とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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皆さん、お久し振りです。糸田です。

あまりにも間が空きすぎて、貴重なお読み頂いてた方にも忘れ去られそうなものですが(汗)

便覧24を、お届けします。
今回はタイトルに変なもの?がくっついてます。

先にお断りを数点

被害者艦娘の嫁提督の皆さん、悪気は一切ありませぬ!!史実で同海戦や作戦海域で戦っていた艦船から登場キャラを抜粋してるので致し方なく・・・(汗)

あと、あの深海棲艦のモデルはあの艦娘だったよねと思う方がほぼ全員かと思いますが、彼女をモチーフにしたボスが居ない為に代役して貰ました。

それでは、かなりひどい戦いのシーンも有りますがお読みいただければと・・・



ミナソコニ沈ミシ便覧番号24

私達の鎮守府は、九州の沖に現れた埋護姫・冬姫と名付けられた姫級深海棲艦とその取り巻きの討伐に悪戦苦闘していた。

 

 

 

「きやぁッ!!お、お姉さま譲りの自慢の装備が・・・」

 

「や、やられた!?どこ!?」

 

「ぁん!やめてったら!・・・もう!!ちょっと、やりすぎじゃないかしら?」

 

「きゃあっ、何よ…それで勝ったつもり!?」

 

「ふぁぁぁあぁ!肉を切らせて、骨を断つから!!」

 

 

 

その中でも私は1人気を吐き奮戦していた。

 

 

「距離、速度、よし!全門斉射!!てーっ!!」

 

「よしっ!・・・比叡姉様・先輩方、退路は開きました。さあ、早く!!」

 

 

「ちょっとアンタ!無茶よ?!いくら取り巻きは沈めたからって!冬姫と一対一で闘うっての?無茶よ。」

 

 

「そうよー。埋護姫に関して今回は何とか撤退させられたけどぉ、冬姫が壊になって荒ぶってしまってはね、高雄?」

 

「そうね愛宕・・・ここは、立て直しましょう。早急に回復・補給をして反復作戦に出ればチャンスはあるわ。」

 

「もう、継戦用の補給物資も無いしねー。アタシも夜戦ちょっと厳しいかなー、たはは。」

 

 

例え撃破といかなくとも撤退するほどの手痛いダメージを与えれば、向こうも簡単には回復出来ない。しかも今回の戦闘海域は佐世保を筆頭に九州の各拠点に近過ぎる。

 

 

下手に根拠地とされて集積地や港湾などの拠点型の姫級に棲家とされたら恐ろしい事となる。

あまり考えたくもないが内地での戦闘や空爆などは起こさせる訳にはいかない。

 

 

「各拠点で後詰めをされてる方と交代してください。私がそれまで見張りをしてます。幸い大型電探でアイツたちの索敵は出来ます。」

 

 

「・・・わかった。アンタくれぐれも無茶するんじゃないわよ?!」

 

「・・・はい、急ぎ掩護の艦隊を・・・はい。相手は冬姫です。・・・何とか撤退にまで追込めたらと。・・・はい、宜しくお願いします。」

 

 

「じゃあ、通信もアンタにチャンネル合わせたから、提督からの指令はちゃんと聞くこと。無茶は厳禁よ?」

 

 

「解りました。では、お姉様方帰りはくれぐれもお気を付けて。」

 

 

私は一旦、沈黙を続ける冬姫を遠目に視界に入れながら、近くの小島の入り江へと停泊した。

相手も高性能電探に高性能魚雷を搭載している。多少入り組んだ場所に入れば魚雷からは狙われにくい。

 

いくら対空性能特化の姫級とは言え、インチキに程がある高火力と回避力を備える。戦艦といえど無闇に近付くものでは無い。

 

暫くして提督からの指示が入る

「見張りご苦労さん。どうだ?新しい奴は湧いてきてないか?」

 

 

「今のところ、周囲からの増援の電探反応ありません。冬姫周りに兆候見受けられません。」

 

 

「分かった。今そちらに向けて反攻部隊を送りだしたか・・・ジジッ・・・ザザザッ・・・ザザザッ」

 

 

いきなり通信が不能となる。

 

 

「ノイズ!!」

 

 

 

提督との通信が出来ない!?妨害された・・・!!

 

電探はっ!!・・・駄目だ、真っ白!!

 

 

「完全に目視でしかって、霧まで。馬鹿な?!赤染めの海が・・・拡がる・・・」

 

 

それまでは冬姫が海域に鎮座するものの雲ひとつなく明るく陽が降り注ぐ穏やかな海が広がっていた。

 

しかし、急激に海域が荒れ始め霧立ち込める深海棲艦の棲家と呼ばれる赤錆色した渦潮が荒振る海へと変貌している!!

 

そして・・・

 

 

『オマエ……キライダヨ……! キライダァッ!!』

 

 

突然、姫の両脇に傅くように控えていた、魚型の艤装が火を吹いた!!

 

 

 

ドゴオオンッッ!!!!

 

ドゴオオンッッ!!!!

 

 

凄まじく鋭い砲撃が立て続けに私を襲う!!

 

 

後方への近距離弾で済んだが、まともに回避運動していないとは言え、超長距離の初弾でこの精度か!?

 

しっかり反応しなければ、間違いなく次は被弾コースだ。

 

こちらからも反撃で主砲、次いで3連装副砲を次々と叩き込む。

 

『…イナイッ!? ナゼッ…! ナゼダヨオォッ!?』

 

 

埋護姫を探してるのか?辺りを彷徨う。

 

一部の鬼姫級の深海棲艦にも姉妹と思された個体が居ると言う。私達艦娘の様に姉妹の繋がりがあるのだろうか?聞く術も無いが・・・。

 

 

『ココ…カラ…タダデ…カエサナイ!オマエヲ……ッ…ナミトツチノ…シタニッ……!』

 

今度は魚雷か、マズイ!!濃霧になり雷跡が見にくい

大型探照灯で照らし、確実に避ける!!

 

しかし、湾の中に居る為あちこちの浅瀬に魚雷が誤弾着し赤錆た海水と砂岩が巻き上げられてしまい

 

 

「視界が・・・確保出来ないわっ・・・?!」

 

 

そして煙幕のように巻き上がった物が治まり眼の前には・・・。

 

 

「冬姫っ!!・・・がッッ!!」

 

 

魚型艤装を操り海面を滑るように猛然と迫りくる!!

 

 

『ナニモカモ……ウマッテシマエェッ!!』

 

 

怒りと悲しみ塗れた虚ろな眼に魅入られ、恐怖に取り込まれた私は身動きすらできず・・・気がつくと痩せ細る腕から出るとは思えない出力で掴み上げられ叩き付けられる!!

 

 

 

「ガハッ・・・ギャッ・・・!!」

 

一気に身体の中の空気を押し出されるように叩き付けられる酸欠となる!!

 

 

 

「タ・・・スケ!!・・・。」

 

まるで癇癪を起こした子供が物を叩きつけるが如く何度も何度も砂浜へと打ち付けられ・・・

 

 

 

艤装はクズ鉄と化した

 

電探も、アンテナの髪飾りも砕け散った

 

体中の骨と関節が次々と鈍く生生しく悲鳴を上げる

 

意識は数度目の衝撃で彼方へと手放している

 

巫女風の装束も、体中の血と砂の汚れで血染めのボロ布と化した

 

 

『コノワタシノネムリヲ…サマタゲタ…ムクイ……』

 

 

 

そう呟き、冬姫は私を掴んだまま軽く飛び上がると

 

 

 

ミシィィッ!!

 

 

 

くぐもった嫌な音を立て私を砂浜へと押し潰すように私を埋め込んだ。そして微動だにしない私を一瞥すると、沖合のテリトリーへと帰って行き、残されたのは穏やかな海とボロ人形の様に打ち捨てられ、錆と砂と血に塗れ地中へと埋もれてゆく私だった。

 

 

その後はどうなったかすら解らない。

そもそもからして『私』は一体何者だ?

 

 

何に囚われているのだ?

 

 

酷く冷たくて暗いな・・・

深い地を這い、暗い海の水底をたゆたうように流されていくようだ・・・

 

 

そして、いつしか身体は水底に留まり血なま臭い様な赤錆た匂いに塗れていた感覚だけはある。何も聞こえず光さえなく、孤独で暗く息苦しく寂しくて辛い。ドクドクと仄暗い水底から湧き上る怨みだけが身体を包んでいった・・・。

 

 

 

 

 

「ワレラノ コドクノカナシミ シルモノ」

 

「サミシサ クルシサ コワサヲ シルモノ」

 

「ミナソコノ クラサニ ツツマレルトヨイ」

 

「ワレラノ ドウホウニ ムカエヨウ」

 

 

 

 

 

 

「・・・ン、ここハ?」

 

 

唐突に目が醒めて、辺りを見回す。

武器庫か資材備蓄室の倉庫と言う感じだ・・・

 

 

ただ、私が“鎮座”していたのは、禍々しくも重厚な意匠を施した前衛的な美術品なのか判らない玉座だった様だ

 

 

「目醒メタナ 新タナ 姫」

 

「我ラノ 同胞 ヲ 統ベル 姫ヨ」

 

 

 

「「戦艦水鬼ヨ・・・」」

 

 

「・・・フ〜ン。ソレガ私ノ名前ナノデスネ、有難ウ。」

 

手を握り力を込める。赤錆た匂いと共に瘴気のように圧が起きる。

 

首を回し、腕や脚に力を入れたり抜いたりと、力の入り具合を確かめる・・・。

 

 

「力ノ加減ガ馴染ミマセンガ、概ネ想定通リト言ウ感覚デショウカ」

 

 

私の目の前に居るのは埋護姫と冬姫というらしい、二人は姫という実力者にも関わらず私に頭を下げており、しかし隙あらばと腹に二物を抱く雰囲気もない。

 

どうやら古参で有るはずなのに簡単に主の座を明け渡すのは、私との間にどうしょうもない絶対的実力差があるのだろう。

 

しかし、幾ら破格の強さが有るとはいえ埋護姫と冬姫だけでは戦力が少ないのでは?と思うと

 

 

「今有ルダケデモ、ソノ力を上手ク使エバ、カナリノ戦力ヲウミダセルゾ。」

 

 

自由に戦力を生産しても良いらしい。思い浮かべると当たり前のように仕組みが頭の中で整理される。生まれついての力なのか?

 

 

「成程ソウイウ物ナノデスネ。アリガトウ、スコシ席ヲ外シマス。」

 

 

工廠と思しき場所へ来ると、小鬼達が濃霧のように漂う魂や、使い潰した薬莢や処理をしたらしい不発弾、両軍の朽ち果てた残骸やら、鼻を突く様な油(重油?廃油かしら?)を整理して集めている・・・これらが資材と言うわけか。

 

無念の魂に、劣化弾、深海棲艦・艦娘達の残骸に油を混ぜ合わせた“原料”を私の力を少し分け与え、地熱が湧き出したような溶鉱炉へと投入する。あとは周りでフワフワと浮いている小鬼達に処理をさせておく。流石に建造には時間が必要らしい。

 

 

「私ハ、万能主ニデモニナルノデショウカ?」

 

 

と思いつつ先程の座のある部屋に戻り埋護姫に話しかける

 

「私ヤ冬姫デモカナリノ質ト量ヲ用意出来ルガ、オマエ程ニナルト訳ガ違ウ」

 

「オマエナラ一大勢力ヲ築ケル。潜在的ナ実力ト艦種、オマエは艦娘時代ノ高イ能力ニ拠ル物ダ。」

 

 

「ン?私ガ艦娘!?・・・・フゥム良ク思イ出セマセンネェ?・・・マア、私ガ彼奴ラノ成レノ果テトイウ認識ダケハアリマスガ。」

 

 

「・・・ソンナ物サ。今ハ己ヲコノ境遇ヘト窶シタ総テノ事ガ憎イ。コノ胸ノ内ニ巣クウ恨ミ辛ミ怒リダケガ糧サ。」

 

 

「埋護姫ト私ハ同ジ場所カラ顕現シタ姫。ダカラカ、互イガ傷ツケラレル事ハ絶対二許セン。害スル奴等ハ地ノ果テマデ追イ殲滅スル」

 

 

「・・・・」

 

 

【○○○、駄目じゃない。無理したら、お姉様方に心配されるわよ?!】

 

 

【ちょっと○○○○お姉さま、いい加減にしてください!?提督が困ってらっしゃいます!!】

 

 

【ソンナこと言ってワタシの提督へのLoveはノンストップデース!!】

 

 

【ひえ〜〜っ、ちょ、ちょっと〇〇〇〇、〇〇〇〇!お姉様を停めてえ〜〜っ!】

 

 

【私の計算と頭の・・・・、へぐっ?!お、おね、え、サマ、つよひ・・・。】

 

 

 

 

 

「・・・・・。」

 

 

「オヤ?ドウシタノダ??」

 

 

「・・・・・。」

 

 

「オイ?!ドウシタ?!建造デ力ヲ使イ過ギタノカ?・・・オイ!!聞イテイルノカ!?」

 

 

慈悲という概念が無さそうな深海棲艦とは言え、あまりにも放心していた私を見かねて声を掛けてきた。

 

 

「・・・ッ!!・・・ッアァ、スミマセン。ソウナノカモシレマセン。姫トアロウ者ガ鍛エ方ガ足リマセンネ。

・・・モット鍛エナケレバ。チョット出掛ケマス。」

 

 

「休マナイノカ?!今疲レタト言ッテタゾ??」

 

 

「矛盾シテイルゾ?!程々ニシテオケヨ。」

 

 

流石に二人の姫も驚き、呆気にとられた様だが、構わずふらふらと海へと出ていく。海上へと出ると蒸し暑さのある海域のようだ。

 

 

巨人のような艤装が偵察機を吐出しレーダーも駆使して艦娘の気配を探す。

 

 

「フム、巡洋艦隊に水雷戦隊、補給隊デスカ。良イデショウ・・・」

 

 

荒々しく波を立てながら向かうその先には、既に私の気配を察知した水雷戦隊と巡洋艦隊が私を迎え撃つ体制を整えている。

 

これは何とも、可愛らしいお遊戯会でしょうか・・・これではアップにもなりませんね。

 

 

「ガラクタドモメ・・・ナキサケンデ、シズミナサイ!!」

 

 

艦娘達が勇ましく戦う姿を見やると彼女達を苦々しく思う気持ちが湧き上る。・・・暗く冷たい水底の色の無い世界へ引きずり込んでやると。

 

 

「目標へ向ケ主砲・副砲放チナサイ!憎シミヲ叩キツケヨ!!」

 

 

意思を持つような禍々しい艤装が耳障りの酷い咆哮を上げて、水雷戦隊と思しき小柄な艦娘で編成された部隊へ向け次々と恨みを乗せた禍々しい砲を放つ。

 

 

「きゃあっ?!こんなところで沈むの・・・嫌・・・」

 

 

「司令官、どこ?・・・もう声が聞こえ、ない・・・」

 

 

「今度は、平和な世界だといいな・・・」

 

 

「もっと皆と走りたかったな・・・」

 

 

次々と砲撃に痛打を浴び悲痛な声と共に沈み行く艦娘達

 

 

「もう駄目・・・です、ね・・・姉さん・・・会い・・・た・・・」

 

 

ふと轟沈しかけている艦娘に近づき掴み上げる。既にうわ言の様な言葉しか発せず、瞳にほぼ光が無い。

 

 

 

「コノ娘、魂ヲ使ウトオモシロソウネ・・・フンッ」

 

 

掴み上げたまま巨人の背部艤装より赤錆色の瘴気が彼女に纏わり付き流れ込む

 

艷やかな桃色の髪や綺麗な肌は白く幽鬼の如く様変わりし、眼は焦点が合わず虚ろになり腿から下は朽ち果て代わりに舳先の様な形をした生体艤装がカタカタと歯を鳴らし、魚雷を打たんと周りを伺っている。

 

 

「イヤ、嫌だ!嫌だ!そんなクルシイ・クライ・イタイ・ツメタイ・・・タスケテタスケテタスケ・テ・・・タスケ、ル??・・・誰ヲたすケルのカしラァ?」

 

 

 

「アラ?!思イノ外カワイイ娘ネ。

サア、オ姉サンヲ探シテ寂シク無イ様ニ連レテイラッシャイ駆逐棲姫。アナタニオトモダチヲツケテアゲルワ。」

 

 

先程の亡骸を基地へと移送し、早速仕上がってきた軽巡や雷巡、駆逐艦を僚艦として付ける。

 

 

「・・・ウん・・ソウですネ。サあ・・・オ姉チャン達を迎えニ行クヨ・・・」 

 

虚ろな目を爛々とさせ艦隊を引き連れて行った。

 

 

その後も、圧倒的火力に為す術もない補給艦隊の補給艦や水上母艦、輸送艦達、取巻きの護衛艦隊を断末魔を上げさせる間もなく海域の藻屑として行った。

 

 

ある程度の“駒”を揃え、艦娘達の負の想いを得た事で、場に瘴気が溜まり赤錆色の海域が発生し深海棲艦には活動しやすくなる。これを好機と私は強大な連装砲から怨みの力を乗せ次々放つ。艦娘達の居場所はレーダーでほぼ正確に把握できる。

 

 

 

艦娘にとって深海棲艦のテリトリーは、侵入するだけでも身体を深海の呪いに蝕まれ、更に被弾する事で身体的損傷は勿論、深海の呪詛という毒が身体に蔓延し精神的にも力尽き轟沈む。そして身体的損傷よりも精神的損傷、すなわち絶望により轟沈した場合、心を深海の呪詛に侵食され魅入られ深海棲艦と成り果てるという。

 

 

これは通常戦闘でも起きうるが、テリトリー内では深海棲艦のテリトリーへ侵攻する大規模作戦時、作戦参加する艦娘は例外なく札状のタグを渡される。かなりオカルトな代物だがテリトリーへの侵入時間や被弾状況が記録される。帰還したら直ぐさまタグの情報を元にドックで入渠・療養を施され深海棲艦のテリトリーで受けた呪いを洗浄・浄化する。

 

たとえ機銃弾1発の被弾すら受けなかったとしても絶対であり。この入渠を終えない限り他任務・活動への参加は出来ない厳格なものだ。

 

 

ーーそんな危険海域で戦う中で姉妹艦や仲良い艦が息絶える姿、そして怨みに飲み込まれ深海棲艦に窶していくのを見て精神的に追い詰められもがき苦しむ悪循環となる艦娘達。

 

 

もしも私が艦娘だったら、義憤に猛り深海棲艦の首魁に対して羅刹神の如く跡形も遺さず討果しただろうけど、今は私こそがその首魁となり艦娘の生殺与奪をもて遊ぶ輩となっている。

 

 

勿論そんな分別の意識すら無いが。

 

 

「モットモット姉妹デ愉シイ愉シイ邂逅をシナイトネ」

 

 

戦闘海域を見渡し、次の標的を品定めする。

 

 

「砲雷撃戦、開始しちゃう!・・・てーっ!!」

 

 

「イイ砲撃ネ・・・次ハアノ娘ヲ迎エシヨウカシラ?!」

 

 

 

再び、禍々しい怪物の艤装から濃厚な瘴気が主砲や副砲へ流れ込み、破壊力を増した砲撃が巡洋艦たちへと雨霰と放たれる!!

 

 

「な、何?!あの戦艦水鬼どれだけの・・・」

 

 

「愛宕、駄目よ。無理して挑んだら駄目よ?!」

 

 

「だけど、駆逐艦の娘達が次々・・・あれじゃ!!」

 

 

 

 

 

そんな中で・・・1人の重巡艦娘が砲撃の犠牲に。

 

 

「きゃあぁっ! ・・・この程度!」

 

「あぁっ! 直撃ー‥‥!?」

 

「だめ‥‥沈んじゃう‥‥青葉に笑われ、っ!!」

 

 

 

「アラ?又オ姉サンニ心配カケル妹チャン見ツケタワ・・・アナタモ、闇ニ堕チテ。オ姉サンヲ迎エニ行キナサイ」

 

力尽き膝を付く艦娘を頭から掴み上げて、生体艤装から力を流し込むと途端に悶え苦しみだす。

 

 

 

「嫌・・・?!な・・何・・・嫌っ?!・・・頭ノ中デ・・・カ、体ガ!!・・・・ギャア゛ァァァッッ!」

 

赤錆た瘴気が彼女に流れ込み、濁った絶叫と共にみるみる病的な白い体に変わり形容し難い醜く黒光りする艤装が纏わり付く

 

「・・・ワタシを嗤ウヤツハドコダァ!!」

 

 

 

「ソノ姿、勇マシイワ!強イ執着ガアルノネ・・・。フゥン、イイジャナイカシラ。」

 

 

 

 

「うそ・・・そんな衣笠ちゃんまで?!ネ級、しかもフラッグシップクラス・・・!!」

 

 

「愛宕!!引くわ・・・これ以上は、本当に無理よ。テリトリーの海域に居るだけでもダメージなのよ。」

 

 

「みんな、なんでみんな良い娘ばかりが・・・狙われるのよ。」

 

 

「愛宕??そんな無差別に狙ってるんじゃないの?!」

 

 

「何か、狙ってやってるんじゃないかしら。沈んだ時に残った強い思いに引っ張られてって・・・キャッ!!」

 

 

「マズイわ愛宕、此方を狙ってきてる!!」

 

 

「く〜、やり過ぎよ〜。どんどんこちらは力を出せ無くなるってのに。」

 

 

「こちら高雄です全艦隊、撤退よ!!全力で海域から離脱して」

 

 

「解ったよ高雄姉。あぁ、クソったれが!タコヤキ共が鬱陶しい。こんの野郎、落ちやがれッ!!」

 

 

対空砲、高角砲を次々と放ち空の脅威から防空を担う重巡・摩耶そして補佐をする鳥海。高雄型の艦娘姉妹が瓦解がみえる各艦隊に指示を出しフォローに入っている。

 

 

その様子を捉えた私は次の標的を定めつつあった。

 

「アラ?ソコニモ、ココニモ麗シイ姉妹艦ノ愛ガ見エルワ・・・・見セツケテクレテ!!壊シテ、シズメテアゲマショウ。マズハ・・・ソウネ、アノ娘カシラ!」

 

そして、我ら深海航空部隊の制空能力を排除するために動く艦娘に目星を付けた。

 

 

 

「摩耶、気を付けて!!禍々しい気迫が迫って来てる」

 

「んなもん解ってるっての!!・・・チィッ!ただでさえタコヤキ共がウザいってぇのに・・・うわぁっ?!?!」

 

 

ズドーン!!と赤黒い気を纏った砲弾が夾叉する。僅かばかり掠っただけでも、摩耶の身体中にジワリと傷と痛みが奔る。

 

「か、身体にキやがる・・・。クソッ、コレでも喰らえ、摩耶様の取って置きだ、てーっっ!!」

 

ドーン・ドーンと轟音を響かせ20.3cm2号砲を放ち、ダダダダダダッと、間断なく高角砲に高射機銃群による対空砲火が放たれる。

 

 

「あんまり無理したら駄目よ摩耶!! 退避が遅くなると囲まれれるわ!・・・主砲、てーっ!!」

 

近くを並走し主砲・副砲を用心深く放つ鳥海が叫ぶ。

 

 

「ウフッ、麗シイ姉妹愛!・・・ソシテ引キ裂カレル悲劇、・・・アアッ、ゾクゾクスルワネ!!」

 

 

ッドゴォォーーッ!!

ッドゴォォーーッ!!

 

ダァンッ!ダァンッ!ダァンッ!

 

 

生体艤装が付近の気配を嗅ぎ分け、耳障りな轟音を響かせて主砲や副砲が兇弾を放つ。

 

今までに力尽き沈んで逝った艦娘・深海棲艦達の怨嗟の声を掬い上げては力として、砲の威力・精度・次発装填時間はますます向上・時短化されている。

 

更に上空からの弾着観測が入るので更に的確になり。そのため重巡改二級の艦娘とは言え、驚異的なな速さで追い詰められていく・・・

 

 

 

「ーーッ!!・・・・・ッ・・・・!!」

 

 

 

「うわぁあーーっっ!!げほっげほっ!!・・・・。」

 

 

味方の退避を促すために殿を担っていた摩耶と鳥海に、強烈な砲弾が次々と襲いかかる。そして、あまりもの威力に水柱が幾柱も空高く立ち上がり、まるで猛り狂った龍が2人に喰らいくかの様にも見えた。

 

 

 

「えっ・・・鳥海・・・。おい、鳥海?!返事しろよ!!おいっ、声を出せ!!こんな時に笑えねぇ冗談は止めろ!!返事しろよ、鳥海ぃっ!!」

 

 

かなり危なかったものの、辛うじて中破でとどまった摩耶だが、姉妹艦の鳥海の気配を全く察知できない。つい今し方まで近距離で随伴していたにも関わらずだ。

 

 

撤退の為しばらく全力航行していたものの、どうにも鳥海の安否が気になり、愚策と思うが行き脚を停めた。

 

「どこだよ鳥海、お願いだから返事してくれよぉ・・・。お前が沈んじ・・・否!あり得ねぇ!!だからっ・・・・・っ!」

 

 

バシャアーッン!!

 

彼女の得物と言える20.3cm(2号)連装砲を思わず落としてしまうほどに衝撃だった。

 

「あいつは・・・・ぜっ・・・たい・・・に・・・よぉ・・・・。う、嘘、だろ・・・。そいつは・・・」

 

 

「貴女ノ大事ナ大事ナ妹チャンは・・・コンナ娘ダッタカシラ?」

 

水鬼の隣に寄り添う様にしなだれ傅く深海棲艦。

つい先程まで必死に深海棲艦の追撃を悉く退けていた艦娘。

 

衣笠が変わり果てた重巡ネ級よりも、鋭く延びる連装砲群・鬼の角のように伸びた電探・摩耶と揃いのリボンタイ・・・。美しい顔立ちが露わだが口元にはトレードマークとも言える丸眼鏡がひしゃげたものを舐めていた。そして、彼女の眼はどこまでも堕ちて行ける冥いものだった。

 

鳥海は戦艦水鬼の凶弾をまともに腹部へと被弾していた。じくじくと響く鈍痛のような痛みがすぐに劇薬の如く痛みへと変わり身体中へと廻る!!

 

必死に抗おうとするも、すべての思考が毒された神経から深海の思考回路に書き換えられてしまい、体は被弾した腹部から異形の艤装が現れて、彼女の澄んだ心は瞬く間に錆と闇に塗れ、怨みと怒りだけに支配され破壊衝動のみに付き動く者と化してしまった。そして彼女の実力も手伝って、ネ級改という深海棲艦側の凶悪な手駒として立ち塞がるのだった。

 

 

「・・・マヤ、サァ堕チテヨ。」

 

酷く抑揚の無い言葉を発すると、中型砲とは思えない馬鹿げた火力で次々と弾頭を吐き出して来る速射砲群に、追尾してるのか?と思うほど正確に猛スピードで襲いかかる魚雷群。そして鳥海を汚された現実に、身体的にも精神的に破綻し始めた摩耶に早晩抗う気力は無く、身体中に砲雷撃を浴び姉妹揃って深海の下僕に成り果てた。

 

 

戦艦水鬼は、たった一度の会敵で数多の艦娘を手駒とし、また水底へと沈め引きずり込み無念の魂と残骸を量産した。

 

「イヤハヤ、狩リモ狩ッタナ水鬼ドノ。ココハ、アイアンボトムサウンドナノカト見間違ウヨ!!」

 

「眷属達ヲ作ッタ後デ、コノ暴レ様ハサスガニ震エタゾ。今、資材庫デ戦利品ノ片付ケニ子鬼達ガ目ヲ回シテイルゾ」

 

深海の泊地へ帰還し玉座?に落ち着くと、埋護姫・冬姫が呆れと笑いが混じる何とも言えない表情で私を出迎えた。

 

「マア腹ゴナシ、イエ、覚醒後ノ力ゴナシニ程ヨイ運動ヨ。・・・ソレニ、艦娘達ガ姉妹デ健気ニ刃向カッテ来ルノガ気ニ入ラ無イノ。アンナ眩シサナンカ海ノ藻屑ニナレバ良イワ。仲良シ小好シデ戦ウナド計算外モ甚ダシイワ・・・。」

 

そして、私の力に屈し絶望して深海の水底へと堕ちた者達、私の力に触れ産み出された者達が帰還してきた。 

 

皆、呻き?いや、どよめきとも或いは雄叫びとも取れる声を挙げる者。又、昏く目を輝かせ次なる犠牲者をねらうべく、欲に塗れる者は卑しく嗤っている。

 

泊地の頭上に降り注ぐ地上からの光は、血や錆のような仄暗い瘴気に塗れて、赤黒く爛々と深海泊地を照らしていた。これから続く深海の狂宴を盛り上げるかの様に。私は玉座に身を預け、その瘴気のうねりを眼を閉じて堪能した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・ッ!!

 

・・・・!!

 

・・・・・・・・・・!!

 

 

・・・・・・!!

 

 

遠くから私を呼ぶ声?

かすかな潮騒の音・・・・。

 

ざざぁと、心地よいリズムで波の音

 

「・・・青い・・・空・・・。明るい・・・陽射し・・・?!ここは・・・何処でしょうか」

 

 

「良゛がっ゛だデーーズ、も゛う゛目゛を゛開゛げでぐれ゛な゛い゛がど思゛い゛ま゛マ゛ジ゛!!」

金剛お姉さまににガバァッと勢いよく抱き着かれた。

 

 

「もう!もう!無茶しすぎ!!・・・どれだけアンタを心配したか・・・。」

キツい口調とは裏腹に目元は真っ赤な比叡姉さま。

 

「貴女が居なくなったら、どれだけの仲間が悲しむと思うの・・・大丈夫じゃないわ。」

・・・そうよね、榛名。誰一人欠けたって良い仲間は居ないわ。

 

「女神妖精までは用意出来なかったのは、申し訳なかったが、ダメコンだけでもと君の艤装に積み増しを施しておいて良かった。」

 

「提督、申し訳ありません。無様な結果とな・・・。」

 

「そんな事は無い!君が身を挺して時間を稼ぎ埋護姫の跳梁を押し留めてくれた。お陰で姫を討伐が出来た」

 

「そうですか・・・。倒れて気を失っている間に全てが終わっていては実感ありませんが。」

 

提督や金剛お姉さまの周囲には、海戦を戦い抜き被弾あるものの、私の回復を聞きつけ各艦隊の皆さんが駆け付けては私の顔を見ては安堵したり涙していました。

その中でも見慣れない、お淑やかな娘が1人・・・

 

「貴女は・・・、海から呼ばれた娘(ドロップ)なのね」

 

「はい、お初にお目にかかります。秋月型防空駆逐艦「涼月」です。皆さんを・・・、あ、いえ。私、頑張ります。よろしくお願い致します!」

 

「こちらこそ、よろしくね。こんな格好で言うのも難だけど。」

 

「いえ、とんでもないです。こうして羅刹との異名を持つ方、その姉妹の皆様とご一緒出来るのは光栄です。早く肩を並べられるように精進します」

 

「もう、買いかぶり過ぎよ(笑)」

 

「それに、私の姉妹達もきっと居るはずです。お冬さんには、何だか会えるような不思議な気持ちがします・・・」

 

と、和やかに彼女との邂逅をしていると

 

「さあ、傷を負った者も多いし、浄化作業も時間が掛かる。鎮守府へと帰還しよう!!」

 

 

「「「了解!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府に帰還して補給に修繕、入渠に浄化作業と慌ただしく作業が進む。

一段落ついたものは食堂や居酒屋、酒保に甘味処、娯楽室。・・・思い思いの過ごし方で戦いの疲れを癒やしている。提督より、作戦参加者は作業完了のものから2週間の休暇を与えられた。

 

というよりも、艤装のメンテナンスはもとより、提督の戦後処理の詳報作成や評価算定で身動きがまともに取れないため、哨戒と簡単な遠征を除けば自主訓練ぐらいしか、戦闘に関する業務?!が無い。私の場合は埋護姫に着けられた傷が浅くなく、休暇期間は休養に全振りした。

 

 

 

私は波も穏やかな新月の夜に鎮守府の防波堤へと一人赴いていた。

 

・・・気を失っている間に見た夢だ。

自分は埋護姫に手酷くやられ、最期は彼女の振り撒く呪詛を叩き込まれ・・・深海に堕ちた。

堕ちたあとは自ら力を振るい、イロハ級を産み出し統率し、最前線に繰り出し次々と仲間を手に掛けて深海へと引きずり込んだ悪の頭領

 

 

「うグッ・・・げほっゲホッ。想定外・・・ですね。」

 

 

思わず口を手で抑え、えづいたものを手で塞ぐ。そして手に出たものを見て目を見開いた。

 

「な、何よこれ・・・私、一体・・・?!」

 

手のひらには錆の様な赤褐色したドロリとした重油のような臭い物が載っていた。

 

「ウふふ・・・月が綺麗ですね。羅刹様」

 

「えっ涼月さん・・・?こんばんわ。それに羅刹の二ツ名はあまり使うものでは無くて、」

 

「そうだ!・・・羅刹って、どんな存在ですか?」

 

妙にハキハキと興奮気味に語りかけてくる涼月に気おされ気味に答える。

 

「ええっと?!色々考察というか表現はあるけど・・・辞典的には、人の体や生きる気力を食らう鬼女で非常に美しい容貌をもっているらしいわ。仏教にも出てくるわね。そちらは色々なお経に触れる事で守護者として活躍してる記載があったかしら。」

 

「・・・そう。流石、艦隊の頭脳と呼ばれるだけの事はありますね。・・・海上に君臨する羅刹神さん?」

 

「涼月さん?貴女、何を仰っしゃるの?!」

 

「貴女、まだ気付きませんか?・・・海上に君臨する鬼女、他の者を喰らい生気を啜る、眉目秀麗な貴女の姿、貴女こそ羅刹を名乗るにふさわしい“鬼”なんですよ。記憶に有りませんか・・・。深海の首魁として君臨した記憶が」

 

「戯言を!!私はこうして、・・・ゲボっゲホッ、金剛型戦艦の末席を預かる身!!・・ゲボッ。そんな、闇に塗れた事・・・等・・ぐっ。」

 

「あれェ??御身体に異変でもォ??」

 

「身体中がギシギシと錆び付いたように・・・カハっ・・・!!また、赤黒い塊が・・・ハァ゛・・・ハ゛ァ・・・苦しい。」

 

「鬼女様ァ??御身体に、大分馴染んで来たようですね・・・」

 

・・・す、ず月ぃ、貴、様・・・眼・・・何故、金泥のオーラが?!」

 

「涼月ぃ?そんな魂は岩の塊になって沈んでますわ?・・・我ハ防空埋護姫ナリ。深海ノ使徒・・・」

 

「バカな?!わた・・・シハ・・・金剛型のぉ・・・4ば・・・んっ・・・!!」

 

涼月だった艦娘はグレーのケープがひらりと翻ったときには、セメントの埃にまみれたような煤け朽ちた様なドレスを纏う深海の姫に変貌した。

 

そして、力無く膝をつく私を掴み眼を併させた。

眼を合わさせられると、金●型●●としての記憶が・・・・記憶・?・・・・記憶トハ?何ダ?

 

・・・・今まで忘れていた戦艦水鬼の記憶が焼き付き蘇り覚醒する。

 

 

「ソウカ・・・随分ト夢ヲ見テイタナ。又、目覚メノ1発デモスルカ。」

 

鎮守府では、けたたましく襲撃のサイレンが怒鳴るように鳴り響きサーチライトで煌々と照らす。

そこに突如として現れた水鬼と姫。しかも埋護姫は先日降したばかりのはず?!と愕然とする艦娘。

 

しかも、隣に異彩を放つ戦艦水鬼。発見されている個体にはない特徴が艦娘達を震撼させた。

彼女が新調したグリーンのオーバルフレームの眼鏡を掛けていたからである。本来の持ち主である彼女は、此処へ夕涼みに来ていたはずである。

 

彼女が姿を消し、水鬼が彼女の持ち物を身につけている。それだけで十分な衝撃だった。

 

「折角ダカラ、ゴアイサツ位はして帰ラナイトイケナイカシラ。」 

 

基地内で轟音が轟き、あっという間に火の海となる。

提督は、あちこちへと指示を飛ばしながら二人の目前へと立つ。

 

「埋設護姫に戦艦水鬼かい・・・」

 

そう、苦し紛れに声を出す提督を前に戦艦水鬼は、生体艤装に掛る鎖を出し、提督に巻付け拘束する。

 

「ハジメマシテ。イイヤ、オツカレサマデス提督・・・“今マデハ”・・・そして“イイ悪夢”ヲ。サヨウナラ。」

 

 

「むぐッ?!!!?ぅぅ・・・・。」

 

艦娘達が駆け付け体制を整える中、水鬼は提督を引寄せてそう言葉を掛けると提督の唇を奪い、何やら悦に浸り吸い尽くす!!

 

あっという間に提督は雨ざらしの様なミイラと化し、艦娘達の貼る防衛ラインの前に投げ捨てられた。

 

 

「絶望、憤怒、恐怖、悔恨ノ瞳デ見ツメラレルノモ良イモノネ。提督トノ“契”も好カッタケド。」

 

 

何故か、軍帽に白手袋制服を肩に掛けるように羽織る姿へと変わる。彼の生気を吸収したが故のイレギュラーだろう。

 

 

「サァ、カカッテラッシャイ艦娘ドモ。存分ニ相手ヲシテ絶望ノ水底へ沈メテアゲルワ!!」

 

 

そこから、提督という主を失った鎮守府の艦娘や軍属には、戦艦水鬼や水鬼に堕とされ次々深海化する仲間に抗う術はなく蹂躙されて喪った艦娘・軍属は前代未聞の人数となった。

また、辛うじて生き延びた者や艦娘も、精神的に病を得て再び最前線はおろか軍属として活躍は出来なかった。

 

 

 

そもそも、あの金剛型戦艦は何故あの夢を見たのか。涼月は何者だったのか。疑問は残るが解決する術は無かった。




お読み頂きありがとうございました。

深海棲艦の怨念に振り回されてしまった結果の惨劇という流れでした。

彼女は応急修理ではなく鎮守府で早く処置をされていれば、万が一にもこんな惨劇は起きなかったかもしれません。傷が治り切らず。傷口から膿の様に深海の呪詛が溜まりきってしまったという形です。

それにしてもあの涼月は何だったのでしょう。

ドロップ艦娘である為、勿論負傷してはいませんし艦隊に身請けされる前に深海棲艦に襲われたとかイレギュラーも有りません。
あの鎮守府が戦って撃退したのは冬姫のはずです。

なぜ突如として深海化したのでしょうか謎が残ります。

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