とある艦娘の後日譚?!    作:糸田ひろし

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およそ半年ぶりに投稿させて頂きます。

様々な要因で書けてませんでしたが、ようやく時間を作る目処が出来て上げさせて頂きました。あいも変わらず拙い物ですが、お読み頂けたのなら幸いです。

今回のピックアップは、先日アップデートのあった彼女です。

・・・えっ、このタイミングが来るまで待っていた訳ではないデスヨ(汗)多分、きっと、めいびー。


便覧番号25

ここは、とある鎮守府の事務室。

一人の空母艦娘が事務机で書籍や図解を広げ、要点を纏めていると、そこへ・・・

 

「・・・ご苦労さまでした。それで、採点はどうでしたか、隊長妖精さん?」

 

ーー飛行士の服を纏った小人が敬礼の後に、身振り手振りで時に険しい顔で、またある時は困り顔で口をパクパクしている。

 

「そうですか・・・。なかなかどうして儘なりませんね。私自身の教導・・・いいえ、腕が足りないのでしょうか。」

 

そう悩んでいると、鉄鉢から白鉢巻の見える妖精があらわれて何やら話しだした。この子達は対空砲や機銃の指揮隊長妖精です。

 

「艦載機だけが空母のすべてじゃない?索敵に対空迎撃に艦隊指揮も・・・。そうですね、皆で頑張りましょうね!」

 

彼女が手をグッと握り、頑張るぞっとポーズを取って見せると妖精達も

 

「えいえいおー」

 

と言いたそうなポーズを返し、一礼をして机の横にある艤装掛けに戻っていった。

 

 

 

・・・私は艦娘の中で初の空母と言われています。

 

 

 

遠い遠い記憶を辿ると、本邦にも海外にも私と変わらぬ年代に計画や建造に入った艦も有りますが・・・こうやって艦娘として“顕現”出来ている艦娘は私だけのようです。

 

ですから、“母”や“お艦”と有り難いやら恥ずかしいやらありがたい二つ名を頂いて。せめて、胸を張れる良い名を付けてくれなかったのかしら?・・・とも思いましたが、慕ってくれているのを無下には出来ませんよね。

 

 

と、そこへ・・・

 

 

「稼業中すまないな。」

 

「あらっ、提督さん?お疲れ様です。」

 

「もう20:00過ぎたが、そろそろ上がりにしないのか?妖精さん達も上がったのだろう?」

 

「あらっ!・・・んー、でも。あと少しで区切りの良いところまで纏めて終わろうかと。」

 

「あまり根を詰めすぎるな。あの娘達も一朝一夕で育つものでは無いだろう」

 

 

「そうですねぇ。うーん、山汐丸ちゃんは、かなり大人しい娘ですし陸出自もあるので、あきちゃん(あきつ丸)やしんちゃん(神州丸)と艦隊訓練や哨戒訓練を指示しています。順応出来てきたら速吸ちゃんや神威さんとの連携も考えます。」

 

 

「ありがとう、暫くはそれでいこう。最終的には軽巡や駆逐艦の面子と組むことになるからな。」

 

 

「うん。各小隊への補給・バックアップ体制が整えば、千歳や千代田も心置きなく大規模改装の話も受け入れてくれるかな?」

 

「きっと彼女達も私同様に古参として後進が育つ嬉しさと水上機母艦としての限界値に対する悔しさが入り混じっているはずです。 

・・・ここは泊地に多少「箔」が付いた程度の小さな鎮守府ですから、他の鎮守府の彼女達は軽空母や更にその上の第二改装まで行き着いた娘も居る中で、ウチの千歳さんに、ちよ(千代田)ちゃんは水上機母艦のまま経験を積んできました。」

 

 

「そうだな。資材調達や輸送任務以外にも、広範囲の哨戒や深海棲艦討伐任務といった、受入任務の選択肢が広がれば、大本営への貢献度が上がる。」

 

 

「より訓練に励まないと高度な任務も受けられませんが、鎮守府としての戦力は上がります。」

 

 

「小さな鎮守府故に、お前にも秘書艦として苦労を掛ける、こんな鎮守府で無ければな・・・。本当にすまないな。」

 

 

「いいえ、そんな・・・。」

 

 

とそこへ、二人分の食事をワゴンに載せた間宮が現れた。

 

「お二人共?食堂も暖簾を下ろしますので、こちらにお食事をお持ちいたしました。あまり食堂を長く開けておくと千歳さんと千代田ちゃんがすぐ“缶”を空にしに来ますので困りますから」

 

 

「いやあ、遅くなってしまい悪いな(汗)。長たる者が示しを付かん事をしていてはな。」

 

 

「間宮さん、最近はお手伝いに中々入れなくて御免なさい。教導が一段落すればお手伝いしますので。それまではご負担をお掛けします・・・。」

 

 

「何を言われるのですか!!私達給糧艦が食堂で安心して皆さんのお食事を作っていられるのは、皆さんが頑張っていらっしゃるからこそですよ?!私達は、皆さんの無事を願いお待ちするだけです。

それに、何より提督も皆さんの無事を願っていますから。この間も長期遠洋航海演習にみなさんが出られたときは、毎晩毎晩と食堂に来ては・・・」

 

 

間宮が前線に出る艦娘達に対して感謝の気持ちを伝えているのを提督は微笑ましく聞いていたが、何やら自分の話になっていくのを察知し、慌てて話の主導権を持っていく

 

「あぁ!!いや。それは、上官として皆の命を預かっているわけだからな。しかし、いざ海へ抜錨してしまえば、提督といえども皆を救ける術が無く身を案じるだけだ。いわば、丸投げと同じなんだよ。だか・・・」

 

 

しかし、絶妙な間合いで間宮に話の流れを奪われてしまう。

 

 

「間宮の熱演→【・・からこそ無事かなぁ。あ、いやねウチの艦娘達は誰一人として沈んでなんて欲しくないよ。皆ホントに良い娘ばかりだよ。

駆逐の賑やかで元気なのも良いし。巡洋艦や戦艦の落ち着いた凛々しい娘達も良い。みんな平和を護るために一生懸命だ。健気で素晴らしく本当に掛替えの無い娘達ばかりだ!】」

 

 

間宮は、俺がこの前食堂で呑んだくれてクダを巻いた時の“本音”を一言一句漏らさず再現している。身振り手振りを交えて抑揚も完全再現している。うん、まさしく名女優の域だ(汗)・・・これ、音声記録でも録っていたのだろうか?!・・・ヤバいな。聞いてるとかなり恥ずかしくなる。

 

 

そして次の瞬間、提督はピンと来た。

 

 

『間宮にこのまま話されると不味い』

 

 

・・・しかし、話しの流れという爆弾は既に投下されあっけなく炸裂した。

 

 

・・・なあ、皆よ?間宮って給糧艦だよな??

 

 

(ただ彼女は軍艦の頃、調理・貯蔵設備に風呂や病院施設、クリーニングなど兵達のライフラインは元より、通信設備を搭載して無線監査のためにベテラン通信将校を艦長に任命していた経緯がある)

 

 

「間宮熱演続く→【そして、俺には彼女しかいない!!

・・・彼女は此処に俺が配属される時に最初に建造で来てくれた第一号艦娘なんだ。だから、どうしても特別でな。近所の交番かと思うような所から始まった此処を護り続けて、今でこそ香取や鹿島が来てくれたから大分負担が減ったが、後進の艦娘たちも艦種関わらず演習に実戦にと引っ張ってくれたんだ。】」

 

立て板に水とは、かくやと言う滑らかさで語る間宮。

俺の大演説を一言一句違わずに打ってくれた。

 

 

「ゑッ?!提督さん・・・。」

思わず、俺の方へ振り向く鳳翔。

 

 

「あぁっ、いやっ、その何だ・・・。まぁ、酒に呑まれてしまっての勢い話だ(汗)。なに、別に大した事ではないさ・・・ハハハ。そんな、大した話じゃないさ・・・アハハハ。」

 

苦し紛れに放った言い訳が拙かった。

 

 

「提督さん?・・・・提督さんは部下の安否の不安を酒の勢いで誤魔化すのですか?」

 

 

あ、ヤバイヨ・・・。

 

彼女は不誠実な言を嫌う。

たちまちフラ改もかくやと紫炎をたなびかせて?!

元祖一航戦のオーラが背中に立ち昇る!!

 

あの加賀や不知火、武蔵や長門といった強気・武闘派の娘達さえ震え上がり、泣いて謝る古強者のオーラが執務室を満たす。

 

「〇〇〇〇・・・(笑)」

 

「◎◎◎・・・www」

 

「〜〜〜・・(泣笑)」

 

彼女の強者オーラを感じ、甲板艤装から船員・飛行隊妖精さん達が机に上陸して、酒やツマミを片手にこの“合戦”の成行きを楽しみ、中には即席屋台や賭け台すら出す輩が居る。

 

・・・こんなの、単勝1倍元本返しだろうが(泣)!!

 

それよか、早う助けてくれ(泣)

 

 

 

「一人も欠けることなく皆、無事に鎮守府へ帰ってきてほしい。それは間違いない!!ただな、教練に索敵・作戦指示・兵装・艦隊編成・作戦難易度に合わせた練度になっているかとかな、何処かで穴がないか見落しがないか不安だらけさ。本心は気が気じゃあない。」

 

「ならば、全部抱える事は無いのではありませんか?」

 

「それは・・・。しかしだ、最終的な責任は俺に在る。お前達に押し付ける真似はしたくない。」

 

 

小さいながらも鎮守府を預かる提督である以上は無責任な事はしたくない。いざという時はこの娘達を庇い矢面に立たねばならない。そこは譲れない線だ。

 

 

「では、私達を信用してないと言う事ですか?」

 

「いやいやいや、何でそう言う話になるんだ?!」

 

「では、例えば工廠で明石ちゃんが開発を頑張ってますね。明石ちゃん固有の能力ですが信用に足るからこそですよね?特殊兵装の開発ではそれに応じた補佐を付けますね?あれも兵装の扱いに熟知してるからですね?」

 

確かに明石だけでも一通り開発や技術革新は出来るが、熟練者が居れば明石の負担はかなり軽減できる。実際に上位互換や固有兵装の改修成功率は上がる。

 

「建造や兵装開発でも同系統の艦種に当日の責任者(秘書艦)に、旗艦を任せても安心な練度の娘を抜擢しますね。」

 

「確かに、それまでの経験から適材適所で任せるな。」

 

「ということは提督さんが任務や戦闘で信用に足るからこそ任命しますね。いきなり右も左も分からない新入艦娘に任せたりしませんよね。」

 

「まあ、そうなるな。」

 

「では、私を常に旗艦や秘書艦・2番艦にしてるのは?」

 

「・・・君が先任として優れて信用しているからだ。」

 

「・・・でしたら、もっと私達を信用してください?」

 

「(汗)・・・。」

 

 

ぐうの音も出ない。恥ずかしさに任せて苦し紛れな言を出したせいで、もっと恥ずかしい目に遭ってしまった。

 

 

「すまない・・・。たしかにお前の言うとおりだ。口で言ってる事と行動が伴ってないな。」と彼女に謝る。

 

 

「いいですか、提督さん。私達艦娘は国や海を深海棲艦から護るという大義は有りますが、まずは目の前の人や物を護れなければ出来るはずがありません。それは隣で艦隊を組む僚艦や別の場所で頑張る仲間、何より貴方を護るところからです。」

 

 

「そうだな。お前の言うとおりだ。」

 

 

ここで、空気を変えるように間宮が声を出す。

 

 

「さあ!お話も区切りが付いたところで、お夕飯にしませんか?」

 

「おっ、すまないな間宮。せっかく届けに来てもらったのに、話に巻き込んでしまって。」

 

「そうですね、間宮さんには今度私の店を開けたときにサービスしますね。そろそろ“秋出しひやおろし”の美味しいのが届きますよ♪」

 

 

「あら、まあ!それは楽しみにしておきますね。それでは失礼します。」

 

 

 

間宮が部屋を出たあとに、二人で執務机を綺麗にして食事を並べて夕食を摂る。

 

「・・・さっきはすまなかったな。」

 

「もう、良いんですよ。心配性で寂しがり屋な提督さんな事はよく分かっていますから。」

 

「ならば、あの様に言わなくても良いだろう?」

 

「一種の様式美です。」

 

「様式美だぁ?!」

 

「おやくそく、って事ですよ。」

 

「いやいやいや、それで大目玉を喰らうのはたまらんぞ・・・」

 

「元はと言えば、間宮さんにご迷惑かけている提督さんが悪いのです。それにー・・・。」

 

「それに、どうした??」

 

 

急に言いよどむ。何か困った事が有るのだろうか?

何か不都合な事でもあるのだろうか?

 

 

「軽々しく、他の方の前で弱いところを見せないでください!」

 

「ん?まあ、確かに生来の愚痴っぽさは認めるが。大本営会議や他の鎮守府に演習やら会議での出張時とか公務ではビシッ!としているつもりだが、お前から見たら、まだまだ至らないのか?」

 

「そういう話ではありません。公務では、他所の提督さんと比べても格好よ・・・凛々しくされています。」

 

「むしろ、○を付けてくれるならば問題なかろう。」

 

「だから、そうではなくてぇ!!」

 

「では、何だと言うんだ?!」

 

 

互いにご飯を食べながら再びヒートアップする。

マナーも外聞もなく、ご飯粒や汁が飛ぶのも形振り構わずに舌戦になる。

 

 

「■■■〇〇〇〇・・・(笑!!)」

 

「◎◎◎✕✕✕・・・www」

 

「〜〜〜◇◇◇・・(!!)」

 

 

いつの間にか二人の頭上には九六式艦戦改が飛び、熟練飛行士妖精がカメラとインカムを装備して、実況中継している。

 

きっと艤装内の娯楽室や食堂でみんな大爆笑してるんだろうさ。・・・お前ら全員、今度大本営に連れて行って、あそこの赤城や加賀(改二護)噴式景雲改に括り付けて急降下訓練させるぞ?!

 

 

等と心の中で悪態をついていると、彼女の一声で場がシンとする。

 

 

「・・・私が嫌なんです!!」

 

 

 

 

「んっ?・・・えぁ?」

 

 

 

 

「だからぁっ、・・・私が、嫌、なんですっ」

 

 

 

 

「や、あの、えっと・・・・?!?!?!」

 

 

彼女の真意を掴めず、言葉になってない返答をする俺。

 

 

「提督さんが弱いところをみせるのは、私の前だけにしてほしいのです!!二人三脚でやってきた頃から貴方の側で邁進してまいりました。だからこそ、他の娘達の前で“素”の貴方を出してほしくないのです!!」

 

 

「はぁ?・・・つまりは」

 

「そうですっ!焼きもちですっ!!悪いですか?!」

 

「随分と開き直っ・・・」

 

「そうさせてるのは、誰ですかッ?!」

 

「うぐぐ・・・」

 

 

「私には軍艦としての記憶は濃密です。航空戦隊を研究する日々、一航戦として戦い抜く日々、本土で燻り続けた日々、機雷原の海を掻い潜り祖国ヘ人々を本土へ還す日々どれも尊い記憶です!!」

 

 

「おっ、そうだな。君は貴重な生き証人(艦)の一人だな。あとは榛名や北上とか僅かな者達。」

 

 

「そうですね・・・って。いや、そうではありません!!それもそれで間違いではないですが。

 

が、しかし!私は再び現代に生を受けて提督さんとの9年を超す日々を過ごしてまいりました。今はその日々がとてもとても大事なんです!!」

 

 

「うぐぐ・・・まあ、そうなるな。」

 

 

 

防戦一方の俺を、いつの間にか妖精さん達はリングでサンドバッグ状態のボクサーとして表現している。

 

 

方や提督服を着こなす妖精さん。

一方で彼女そっくりに袴を着込む妖精さん。

互いにグローブを嵌めてリングに立つ。

バシバシと互いにパンチを繰り出し競っていたが

 

 

彼女の言葉が自分に刺さるたびに、彼女似の妖精のジャブ!!ストレート!!フック!!と次々に炸裂し、提督妖精はヨタヨタとたたらを踏む。・・・そして、最後は渾身のアッパーで高々舞い上がり、そしてリング中央で大の字に伸びてしまう。

 

 

 

清々しいまでのTKOだ(泣)

 

 

ゴングが打ち鳴らされ、周りの観客妖精さんが歓声を上げ、紙吹雪とタオルが舞う。

 

・・・明日○ジョーかよっ!

 

お前ら、毎度ホントに容赦ないのな。

 

 

 

そこへ、また部屋に来客者が現れた。

・・・本気で助かった。

 

 

というか、さっきから遠巻きにこちらの様子を見て生暖かい視線と笑みを送っていたのは分かっていたが。しびれを切らして入ってきたようだ。

 

 

「しつれーしまーす!明石、入りたいでーす。」

 

 

「お、おうお疲れ、明石。」

 

 

「明石ちゃんは酒保番だったかな(汗) えっと、お疲れ様でした。売上げ報告書と入金かしら?」

 

 

「はい、その通りでーす。書類と金庫の返却です。

・・・はい、お願いします。

 

あ、それとー、提督?例のモノ入荷しましたので、引替え書類お持ちでしたら引き換えますよ。何ならこの場で、どうですか?」

 

「・・・そうか、では受け取ろうか。」

 

「あら、明石ちゃん。提督さんにお届け物?」

 

「むふふぅ〜(笑) それは提督さんから直にお話があると思いますよ。それじゃ、お待ち下さいね。」

 

 

程なく明石はラッピングした封書を持ってきたので、それを受取る。

 

 

「それでは、私は失礼しますね。お二人共、おやすみなさい。」

 

「ああ、お休み。」 

 

「明石ちゃんお疲れ様、明日も宜しくね。お休みなさい。」

 

 

明石が去り執務机の上の空いた皿を給湯室へと片付けたあと、彼女の淹れてくれたお茶を飲みながら先程の会話の続きを、彼女への・・・。

 

 

「・・・それで提督さん。何を御注文されたのですか?」

 

先程までの言い合いの熱は冷めて、普段通りに聞いてくる彼女・・・。

 

 

「他でもない、これを君に贈りたいんだ。」

 

 

「えっ、切符・・・?!まさか、私は転属、なの、ですか!!・・・そんなッ!!」

 

 

ダンッ!!!!

 

 

勢いよく立ち上がる彼女。

怒りとも悲しみともつかない顔をしている。

 

 

「いや!待て待てッ!!よく見てみろ!!」

 

 

慌てて彼女を制して話を続ける。

 

 

「えっ?!?!」

 

 

「往復券で2セット有る。それに、他にも大本営行き書類が入っているだろう?」

 

 

「あれっ、そうですね。すみません・・・・。それで、この旅行券は一体?!それにこの書類は??」

 

 

「・・・では、中を改めてみてくれないか」

 

 

そこには大本営の正式な書式に則り作成された、申請用紙が入っていた。

 

 

『練度上限解放申請用紙』

 

すなわち・・・

 

 

 

「・・・ケッコン(仮)!!」

 

「ああ。・・・随分と、本当に長い間待たせてしまったな。と、勝手に思っていたのだが受け取ってくれないかな」

 

 

そして、以前の○越コラボ作戦時の取引先から、とあるモノを購コッソリ入していた提督。

 

 

「それと、・・・これをどうか使ってくれないかな?君の手料理を毎日は・・・任務の都合で無理かもしれんが、出来る限りずっと食べたいのだが?!」

 

 

「・・・全く、もうッもうっ!!・・・提督さん。貴方って人は。」

 

 

「駄目・・・だろうか??」

 

 

そこには、熟練職人さんに設えて貰った彼女監修の俎板があった。

 

そして、伊勢と長良に頼んで手に入れてもらった、三重県・桑名に只1軒残る鍛冶屋に特別に鍛えて貰った、村正銘の和洋包丁のセット

 

 

 

「しょうがありませんね・・・、分かりました。」

 

 

 

「・・・わたくし、あなたとのケッコン(ガチ)謹しんでお受け致します。幾久しく、宜しくお願い致します。」

 

 

「あぁ・・・ありがとう。ん、ガチ?!」

 

 

「わたし、こう見えても一途で粘り強いので(笑)」

 

 

「・・・あぁ、良く知ってる。」

 

 

「で、あの切符は何ですか?」

 

 

「ああ、アレは九州にある蒸気機関車による特別列車の切符さ。通称ハチロクと呼ばれる8620型という機体でね。以前は戦艦三笠のように静態保存、いわゆる記念艦の扱いだな、それを再整備した機体だ。

・・・まぁ搭載されてる内燃機関やあちこちの部品は延命処置で新しくなっているが、元々の就役日は大正11年12月26日。・・・そう、お前の就役日と1日違い(前日)でな、配属も近所の浦上機関区で佐世保辺りを基点に活躍したんだよ。」

 

 

「それでは、私よりお姉さん・・・ですか!!

なんと、今でも現役で・・・凄い!!」

 

 

「まあ、軍艦と機関車の違いはあるが。それでも近々に引退が決まっているらしいから、今のうちにとな。」

 

「それでも、私同様に戦火に曝されながらも生き残り。しかも、長崎で活躍していたとなるとまかり間違えば・・・。」

 

 

彼女は終戦間際は呉に留まっていたこともあり、あの災厄とも言える惨状を知ってはいる。だからこそ思うところがあるのだろうか。

 

 

「その機関車に乗って人吉で温泉にでも浸かりに行かないか?・・・まぁ、新婚旅行とまではいかないがな?」

 

 

「はい、貴方(笑)・・・それで、そのお宿は部屋風呂なのですか」

 

 

「ブッフ!?!?・・・どっ、どうした急に?!?!」

 

 

彼女の淹れてくれたお茶を盛大に吹き出しむせ返るが、そんな状態を構うことなく

 

 

「だって、提督さんとケッコンですよ!!一緒に入るくらいは訳ないではありませんか?」

 

 

「や、やけにグイグイと来るなっ?!」

 

 

「軍艦の魂を受継ぐとは言え、人としての生にようやく馴染んできたのです。少しぐらいの贅沢は・・・。それに美味しい食事にお酒は、とても楽しみで!」

 

 

「そうだな。俺も誰に文句を言わせない働きをしなければなぁ。」

 

 

 

翌日、早速申請書類を鎮守府の皆が見守る中で書き上げ大本営に速達便で送り、そして数日の後・・・

 

 

二人が正式に結ばれたと証明する軍籍簿の写しと共にケッコン指輪が、大本営の大淀が直々に運んできてくれたのだ。

 

 

「提督さん共々末永くお幸せに、そして鎮守府の皆さんとの益々の御発展をお祈り致しますね。

 

・・・そして弛まぬ研鑽を積まれた功績にと新しく大規模改修が認められましたよ。何でも同型艦では第一号の栄誉です!!大本営発表長官からも、誠に良き縁に恵まれたのだなと御言葉を頂いていますよ。」

 

 

『第二改修許可申請書』

『改装設計図(第二改修用)使用許可証』

『試製甲板カタパルト使用許可証』

 

大淀より滅多にお目に書かれない書類一式を手渡された。

 

 

「まさか、こんなサプライズがあるとは!!これは、いよいよもって責任重大だな。」

 

 

「はい、提督さん!!私も公私共に、益々精進してまいります。」

 

 

 

彼女の眼尻に光るものがある。この光を決して鈍らせる事の無いように、益々明るいものへと出来る様に鎮守府運営に邁進しよう。そう誓う提督と、僚艦たちに祝福される彼女の姿があった。




SLの下りに関しては例の大人気アニメ映画のモチーフにもなってましたね。

鉄道も艦娘と同じように考えると、命が宿り意思や自我があるように考えられますんで(八百万・九十九神的な考え方でしょうかね)ハチロクとの会話も考えました。

ただ、そこでキャラ立てすると「○いてつ」まで引っ張り出すハメになり、そちらのファンの方の熱い想いも有るでしょうからサラッと流しました。(ただでさえ文章力が・・・)

あちらも丁寧な世界観が作られて素晴らしいなと思いますし、若干の鉄成分持ちの自分としても半端なことはしたくないなと。

ともあれ、二期アニメの悲喜こもごも有りますが艦娘も10年に向けて頑張って欲しいですね。
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