とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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お久し振りです!
年度末・年度初めの仕事攻勢にやられてました

しばらくぶりに書き上げました!!

・・・と言いたいのですが、かなり長くなりそうなので、前後編です。

少々切りの悪いところになりますがご容赦を。


便覧番号23①

かちゃかちゃ・・・。

 

わたしとあの人の分の洗い物を済ませる。

 

現役時代、間宮さんや伊良湖ちゃんのお世話になりっぱなしでお姉様達とのお茶会でティーセットを洗うくらいだったけど。

 

 

台所で洗い物を済ませた私・・・

すっかり退役し、艤装を全て解体放棄して1人の退役軍人として家庭に入りました。そして妻となり、軍時代の残務を精算作業する提督を支える日々を送っています。

 

 

「それでは提と・・・あなた、北上ちゃん・鳳翔さんのお手伝いに行ってきますね。」

 

 

まだまだ、深海棲艦との大戦後の日本は大変でした・・・。わずかに生き残った艦娘達は艤装を解体し復興のためにと僅かながらも資材を供出しあい復興にも惜しみなく力を出した。

 

 

例外的に明石や北上ちゃんは港湾設備復興の為に艤装の力であちこちの港の修復に走り回った

鳳翔さんや間宮さん、伊良湖ちゃんはあちこちに大衆食堂をオープンさせて世界各地から復員した人々に少しでも食事を提供しようと頑張っていました。

 

 

 

今日の私は近所の港湾施設で復興作業に励む北上ちゃんのお手伝い、鳳翔さんのお店でもお手伝いの予定を入れていた。

 

「おう、今日は手伝いに行けなくて悪いな。せめてコレ持ってけよ、酒まんじゅうだ。」

 

 

「あら、気を遣わなくても良いですのに?今日はあなたも遅くなるのでしょう?」

 

 

「君や、北上達も含めて今も皆の生活を護るために頑張っている。本当にありがたいし、こんな事をやらせてしまってと申し訳ない気持ちも有る。もう、穏やかに暮らしても良いはずだ。」

 

 

「本当に困っている方々が居なくなったら、そう思えるかもしれませんが・・・。私達は護るために戦っていましたが、ただその方法が変わっただけです。」

 

 

「・・・そうしてないと、私は・・・。」

 

 

と、長箪笥に飾られた4つの精巧に造られた戦艦模型と3つの写真。・・・そして大きく額に飾られ、どことなく色褪せてきた5人での集合写真。無意識のうちに彼女の目線が移る。

 

 

「大丈夫だ。お姉さん達が“そんな事を”願うわけがないだろう?お前が抱える必要の無い罪悪感に苛まされてるだけだ。ここから先の新しい世の中を見せるのが俺達の役目だ。」

 

 

 

「すみません、あなた・・・」

 

 

 

「あ、悪い。余計に・・・。ただ、今みたいに辛くなったら、隠さずに俺に言ってくれ。な?」

 

 

ぎゅっと抱きしめられ、しっかり見つめられて・・・キスを交わす。暖かい気持ちが沁みていく。

 

「あ、あな・・・・っ。私は・・・大丈夫です。お気遣いありがとうございます。1日これで頑張れます!」

 

そう言って私からも・・・お返しにキスを・・・。

チョットはしたなかったでしょうか?

 

 

「これは、これで・・・気恥かしいな(汗)・・・じゃあ、互いに出発しよう。行ってくるから、お前も気を付けてな。」

 

 

「はい、あなたもお気を付けて。」

 

 

自宅から程なく、明石・北上ちゃんの働く港湾ドックの仕事を手伝う。

 

 

「いやあ、助かりますねー。荷物の積み下ろし、損傷船舶の修理、定期メンテナンス、復員した人の身元照会とか大変でー。もちろん船舶も無理して稼働してるのばかりですから・・・」

 

 

「良いんですよ、明石はまだ艦娘として皆に貢献できてます。私は明石のように闘うことすら、もう、放棄しました・・・。闘えませんから・・・。」

 

 

「えーっ?何言ってるんですかー?戻ってくる人たち皆さんに笑顔で時に凛々しく出迎えて下さる姿に勇気づけられた、ホッとするって言われますよ?」

 

 

「そうでしょうか?私なんか・・・・」

 

 

「あー!また、そうやって卑屈になってるー?!提督だって、その笑顔に励まされ続けたから添い遂げたいって数多在籍していた艦娘から、貴女と夫婦になりたいと真剣にプロポーズしたんですよ?・・・はい!それじゃ今日もお願いします・・ねっ!!」

 

 

 

バシンっ!と思い切り背中を叩かれて埠頭の方へ向かう私。今、この瞬間で悩んでいた事が背中の痛みで飛ばされる。

 

 

「もう、明石ったら!・・・わかったわ、ありがと」

 

 

隣のドックでは北上ちゃんが明石の着ける様な艤装とツナギで油まみれになりながらもスクリューや舵の点検をしていた。

 

 

私は技術的な物はからきしなので、復員者への対応にあたります。細かい書類の整理は僅かに残ってる妖精さんが慣れない手付きで?手伝ってくれている。艦娘達の艤装に乗務していた彼等だけど、今は私達と共に歩んでくれている小さな味方です。

 

 

そして、到着の銅鑼の音や汽笛の音で出迎えの時間と気付き、桟橋の事務所から埠頭へと向かう。

 

 

「皆さん、長旅ご苦労様でしたー!手続きはこちらの建物でーす!お疲れの方はこちらに食堂と休憩室もございまーす。」

 

「慌てずにお進みくださいねー!もう、ここは安全ですからー!」

 

 

戦闘時でもこんな大声出したかしら?というくらいに声を張り上げて、復員された方達に行き先を伝える。

一回の到着で一体どれだけの人が復員されたのだろうか?把握出来ないくらいに人流が出来る。

 

 

「あっちだょおー!」 「こっちだょおー!」

 

 

私に付いていた羅針盤妖精さんも矢印棒?!を精一杯に振って人の流れを捌いてくれている。

 

 

皆さん祖国の地を踏みしめホッとする人や、既に大切な人と再会できたのか涙して抱き合う人、不安そうに流れに付いていく人、着いたは良いが途方に暮れる人・・・

 

復員してきた方の表情は当に悲喜こもごもと言う感じです。そんな方達の誘導もだいぶ目処がついた頃に声を掛けられた。

 

推察するに初老に差し掛かった年頃の方でしょうか、こんな御時世でも小綺麗な麻のジャケットにYシャツにスラックスです。革靴もそんなに草臥れていません。

 

 

「巫女服の方?・・・あんた艦娘さんじゃのう?」

 

 

「あ、私は・・・」

 

 

「いやいや、そう構えなさらんでも。・・・儂はMI諸島に居っての艦娘さんに助けられた。実に勇ましい娘御さん達じゃった。・・・たしか長門さんとか言ったかの?アメリカの艦娘とおぞましいバケモンを遣り込めて下すった。助かったのう。感謝、感謝じゃよ」

 

 

隣に居た、初老の方よりは若干若く見られる方からも声をかけられた。同じく身綺麗にされている。

 

 

「俺はねぇ。北アフリカに出張していた頃に遠征していた艦娘さんに会ったなぁ。あんな遠い国まで遥々出向いて戦って港に巣食って居た船渠なんたらって奴らを退治してくれて居たよ。おかげでピンピンして帰って来れたさ。ホントに有りがてぇなあ。」

 

 

「僕はねー・・・」

 

 

「私はねぇ、あれは・・・」

 

 

疲れてクタクタ、命からがらで祖国へ戻ってきて1番に私達の事に触れてくださっている。むしろ私達、艦娘が手に負えず救えたはずの街や人に被害が出てしまったことがある。忸怩たる思いを抱えたことは幾度ともありました。

 

 

「そんな、私達は当然の事をしたまでです。・・・特別な評価なんて。私達には、そんな勿体無い・・・」

 

 

そう答えていると、初老の男性から再び声を掛けられた。

 

 

「いやいや謙遜されんでも良い。幾ら特別な加護があり、バケモン共と戦える艦娘さんでも悔しい事、哀しいこと沢山有りましたじゃろ?」

 

 

「それは・・・。」

 

ズキリ・・・と、心が痛む。

ジクジクと心の奥底の傷口が疼く。

 

 

「みな正義感の強い娘御さん・心優しい娘御さんじゃ。そういう心根の方こそ傷付く時は、深く深く傷ついてしまうんじゃ・・・。

 

それこそ、心を深く昏く窶してしまう程にのう。

 

・・・痛ましいことじゃ。」

 

 

 

一瞬、息を呑む。

 

 

 

何故、この御仁は『艦娘の深海棲艦化』を匂わす口ぶりをするのか、目の奥を覗くが怪しさよりも悲しみを湛えた目をしている・・・。

 

真意を測りかね少し戸惑う。

 

 

私たち艦娘は命果てる時、艦だった頃と同じ様に水底へと轟沈んで逝く。どれだけ力有るものが引き上げようとしても、何かの力に引き込まれるように沈み海へと還る。

 

 

しかし、心が極度に傷付き酷く後悔や心残りがあり、強い願望や恨みがあると悪意に身を窶し深海棲艦へと

産まれ変わる事があるという。

 

 

また、強い恨み(思い)を持った深海棲艦ほどまた、強い希望を持って艦娘へと戻ることも有るという。

何かしらの強い執着が転生のカギなのでしょうか?

 

 

 

 

「心が痛む、傷付くことには人も艦娘さんも変わりは無いとおもうがの?だからこそ強く心が揺さぶられる。」

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

「貴方様は先程下船してくる儂ら全員に優しい顔を絶やさずに出迎えてくだすった。・・・疲れて、荒んだ者達には尊いことじゃ。」

 

 

 

 

「いえ、あ、あの・・・ありがとうございます。」

 

 

 

 

別の御婦人が話をしだした、それは・・・

 

 

 

 

「あたしゃ、台湾の時だなあ。でも、あの時は痛ましかった・・・」

 

 

 

それまで私に対して悲しみの目で見ていた男性達が慌て始めた。

 

 

「っ!! 御婦人、その話は今は控えて欲しい!」

 

 

台湾付近で最期を迎えた艦娘は何名か居る。

 

その中には私の・・・

 

 

「あっ・・・。あ、おっねえ。こ・・・ん、おね、」

 

 

 

「何を言うんだい、お前さん?こんな年端も行かないような娘達が、命掛けてあたし等を護ってくれていたんだよ?!語り継いで誰かが覚えてなければ可哀そうってもんだよ・・・」

 

 

 

「じゃがな・・・」

 

 

 

「何て名前の娘だったかねぇ・・・確か金剛だったかい?そうだ。そうだよ、高野山の金剛だよ。」

 

 

「金・・・ごう、   ね・・様・・・。」

 

 

「明るくて、優しくて。パレードの時は皆に美味しいお茶にお菓子を、振る舞ってくれてねぇ・・・。

それに何だか、妹さん達とも仲睦まじかったって言うじゃない?あんな娘がやられてしまうなんてねぇ。それだけじゃないねぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

あの当時の事・・・・

 

 

 

あの時、お姉様からの最期の通信・・・

 

 

 

 

 

『byebye・・・サヨナラ・・・ 

 

 

my sistars ・・・ 

 

テートク・・・

 

 

先にvalhallaに逝って待ってるネ。』

 

 

 

 

 

 

遠く、さざ波が引くように、心から掻き消えたモノ

金剛お姉様との繋がりが消えた・・・。

 

 

    それと共に何か私の中で蠢いた

 

 

 

『えッ?!お姉様の反応が消えた・・・?!

・・・ウソよっ!!・・・ウソだ!!

 

 

・・・そうよ、嘘ですよ!!

 

 

・・そうに決まってます。

 

また、何時もの“イングリッシュジョークデース!!”とか言うんですね?!

 

 

・・・ハハ、ハハハ、アハッ・・・う、ウそ、嘘ダって言って下サイ!!

 

 

 

お姉サマあぁぁぁぁ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【私はそこからの意識はありません・・・】

 

 

 

提と、夫や明石、鳳翔さんに伝えられたところによるとあまりものショックに気を失ってしまったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

ただ、ここからはあまりにも生々しさだけが残る夢を見ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわああああァァァァァァッッッッッ~~~!!!

 

 

 

イヤぁっ、私モ・・・ワタシガアッ・・・ワタシガ

 

 

 

オ姉サマヲ沈めタヤツ・・・ヤツヲォ・・殺ス・・水底えェェッ!!

 

 

スベテヲッッ

 

 

何ドモォ!!

 

 

叩キィ!

 

沈めェッ!

 

浮かベテ!

 

叩キ!

 

コロシィッ!!

 

 

シズメテェーッ!!

 

 

 

 

アァァァ!!・・・ガアアッ?!?!

 

 

錯乱し恐慌状態と陥った私は怒りや悲しみや恨み等、ありったけの負の心に満たされ支配され

 

 

身体の中から次々溢れるように怒り・悲しみ・恨み・昏い昂り・・・ありとあらゆる負の感情が鈍く輝くオーラと炎を纏い、みずから姿形を深海棲艦へ・・・

 

 

命を堕とす事無く、あっと言う間に深海戦艦タ級fragshipとその身を窶してしまっていた。

 

 

 

 

「     ー!!     ー!!」

 

 

人の声、仲間だった者達の声はもう届かない

 

 

眼の前は鮮やかさを一切失った世界。

昏く灰色に色を失った世界。

 

 

眼の前では何かを泣き叫ぶ、雑魚共が群れを成す。

 

 

欝陶しい弱者ガ!!

 

 

海にも蠢く小物達ガ、ドイツモコイツモ目障りだ!!

 

 

眷属を空高く放ち、弾着観測射撃のため16inch三連装砲

を掲げる。

 

 

主砲を眷属が見定めたところへと次々に放つ。

 

 

圧倒的火力で周りを瓦礫、火の海、焦土と化す

 

 

手脚や身体を酷く貫かれ、吹き飛ばされ、血と硝煙と埃にまみれて、のたうち回り崩れ落ちる弱き者ども。

 

 

海にも向け埃を払うかの様に軽く薙ぐように一斉射する。

 

 

 

 

黒く蠢いている有象無象が驚くように硬直するが、こちらも次々と撃ち抜かれ爆散し、ほぼ跡形も無く朽ちて沈んでいく。

 

 

港とおぼしき建築物はことごとく主・副両方の乱れ撃ちで悉く破壊していく。

 

 

呆気なく、脆く崩れていく。

 

 

弱い 弱い! 圧倒的な弱さ!!

 

 

あらん限りの暴力的な破壊力で撃ち崩していく

 

 

・・・とうとう周囲はある一人の男を除いて皆被弾し、生きているのが不思議なぐらいの致命傷でした。

 

 

ダメージのない者達が、大破した轟沈すんでの被弾者達を次々と救出していきます。

 

 

そんな状況の中その男は、猶も狂ったように叫び、吠え、負のオーラを撒き散らす戦艦に対して真っ直ぐに・・・ただ真っ直ぐに歩いてきました。

 

 

深海棲艦、ましてや戦艦級の圧倒的な火力の前では、戦艦・重巡クラスの艦娘でさえ大ダメージを追ってしまう

。それにも関わらず、恐れも怯みもせずに途方も無い力を吹き出す根源 “私” へと近づき・・・

 

「ーーーーー・・・。」  「ーーーーーー!!」

 

 

「ーーーー。」

 

 

何かを告げて精一杯に抱きしめる

 

 

深海の負のオーラが吹き荒れる・・・。

 

 

 

毒霧の如く瘴気の塊であるにも拘らず、精一杯に抱きしめる。・・・男の身体は徐々に瘴気の毒気に侵されて、日焼した健康的な肌の色から病的な土くれ色へと変わっていた

 

 

身体から力が抜けていく。

 

 

膝がガクガクとなり、抱きしめる腕の力も力抜けて。

 

 

それでも彼は口から血が流れるほど食いしばり、額から脂汗が流れるほど力を込めて踏み止まり力の限り抱きしめ続ける。

 

 

 

深海戦艦は彼の抱きしめた拘束を外さんとばかりに足掻き暴れる。

 

 

 

殴り、叩き、引っ掻き、張り倒す

 

 

 

・・・戦艦のありったけの力でなくとも、枯れ葉のような人の力での拘束などは簡単に解け、害せば呆気なく吹き飛び息絶える。

 

 

 

しかし、そうは至らなかった。

 

 

人同士の殴り合い程度にしか傷を負わない。

・・・いや、確かに傷は負っているが。

 

 

そもそもが、この男は何者だ?

 

 

 

戦艦は焦る。 

 

 

 

艦娘?!否、どうみても男だ。

そもそも男性の艦娘など居る訳無い。

 

 

・・・ああ、艦娘を仕切る“提督”とか言う奴か。

 

 

ならば、艦娘どもを指揮する事は出来る。

しかし、提督自身に特殊な力など無い筈だ。

 

 

物理的ダメージが効かないのか、自分の力が弱くなったのか、それすらも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

ふと、頭の中に流れ込む声

  

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・鉄の海に沈んだ私を嘆いているのデスネ

 

 

 

・・・冷たく暗い闇の底に沈んでいく私を悲しむココロ

 

 

 

・・・硝煙と痛みに塗れた私を想う貴女のココロ

 

 

 

 

キコエルゾッ!!誰ダア?!

 

コノ、ヨビカケル声ッ!!

 

崩レ朽チテイクモノノ声ナド耳ザワリナ!!

 

 

 

 

 

 

・・・とっても優しいmy sister

 

 

・・・どうかcalm downネ。

 

 

・・・貴女を想う人がホラ

 

 

・・・還りを待っていますよ、さあ

 

 

 

 

 

 

誰ダ!!オマエ・・・ハッ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・暖かいtea、

 

 

・・・優しい味のsweets

 

 

・・・とってもcharmingな貴女の笑顔

 

 

・・・その笑顔を待っています

 

 

 

 

 

 

ア、頭ニィッ・・・・の、ノイズガァ・・・

 

ヤメ・・・ろ・・・何・・・の?

 

ワキアがる、コの光、暖カ・・・・い?!

 

私・・・ハ・・・私は・・・

 

 

涙が伝う・・・・。ッ!!!!

 

 

 

 

 

・・・どうか思い出して、優しくて暖かな貴女を!!

 

 

 

 

深海戦艦は暴れていた動きを徐々に止め、立ち尽くす

 

 

 

 

えっ、あれ?!?!

 

・・・お姉様?!お姉様ですか!!なぜ声が?!

 

 

そして、胡乱な意識で見渡すと・・・

 

荒れ果て、救護されてるものが後を絶たない凄惨な光景

 

 

 

ごめんなさい、ごめんなさい!!

 

 

 

私は・・・何てことを?!?!

 

 

 

 

・・・大丈夫デース。アナタはワタシの声がちゃんと聞こえました。もう何も心配ありまセーン!!

 

 

・・・心の奥底ではアナタの優しい心、アナタがアナタでたらしむる最後の理性は有りマシタ。

 

 

・・・みんなへの砲撃は全て致命傷から外れる位置に着弾していマース。

 

 

・・・施設も資材さえあればなんとでもなりマス

 

 

 

良かった・・・。

危うく私は・・・。

 

 

でも、やはり私は仲間を、提督を・・・

 

 

 

 

 

・・・そしてアナタを最後まで繋ぎ止めた、大きな心。

 

 

・・・ホラ、目を覚ますのデース!!

 

 

・・・but!!

 

 

 

こういう時はprince(提督)の熱いkissが必要デスネー

 

 

 

 

 

えっ、何を?!

 

 

 

 

 

 

「俺の声が聞こえるか!!届いてくれ!!」

 

 

 

 

今まで聞こえなかった声が届く!響いてくる!!

 

 

 

 

 

「金剛の事は、俺も凄く悔しい!悲しい!まるで自分の体を失ったかと思う喪失感だ。だけど、怒りや恨み悲しみの炎に焼かれたら駄目だ!」

 

 

 

聞こえる!私に呼び掛ける声!!

 

 

 

「恨みの炎に焼かれてはいけない。今の君の姿は怒りや恨みにまみれてしまった・・・。

 

でも、君はまだ戻れる、やり直せる!!」

 

 

 

「君の優しさ、暖かさ、強さ。もう一度目覚めてくれ!お願いだ!!・・・その優しさ強さでこれからを、この行く末が明るいものとするために、俺と共に支えてほしい」

 

 

 

提督は、戦艦の手を取りしっかりと、未だ光の宿らない目を見つめて、抱きしめる。そして・。

 

 

 

「俺の声が聞こえるか?俺の想いよ、届いてくれ!!

どうか覚醒めてくれ・・・。今一度、共に歩もう。」

 

 

 

話した彼は・・・純白のケースより“永遠を誓いの証”を取り出し、彼女の左手へと嵌める・・・。

 

 

 

そして、彼女と誓いのキスを

 

 

 

 

 

 

・・・深層意識下の中、私は左手が熱いのを感じた。

 

 

 

それは、地獄のような怨みの炎に焦がされた熱さではなく。否、それよりも白く眩く温かい・・・

 

 

 

そして、唇に触れる温かさ・・・

 

 

 

 

 

 

ゴオオッッ!!

 

 

 

 

 

無機質な白と黒の世界から、身体のうちから突風の如く風が吹き抜け・・・

 

 

 

 

 

 

 

たちまちに色彩が、感覚が戻っていく

 

 

 

 

 

つむじ風の様なオーラが巻き上がり二人を包んだ後に、

提督と共に穢れなき白い巫女装束を纏う艦娘が現れる。

 

 

 

 

 

彼女のまなじりから熱い涙が止めどもなく流れる

 

 

 

 

 

 

嗚呼っ・・・確かな温かさ、眼の前には悪夢から私を戻してくれた人がいる。

 

 

 

「提、督・・・。救い・・・あげて、頂き・・・ありがとう、ございます・・・。」

 

 

 

ふらふらと、覚束無い感覚のまま想いを返事をする。

 

 

 

「わたし・・・いつ、までも・・・お慕いしたく、ございま・・・・す。」

 

 

 

精一杯、だけど心の底からの言葉を最愛の人に伝え、再び膝からくずれおちる。

 

提督に抱きとめられ再び意識を失う彼女・・・

 

 

その意識を落とす最後に、

 

 

 

 

・・・best wishes! for your marriage!!(結婚おめでとう、良かったネー!!)末永く仲良くするデース

 

 

そんな姉の言葉を聞いた気がしました。

そんな夢を見て次に目を覚ましたのは、それから一週間後の医務室でした。

 

 

 

あの時の悪夢・・・

目覚めた後に嵌めて無い左手薬指の温もり・・・

唇に残る温もり・・・

 

 

余りにも・・・

でも、指輪は無い。夢だったのかそれとも?!

 

 

私の体力が戻った後に、私は提督よりプロポーズをお受けして、正式に夫婦となりました。

 

 

②につづく・・・




一旦ここで前編として上げさせて頂きます。

後半も、かなり出来上がっているので間を空けずにアップする予定です。

それではまた。
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