夜明けの狩人   作:猫又提督

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9日経ちましたね
すみません、遅くなりました。
年末年始塾に8,9時間篭もるとかいう狂気じみたことしていたので日にちとか曜日感覚がバグってました


第15話

どういうことだ。町中で人攫いを見たときから違和感はあったがこいつまでいるのはいくら何でもおかしい。なぜかは分からない。考えられるのは何らかの理由でヤーナムから迷い込んできたか、それとも獣の病がこっちまで媒介されたか。後者はないと思いたいが、一先ず荷物を守らないと。幸いにも獣が狙っているのは自分だ。

 

「今のうちにできるだけ遠くへ!」

 

いや、駄目だ。こいつが1匹とは限らない。この場からできるだけ離れてはほしいが目の届かないところまで行かれると守りきれない。やっぱり戻って…と言おうとしたとき、その思案どおりもう一匹が飛び出した。しかも狙いは業者のようだ。

彼女は酒瓶をとりだす。血の匂いがするこの酒を業者に向かう獣めがけ投げる。見事瓶はあたり、割れ、中身がぶちまけられる。人間はきつ過ぎる、しかし血に酔う彼女には心地いい匂いではあるのだが。中身をまともに浴びた獣はその場でのたうち回るが、そこに彼女を狙っていた獣が噛み付いた。噛みつかれた獣は、血の匂いで混乱しただ同じ獣に食い尽くされるだけであった。1匹になった獣を彼女はすぐさま処理し業者に向かう。業者は荷台によりかかり息を切らしていた。

 

「はぁ、はぁ。な、なんだあいつ。あんなの見たことないぞ。」

「見たことないの?」

「狼はあるさ。でも、あんなデタラメな大きさしたやつは見たことねえぞ。あんなのに襲われたら命がいくつあっても足りねえぞ。」

 

あいつがここの固有種という楽観的な考えは打ち砕かれたわけだ。ということは必ず原因がある。今すぐ調べたいが今は課せられた仕事を全うしなければ。

 

日も傾き始めた頃、道の向こうで仰々しい格好をしたやつが自分たちを見つけて近づいてきた。そいつは持っていた紋章を見せながら話しかけてきた

 

「やあ、やあ。私が護衛を引き継ぐものです。あなたが前任?若いねえ。女の子じゃないか。」

 

鎧をガシャガシャと鳴らしながらやって来たそいつは、見た目の割に声が若かった。お前も若いだろうが。

 

「あまり見くびらないほうがいいぜ。この子には十分助けられたんだ。それじゃ、ここまでありがとうな。またあいつに出会わないように祈っとくよ。」

「…あなたも無事でいられますように。」

 

ここまで何度か普通の獣には出会ったが結局あの狼に出会ったのはあの時だけだった。森は暗くなるのが早い。日が傾き始めたばかりだというのにもう薄暗くなっている。例の場所は依然として死体が転がっているがハエやなんかは一切ちかよっていない。出てきたのはこの茂みの奥。すでにかなり暗くなっているがそんなことを気にせずに進む。進んでいくうちに血の匂いがしてきた。そこらの動物ではない。人間でもない。獣の病に侵された者の独特の血の匂いだ。進むたびにどんどん濃くなっていく。酔いしれそうになるのを我慢しながらその中心地にへと進む。

ふと、開けた部分が見えてきた。おそらくあそこが中心地。そこは半径5m程度の真円上でその真ん中に何かある。

 

「何で灯りが……。」

 

あの灯りだ。だが少しデザインが違う気がする。ここは灯りしかないように思えるが明らかに血の匂いの強さが異常だ。まるでヤーナム中の獣の血を集めたみたいな匂いの濃さ。彼女も理性を保つのに苦労するほどだ。

途端に感じる気配。人ではない。エヴェリンを向けると森に逃げるローブ姿が見えた。

 

「待ちなさい!」

 

エヴェリンを相手の足めがけて発砲する。が、当たったローブ姿は霧散してしまった。

 

「な、クソ!」

 

どこぞの森のババアを思い出す。鐘の音はしないが、啓蒙の多さが裏目に出ている。段々分身が増えていってる。しかしその全てが森に逃げている。完全に逃げる気だ。彼女を襲おうというのではない。是が非でも逃げる気だ。おそらく奴が獣を呼び出した張本人なのだが捉えようにも360度どこを見ても同じ格好をしたやつが森に逃げていってる残念ながら追いかけるのは無理だ。そのまま見送って見えなくなった頃不思議と血の匂いも段々と薄れていって更にはあの変わったデザインの灯りも消えてしまった。

かすかに残る血の匂いを辿ってもとの道まで戻ってきた。相変わらず死体がそのまま転がっている。多分この獣はあのローブに呼び出されたんだろう。だが、このままにしといても病を振りまくかもしれない。燃やしておこう。あの業者は獣の血を浴びてないから大丈夫なはずだ。ここで燃やしては森に引火してしまうかもしれない。森と城壁の間は平地があるのでそこで焼いてしまおう。

 

平地の岩場まで死体を引きずり日をつけた後街へと向かう。日は沈み、すっかり暗くなっていた。図書館はすでに閉館時間になっていたようで、入るやいなやフレデリカに飛びつかれた。

 

「遅かったじゃないですか!」

「ごめんなさいね。思ったより時間がかかってしまったわ。」

「いやいや、無事でよかったよ。はい、これ今日のぶんね。今日はホントおつかれ。多めに入れといたよ。」

「すいません、ありがとうございます。さ、帰りましょう?」

「はい。」

 

 

 

深夜、今日も猫を撫でながら彼女は月を眺めていた。眺めながら彼女はあのローブ姿を思い出していた。

ローブ姿の顔は見えなかったが、走り方は男の走り方に見えた。ただ、彼女も狩人をやっていく上で走り方は変わってきたので、ローブ姿が男なのかは分からない。身長的には高すぎず低すぎず。体躯はローブのせいでよく分からなかった。そしてあの変わったデザインの灯り。彼女が知っているものよりも色が少し暗く、模様はあまり変わってないが、彼女が使うものが釣り下がっているいわゆるカンテラ状のものであれはどっちかというと街灯に近かった。ポールに直接くっついている。あのタイプの灯りは見たことがない。それ以外に特徴はなかったが一番不思議なのはあのローブがいなくなって、血の匂いも、あの灯りすらも消えてしまったことだが、どれも彼女には初めてのことであって全く見当がつかなかった。

 

残りの日数、幸いにも何も起こらず、彼女にとっては読書に耽ることができるという幸せな日々を過ごした。しかしそれも今日でおしまい。明日には鳴子との待ち合わせの日だ。

 

「一週間だけだったけどありがとうね。」

「一週間がまるで一ヶ月のようでしたよ。私もこんなに楽しい日々を送れたのは久しぶりです。やっぱり誰かと一緒に過ごすのが一番ですね。」

「そうね、一人は寂しいものね。」

 

昔の妹たちが思い浮かぶ。今はもういない3人。墓参りぐらいしたいが遺体がどこに行ったのかわからないし、どうせどこかに収容されているかすでに別で埋葬されたのだろう。

フレデリカはその日遅くまで起きていた。明日も仕事じゃないのかと聞くと休暇を取ったらしい。

 

「はぁ、寂しいなぁ。」

「大丈夫よ。貴方には私以外にも色々な人がいるじゃない。」

「でもー、家に帰ったら一人なんですよ。」

「じゃあ、誰か一緒にいてくれる人でも見つけたら?」

「う…それは、また…別にどこかで……。」

「うふふ。そうしていると色々と逃すわよ。」

「まるで、知っている風ですね。私と同じぐらいでしょうに。」

「さあ?見た目で判断してはいけないわよ。」

「…ふぁ。」

「大丈夫?眠いなら寝てしまってもいいのよ。」

「いえ、今寝たら絶対にアカツキの見送りができませんのでこうなったら徹夜します。」

「今まで徹夜しなかった人が急にできないわよ。」

 

案の定そこから30分もしないうちにフレデリカは寝息を立て始めた。それを見計らったかのように猫が窓から入ってきた。

 

「あなたとも今日で最後ね……そうだ、私が出ていったあと、この子と一緒にいてくれないかしら。この子すっごく寂しがり屋だから。」

 

猫は理解したのかしてないのか分からないような返事をして、喉を鳴らす。彼女も微笑を浮かべ猫を撫でる。

 

空が白んできた。いつもならこの頃に猫は彼女の膝からおり、出ていってしまうのだが今日は未だに彼女の膝の上までいた。やがて日が昇り始め、活動が早い人間たちが何かしらの準備をする音が聞こえてきた。

 

「…そろそろ行こうかしらね。…頼んだわよ。」

 

猫に念押しをし、そこらにあった紙に『私にはもう必要ないから全部あなたが使ってちょうだい』と書いて今までの給料が入った封筒を置き、最後に自分の帽子を置いておく。なに、もう一式分の予備がある。一つぐらいどっかにおいていったって問題はない。

 

「世話になったわ。」

 

フレデリカを起こさないように静かに扉を閉め1階に降りる。準備で起きていた宿主に別れを言って外に出る。彼女は制服から装束に着替えて鳴子との待ち合わせ場所に向かった。

 

待ち合わせ場所である正門前、そこにはすでに鳴子がいた。

 

「あれ、もういたんですか?早いですね。」

「いえいえ、暁さんも十分早いと思いますよ。まだこんなに朝早いのに。」

「時間がわからなかったので取り敢えず早めについとこうと思って。」

「なるほど、時間厳守ですね。」

「そう、ですかね。」

 

時間を決めてないのに時間厳守ってあるのだろうか。いやそんなどうでもいいことはどうでもいいんだ。

 

「それで、鳴子さんの用事ってなんなんですか?」

「あ、そうですね。じゃあ、取り敢えず行きますか。」

「行くってどこへ…?」

「北です。」

「北。」

「北です。」

「はぁ。」

 

北と抽象的に言われてもよくわからないが、鳴子に言われるままダイラス=リーンの街を出る。北に向かいながら森に入りしばらくしたところで鳴子が止まった。

 

「じゃあ、飛びますね。」

「…はい?」

「飛びます。」

「なんでです。」

「目的地まで歩くと死ぬほど時間かかるからです。」

 

そう言うと、鳴子の体からメキメキと骨が折れていっているかのような音がしだした。

 

「え、ちょ、大丈夫ですか⁉」

「心配しないでください、ちょっと体を作り変えてるだけですから。」

「か、体を?」

 

やがて鳴子はうずくまり、四つん這いになった。再び彼女が声をかけようとすると、背中から来ていたローブを貫いて何かの骨組みのようなものが出てきた。鳴子が痙攣し始めた。すると今度は骨組みのようなものからどんどん羽が生えてくる。痙攣し終わり、立ち上がった鳴子には見事な翼が生える結果となった。

 

「さ、これで飛べますよ。ほら、手を繋いで。」

「え、は、はい……うわっ!?」

 

突然のことで理解の追いつかない彼女は言われるままに両手をつなぐと、途端に鳴子はそのまま飛び上がった。

 

「う、うわぁ、飛んでる。」

「うふふふふ。こっちのほうが楽でしょう?このまま行きますよ。」

 

ビュンと速度をあげ北に向かって飛ぶ鳴子。しかし速度をあげたせいで彼女の手にかなりの負担が生じ、結果早々に握力が限界を迎えようとしていた。

 

「ちょ、な、鳴子さん!あ、握力が!握力がもう!」

 

いくら狩人をしていて人間離れしている彼女でもまだ人間をしているので流石にキツイのだが、高速で飛んでいるせいか鳴子は全く気づかない。

 

「ちょ、も、もう無理……あっ。」

 

手が、抜けた。

 

「え、暁さん?暁さーん!?」

 

重力と慣性に従い斜めに落ちていく彼女。下にはまだ森が広がっており、うまく行けば葉が衝撃を吸収してくれるだろうが、最悪枝が刺さる。あの木に落ちるなと思っていた頃に何かに服を捕まれ、そのせいで服が腹に勢い良く食い込んだ。

 

「おゴォ!?」

「だ、大丈夫ですか?」

「ちょっと大丈夫じゃないです……。」

「と、取り敢えず一度下ろしますね。」

 

地面におろしてもらうと圧迫された腹が戻りまた痛みが走り出す。その痛みに耐えること数分、やっと落ち着いてきた。

 

「大丈夫ですか。なんで突然落ちたりなんか…。」

「すみません…握力がなくなてしまって…。」

「握力?」

「すごい速さで飛ぶもんですから、とても引っ張られるんですよ。」

「…ん、えっとぉ……あ、あーあー、なるほどそういうことですか。すみません。そこまで考えれてなかったです。」

「いえ、そんな。」

「それじゃ、もうちょっと乗りやすいものにしますね。」

 

またメキメキと音が鳴り出すが今度はなるこの体全体が変わっていく。ローブが破れ、骨格が人間じゃないものへと変わっていき、同時に体全体から毛が生えていく。心なしか体躯も大きくなっていき、最終的には大きな人面鳥へとなっていた。

 

「さ、背中に乗ってください。これなら疲れないでしょう。」

「あ、はい。」

 

なんだろう、既視感がある。どこかで見たような気が…映画で……あ、あれだ。ハ○ルだ、ハウ○で見たことあるやつだ。

背中に乗り、かなりマシにはなったが今度は風圧により背中から落ちないようにするのにかなり苦労したのであった。




流石ニャル様!俺達にできないことを平然とやってのける!そこにしびれる憧れるぅ!
ハイ。

受験が近くなってきまして、2月の中旬辺りまでお休みさせていただきます。どうか気長に待っていてください。

誤字脱字ありましたら遠慮なくどうぞ。
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