昼間は冒険者 夜は銀髪盗賊団 作:キムチの気持ち
ここは始まりの街アクセル。
この国の冒険者の多くはこの街で冒険者を始め、他の街へと移っていき名声をあげていく。かく言う俺もちょうど2年前にこの街へ来て冒険者登録を終えた。
冒険者になってからの2年は本当に楽しかった。ギルドの仲間と即席のパーティーを組み、背中を預けながらモンスターを狩る時の興奮、その後パーティ仲間と飲む酒のうまさ、そしてなんと言ってもサキュバスサービスの素晴らしさ、あれが理由でこの街に留まる冒険者も多いと聞くが、気持ちがわからんでもない。てか俺も残ってる。
ただまあ、残っている理由はサキュバスサービスだけではない。俺の職業が原因だ。何を隠そう俺はあの『冒険者』だ。どんなスキルも使えるといえば聞こえはいいが実際ただの器用貧乏。モンスター相手にこれといった決め手がないのが事実。とてもじゃないがほかの街で強いモンスターと命懸けのバトルなんてできっこない。なんでそんな職業になっているかと聞かれたら理由はふたつある。
1つはただ単に適性がなかった。ステータスは平の凡凡で他になれる職業がなかった。
ただ、それに関してはレベルを上げさえすれば他の職業になれることもあるらしい。
そこで2つ目の理由だ。俺はこの世界に来る際に、銀髪の女神様からあるチートを貰ったのだけれど...あれ?転生者って言ってなかったっけ?まあいいでしょ。で、そのチートが『スキル作成』っていうスキルだ。スキル説明としては、相応のスキルポイントを消費すればどんなスキルも作れるというもの。一見めちゃくちゃつおく見えるだろう。俺も見えた。
だがこの欠陥スキル、強いスキルを作ろうとすると馬鹿みたいにスキルポイント食うし、作ったスキルを扱えるのは冒険者だけなのだ。この世界に元々無いスキルを冒険者以外の職業で使おうとすると強制的に冒険者に戻される。
「はあああああぁぁぁぁぁぁ...どうしたものかねぇ...」
いっその事商業向けスキルを作って商人になった方がいい気がしてきた。こんなスキルを渡してきたエリス様は次会ったら目にもの見せてやる。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「かえる~かえるはどこかね~っと、」
今日も今日とてカエルを狩に来ている。今の時期かえるはめちゃめちゃ増える。今年は例年よりもさらに多いのだとかで、カエルを狩った数をギルドに報告すれば報酬を貰えるようになっている。
街の外を適当にふらついていると巨大な緑の体が見えてきた
「おーいたいた、それっ、『チェイン』!」
スキルを発動すると空間から鎖が伸び、カエルを拘束する。俺が最初に作成作成したもので、愛用してるスキルだ。ちなみにこの2年で作ったスキルはこれともうひとつだけである。それにこの世界にはバインドというスキルもあるため、産廃臭がしないでもない。
「まあロープ持ち歩かんでいいしな、うん。」
そう自分に言い聞かせながらカエルに刃立てる。最近は毎日これを繰り返している。
昔みたいにパーティーを組んで冒険をしたい気がしないでもないが、当時仲良くしてた奴らはみんなほかの街に行っちまった。
さらに二、三匹のカエルを倒してギルドに戻り、報酬を受け取る。時刻はまだ正午を回ったところだが、もう既にやることが無い。サキュバスサービスはまだ空いていない時間帯だし....
「ねえ、そこのお兄さん、ちょっといい?」
急に後ろから声をかけられて振り向くと、銀髪の盗賊であろう少年...少女?がいた。体つきは少年のように凹凸のないスラッとした体だが、声は少し高めである。
「なんかようかい?.....盗賊さん」
「今私の性別わかんなくて呼び方困ったでしょ」
鋭いなあ。私ってことは女の子だったか。
「細かいことはいいじゃないかお嬢ちゃん、で何の用だい?」
「なんか流された気がするけど...もし良かったら、私とダンジョンに行かない?見つけたお宝は山分け、いくら儲かるかはお互いの運次第!」
「乗った。少し準備してもいいかい?」
「もちろん!準備出来たら声かけてよ、集合は南の門でね!」
ポーションにナイフといった準備を済ませて南門へ向かうと、1組の男女とすれ違った。方や上下ジャージ姿で茶髪緑目の少年、もう片方は青髪の少女だった。片方はおそらく転生者だろう。彼もまたすぐにほかの街へと行ってしまうだろうか。なんだか自分が惨めに思えてきた。
「...君酷い顔してるけど..なにかあったの?」
気がつくと目の前に銀髪の少女がいた。嫌なところを見られてしまった。話を変えなくては。
「いや、なんでもない。そういえば互いに名前をまだ教えてないよな」
「そういえばそうだったね。私はクリスだよ。」
「クリスか、俺が好きな花の名前と一緒だな。俺は日高 作間。
サクマって呼んでくれ。」
「わかったよサクマ。じゃあ行こうか!」