ドラゴンボール・Z ありえたかもしれないもう1つの未来 作:Humiya
太陽の明るい陽射しによって目を覚ます。
俺は窓から外の景色を見る。この辺りは人造人間達に襲われておらず、綺麗な街並みをしている。けれどこの風景を見る度に平和な日常を壊され、大切な人やものを奪われた人達のことを考える。
ある日突然襲ってきた人造人間……人造人間17号・18号はとんでもない強さだ。超サイヤ人となった俺ですら1人を相手することに精一杯だ。
奴らは2体。ならばこちらも2人で挑めば勝機は必ずある。トランクスももう少しで超サイヤ人になれるはずだ。そう出来るように今日も修行を欠かさず行う。
(トランクスは起きているだろうか…)
そう思い、俺は道着の帯を締め部屋を出る。すると、家の外からトランクスの声が聞こえてきた。
どうやら俺よりも早く起きて修行を行っていたようだ。
「おはよう。トランクス」
「おはようございます。悟飯さん!」
家から出て声を掛けると元気のいい返事が返ってきた。トランクスの身体を見るが、筋肉も付きガタイも中々よくなってきており、修行の成果が着実に出ていることが伺えた。
「精が出るなトランクス。しっかり疲れは取れたかい?」
「はい。大丈夫です!かあさんの美味しいご飯と沢山睡眠を取って元気いっぱいです!」
「そりゃ良かった」
食べることはいいことだ。死んだ父さんも母さんの料理を沢山食べていた。俺だってそれなりに食べれていたと思うが父さんの食事量には及ばないだろう。そして睡眠も同じぐらい大切だ。ましてやトランクスは成長期。沢山食べて、よく眠ることが強さにも影響を与える。
「それじゃあ、準備運動は済んでいるようだし向こうで修行を始めようか」
「よろしくお願いします!」
*
西の都から少し離れた場所に移動してきた。ここなら被害を心配する必要が少ない。と言ってもあまり被害の及ぶような修行はしないのだが…。
トランクスと十分に距離取った俺は手を上げて開始の合図を告げる。
「ハァァァァ!!!」
開始の合図と共にトランクスは気を解放する。もちろんのことながらトランクスには常に全力で挑んで来いと言ってある。気を解放したトランクスは素早い動きから拳を放ってくる。俺はそれをすんでのところでかわしていく。トランクスがパンチを止め、左足を軸に回し蹴りを俺の頭目掛けて的確に狙って来た。
「いいぞトランクス。その調子だ」
その蹴りを左手で防御する。それを起点に今度はこちらから攻めて行く。右手からワン・ツーと拳を振るう。トランクスはそれをしっかりとガードしてくる。そこで俺は足元からすくうようになぎ払いを行なう。
トランクスは俺にバランスを崩され宙に浮く。浮いた身体を地面に着かせることなく足をなぎ払った勢いでトランクスの腹部に蹴りを入れる。
「ぐあぁっ!」
防御が出来ず、俺の蹴りを食らったトランクスは苦しみの声をあげる。地面を少し削りながら数メートル飛ばされ、ようやく止まったようだ。すかさず俺は気弾を放ちトランクスに急接近する。気弾がヒットしたあと少しの間をとり右拳を放った。
しかし、それはトランクスに当たることなく地面を抉る。
「――!!」
どうやらトランクスは俺の攻撃をギリギリでかわすことで反撃の機会を得る作戦だったようだ。
「タァァァ!」
トランクス渾身の気弾をかわすことは叶わず、両手を使ってガードする。流石の俺もこれにはその場で耐えきることが出来ずに少し後退してしまった。気の使い方も慣れてきて中々様になってた。
(やっぱりベジータさんと似ているなぁ…)
ベジータさんと言えば気弾を駆使した闘い方が主流の戦士だ。気弾で相手の出方を見て、それに対応する形で戦闘を展開して行く。父さんはどちらかという接近戦が多くカウンターを狙っていく戦法だった。
などと考えているうちに俺が怯んだとこにトランクスは追撃を仕掛けてくる…。
「ハァァ!」
飛び込んでくるトランクスに対し、俺は気の砲弾『気合砲』を放ちトランクスの身体を吹き飛ばす。今のは少し危なかった。『気合砲』のカウンターは人造人間達にも有効な手段になっている。
俺は『気合砲』で吹き飛ばされたトランクスの元に行き、手を差し伸べる。
「大丈夫かいトランクス?」
「大丈夫です。今のはいけたと思ったんだけど……」
「いや、今の攻撃は良かったぞ。最後の部分でもう1フェイント入れられたら攻撃を通せたかもな」
トランクスのことを起き上がらせながら今の攻撃を評価してあげると少し嬉しそうな表情を見せた。トランクス自身も自分の実力が上がってきているのを実感出来て、ワクワクしているだろう。
*
少し休憩をしようとトランクスと近くの岩場に行き、腰を降ろす。トランクスも隣に座り持参していた水筒から水分を補給している。この後は超サイヤ人になるための修行をする予定である。それについてトランクスに聞いてみたいことがあった。
「トランクス…君には守りたいもの、救いたいものはあるかい?」
「はい?」
「俺には沢山あるよ。この世界や君にブルマさん、母さんも。そのためにこうして日々人造人間と闘っている。」
俺の言葉を聞きトランクスはしばしの間自分の想いを確認しているようだった。少しするとトランクスは自分の想いを話始めた。
「僕はまだまだ力不足で、いつも悟飯やかあさんに迷惑をかけちゃってるけど、とおさんや他の皆さん、そして何より悟飯さんが守って来たこの世界を僕は救いたいです。」
トランクスの熱い想いが伝わってきた。時間は掛かると思いますけど…とトランクスは自信なさげに付け加えた。そんなことはないはずだ。何故ならあのベジータさんの誇り高きサイヤ人の血が流れているのだから。
そういうことなら、、
「よし!修行を再開するぞトランクス!」
「はい!悟飯さん!」
*
「ハァア!!」
俺の視線の先には気を上げているトランクスがいる。まだ気は白に近い透明な色をしており、超サイヤ人特有の金色のオーラは出ていない。
この修行も少し前から行っており、超サイヤ人というのは『激しい怒り』によって目覚めるものである。気を最大限に高め、そして自分の中の秘めたる怒りを解放することよって超サイヤ人になることが目的だ。
「トランクス!君の怒りはこんなものか!この世界を救うんじゃないのか!」
俺もトランクスの怒りを促すように鼓舞をする。俺の言葉を受け、トランクスは更に気を高める。
「うぉぉぉあああ!!!」
最後の力を振り絞り気を極限まで解放した。だが、その持続時間は長くなく少しするとトランクスの気は一気に減る。
(―!! 今のは!?)
周りの気が消えるその瞬間、一瞬だが白色だったトランクスの気が金色に変わっていた。俺の思った通り、もう少しで超サイヤ人になることが出来るだろう。
トランクスはその場で座り込んでしまい、ハァハァと息を切らしている。今日はこんなところだろう。今日はトランクスの超サイヤ人への兆しが見えて成果も十分にあった。
トランクスも俺も同じ気持ちだ。この世界を守り、救うために明日も絶望と闘う……。俺の視線の端には綺麗な夕日が映っていた