夜明けの狩人   作:猫又提督

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前回から7日たちました。

最近ブラボ出来てないんで久々にやりたいです。

今回、無駄に文字数が多いだけだしブラボ要素が皆無です。
申し訳ない。


第3話

彼女は今、ある部屋の中にいた。

 

「…案外広いのね。」

「今は、ここしか空いてないからな。」

「部屋の内装はしっかりしてるのに物置みたいね。」

「実際物置だ。確かにもとは客室として使っていたが別に専用で作ったし、あっちのほうが立地とか警備とかしやすいから。」

 

確かに今彼女がいる部屋は鎮守府の中でも端っこの方だ。この部屋がある棟は二部屋ずつの二階建てで彼女は二階にいた。なぜ彼女がこんなところにいるのか。それは今朝長門から彼女を捕虜から艦隊へ編入することに決めたと伝えられたからだった。しかし、ここの提督は彼女を『個人的』に使いたいらしく存在を伝えられている数名以外には知らせずに箝口令もしいたらしい。

 

「…『個人的』に使いたいってどういうことなの?」

「…作戦も近いからこの場でも話しても構わんかな。一週間後大規模な作戦がある。ほかの鎮守府と共同で進めていく。」

「ふーん。私は大きな作戦には参加したことないからわからないけどほかの鎮守府と合同なら相当ね。」

「ああ。しかも今回の作戦は大本営主導だ。ここみたいな中規模から呉や佐世保なんかも参加する。」

「あら、それはまさに相当ね。で?私を使う理由と関係はあるの?」

「うちの提督は戦果を求めている。もっと権限が欲しいらしい。こういった大規模作戦はうまくやれば戦果も大きくなる。だが、呉や佐世保みたいなところが参加するとなるとそういうのはかなり難しいからな。」

「ふーん。で、私を利用しようって?」

「そういうことだ。今回の作戦において開始前にお前には前もって出撃してもらう。」

「つまりは私という秘密兵器で戦果をぼろ儲け?」

「まあ、そういうことだな。幻滅したか?」

「いいえ。そんなことで幻滅はしないわ。それに私はただここの人たちさえ知らないだけの存在だけでもうここの艦娘。別に横取りとか不正でも何でもないわ。この鎮守府所属の艦娘が深海棲艦と交戦し、それに勝つ。…ね?それは立派なこの鎮守府の戦果。」

「…そうか。」

「でも、私の分をどうやって戦果に加えるのかしら?…大本営発表?」

「まさか。それについては心配するな、ちゃんと考えてある。…潜水艦にも一人息をかけたほうがいいな。」

「ま、そういうことならお任せするわ。私の仕事はただ深海棲艦を狩ること。…あなたは提督のやり方に疑問は持たないの?私が知っていた長門はこう、不正は全部許さない!って感じだったわ。」

「…なに、私たちはただ提督に従うまでだ。今こうやってお前と普通に話しているのも提督がお前を仲間と認めたからに過ぎない。……確かにほかの私がこのことを知れば絶対に許さなかっただろう。貴様は知らないだろうが同じ長門でも鎮守府によって多少の違いは出るものなんだ。私はただ『そういう』長門なだけだ。」

「…。」

「…実を言うとだな、お前の存在を知らせないのにはもう一つ理由があってな。ただ単純に同じ名前で同じ姿のやつがいると混乱が生じかねない。」

「…まともね。て言うかいるの?暁が。」

「ああ、いるぞ。むしろ、こっちが先だ。さっき話したことは後で思い付いた。…おっともうこんな時間か。すまないがそろそろ行かなければならない。あとで吹雪と叢雲を向かわせるがそれまで一人で片付けててくれないか。」

「いーえ、部屋を用意してもらうだけでも感謝よ。」

 

長門はそれを微笑で返し小走りで部屋を出て行った。

 

部屋にいるのは彼女一人になった。改めて部屋を見渡すと至るところにダンボールが積まれている。机の上、ベッドだったのだろう土台の上にも。唯一ある窓に近付き開ける。見える風景は一面の海だった。少し体を乗り出し右を見ると小走りの長門が少しだけ見えた。体を戻しまた部屋を見る。片付けると言ってもどこに置けばいいのか。隣の部屋でいいのだろうか。と、部屋を見渡すと置かれていた棚の後ろに周りとは違う色の壁が見えた。棚を動かすとそれはドアであった。特に鍵穴も見当たらない。試しにドアノブを回すと錆びていたせいか少し抵抗があったが割とすんなり回った。ドアを開けるとそこは小部屋になっていた。光源を探すと部屋の真ん中に豆電球がついている。紐を引っ張るとまだついた。小部屋は本当にただの部屋で、前からおいてあった荷物以外何もない。こっちのほうが物置に思われる。その荷物というのはどうやら本のようだ。物置の外にあった棚は本棚として使えそうだし、2台あったのでこの本と交換する形で置いていけば片付くだろう。というわけで、早速開始する。納められていた本は意外にも彼女が昔艦娘であった頃に話題となったものが多かった。本の束はそれぞれジャンルがバラバラだったがとりあえず本棚に納め紐を切る。それを繰り返してちょうど本棚2台に全部収まった。と、ここで部屋のドアが開いた。

 

「手伝いに来たわ。」

「どう?片付け。」

 

入ってきたのは吹雪と叢雲だった。

 

「あんまりね。荷物をこっちに入れるから持ってきてくれると助かるわ。」

 

吹雪と叢雲が近くにあったダンボールを持ち上げる。ものが詰まっているのか重そうだ。彼女が物置まで誘導する。それから彼女もダンボールを物置に納めていく。三人でやったおかげで、早々に終わった。

 

「ありがとう。早く終わったわ。」

「ベッドのシーツは大淀さんに頼んでおくね。」

「…片付くとここ広いわね。流石元客室。」

「なにー叢雲ちゃん。羨ましいの?」

「ちょ、や、やめてよ。人前で。」

「えー。いいじゃん暁ちゃんだよ。」

「い、いや、でもこっちの暁はほら、雰囲気が…。」

「いいのよ。わざわざ私を暁と呼ばなくても。好きに呼べばいいわ。」

「ああ、いや。別にあなたがどうだからとか言うわけじゃなくて…あなたは暁だから、ね。」

「暁ちゃんは家具はいる?」

「家具?」

「うん。椅子と机とベッドとあとは本棚2つだけだから。他にいるものがあれば大淀さんに言っておくけど…。」

「……今は必要なものはないわ。ありがとう。」

「そっか。また後で必要になったら言ってね。」

 

こんなにも人と会話をしたのはいつぶりだろうか。こんなにも獣を恐れていない人と話すのは。少なくともヤーナムに来てからは一度もなかった。こうして二人で話していると昔を思い出す。

 

「あ、姉さん。そろそろ昼食の時間よ。早くしないと席埋まるわ。」

「うん。あ、でも暁ちゃんはどうするの。」

「どうするのって、長門さんに許可取らないと外に出せないわよ。」

「いいのよ。狩人はそんなに物食べないから。」

「でも、食べれないわけではないでしょ?」

「…まあね。」

「でも、どっちみち長門さんに許可取らないと…。」

 

そんな押し問答が続いていると階段を登る足音が聞こえてきた。しかも二人分の。来たのは長門と、スク水を来た艦娘だった。

 

「お。お前たちまだいたのか。食堂の席が埋まるぞ?」

「あ、長門さん。あの、暁ちゃんを一緒に連れてはだめですか?」

「駄目だ。申し訳ないが出来るだけリスクはゼロで行きたいんだ。食事は後で持っていく。」

「そうですか…。」

「そんなもんよ。ほら、早く行かないと。」

「うん。またね、暁ちゃん。」

「随分と仲良くなったようだな。」

「そうね。駆逐艦同士、自然と仲は良くなるものね。」

「『駆逐艦』ね。…確かにそうだな。」

「ちょっと!イクのこと忘れないでほしいのね!」

「おっと、忘れてた。」

 

長門の後ろから出てきたのは先程見えた青髪のスク水。さっきの二人のことですっかり忘れていた。しかしそのスク水の姿を見たときにふと、昔のそいつのあだ名を思い出してしまった。

 

「あ、泳ぐ18禁。」

「紹介するこいつは…なんて?」

「ちょ、ひどいのね!」

「あ、ごめんなさい。ちょっと昔の記憶が。」

「どういう記憶してるのね!」

「あー。うん。つづけるぞ。こいつは伊19だ。」

「第一印象最悪なのね。」

「ごめんなさいって。」

「…見た目は本当に暁ちゃんそっくりなのね。」

「そっくりじゃなくて本人だけどね。」

「今回の作戦でイクにも手伝ってもらうからな。一応顔合わせで来てもらった。あとは伝令が一つ。今夜早速作戦の打ち合わせをする。消灯時間を過ぎてからやるつもりだが一応誰か呼びに来てもらうからそれまでここにいてくれ。」

「…了解。」

「じゃあ、またなのね。」

 

二人も出て行って再び一人となった。彼女を迎える部屋はさっきと違って片付いている。静寂が彼女の世界を包み込む。ここにきてから少し話過ぎたように感じた。こんなところでなきゃ話すことはない。何回もそう感じる。もうすっかり太陽がある生活に慣れてしまった。一週間後に行われる大規模作戦。そこで行う狩り。あと一週間待たなければならない。昔の経験からして後の一週間毎日作戦会議が行われるだろう。他の鎮守府とも協力するとなれば猶更。さらに彼女を一切の味方に知られないように暴れさせる。それはもうかなり緻密な作戦が要るだろう。そうぬけぬけと向けだせるものではないかもしれない。いや、終わったらそのままぬけだせばいいか。幸いこの部屋唯一の窓は海を向いている。この建物自体海にかなり近い。今日は久々に狩りができそうだ。ああ、その前にちゃんと狩り道具を返してもらわなくては。

 

気づけば本棚の前で一冊の本を手にしていた。昔、刊行されて一回は読みたいと思っていたが結局読むことのできなかったこの本。まだ初版だった。残念ながらそんなに人気がなかったのか、それとも発売されて日が浅かったのか。側面についた埃を払って改めてみる。この本を読もうと思った理由はよく覚えていない。確かにカバーに描かれている絵は彼女の好みであったが別に理由があった気がするのだ。思い出せないまま椅子に座りページと一つめくる。20章に区切られているらしい。もう一枚めくる。主人公が出てきた夜の公園でベンチに寝そべっているらしい。昔の私はこんなに活字を読むことを好んでいただろうか。今、こうやって読んでいるのであればきっと当時からその兆候はあったのだろう。あまりに没頭したため後ろでドアが開いた音に気づいていなかった。

 

「…本を読むのですね。」

「……ええまあ。」

 

主人公が夜の桟橋でブレイクダンスをしながら大福を食べているところで声をかけられた。加賀が隣で昼食を持っていた。

 

「ここに置きますね。」

「…VIPにでもなった気分だわ。」

「そういうのであればここはもとはそのVIPのための部屋ですからね。」

「でも私はVIPではないわ。私は提督が所持する弾丸よ。」

「…そうですか。20mmそれよりも何倍も大きな弾丸ですね。むしろ砲弾では?」

「あら。私はそんなにも大きいのかしら。」

「ええ。あなたはとても大きいのですよ。だから注意して取り扱わなきゃいけない。間違っても暴発させないように。」

「買いかぶりすぎよ。」

「いいえ、買い被りではありませんよ。1時間後に取りに来ます。」

 

昼食は鯖定食らしかった。残念ながら本を読みながら食えるものではなさそうだ。

 

彼女は昼食を食べながらさっき読んでいた本のことを考えていた。なぜ主人公はあんなにブレイクダンスにこだわるのか。彼にとってブレイクダンスは月よりも大事なのだそうだ。彼女には理解しかねた。なぜ月よりも大事なことがあるのだろうか。そんなものがあっていいのだろうか。しかし、実際に彼には月よりも大事にしているものがあるのだ。そうすると、月よりも大事なものがある人は存在するのである。

 

 

さて、昼食も食べ終わり加賀が食器を持って行ったあと、できることは何か。外に出ることはできない。狩りに行くなどもってのほか。つまりは読書しかない。彼女自身まさかこんなにも本を読むことに熱中する日が来るとは思わなかった。今度、ビルゲンワースや教育棟から本を拝借してみようか。読み進めて数十ページ。とうとう彼も恋をした。結局のところ彼も人間。その彼の恋人は月が好きだそうだ。ある日彼は恋人と彼の親友とともに夜の砂浜を歩いていた。突如彼はブレイクダンスを始める。親友は『またそんな意味のないことを』というと、恋人は『意味がない行動なんてない』という。恋人は月の下でブレイクダンスをする彼が好きなのだそうだ。だから、このブレイクダンスには恋人を喜ばせるという意味があるという。親友は『意味がない行動だってあるに決まってるだろう』と反論する。恋人は『たとえ誰もが意味がない行動だと思っても本人にはきっと意味があるはずだ』という。『本人が無意味だといえば』と聞かれると、『それは本人にすらわかってない意味がある』のだという。

 

ふむ、なかなかに面白いと思う。突拍子もない言動が多いこの本だが、不思議と理解できてしまう。ふと、自身を振り返る。『意味のない行動などない』。果たして、過去にやった行いのすべてに意味があっただろうか。ふりかえってみれば意味もなく豚のケツを掘っていたような気もするがきっとあれにも意味があるのだろう。『本人にすらわかってない意味』が。そろそろ終盤かと思っていたそのころ後ろのドアからノックが聞こえた。返事をすると入ってきたのは吹雪だった。

 

「迎えに来たよ。」

 

窓を見るといつの間にか外は真っ暗になっていた。

 

「あら、もうこんな時間なのね。」

「もう消灯時間は過ぎてるから大丈夫だと思うけど一応ね。」

「分かってるわ。」

 

あともうちょっとで読み終わるはずだったので少しもどかしいがこの後の会議も重要なのでとりあえずは一度お預けである。本を閉じ、電気を消して二人暗い廊下を歩きだした。

 




何なんですかね、この文章。読んでる本、本編と関係ないですし。どうせ読むならもっと脳に瞳を得たり、檻被ったりすればいいのに

海外艦出したいんですけどなにせガンビア・ベイあたりからよくわかってないんで難しいところ

誤字脱字ありましたら遠慮なくどうぞ
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