お気に入りつけて頂いてる方もお見えで。
ホントにありがたやという気持ちいっぱいです。
さて、今回は一航戦の青い方です。
今回は未実装の子に特別出演してもらいます。
幾ら何でも・・・と思われる方は・・・はい。
では、お付き合いの程を〜
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不具合修正しました(10/5)
お願い、通して貰える?
・・・ねぇ、退いて貰えるかしら。早く退いて!
退けぇぇっ!! いいから、そこ退けぇ!!
ーーありったけの大声、罵声でそこらの工廠員に対して怒鳴り散らす。
私は寡黙な態度ながら、内心かなり気短な性格と認知されていたが、ここまで怒鳴り散らすとは思われなかったようです。
私を取り囲む者達が、この艦娘をどう宥め落ち着かせようと、手を焼いているのが私にも分かる。
私は今、隣のドックの眠れる艦娘を“連れ去ろう”としている者たちへ猛烈な抗議をしている。
何故この様な事になっているかと言うと、
私は半日ほど前、この工廠で顕現した。
一航戦の魂と力を宿し、大弓と熟練の航空隊の力を宿した破魔矢を携え。深海棲艦を撃つべくーー。
そして、私の顕現した建造ドックの横に、隣の建造ドックに、もう一人顕現される筈だった
私と同じ艦娘の体。深海棲艦よりこの日の下を護る為に古の軍艦の力を宿し顕現した者。
私をやや幼くした様な背丈に女学生の矢がすりの着物に袴姿の艦娘・・・。
しかし、主砲や副砲等艤装を全く装備していない。
そして建造終了時間を過ぎても全く目を覚まさない。
そもそも“生きている”気配を感じない。
しかし私は、ひと目見ただけでこの年下の艦娘に郷愁を覚える様な懐しさ、愛おしさを感じた。
ーーそう彼女は私の姉妹艦二番艦として建造されていた『戦艦・土佐』それが彼女の名前だから。
私は、工廠を取り仕切る夕張(改ニ)と言う艦娘に、
「二人きりにして心を落ち着かせる時間が欲しいの、いきなり頼むのは図々しいの承知の上だけど、できるかしら?」
と願い出た。
夕張は流石に、私の事を不憫に思ったらしく工廠員を下げさした。そして、
「落ち着いたところでドック横の詰所に申し出てねっ。今日はもうドックの稼働もないから。」
と気さくに応じ、ヒラヒラと手を振って作業区画から離れてくれた。
二人切りになったところで、私は未だ目を開けぬ土佐へと独りごちる。
「何故目覚めてくれないの?いきなり私を・・・私独りで海原へと送り出す気なのかしら。大概にしてほしいものね。」
「貴方、私よりもずっと皆に愛されて大事にされて造られたのよ。このまま目覚めないなんて運命の悪戯なんて言葉では済まされなくてよ。」
「この鎮守府にいらっしゃるかわからないけど、元を辿れば長門さんや陸奥さんの姉妹艦だったかもしれない私達よ。皆からの期待の大きさ分かるわよね?」
「私達は、戦いある限り皆を護り続ける責任がある。例えこの身が魚雷に刺されても、爆弾に焼かれ吹き飛ばされ、機銃の雨に貫かれても、立ち続け護り続ける覚悟が必要なの。貴方なら尚更矢面に立ち続ける覚悟が必要よ、分かってるかしら。」
未だ無表情のまま、息をして動く気配が見えない戦艦土佐の様子を見守る私。彼女は建造炉の台座に依然として安置されたままだ。
私は顕現して補給も食事も摂らないまま、こうしているせいか、やや疲れてきた。そして少し“お姉さん”ぶってみたい気持ちが出てきてしまいました。
「私も私で、大概にしておかないといけないわね。」
誰に対して言い訳するのでも無いが、そう言葉にして土佐の上半身を抱き上げ、その空いたスペースへ座りそして、土佐を膝枕して髪を優しく撫でた。指通り良くサラサラ髪が梳かれる。
ーーーー太陽の日差しの下、陽射しにキラキラ光る土佐の髪。神々しく磨き上げられた主砲と副砲を装備した彼女に、僚艦として随伴する私や巡洋艦達・・・。
皆に、期待を込め力一杯に帽振れや敬礼で見送られ抜錨する私達を夢見る。そして会敵する。私の航空隊で先制し、土佐の主砲で薙ぎ払い、巡洋艦の子たちが仕留める。
やがて、凱旋。少々の被弾はあるものの皆で胸を張り堂々と帰港する。皆、晴れ晴れとした表情だ。
隣で土佐が柔らかく微笑んでくれるーーーー
私は、夢見た世界を幻視してしまっていた。
早く、動いている血の通った彼女と会いたい。彼女を撫でる手がだんだんと震え、彼女の生気のない生白い肌に涙がぽつぽつと落ちる。
やがて私は、顕現したあとの反動かウトウトとまどろみ始め、完全に意識を落としてしまった。
ーー・・・さん?・・・さん?あれ?んーと・・・んー。えーいっ!!とりゃっ!おーいっ、姉さーん?
何ぃ?
誰かが私の顔を弄ってくる。痛いわね、この・・・。
「頭にきました! 艦爆隊、艦攻隊発艦!!」
目をかっと開き弓を・・・あれっ、弓が・・・。
それにさっきまで私は・・・。
「きゃあっ!」
何?えっ、貴方・・・土佐!!
「と、土佐?土佐なのね。貴方動けるの?目が覚めたのね?!・・・そう、良かった、本当に。あ、誰だったかしら?・・土佐の事を夕張とか言う子に伝えないと。」
あらっ?詰所に居ないわ。何処に・・?っ?
急に、土佐が私の袖を引き寄せて話しかける。
「姉さん、落着いて良く聞いて下さい。ここは、現実世界ではありません。」
何を言ってるの、まだ寝起きで呆けているのかしら?
「今、姉さんが私への接触と想いが強まり感極まった為、一時的に精神的に繋がれた。そう言うのが一番しっくり来る状態です。」
「でも、あまりにも見えてる風景も。・・土佐、あなたも見たところ艤装が顕現されて無いけど、それ以外は不自然な感じは無いわ。」
「逆に言えば、それだけ姉さんの想いが強かったのです。ですので意識を落とす直前の景色は鮮明ですが、それ以上は意識外の世界ですので危険ですよ?!」
「・・・そう、解ったわ。限定的に夢の中で会えたと理解すれば良いのかしら。」
「姉さん?」 「何?」 「・・・。」 「何よ?」
「もっと狼狽えたりー、激しく否定するかと思ってましたが、案外早く理解してもらえて驚いてますー。」
「土佐?私の事を、ただの猪武者や橙武者(大阪の陣を勉強しましょう♪︙土佐談)とか言いたいのかしら、爆撃しますよ??・・・と言いたいのですが、不思議と落ち着いてます。姉妹艦とはいえ長く共に居ない分、姉妹艦としての縁と言うのみで、まだ共に生活したり戦った経験がない分、淡白になってしまったのかも知れないわ。」
「成程ねー。でも、こうもしないと一生、姉様に会えなかったから私としては嬉しいよ。だってー、姉さんの独演会を私独り占めできたんだものー(笑)!!これを幸せと言わなかったら、艦娘じゃないわー。」
「そ、そう・・・かしら?ちょっと恥ずかしいわね(汗)でも、そう言ってもらえるのは姉冥利と言えるわね。顕現して早々、こんなに恥ずかしい思いをするとは思わなかったわ。例え夢の中でもね。」
「そう、それよっ、姉さん!」
「それとは、何?」
「残念だけど、やっぱり私はこの世に顕現できないみたい、夢の中だけなの。艦だった頃に進水式はやって貰ったけど、艤装は付けてもらえないまま廃艦されてしまったからじゃないかしら?完成もせずに、戦わずで轟沈してたら世話ないわー。」
と、かなりあっけらかんと話す土佐。
「こればかりはねぇ、扶桑さんみたいな羽目に陥ったとしても海原へ出ても無いのに艦娘に顕現するのはおこがましいって、神様が待ったかけたのじゃない?!」
神様まで持ち出して話されたら何も言えないが。
でも、これは言わば“最期通告”と同義だ。
ーー土佐は一生顕現できない艦娘であるーー
と、言う事だ。
「貴方は悔しくないの?悲しくないの?艤装が顕現していないわ。でも、五体満足で会話は何不自由なくできる、問題は無い。貴方は、私と違って頭の回転が良さそうね?たとえ戦えなくとも戦術士官や武官として貢献することも可能だわ。」
「もし手先が器用なら、そこに居た夕張とか言う娘に弟子入して技術士官も目指せるのでは?前途洋々じゃないかしら?」
私は淡白に話し始めたつもりが熱くなり始めていた。
やはり土佐との姉妹艦としての、自分の予想以上に絆は太く強い物だった。姉妹として共に海に出たい。海に出られなくとも共に戦友として、同志として歩みたい。
僅かな時間でも、妹への想いは膨らみ募るばかりだ。
「姉さん・・・。私の為にそこまで思ってくれてありがとう!私をこんなに必要としてありがとう・・・。」
ーーっッ!!
いきなり、抱きしめ顔を私の胸に埋める土佐。
咄嗟のことに驚いたが、僅かに方が震えるのが解り、私も土佐を優しく抱きしめて、そして頭を撫でる。
「・・・っく、私ね、ホントにびっくりしたんだよ?体だけでも、この世に顕現するなんて。でも、この半日どう頑張っても覚醒できなかった。姉さんが覚醒したのは気付いたから、私も早く!!って思って頑張ったけど、どう願っても思っても無理で暗闇の中から浮き上がれなかった。すごく焦った、“置いてかないで、見捨てないでって”本当に怖かった・・・。」
「土佐、貴女・・・。よく挫けなかったわね、偉いわ。私なら、さっき見たいに罵って暴れて、誰彼構わず噛みついてるわ」
尚もまだ、顔を伏せたまま土佐の独白は続く。
「うん・・・。ありがとう姉さん。やっぱりね、1度は華々しく軍の偉い人に期待されて進水して。立派な主砲や頑丈な体を用意してもらった。でも、大人の都合で引っ掻き回されて、あと一歩なのに竣工中止で廃艦命令。梯子を外されるって言葉は、私の為にあるのかしら?って恨んだわ。・・・そして、姉さんの事も」
「えっ、何を言うの・・・土佐?!」
急に顔をあげると、声色が怖くなりきつい表情へと変わる土佐。先程までの天真爛漫と言う感じは消え、やや眼の周りは昏く影がある。そして、
「姉さんも、本来は完成されること無く廃艦処分だった。せめて浮かばれることの無い命、ならばせめて姉さんと一緒なら怖くない。そう思ったけど・・・」
「そうは、ならなかったわ・・・。私も“大人の都合”で廃艦処分を免れ、先代天城さんの代わりに空母へと換装工事を受け、一航戦として生を享けたわ。」
「あの時、姉さんと引き剥がされ
・・・工廠の隅に追いやられ
・・・艤装はあちこちに転用され
・・・遠く、黒潮の流れる海に連行され
・・・最期はタだの的よ。資材転用され誰かの血肉にすらナラない、憐レな標的艦!!」
段々と、土佐から不穏な空気が流れ始める。
しかし私は、目を逸らせない。逸してはいけないと心から訴えかけられる。
「・・・誰カハ知ラナイけど“土佐の〇〇”ナンテイッてタわね、本当ニお笑イ草ね。心の底から、爪先から頭のテッペンまデ、姉さんを恨んで呪って悶たわ!!」
そう言って、彼女は矢がすりの着物をはだけ上半身を晒した。私は、ただ見るしかできなかった。
・・・肌は醜い程どす黒く爛れ、そして赤く血走った様に明滅するヒビ割れた体があり、呪詛の札の様な物が体を纏う・・・。
土佐はもう深海の呪いに侵食され、まともで居られるのが不思議なくらいだった。
このままでは戦艦級の・・最悪、姫や鬼・・・否!!
私の妹、土佐である。この事実は譲れません!!
私の姉妹艦、ニ番艦・土佐と言う事実。
私は深海の侵食など構う事なく、土佐を抱きしめる。痛いかもしれないけど、全力で抱きしめた。
後悔・悔恨・戒告・告解・懺悔・・・色々な気持ちがありそれでも、1番に親愛の情を持って抱きしめた。
「貴女、馬鹿ね。本当に救いようの無い大馬鹿よ。」
「姉・・・サンその台詞、今ハ洒落ニならないよー(泣)」
「そうね、ごめんなさい・・・。訂正するわ、どうしょうもない大馬鹿ね。」
「それ、あんまり変わらないよ(泣笑)?!」
「それもそうね。でも、こうまでしても私の元まで会いに来てくれてありがとう、土佐。」
「姉さん、こちらこそ・・・ありがとう。」
「土佐、貴女の笑った顔を見せて欲しいの。私には似合わない表情だから貴方には私の一生分の笑顔を譲ってあげる。だから、二度と人を恨むような顔をしないでね。約束よ?」
私は、ありったけの涙と笑顔と愛情を土佐にぶつける様に抱きしめる。泣き笑いの顔を土佐へと擦り付ける。
ーー私の笑顔が、土佐を癒せるよう願いを込めて。
「・・・ったく、姉さんには敵わないわねー。ネームシップの強さかなー?でも、姉さんの気持ちすごく嬉しい!伝わったよ十分にね。」
先程までの昏く淀んだ顔と体は消え。最初の様にきちんとした姿の土佐がいた。
ただ、やや輪郭がぼやけ蒸気のような霧のような物が漂う。
「そろそろ抜錨の時間みたいね、私。」
「土佐・・・。よく私のところに来てくれました。本当にありがとう。・・・本当にかけがえの無い時間を作ってくれて感謝してるわ。離れ離れ・・に、なるけど本当に・・大丈夫?迷う事無いわね?あちらで諸先輩方には・・・失礼の無いようにね。」
「姉さん、つっかえたら説得力無いわよー(笑)・・・うん、姉さんの助言は大切にするね。あの新入りは恥知らずなんて言われたくないしね。」
「それと」 「何?」 「えっとね」 「何よ?」
「遠い将来、こっちに来る事になった時は、カッコ良い旦那さん同伴できてよね(笑)」
「ま、上からニヨニヨ楽しむけどね?」
「な、旦那様?!わた、とさ?」
想定外の別れの言葉に、素っ頓狂な声を出す私
「アッハハハハッ(笑)、姉さん、そんな顔できるなら多分大丈夫だわー(笑)」
「頭に来ました!!何て、冗談ですが・・・。」
「姉さん、本当に短い時間だったけど、会えて良かった。こんなに心が晴々として抜錨出来ると思わなかったー。戦艦級か戦艦棲姫になって、壮絶な姉妹喧嘩になると思ってたから。」
「それだと流石に、顕現したての私が相手どうこう出来ないわ・・。」
「それじゃあ、本当に行くね。行ってきます、姉さん。・・・戦艦土佐、抜錨よ!」
そして、土佐は明るく新たな世界へ旅立って行った。
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ーー・・・さん?・・・さん?あれ?んーと・・・んー。えーいっ!!とりゃっ!おーいっ、起きてー?
「何?痛い、頭に来ました?!
・・・また、土佐のイタズラですか!」
「きゃあっ?」
でんと仰向けに転ぶ艦娘。
・・・夕張。あなた結構可愛いの履いてるわね・・・。
「ごめんなさい、寝惚けてたわね。貴女、大丈夫だったかしら?」
「いえ、すいません。全然起きなかったから心配になって。ぷにぷにしてしまって。」
「・・ところで、土佐って誰です?もしかして、妹さんですか?土佐さんは顕現しないと言われてる艦娘です。大型の建造炉で、どんなに資材や建材注ぎ込んでも無理ですよ?」
「その様ね。でも、さっき私の横の建造炉で顕現したはずよ?」
「???」
「ちょっとまだ、顕現ボケが抜けないかな?」
「寝落ちしちゃう前にも話しましたが、今日の建造計画は“1艦”だけ、貴方だけですよ。」
そんな馬鹿な??さっきまで横たわってたはず?!
「土佐でなくても、誰も建造されて無いのね。」
「ええ。開発はしましたが、開発レーンはこの建屋では無いので。」
「そう・・・解ったわ。ありがとう。さて、私はこれからどうすれば良いかしら?提督への着任挨拶かしら。」
「そうですね、早速、執務室へ向かいましょう。」
「そうね、宜しくお願いするわ。」
「あと、お節介なのは承知の上ですけど、もう少し柔らかい表情された方が良いかなーと、思いますよ?」
「そう。助言ありがとう。・・・でもね、笑顔はあの娘の為に炉の中へ忘れてきたわ。」
「ふぇ?はっ?そう、ですかー。」
私は、土佐が理を捻じ曲げて、私に会いに来てくれたと悟った。それはかなり危険なものだったのではとも。
それでもあの触れ合えた時間は、かけがえない宝となった。
そして、時が経ちーー
「姉さん、こっちに来るなら旦那様を連れてこなかったら駄目といったはずですー。」
「土佐、あれは何かの冗談でしょう?私に喝を入れるつもりで・・・」
「真面目も真面目。大真面目ですよー。姉さんが旦那様を連れてこないから、神様が怒って“彼奴はもう一度下界に下ろして艦娘やり直し”だそうですよ?!」
「嘘でしょ?そんな馬鹿な?!やっと貴方と穏やかに暮らそうかと・・・」
「甘いよー、姉さん。姉さんの力は偉大なんですから、えっへん!!」
「あなたが言う事?!・・・まあ、良いわ。頭にくる様な奴は、片っ端から黙らせて戻るから。もう少し待ってて頂戴。」
「解りました、姉さん。お土産はイケメンな旦那さんでねー(笑)」
「貴方、どこからその言葉を??」
「姉さんの事は上からお見通しよ。(キラキラッ)」
「・・・。」
最後まで、読んで頂きありがとうございました。
土佐に関しては完全に未実装なんで、妄想の世界でございます。
何で、衣装や言葉遣いは皆さんで置き換えていただければね幸いかと。
姉が素っ気無い分、明るく朗らか系な妹が良いかなと思い、今回のような口調・正確にまとめました。
妹と別れ、現代に復活してまだまだ頑張るお姉ちゃんを応援できればと思います。