夜明けの狩人   作:猫又提督

14 / 22
前回から7日経ちました


第14話

名前こそあれだが、見た目はおかしくはない。中も、THEコンビニというわけではなくゲームで見るようなお店だ。商品は様々。弁当と書かれていたり、水、薬、雑貨も売っていてここはコンビニっぽかった。

 

「ここ、ちょっと高いんですけどずっと開いているしそのまま食べられるので便利なんですよ。」

 

それはまあ、コンビニエンスストアだから。入ってきたときに店員さんが「いらっしゃいませー」と気の抜けた挨拶をする。ああ、深夜のコンビニってこんな感じなんだろうなあとくだらないことを考えながら女の子についていく。

 

「どれにしますか?好きなの選んでください。」

 

この世界の物価がどれほどか分からないが隣から、これはちょっと…おいしそうだけどもう少し安かったら…と聞こえてくるのでやはりちょっと高いのだろう。ここは一番安いのを選んであげたほうがいいだろうが、それだとまた怒らせてしまいそうなので真ん中からちょっと数字が低いものを選んでおいた。

会計を済まし、また宿まで戻る。また色々と女の子に近づこうとしていたので殺気を出しながら。

部屋で弁当の蓋を開ける。入っていたのは白米に野菜炒めのようなもの。それと肉が2枚。うーん、中世に白米は似合わないなぁ。

 

「うふふ。これ、コンビニでしか売ってないんですよ。なにも、とっても遠くから渡ってきたものだとか。」

 

だろうな。おそらくあっちの世界のものが何かしらの理由でこっちまで迷い込んできたのだろう。図書館で地理の本を覗いたが、異世界からやってきた国王のことが乗っていた。その国はコンビニであふれかえってたりするんだろうか。

遅めの夕食を済まし床につく女の子。当然狩人である彼女は眠らず一人夜空を眺めていた。そういえば女の子の名前を聞くのを忘れていた。明日の朝聞いておこう。ここも、あっちと変わらない月が浮かんでいる。ぴょん、と何かが窓から飛び込んだ。猫だ黒ぶちの猫が窓から入ってきた。月の光が淡く毛を照らしている。猫は机の上で座り尻尾を時折ゆらして彼女を凝視する。彼女もまた猫を見る。互いがしばらく見つめ彼女はゆっくりと手を差し出した。猫は近づき何度か彼女の手をスンスンと嗅ぎスリっと頭を手にこすった。両手を伸ばして猫を撫でる。彼女は一晩中猫をなでて過ごした。

 

夜が明け、空が白んで来た頃、それまでずっと撫でられ続けていた猫が急に彼女の手から離れ入ってきた窓から出ていってしまった。それと同時に寝室の扉が開き、女の子が起きてきた。

 

「ふわ〜。おはようございます。」

「おはよう。」

 

女の子は少し寝ぼけながらもテキパキと準備し30分立たない頃には2人分の食事が並んでいた。

 

「悪いわね。色々と。」

「いえ、いいんですよ。私も一人で寂しかったですし。」

「…そういえば、私あなたの名前を聞くのを忘れていたの。あなた、名前はなんていうの?」

「私はフレデリカといいます。」

「フレデリカ、ね。私は、暁よ。」

 

ヨアケと言う名はあくまであっちの暁と区別するため。本名は暁だ。

 

「アカツキさんですか。あまり聞かない名前ですね。どこから来たんですか?」

「暁でいいわよ。…異世界って言っても通じるかしら。」

「異世界?…あーそうなんですね。へー、初めてだなあ、こんなに近くで見たの。」

「結構いるの?そういう人。」

「ええ、そこまでって言うほどではありませんが時折見かけることはあったので。」

「そうなの。」

「はい。話しかけられたことも数回ありましたね。」

 

思ったよりいるもんだな。自分みたいに誰かに連れられてくるんだろうか。…あ、そうだった。話すことがもう一つあった。

 

「ねえ、私あなたの仕事を手伝おうかと思うの。」

「え、ええ?」

「一週間も泊まらせてもらうのに何もしないのは流石にあれだわ。」

「で、でも…。」

「あと正直なことを言うと私今お金がないの。知り合いの人に貰うのを忘れちゃったの。欲を言えばお金もほしいなあって。」

「ああ、そういう。日雇いですか…私が言うのも何ですけど司書ってあまりお金にならないですよ。」

「あなたがそれを言ったらおしまいじゃない。」

「私は元々司書を目指していたので…時間を掛ければまともな金額はもらえますし。でも暇ですよ、私みたいな本の虫じゃないと。」

「大丈夫よ。私も虫だから。」

「…館長に頼んでみます。人手不足なので断られましないと思います。」

「助かるわ。」

 

 

 

結論から言えば彼女は司書として働けることになった。給料もその日ごとに出る。人手が足らないというのが案外深刻なようで已む無く給料を引き上げているがそれでも集まらないらしい。

仕事はフレデリカが教えてくれた。昨日見た限りでは一日中座って過ごしていたように思ったが、意外にもかなり動き回る。図書館は別の町の図書館と繋がっていて、ほぼ毎日本の移動が行われている。こっちから別のところへ貸し出すものや、逆に向こうからこっちへ貸し出された本が地下の倉庫へ山積みになっている。それを対応する棚へおいていくというものだ。確かにこれは誰もやりたがらないのも頷ける。彼女は初日なのでかなりもたついたがフレデリカは流石先輩というか、テキパキとこなす。

昼も過ぎた頃やっと一連の流れが終わった。

 

「…ぅ。やっと終わったわ。フレデリカは凄いわね、あんなに早く。」

「いえいえ、アカツキも凄いですよ。最後の方は結構慣れてたじゃないですか。私、慣れるのに結構時間かかったのに。」

「ふふ、それはフレデリカの教え方がうまかったからよ。」

「そんなー、お世辞でも嬉しいです。」

「本音よ本音。」

 

あとの時間は閉館まで入り口近くにある席に座り、貸出なんかを希望する人の対応をすればいいという。昨日彼女が見たのは、この光景だったのだ。彼女たちの他に数人ここから離れたところに司書として座っている。ここは図書館としてはトップクラスに大きいらしい。やはりそうなのだろう。彼女もここまで大きい図書館は見たことがなかった。だから人手不足もその分顕著なのだろう。

あとの時間は彼女にとって幸福そのものだった。好きな本を好きなだけ読める。今日散々歩き回ったおかげである程度ジャンルの場所を覚えたので見つけるのも簡単になった。フレデリカもそういう。

閉館まで時は過ぎた。今日は本の貸出を願うものはいなかった。図書館に来る人はそこそこいるのだが、借りる人がいないのは不思議だ。

 

「そうですね。本を借りる人は滅多にいません。借りても結局夜になればここと同じで暗くて読めませんし、明かりをつけても読みにくいですから。ここのほうが窓も大きいですし明るいんですよ。何より本がたくさんありますから。本は高価なんですよ。」

 

フレデリカはそういう。そうか。確かに昨日フレデリカと出会ったときはあたりに明かりはほとんど見えなかった。因みに本の値段がいくらぐらいか聞いたところ、昨日のコンビニの弁当の10倍以上はするそうだ。…それは図書館で読んだほうが絶対にいいな。

閉館したあとに行うのは軽い見回り。まだ人がいないか、忘れ物がないかを確認する。終わったら館長に報告、それで帰れる。彼女は約束通りその日の給料をもらった。相変わらず基準が分からないがだいたい本が2冊買えるぐらいだ。案外もらえるものだ。

 

「さ、早く帰りましょう。あまり外にいると危険ですから。」

「どうしたのよ。昨日はそんなに慌ててなかったじゃない。」

「本当は人間があまり出歩くもんじゃないんですよ、夜に。人間じゃない人もここにはよく来るので昼は人気が多いのでおとなしいですが、夜だと襲うことがありますから早く帰ったほうがいいんです。私達司書は仕事が夜遅いですから尚更。」

 

その割には昨日結構ルンルンとコンビニに行ってた気はするが、まあ昨日実際にフレデリカを攫おうとしてたやつは見たし本当なのだろう。余計なことはせずにさっさと帰ろう。

 

今日は幸運にも幸運にも何にも会わずに帰ることができた。帰るとフレデリカは早速夕食の準備をしだした。

 

「あら、いつの間に買い物に行ってたの?」

「昼休みのときです。いつもそのときに行ってるんですけど昨日は昼休みがなくなっちゃうぐらい忙しかったんで。やっぱり、食材を買って作ったほうが安上がりでいいですよ。」

「そうね。」

 

夕食を食べたらフレデリカはさっさと寝てしまった。夜遅くまで仕事をしてそこから夕食の準備をするとなるとかなり疲れるだろう。彼女自身負担になっているのでは、と少し思うがフレデリカは自分のためだけに作るよりかは誰かに作るほうが全然いいと言ってくれる。

夜も更け、今日も月が浮かぶ。この世界では何故か狩りをしたいという欲求が浮かんでこない。それほど自分が満足しているのだろうか。今頃鳴子はどこで何をしているのだろうか。ヒョイッとまた窓から猫がやってきた。昨日と同じ柄の猫。今日は最初から彼女の膝に乗り喉を鳴らしている。彼女はまた一晩中猫を撫で続けた。

 

 

 

翌日、図書館へ行くと館長と先に来ていた司書が話し込んでいた。

 

「おはようございます。あれ、どうかしましたか?」

「おはよう、いや実は少し困ったことになってね。」

 

話を聞くに、今日ここから別の町の図書館に本を送る予定だったと。最近その道中に猛獣に襲われることが増えたため護衛を雇っていたそうだ。しかし、今朝今日護衛につく予定だった人が体調不良でついていくことができなくなったそうだ。今から新しく護衛をしてくれる人が見つかるかわからないし、かと言って護衛もなしに出すわけにもいかない、ということだそうだ。

 

「誰か、代わりの人が見つかるといいんだが……因みに君たちは……。」

「まさか、無理です。」

「私もです。」

「私も。」

「私はいけますよ。」

「いや、いいんだちなみに聞いてみ……え?」

 

手を挙げたのはもちろん彼女だ。本業なところまである。猛獣から守る、要は獣狩りということだ。

 

「いいのアカツキ!?」

「まあ、私はそれが本業だから…。」

「ほ、本業?」

「いや、この際何でもいい。助かったよアカツキ。幸い護衛する道は途中で別もひとと交代するからその日には帰れるはずだから。」

「では、私は今日はそっちに行きますね。どこへ向かえば?」

「正門に行けば業者がいるはずだ。これを持っていきなさい。」

 

渡されたのはこの図書館のマークがついた首飾り。

 

「気をつけていってきてくださいね。」

 

フレデリカに見送られて図書館を出る。制服から狩装束に着替えた彼女は言われたとおり正門に向かう。業者の外見を聞き忘れたが多分見ればわかるだろう。

そうこうしていると、正門が見えてきた。業者は…ああ、多分あれだ。荷台に大量に積まれた本が見える。

 

「あの…。」

「あ?……ああ、君が?」

「はい。よろしくお願いします。」

 

業者の人は彼女の姿を訝しんだが首飾りを見て納得したようだ。待機していた牛を歩かせ正門を出る。

 

「今から20kmほど歩く。そこで交代だからそこまでよろしく。」

「わかりました。」

 

森の近くに大きな街があるので門をでればすぐに森に入る。轍にそいながら荷物を牛に引かせる。荷物である本が大量な上に引っ張っているのが牛ということでかなりスピードが遅い。

 

「お前、男か?女か?」

「はい?」

「いや、その見た目だからよ。性別がどっちか分かんねえんだよ。声は女っぽいが。」

「私は女ですが。」

「まじか…大丈夫なのか?」

「ええ、心配はご無用。本業ですから。」

「そうか、そこまで自身があるなら…ともかく頼むぜ。俺はせいぜい逃げんのが限界だからよ。」

「はい。」

 

森はすぐに深くなり。辺り一面が木となった。もはや目印は通ってきた道だけでそれでもすぐに前後がわからなくなりそうだ。

 

……聞こえた。狼の鳴き声だ。少し遠いが、気づかれたか。

「…おい。」

「はい、聞こえました。まだ遠いようですが。」

「このまま気づかれずに行ければいいが…少しスピードをあげようか。」

「そうですね。あまり早すぎると揺れる音で気づかれるので程々に。」

「あいあい。」

 

歩くスピードを少し上げた。……音がした。遠くから茂みの音が。だんだん大きくなってくる。こっちに近づいてきているのか。まさかバレたか。武器を取り出し、聞こえてきた方向へ体を向ける。来る、来るぞ。段々、段々と大きくなっている。速い。走ってるな。人間のスピードじゃない。獣だ。

 

「おい。どうした。」

 

気づいていない業者が牛を止めた。まずい。彼女は海へあまり人を守りながら戦ったことがない。これだと後ろを気にしてなかなか戦えない。

 

「危ないですから私から距離をとって。」

「は?何を…」

「いいから!」

 

バッと茂みから飛び出てきた。狼だ。狼ではあるが体躯が異常に大きい人間以上ある。いや、それどころかこいつは…ヤーナムにいるような狼じゃないか。




あれ?クトゥルフ要素は?ブラボ要素は?艦これ要素は?
いつの間にか2次創作という名のオリジナル小説みたいになっちゃってる………

誤字脱字等ありましたら遠慮なくどうぞ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。