ここからは、また違う姉妹のお話ですね。
まずは長女がトップをきっていきますよ。
此処は、とある鎮守府の執務室。
まるで扉をはたき落とすかの如く
ッばーん!!
と扉が開かれ、俺の秘書艦兼、ウチの総旗艦さまが入室する。
「ヘ〜イ、提督ぅ〜?!ぷりんせす・ふぇすはどーするネ〜?」
・・・・ぁっ、パードゥン!?
「だーからー、プリンセス・フェス!!デース。」
「いや、だからな平仮名表記から片仮名表記に変わっただけじゃないか?」
「what?何で提督は言葉のウラが解るんデスカ?」
「お前が言いそうな事は想像付くんだよっ。」
「!!!! オゥ!すなわち、相思相愛なのデス♡」
「それ、語尾が混ざってるぞ・・・」
「おっと、いけないネ〜。
で、真面目な話デスが・・・」
ーーーー
我が鎮守府では、つい先日まで練度向上および深海棲艦根拠地討伐の為、大規模作戦で南方に出陣していた。ウチの秘書艦と妹を筆頭に、水雷戦隊に航空部隊に重巡部隊と出陣していた。
まだまだ、練度的に未熟な部分があり相当やり込められた部分もあったが轟沈者は出ずに全員生還したのはほっと胸をなで下ろした。
「なろー、やられたぁ! まだ沈まねーけどさ、・・・痛ったたたたた」
「いやあっ! 被弾!? 何、魚雷? 機雷? 何!?」
「うわ~はぁ~!!くそぉ!したい放題撃ってくれてぇ~!」
「・・バカね、心配しないで、少し休めば大丈夫よ。」
あの時を飛行場姫率いる深海棲艦たちには手を焼いたが、榛名や重巡艦隊が周りの護衛艦隊を掃討してくれたお陰で、三式弾を多用した主砲の乱れ撃ちで倒しきれたのが良かった。
「皆さーん着いて来てくださいネー、Follow me!!」
の号令と共に・・・
「お姉様に続きますッ!
・・・ここでの勝手は!榛名が!許しません!!」
「重巡・古鷹行きます!
・・・主砲狙って、そう…。撃てぇー!!」
「衣笠さんにお任せ♪
・・・ほら、もう一発!!」
「さあ、青葉も追撃しちゃうぞ!」
まだまだ水雷戦隊や駆逐艦の防空射撃や回避能力を鍛えなければ、航空部隊の護衛もままならなくなる。
「どうだ?みんな入渠は順調に終わってるかい?明石にはバケツや資材は出すだけ出せとは伝えたが?」
「YES!!提督の優しさが染み渡ったネー。伊良湖や間宮もいつも以上にdelicious!なdinnerやsweetsを用意してくれてたヨー」
「あ、隼鷹と飛鷹は鳳翔に説教タイムデシタヨ?!」
「あー、飛行場姫撃破には絨毯爆撃で艦爆や爆戦をフル稼働したからポイント高かったけど、駆逐の娘が結構ダメージがデカかったからな・・・」
「鳳翔が直掩のイロハを叩き直すとか言ってたネ(汗)」
そんなやり取りをしているが、どーも立ち姿がぎこちない感じがする。
「・・・そういうお前は大丈夫なのか?」
おもむろに立ち上がり秘書艦の前に立つ
「ナ、何デスカ?お疲れサマのキスですカー」
「とぼけるなよ・・・えいッ!」
彼女のロングブーツの上からふくらはぎをグッと押す
「イッ!〜~!!」
ハッと気が付き足を引こうとするが間に合わず、思わず顔をしかめ、思わず片膝を付く。
「お前、潜水艦の魚雷をモロに被弾したんだろ??」
「・・・ナ、何で知ってるネ?」
「ったく、心配させたくないのは解るが、こんなんなれば余計に心配するぞ・・・っしょっと。」
俺は彼女の背中と膝裏に手を入れ一気に担ぐ。
俗に言う、お姫様抱っこで入渠室へと向かう。
「ふえっ、何するの?!・・・やめてょ。」
「語尾がおかしいぞ?エセ帰国子女。」
「み、皆にヨワイところ見られてしまうデス・・・」
そこで、ピシャリと伝える。
「それは違うぞ?!」
「エッ?」
「榛名や隼鷹、飛鷹達が心配してたぞ」
ーーーーーー
それは、姫級討伐も佳境に入った頃・・・
「さあ、Queen討伐まであと一息ネ。皆さーん、三式弾のSettingsはOkネー?」
「榛名、衣笠に青葉、次発装填完了です!」
「古鷹です!!・・・っ?!、皆さん潜水艦が潜んでます!!」
「Shit!あと一息なのにネ!!全周、警戒厳にィ!!」
「ならば、あたしが探照灯で炙り出します」
「あ、無茶デス古鷹!!闇夜の提灯デースッ!!」
「そんな事言っては
・・・あ!後ろ、潜水艦艦影アリ!」
古鷹の前方に顔を出した潜水艦は囮であり、本命は古鷹の背後を取り、狙い済ませていたelite潜水艦だった。
それに気づいた旗艦である彼女は、咄嗟に古鷹に向かい全速で走り出し古鷹を突き飛ばし主砲を前方の海面に向け五月雨打ちする。
ズドォーン!! ズドドーンッ!!
いくつもの水柱が敵潜水艦を巻込み高く立ち昇る!
しかし、ソレは彼女の足下でも一際大きい爆炎が上がる
「ぇ。ひ、被雷?!・・・・お姉様アァァー!!」
「ウソ・・・」
「まさか・・・嫌だ。そんな・・・。」
煙の晴れた後、彼女が姿を表す。
「ウうッ・・・。てい、・・・提督から・・大事・・艤装・・が・・・」
彼女は脚部から艤装の砲塔部を大きく抉られ大破炎上した姿をみせる。もはやフラフラと立つのも覚束なく、顔は死相が出たように蒼黒い。
最早、まともな状態では無い!!
その後は、後続の水雷戦隊がなんとか潜水艦を討伐した後、万が一を考えて榛名が忍ばせていた女神妖精さんのお陰で轟沈レベルの負傷はパット見は判らないところまで修理された。
改めて、体制を整え姫級を討伐した流れだった。
が、しかし、強烈な雷撃による損傷は癒え切ってなかった。
ーーーーーー
その後も入渠室に向かう道すがら彼女は、自分が頑張って皆を支えないとという気持ちを吐露する。やがて、入渠室・・・横に設えられたかなり大きな東屋へと赴く俺達。
【 ようせいさんの足湯 】
ウチの工廠妖精さんに依頼をして入渠用足湯を建設したのだ。多くの艦娘が来ても良いようにBBQテラスの様にいくつかの部屋に区割りされている。
オーソドックスな長椅子の枡席タイプ
掘りごたつ席の様に飲み食いしながらノンビリする席
個室タイプになっている席も有る
リクライニングチェアの様にノンビリ寛ぐ席と様々だ。
(・・・残念だったな諸兄諸姉よ。うちには混浴デートなぞ無いぞ)
「いらっしゃいませ〜、て〜とくさん!きょーは、どちらのおへやを??」
今回はメンタル的な話も有るので、番頭妖精さんに受付してもらい個室の掘りごたつ席タイプ足湯にする。
ついでに、喫茶伊良湖の特製アフタヌーンティーセットをオーダーしておいた。
素面?!では話しにくい事も有るだろうから、食事や飲(呑)み物を持込んだり、受付で各喫食施設に手配もOKとした。
何でも防音対策バッチリで艦娘同士のお悩み相談にもどうぞ・・・という事だ。そして席に通され、二人してチャプンと足湯に脚を潜らす。
もちろん人である俺にはそこいらの銭湯という感じになるのだが、ソコは艦娘向けに調整された入渠用の薬湯?であり、しっかり浸かる程では無いが疲労回復や気分転換の為の保養施設なのだ。
艦娘達の悩みの1つに被雷時の脚の傷が、いわゆる軍人病であり何時までも疼く事が問題との事。そこで脚部を重点的に治癒できないかと話が上がった
確かに、頭上や前方から襲いかかる重量級の砲弾や爆弾も問題だが魚雷の破壊力は馬鹿にならない。脚への後遺障害は主機を動かす上でも、普段の生活でも問題だ。
そんなわけで皆の悩みを受け、俺と明石や各艦種からの代表者と意見を出し合い、工廠妖精さんに建設してもらった保養施設だ。
とまぁ、だいぶ話が逸れてしまったが・・・。
早速、紅茶で一息つきながら話をする。
「アノ娘達は皆、一生懸命フォローしてくれます。だからそれに見合う総旗艦で在りたいのデース。
・・・だからこそ、皆んなにワタシのweakpoints見せられマセン!!」
「そこだよ。ソコがお前が義理堅く信頼される所以であり、皆が心配する問題点・弱点でもあるんだよ。」
「What?!、鍛えるコトに関してワタシは誰よりも自分に厳しくしてきました。時にはワタシを信じて着いて来てくれる妖精さんや榛名、皆にもキツくしてしまうくらいガンバリました。」
「あぁ、それは教練や大規模戦闘を見れば分かるさ。鍛えたお陰で轟沈せず皆、帰還出来ている。」
「新入りの駆逐艦や妖精さんには『鬼金剛』って言われてるのは知ってマース。ある意味、ワタシの勲章デース!」
そう言いながらマドレーヌをつまみつつ、ちょっと翳った笑いを見せる。
「だからこそ、皆に自力で生き残る術をコーチするワタシが皆を頼っていたらNO!デース!!自分の身は自分で守るデース!!」
「固いな〜。お前は。だから石頭の金剛なんだよ。」
「どんな事にも挫けたら駄目デス。諦らめたら負けデース!泥にまみれて這いつくばっても暁の水平線に勝利を刻むのはミー達です!」
「だあからぁ、ソコだよっと。」
と言ってクッキーをつまむ俺
「お前の事は実力も性格も自他共認めている。だからお前の立ち位置は揺らぐ事無いだろうな。」
「だからこそ、皆お前が独りに見えちまうんだと」
皆んな帰還して来たあと、艤装を解くのも程々に榛名に重巡の3人、飛鷹に隼鷹が来てくれたんだよ。
ーーーーーー
「お姉様は皆のために頑張ります。鬼金剛じゃないけど何事にも挫けず負けない気持ちをお持ちです。妹としても誇れるお姉様です・・・」
「私も、安心して砲雷撃に挑めます。夜間の探照灯使ったリスクのある戦いでも、何故か安心して挑めちゃいます。」
「でも、心配させまいとする気持ちが強すぎてね。私達では支えられないのかな?って思ってしまいますわ。」
「あー、飛鷹もそう思うんだ。アタシも飛鷹ねー、素が本業の艦じゃなかった分力になれないのかなーって半端モンの力じゃ頼りないのかなと、ふと嫌な気持ちも湧いちゃうのよ。」
「そうは言いますけど、取材じゃないや・・観察するに、あれは己を律するためかと思いますよ?ですから心配を掛けまいとする、自分が背負い込めばという強迫観念にも似た義務感ではと・・・」
「そこは総旗艦であり、秘書艦の孤独なところなのかなぁ、でももっと抱えず開けっぴろげにとは言わないけど、本音を話して欲しいわね。衣笠さん、寂しいなぁ〜」
「と、今回の主力組でもお姉様のことをとても心配しております。榛名が思うにここは、提督さんのお力添え・説得でお姉様の心を解してあげて下さい!!」
「「「おねがいします」」」
ーーーーーー
と、姉妹艦の榛名や僚艦の娘達に相談されたことを彼女に打ち明けた。
「Oh、榛名たち・・・。寂しい思いをさせてシマイマシタカ。皆んなSorryネ・・・。」
ポロポロと涙が溢れる。
今まで、どんなにボロボロで帰ってきても
あと一歩力及ばずに撤退戦になっても
「次でFightネー」とか
「金剛ズCounter○ttackネー」とか言って笑って皆にハッパ掛けたり
「Trainingがなってないネー!!Circuit50周ネ!」
「Schottが甘過ぎるネー!!百発百中までTrialネー!」
厳しい表情で鬼金剛と言われる程の訓練させても、勿論、自分に苦しい鍛練を課しても涙を見せることはなかった。
金剛の皆で頑張りたい気持ちに疑問を持つ者など居ないことは理解っている。
ただ、今回は皆に心配を掛けまいとするあまり、自分の苦しいところや辛いところを偽って隠す為に、却って皆からとの距離を開けていてしまったことに気付いて涙したのだった。
「自分が大変な時は皆も大変だから弱音を吐けない、挫けてられないって気持ちも解るさ。自分が崩れたらっていう怖さもあるんだろ?」
「ハイ。その通りデス。」
「だけど、もし本当にお前が大破するような傷を負ったとしよう。・・・まあ、考えたくもないが、もしもの話だ。その時、誰かがお前の代わりを出来るものがいなくちゃいけない。榛名でも衣笠でも青葉でも。下手したら駆逐艦達が負わなけりゃならん。」
「頼ってほしいんだよ、皆んな。別に傷を負った状況でなくても。手が離せない時、2面・3面の複数の戦線になるかも知れん。裏を掛かれて部隊を2つに分けなきゃいかんとき。お前が自身を持って背中を預けられる奴を増やして欲しいんだ。」
「flagshipになれる娘をCochingするデスカ?」
「まあ、結果から言えばそうだな。お前も一人で悩むより皆んなで悩みを分かちあって、少し重荷を減らしたって良いんだよ。」
「皆んな、お前の事が好きなんだよ。旗艦であり秘書艦である前に大事な仲間なんだよ、良い事も悪い事も、楽しい事も苦しい事も皆んなで分かち合おう!良いかい?」
「ウぅぅ・・・。ウゥ・・・ウワァぁ〜ンッ!!」
今度は、憚らず大きな声で泣き出した。
まるで、親とはぐれた子供が不安になって大声で泣くように。綺麗な整った彼女の顔が涙や鼻水でグシャグシャになるのも気にすること無く泣いた。
皆んなを鼓舞する中で、彼女は1人もがいて苦しんで頑張っていた。その重荷を解いて貰えた事で“緩んで”しまたのだろう
「俺も、お前の明るさに甘えてしまい、お前の孤独さに気付くのが遅くなってしまい提督して情けなかった、すまない。」
「ソッ・・・ソン、ナ。・・・ひっく、提督は何も悪く・っない、デスッ。わた、ワタシ達を影に日向に、イツ・も・・・バック、アップして、くれマース。・・・ん、what?提督??」
俺は彼女が語る中で、相向かいで座っていたところを立ち、彼女の隣へと改めて座り直した。
「いつも、皆んなをリードしてくれる明るさ・強さが眩しくてキレイだなって。」
「て、てい・・督・・・ひっく・・・?」
そこへ、番頭妖精さんに予め用意しておいた物を届けて貰った。
「今日は・・・まぁ、桃の節句だしな、部屋にでも活けてくれ。」
そう言って俺は、桃の花が咲き誇る枝を数本束にして包んだものを渡した。
「Oh!とてもcuteな花ですネー。・・・そうデスネー、戦艦組の宿舎のentranceに飾って・・・ン?」
そこから出てきたのは掌サイズの包みが1つ。
開けてみると・・・
ダイヤモンドを散りばめ、リング自体は途中で捻じりを入れた意匠の指輪。
ダイヤモンドはもちろん、金剛石だから。
捻じりを入れた意匠は、永遠を紡ぐ意味。
「提督?・・・この、ringは・・・」
と聞かれる。答えは一つ。
「俺とこれからも一緒に歩んでくれないか?
ずっと・・・いつまでもだ。」
「てい・・・とく?本当に本当デスカ?fakeじゃないデスヨネ?」
「ああ、本気だよ。・・・左手出してくれ。」
そっと、左指に収まる彼女だけの唯一無二の艤装。
提督と彼女を絆を確かにする証。
「とても暖かいデス。嬉しさがこみ上げて溢れて。
ウン、優しさがとめどなく・・・エヘヘッ〜。とてもhappyデース!!」
見つめ合って口づけする・・・。
再び見つめ合い、口づけを・・・。
「エヘ〜。もう、幸せがburningloveしてマース!!」
(それにな桃の花だってな意味が有るんだよね・・・)
「「「提督ー、(お姉様ー)おめでとうございます」」」
「榛名?!皆サン!!」
「おう、ありがとう皆んな。お前たちのおかげで渡せたよ。」
「ふふーん、青葉に衣笠が居るのに何も有るはずがなく・・。」
「えーっ?!青葉はともかく、衣笠さんは品行方正な重巡洋艦よー!!」
「こりゃあ、目出度いなあ〜。旨いのあける?」
「こら!あなたのあけるは【開ける】じゃなくて【空ける】でしょ!」
「テヘっ~」
「隼鷹・・・、あなた鳳翔さんの“お話”もう一度聞くかしら?」
「何でもありません!!」
「お姉様、本当に良かったです。おめでとうございます。私達が頑張ってる中、陰で独り辛そうにしているお姉様を見てに幸せになって頂きたくて。提督も凄く悩まれていました。少々お節介かと思いましたが・・・」
「no problemですヨ、榛名。皆の気持ち、とてもhappyな気持ちだったネー。thank youネ!!」
「ちなみに、桃の花言葉をご存知ですか、お姉様?」
「ん?何でショー?」
「まずは、天下無敵」
「誰にも負けない力は有りマース!!」
「次に、チャーミング」
「流石提督ネー!」
「更に、気立ての良さ」
「・・・て、提督への気遣いも負けまセーン(照)」
「ラストは、私はあなたの虜」
「ほ、褒め・・すぎネー・・・(中破)」
「あ、忘れてた。純真無垢だ。」
「(恥)〜〜〜っっ(大破)」
「お?うちの総旗艦サマは案外照れ屋さんだなぁ。
・・・まあ、花言葉でプロポーズした同期組が居てな。そいつは初期艦どころか教導艦時代からの付合いの叢雲と添い遂げた時に使ったと聞いてなぁ。」
「あ・・・何デスカ?二番煎じという奴デスカ?」
「いや、そこの叢雲はかなり前の戦闘で無理が祟って精神崩壊を起こしちまったんだ。言わば歩くお人形だった。」
「そんなblackな鎮守府!!」
「いや、そんな所じゃないよ。皆、和気藹々としながらも〆る所はキッチリしてる。ただなぁ・・・」
ちょっと続きを言い淀む提督。
「何かaccidentsがあったのデスネ?」
「ああ。敵の奇襲に遭って、大破轟沈寸前の味方が続出してしまってな、その叢雲が殿を引き受けたんだ。」
「ソウデスカ・・・お味方の命を護るためにデスカ。」
「損傷がほぼ無く戦えていたのが叢雲と僚艦の軽巡の2人しか残ってなくて、大破した味方を庇う役か殿かという状態さ。」
「それで、殿を買って出たのですネ。」
「やはり、多勢に無勢で深海棲艦共に嬲り打ちに遭って・・・精神崩壊を起こし始めた。だが、運良く救援が間に合い応急処置も直ぐに施され一命を取り留めた。」
「オー!ソレは何よりデシタ。」
「だが、精神崩壊だけは治らず、当時副司令だった彼奴は毎日コツコツと語り掛け、執務や軍事行動がない限り共に過ごしたそうだ。叢雲回復の一助になればと。」
「・・・辛い道のりデスネ」
「ある日、鎮守府に贈呈された花水木が育ち花が満開になったそうだ。何でも先代提督のご実家から贈られたそうでな。」
「確か、白やピンクのcuteな花が咲く木デスネ」
「ああ。その時に叢雲のために贈りたいと、花水木を髪飾りにして指してあげてな、手を引こうとしたときに、彼女の意識が奇跡的に戻ったのさ」
「本当にamazing!デスネー!!」
「だからな、最近のお前が思い詰めてたのを見ていて、どこか俺の手の届かない遠くへ行ってでもしまわないか・・・とても不安でな。同期の話を思い出して藁をもすがる思いで贈ってみようと思ったんだよ。目を醒まして欲しいって。」
「大丈夫デス!・・・こんなに大切な想いを貰いました。それに、倒れてしまったprincessは、princeのkissで目醒めると相場が決まってマース!!
・・・ダーリン、I love youネー!!」
と、皆が居る前でも憚らず(話で忘れかけていたが)盛大に(強制的に?!)キスを交わされてしまった(汗)
「は、はる、はるはるはる榛名は・・・ふしゅう〜」
「いよっ、熱いねぇ〜御両人!!なあ、飛鷹?」
「え、ええ・・、何て情熱的な・・・」
「これは鎮守府新報の一面ですよおおっ!」
「いやぁ、衣笠さんも、チョット・・羨ましいわね。」
♬〜 ♫〜
「・・・・出来たかー?」
「あとは・・・・だけや〜!」
「あとは五十鈴が・・・」
「じゃあ、・・・呼びに行くよ!江風、海風・・」
おや?気付くと何やら足湯の外が騒がしい?
深海棲艦の奇襲か?!と思っていれば駆逐艦の娘達がやって来た。
「涼風に江風、海風どうした?敵襲か?!」
「違うよ提督!!そんなじゃ無いよっ。」
「お2人ともな、外に来てもらえるか!」
「江風も涼風もはしゃぎ過ぎです!・・申し訳ありません提督。」
「どうもyou達だけじゃ無さそうですネ?何か企み事のニオイがするネー。提督、行きますヨー!・・あ、黒潮、親潮まで来ましたヨ?!」
「あー、提督さん〜?待ちくたびれたで〜。」
「黒潮、司令はいつも私達の為に寸暇も惜しまず頑張っておられます。無理を言ってはいけません!」
「堪忍してな?!これでも結構楽しみでワクワクしててな仕方ないんや!」
賑やかな駆逐艦達に率いられ足湯の外に出てみると、そこには妖精さんや、水雷戦隊長の五十鈴に率いられた駆逐艦の娘達が超特大の雛人形五段飾りを用意していた。
「hi!五十鈴?この飾りはどうしたのデスカ?」
「見栄えするのは良いが大き過ぎやしないか?人が乗れるサイズだぞ?コレ。」
「ふふん、そうよ。五十鈴達、水雷組皆んなで提督達お二人を祝ってあげようと思って用意してみたの。」
「おう、提督!長波サマもけっこう妖精さんと頑張ったんだぜぃ。調度品とかいい仕上がりだろ?」
「高波たちも頑張りました!着物もバッチリです!」
「巻波もお菓子や料理頑張ったぜ(主に味見だけどな)」
そこへ、ふわふわっと工廠妖精さんが現れる
「ていとくさん。今回は、ていとくさんの慶事を祝して皆さんで、おひなさま飾りのコスプレしてきねん撮影をしゃれこみましょー。」
「スゴイねー!五十鈴、皆んなthankyouネー!!」
「みんな、ありがとう提督としてだけじゃなく、個人としても粋な計らいをしてくれてありがとうな。俺は幸せ者だよ!!」
「今回のれんごう艦隊組んだめんばーですと、人数が揃うように組ませて頂きましたよ。」
「衣装はあしゆの個室べやに用意したので、グループごとに支度をおねがいしまーす。」
ということで・・
お内裏様&お雛様は勿論、我々2人。
三人官女はしっかり者の3人
筆頭を榛名。
介添を五十鈴・古鷹
五人囃子賑やかな陽炎型2人と白露型3人
黒潮・親潮・海風・江風・涼風
随身(左大臣と右大臣)は青葉姉妹
青葉が左大臣で衣笠が右大臣の役。
ちなみに左大臣が年長者で目上になるのだ。
仕丁(従者)は夕雲型からの3人
長波・巻波・高波
内裏の護衛人に軽空母の2人、この2人にはうってつけな役かな?
飛鷹・隼鷹の姉妹
皆んなでゾロゾロ別れて、妖精さんにも着付けを手伝って貰いつつ支度した。
皆着替えが終わり互いの姿を見てキャイキャイ黄色い声を上げている。青葉は、「もう一枚〜!」等とここぞとばかりシャッターをきっている。
「まー、あたしたち普段は式神発艦だからなー」
「そうね。何か弓・太刀持ちは違和感あるわねぇ」
普段割ときらびやかと思う服の軽空母の二人だが、武器持ちの姿は斬新な感じがする。
「どうだい長波サマカッコいいだろ?それにしても案外動きやすい服装なんだな、高波?」
「簡単に言うと、要人の付人だから見栄えしつつも機能性重視でしょうか。巻波も似合ってるね。」
「ふーん、あたしは後で美味いもの食べられたら何でもいいよ?」
高波が言うように、仕丁は護衛と言うより側仕えの付人だから、フットワーク重視な衣装なのだ。
「私達がお役人様とは。青葉、緊張しますね」
「こんな装束に袖を通すとは。振り袖とは別にドキドキするよぉ」
大臣の重厚な衣装に、普段飄々とした感じの青葉と衣笠は少々緊張しているようだ。
「榛名さんは、流石に普段から巫女服ですから似合いますね。五十鈴ちゃんも巫女服をアレンジした服だし似合いますよね。」
「あら、古鷹さん?普段はセーラー服だから、和服を着るとがらっと見違えますよ。素敵ですよ。」
「そうね、私服もロングスカートの落ち着いた感じだし、たまにはイメチェンも良いんじゃない?」
官女役の3人は少し古鷹が気後れしてしまっているが、榛名と五十鈴がフォローしてる様子だ。
「鼓も様になってるもんだ。流石、長波サマだな!」
「調子乗って、破らないでね?」
「はやく、菱餅あぶって食べたいな・・・」
「雅楽を嗜み教養を付け、提督の一助になれば!」
「親潮、あんた固すぎやで・・・楽しまなぁ(汗)」
五人囃子の娘達は良くも悪くもマイペースな感じだ。皆、思い思いに楽しんでるようだな。
一足先に装束に着替え終わっていた俺は、そんな風に皆を眺めていたら
「・・・提督ぅ?あの、似合って・・マスカ?」
後ろから十二単衣を着込んだ彼女が現れた。
普段はお団子に結った髪を解き後ろで束ねている。
口元はうっすらと紅を引き、緊張と恥ずかしさがあるのか頬もうっすらと赤い。
きらびやかに彩られ彼女の黄金色の髪もより華やかさを増している。
「あ、あぁ・・。その、何だ・・。」
そこへ、着付けの手伝いをしてくれた給糧艦の二人が加わる。
「ほら提督さん?しっかり言葉にしないと!」
「そうですよ、本当にさっきまで震えるくらい緊張されてたんです!解ってあげてください!」
「間宮さん・伊良湖ちゃん?!あ、圧が強いよ(汗)」
「「はい?乙女の気持ちを何だと思ってますか??」」
「ハイッ!尊いモノであります!!」
「「ですよね(ニコォ)・・・では、どうぞ。」」
なかなか、ドギマギしてしまい声を出せなかったが、此処は漢を決めて声に出す。
「本当に語彙力無くなっちまう位に綺麗だ。本当にお前は俺にとって最高に輝くダイヤモンドだったよ。このままずっと輝いてくれ。」
「・・・ハイ、提督。これからもずっとお側に居るネー。だからワタシの事、目を離しちゃnoなんだからネ」
「ああ、わかった。こんなに可愛いくて綺麗な人が寄り添ってくれるんだ。俺は天下一の果報者さ。だろ?」
「yes!勿論ネ!!」
「それじゃー、カメラの支度できましたー。しゃしん撮りますよ〜」
と、妖精さんに促され皆、飾り台に登っていく。最上段に登り、ひな壇に上がると遠く水平線が見渡せた。
隣には、愛する者が居る。
もちろん、榛名や五十鈴に古鷹達も皆んなかけがえないメンバーだ。
「これまで、この海を護ってきてくれてありがとう。これからも、皆んなを絶対に轟沈ませない作戦を立て装備も固めていくから、付いてきてくれ。」
と、声を掛ける。いい笑顔で全員から答えが返る。
「さあ、今日は目出度い日だ、大いにはしゃいでくれ!まずは、記念撮影と洒落込もう!!」
その日の鎮守府は、皆んなの笑い声に包まれていた。
というわけで、ご拝読ありがとうございました。
叢雲の下りは、以前のお話から引っ張ってきました。
本当は、あと一週間は早く上げたかったのですが、忙しいと進みが遅くて、はい(泣)