巨大な水柱が上がる。

 

雷巡棲姫が海中を意識すると、またもや潜航艇を潜ませてくる。

 

北上が最大限の警戒に入り、右に左にスラロームして間合いを詰めに掛かる。

 

ダンッ ダダンッ!!  バババババババッ!

 

砲撃や機銃で潜航艇を牽制、あわよくば撃破出来ないものかと。そして、最大の攻撃

 

・・・魚雷を次々と海へと放つ。その姿は、まるで獰猛な猟犬を解き放ち獲物を狩る猟師である。

 

近距離で互いの攻撃が爆ぜる。流石に互いの攻撃の威力が凄まじく、掠りもしてないが互いに爆発の圧だけで身体的ダメージが入る。

 

「クゥッ・・・気持ち悪い。何?このおぞましさ!!こんなのを私達に使わせようとしてたの・・・。あの深海棲艦達は近海で戦ってた娘達の成れ果てなの?」

 

「クルシイ!クルシイ!シズム?シズム!シズメェッ」

 

互いに視認距離となる。

 

大井の萌黄色の制服は既に灰青色に染まり

艷やかな亜麻色の髪は灰色に荒れ果て上品さは見る影も無い・・・

 

「大井っち・・・すっかり・・・。ねぇ、まだ帰れるよ?帰ろ・・うわっ!!」

 

必死の呼び掛けも虚しく、次々と砲撃で北上を轟沈めようとしてくる。

 

戦いに一切の情けを持ち込まない北上であるが、相手が相手なだけに最期の一線を越せない。越す事が出来ない。

 

それは、ともすると北上も悪意に呑まれ取り込まれ兼ねない危険極まりない事となる。

 

「北上さん無理は駄目です!!引いてください!!近付き過ぎですよっ!」

 

敷波から通信が入る。その事でいつの間にか冷静さを欠いていた事に気づき、幾分か自分を取り戻す。

 

「敷波ありがと、我ながら恥ずかしいわ。助かったよ」

 

「私じゃ近付けませんが、その分広く見て周りますから。それと他の娘達は安全圏まで退避できて天霧ちゃん達は体調の悪化が見受けられないとの事です。」

 

「そっか。それが聞けただけ良かったよ。」

 

 

目は全く逸らさず通信に応答する北上。

よしっ!と、気合を入れ直し再び険しい顔になる。

 

互いに次発装填し攻撃を再開する。

相変わらず互いに全く空きのない射線で狙う。

 

雷巡棲姫も、北上の砲雷撃で少しではあるが装甲にダメージが入っている様で青紫の体液が流れ、傷口から煙の様に瘴気のオーラがたなびいている。

 

「何とか、何とか糸口を・・・くそったれー。」 

 

ダンッ  ダンッ  ダンッ

 

致命的なダメージを与えずに(無意識のうちに与えられていないとも言える)、見たところ中破よりの小破だろうか。こちらは一度緊急ではあるが洋上補給しているだけ体力と物資の分が良いのだろう。

 

その間に何とか良い策は無いかと焦る北上。

その悩んだ一瞬を見逃す事は無く忍び寄る影・・・

 

烏賊の様に素早く忍び寄る深海潜航艇だ。

あっと言う間に北上の足元ヘ襲い掛かり口から瘴気のオーラを吹き掛けられる。

 

「うわあッ!!ウッあッアァ!」

 

おぞましい濃密な悪夢?が流れ込む。

コレが心を蝕むのか!負けたら、挫けたら・・・!!

 

北上の中には様々な光景が浮かぶ・・・

 

武装妖精さんが砲弾として摺り潰される様に使われた最期。

 

その悲痛な叫びが倒された深海棲艦の悪意と混り合い瘴気と化す。

装備したり戦闘で被弾した艦娘に毒の様に感染して轟沈まぬうちに深海棲艦と化す。

 

やめて!

こんな苦しむために使った訳じゃない!

友達のはず、味方のはずの妖精が牙を剥く!

武装が心が、狂い乱れおかしくなる!

 

ましてや倒された深海棲艦が悲痛な叫びを取り込み、凶悪化、鬼姫級に進化する。悪夢が悪夢を呼び込む悪循環

を産む。

 

何も知らない基地や泊地は真相を知らず、強力な武装と喜び勇み次々と装備した艦娘を送り出した為に、主力水雷戦隊を次々と失い又は崩壊し、重量艦隊だけでしか組めない基地ばかりとなり、防衛もままならない状態と化した。

 

悶え苦しむ中、水雷棲姫が詰め寄り北上を掴み上げる!

 

「クルシイノ・イタイノ・アツイ・イマイマシイ!!」

 

「大井っちぃ・・。やめ・・てよ、あた・・し、北上だよ・・うっウウッ・・・」

 

こんな至近距離で撃ちたくはないが機銃で細かく傷付けるように撃つが、全く気にする様子もなく北上をギチギチと掴み締め上げる。

 

苦しさと、悲しさと、一縷の望みを捨てきれない悔しさで涙が溢れる・・・。

 

こんな為に使うモノじゃないけどっ!!

背嚢にあるクレーンを棲姫の顔目掛けて振り回した!!

 

ドガッ!!

さすがの棲姫もクレーンの打撃に怯み北上を手離す。

 

その隙にありったけの攻撃を繰出す。とにかく一度離れなければ!再び応急処置の為に下がる北上。

 

既に敷波が先程の応急処置を覚えていて、手早く処置と補給をする・・・。

 

「何度も悪いね、敷波。あと少しでお花畑が見えそうだったよ〜(笑)」

 

「もうっ・・・もう、言っていい冗談と悪い冗談が有ります!!」

 

「ごめんごめん。・・・でも、だいぶ大井っちを傷つけちゃったよ。もし、正気に戻ってさ絶交されたらどうしよう・・・あたし・・・あたし。もう駄目なのかな?分かっていても情けを掛けて致命的なダメージが入れられない。これじゃあたし死ん、」

 

 

 

パシーンッ!!

 

 

 

驚きで目を見開く北上

顔を真っ赤に涙目になりながら北上を叩く敷波がいた。

 

「馬鹿言わないで下さい!

 

そんなんで水雷戦隊のトップ張れるんですか?

 

貴方のシゴキに皆んな耐えてきたのは何の為にですか、絶望から生還する為ですよね?

 

実際、天霧ちゃん達は撤退とはいえ、ギリッギリッのところで命拾って誰一人として轟沈んでませんよね?

 

そんな貴方が絶望に沈んでどうするのよ!とんだ茶番ですよ、笑い話ですよ!お涙頂戴の三文芝居にすらなりゃしない!!」

 

あまりの剣幕にたじろぐ北上だが・・・敷波は続け、

 

「・・・だから。あたし達に希望を見せてくださいよ。絶望から大井さんを救って帰る希望を見せてくださいよ。・・・どうかっ、お願いします!!」

 

 

「ハハ・・・ハハハ・・・まいったネ。未だに瘴気に呑まれていたのに気付かない。いいや、勝手に呑み込まれに行ってたなんて、こりゃ北上さん恥ずかしいわー。」

 

「そんなアタシは(照)」 

 

「敷波ありがと、目がさめたよ。

そうだね、大井っちを救えるのはあたしなんだよ、ウジウジしてる場合じゃないねー!」

 

ブワッと心の底から、もう一度力が漲る。補給とはバケツのとは違う熱い力・・・!!

 

「ありゃ?この装備は雷巡仕様の・・いんや、これはその上だ、『重雷装巡洋艦』北上はなんか堅苦しいね。」

 

 

「よ〜しっ、ハイパー北上様・・・出るよ!!」

 

そう叫ぶと再び、雷巡棲姫にむかう北上。

 

風を切りグングンと肉迫していく、高射砲で牽制しながら手持ちの砲でも積極的に攻撃する。

 

そして真骨頂・・・

 

「片舷20線、両舷40線の酸素魚雷!!張り切って参りましょー!・・・大井っちさ、ちょっち痛いからゴメンね」

 

一際厳しく照準を定めたあらゆる発射管からは細かく扇状に放たれる酸素魚雷の雨あられが、姿・音無く雷巡棲姫に襲い掛かる。

 

海中では何艇かの深海潜航艇が餌食になるまいと、魚雷や瘴気のオーラを放つが次々と北上の魚雷に呑まれ誘爆し、

 

ドゴォッッ! ドゴォッッ!!

 

とあちこちで水柱が立ち昇る!

 

そしてもう1つ一際大きな爆発が上がる。再び潜航艇を撃破したのだ!

 

そして、雷巡棲姫にも次々と襲い掛かる!!

 

砲撃で正確に撃ち抜き、右に左とユラリユラリと交わすが段々と水柱どの距離が縮まる・・・そして

 

 

ズドォォッーーン!!

 

 

雷巡棲姫をまともに捉え大爆発をする・・・そして

 

フラフラと・・・硝煙の中から、深海の艤装が吹き飛んだボロボロの棲姫が現れた

 

数歩進むと、何かに縋るかのように手を突き出しながらバシャンっと前のめりに倒れる。

 

体中の傷口からドロドロと灰青色の体液と共に瘴気・火煙が上がる・・・勝負が着いたのだった。

 

 

 

今の今まで命の遣り取りで戦っていたとは思えない様子で、全力で駆け寄る北上。

 

それをびっくりして慌てて追う敷波。

 

 

「大井っち、大井っちいぃぃッ!!今、助けるから!」

 

「ちょ、北上さん近付いたらっ?!」

 

「敷波っ、応急処置用意を直ぐに!ありったけ!!今すぐに!!!早くっ!!!!」

 

「ふぇ?うえ??」

 

「ボサッとすんなぁ!!早くだぁ!!」

 

怒鳴り散らされ、目を白黒あたふたと輸送ドラム缶へ取りに駆け出す敷波。

 

変わり果てた雷巡棲姫・・・だった大井を抱き寄せる。

 

傷口の火煙は鎮火したものの、瘴気も体液の流出も止まっていない。

 

北上の重雷装魚雷の火力は随一であり、一発あたりの火力で敵うものは、ほぼ居ないと言われている。

そんな雷撃をまともにかつ、必中を期して打ち出したものが被弾すればダメージは如何ほどばかりか。

 

「あぁっ、こんなにボロボロに、綺麗な制服も、艶々な髪の毛も、きれいな肌も、澄んだ瞳も・・・あたしがアタシがぁぁっ、全部・・・。うっ、うわああぁぁっーー。」

 

ドロドロに汚れようが、忌み嫌うべき瘴気がまとわろうが関係無い。ただ今は大井っちへの贖罪の気持ちが溢れ返っている。

 

「何だよっ、こんなのあるのかよ!仲間をダシにして、傷付けて沈めて・・・何が戦果だ。

産まれて沈まされ、怨んで傷付けて・・・」

 

「北上・・・さ、ん。やっ・・・と、帰れますね。他の・・・娘達も、なんとか・・・無事で」

 

「ああ、大井っち、やっと瘴気が抜けて・・・」

 

「北上さーんっ、持ってきましたよ。・・・あぁ、大井さん。」

 

「し、敷波さ・・・ん、迷惑・・・かけた・・わね。」

 

「とんでもないです!やむを得なかった話ですから。それより処置を!」

 

いざという時の救護大発に体を横たわせて、バケツや応急修理妖精に緊急補修を頼むが・・・しかし

 

「キャアアーッ・・・・イギッ!!ウアァッ!!」

 

「何で、拒絶反応が?!意識はちゃんと戻って正気なのに?」

 

慌て手作業を止める。

 

「ならば・・・せめて補給を!!」

 

しかし、残酷にも艦娘ならば当たり前に出来る補給すら体が拒む・・・

 

「ハア・・・ハア・・・。もう、体の芯まで・・・染まった・・・のね。北上さん・・・薄々は・・・。」

 

「言わないでよ・・・泊地の様子を聞いたり、天霧たちの様子を見て、自分が喰らってみて勘付いてたよ。時間掛かるほど手遅れになると。身体に瘴気が入りこみ蝕むほどヤバイって。」

 

「じゃあ、今の大井さんは?」

 

「大量失血で瘴気も膨大に流出してるから一時的に自我を取り戻しているんだよ・・・。でも機関部が徐々に修復されて体内に瘴気が充ちたら、雷巡棲姫に元通りだろうね・・・」

 

「北上さん・・・提督からですよ、通信繋げますか?」

 

「もう、この状態ならスピーカーでいいよ。」

 

「お疲れ様、北上・敷波良く乗り切って・・

 

「これが提督達の目指したかった戦いなの・・?

こんな味方にも、敵にすら酷い事を強いる・・・

否、違うね。こんな悪循環にしかならない事やって楽しいの?嬉しいの?どうなのさッ!!」

 

「それは・・・」

 

「謝って済むものじゃないよ、分かるよね?ここに後戻りできなくなった艦娘が1人。貴方のかけがえのない艦娘だよ?」

 

「北上さん・・・。そんなに苛めたら・・・泣いちゃい

、ますよ。耐性・・・0です・・から。」

 

「大井・・・。君、か・・・。」

 

「いいえ、私は雷巡棲姫です。大井は私が止めを刺しました・・・。」

 

「そうか・・・。じゃあ北上、雷巡棲姫を鹵獲・捕虜として鎮守府まで丁重に連行してきてくれ。くれぐれも粗相が無いようにな。敷波も補助を頼む。」

 

「了解。」「敷波、了解しました。」

 

「それでは雷巡棲姫さん。その二人なら貴方に不当なことはしない。ただ、大発では優雅なクルージングにはならないのは申し訳無いが。」

 

「仕方・・・ない、ですわね。ぐっ・・・姫に対する・・・扱いじゃ無い・・わね。鎮守府ではしっかり返して・・・ウッ・・もらいますわ・・・」

 

「苦しいみたいだから、急ぎましょう!敷波が曳航します!!」

 

「・・・じゃあ、・・・アタシが警戒するから頼むよ。」

 

そして、出発してしばらくすると。

 

敷波の護送する大発艇が大爆発を起こす!!

周りを警戒するも、感知できず。

 

理由としては、1つしかない・・・

 

「大井っち・・大井っちぃぃぃ・・・お、大、ああっ!あああァァァッーーー!」

 

「大井さん・・・。どうか・・・どうか・・・。」

 

そこには、大発の残骸と共に沈み行く大井の片腕が僅かに見えただけだった。

 




お読みいただき有難うございます。
瘴気に呑み込まれた大井は狂戦士化(例えたらレ級みたいな感じでしょうか)
艦娘や妖精さんの負の感情や深海棲艦の肉体を取込み・癒着してしまった結果、雷巡深海棲艦のハイエンドモデルとして雷巡棲姫化した設定です。

破滅的なパワーとスピードで力押しは元より、凶悪な烏賊型の深海潜航艇を駆使して艦娘を翻弄し撃破する。硬軟絡めた嫌らしい戦い方をします。

魚雷は妖精さんを無理やり解体し力込めた、深海化した瘴気魚雷が主装備で、ダメージを負った破孔から瘴気に毒され侵食されきると例え沈まずとも深海棲艦と化す、所謂チートデバフがある魚雷です。

ともあれ、唯一無二の相棒である大井を失い今後の北上や提督達の行く末は・・・。

次回でこそ、後日譚と言うかエピローグ編にいたします

それでは。
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