昼間は冒険者 夜は銀髪盗賊団 作:キムチの気持ち
「銀髪の義賊あわや逮捕...ねえ...」
朝の宿からこんにちは、サクマです。昨晩の夢はとても素晴らしいもので、今の私はとても穏やかな気持ちでありんす。
さて、悪魔を倒してから早1週間が経ちましたが、蘇った悪魔が報復してくることも無く平和にすごしています。そしてここ1週間クリスを見てないなあと思ったらこんな朝刊が来ました。内容としては、王都で噂の義賊が1度捕まりかけてギリギリで逃げ出したとのこと。
前々から義賊の話はアクセルにも伝わっていたけど...これクリスだよね?このタイミングで銀髪で...記事の横についてるこの指名手配書(性別は男になっている)の顔も、口元は隠してあれどまんまクリスである....そして何より、
「おーい...そろそろ開けてくれないかなあ??」
...今窓の外に張り付いているクリスが所々怪我をしてるのも証拠のひとつだろう。
「そんなとこからじゃなくて普通に入ってくればいいだろうに。悪目立ちしすぎるだろ」
「いや~雰囲気大事だからさー。それに潜伏スキル使ってたし多分バレてないよ」
「...で、俺に何をして欲しいんだ?手伝えることはあんまりないぞ?」
「おぉっと?一体なんの話かな?私はただサクマに会いたくて来ただけなんだけど..」
「簀巻きにして警察に突き出してやろうか」
「ごめんなさい。ええっとね、サクマには私の義賊の活動を手伝って欲しいんだけど....どうかな?」
あの義賊はやはりクリスで間違いなかったようだ。
「色々聞きたいことはあるけど...なんで俺なんだ?」
「1番大きいのは暇そうってとこかな」
「おい」
「...訂正しとうか。時間に余裕がありそうね。あとサクマの戦闘力も買ってるんだ、今回みたいに捕まりそうになったら衛兵をぱぱっと無力化して欲しいんだよ!どうかな!」
「....まあ実際やることもないし..引き受けてやるよ。」
「そんなあっさり!?活動理念とか報酬とか聞かなくていいの!?」
「興味無いし...お金に困ってないしな。それに稼ぎは孤児院に寄付するんだろ?だったら別にいいや。」
「...やっぱり君に頼んで正解だったよ。ただまあ活動理念は聞いて貰わないと困るんだけどね」
その後クリスに活動理念と今のところの盗みの予定を説明された。
要約すると転生者がこの世界に残していった神器の回収をしてエリス様に返納するために活動しているらしい。
そして今朝の新聞にも乗っていた、捕まりかけた貴族の屋敷にリベンジするとの話だ。
なんでも今回のターゲットの貴族が所持している神器は様子見する時間が惜しいくらいに危険な神器らしく、俺も詳細は聞かせて貰えなかった
「サクマには悪いけど早速今夜行きたいから夜までに準備しておいて貰える?屋敷の構図はここに置いとくから頭に入れといてね!よろしく!」
そう告げるとまた窓から出ていってしまった。にしても準備か。とりあえず暗視のポーションなどを準備しておこう。
あとは....
◆◆◆◆
「助手君?その格好は何?私たちは盗みに入るのであって殺しに入るわけじゃないんだよ?」
日が落ちる頃に指定された位置でクリスと合流し屋敷へと向かっていく。
今の俺の格好はというと、全身真っ黒のフード付きローブに、ゴーストフェイスマスクをつけている。このマスクは俺のハンドメイドなため、足がつくことも無い。
「作ったはいいけど使う機会がなかったからな...あと『助手君』ってのはなんだ?」
「名前で呼ぶわけに行かないからね。君は今から助手君だ!」
なるほど。となると俺はクリスをなんと呼べばいいのだろうか。
「...ジャイアント「それは却下」」
ダメか。
「まあ無難にお頭でいいか。...っと、そろそろだな」
作成会議から無駄話までをしていると屋敷に近くなってきた。クリスの予想だと、義賊に侵入されたことで警戒を強めた貴族が警備を強めているはずだが....予想は的中したようだ。事前の予想の資料と同じかそれ以上の兵士が見受けられる。
「よし、それじゃあ行くぞ。準備はいいか?」
「もちろん!バッチリだよ!」
俺はその言葉を聞いて自分とお頭に『タイムラグ』のスキルを発動させる。そのまま屋敷内へと忍び込み、スキルを一旦解除する。
「本当に便利だねえそれ。瞬間移動ではないみたいだけど誰も気がついてなかったよ」
「気を抜かないで下さいよお頭、この後は宝物庫に直行でいいんですよね?」
屋敷の中は想像していたよりも少し広く感じた。事前に頭に入れた構造と実際の間取りをリンクさせながら、お頭の『潜伏スキル』をたよりに宝物庫へと進んでいく。
先日クリスに侵入されたことで増えた兵士だが、その多くは屋敷の外へと配置されているらしい。そもそも侵入ささせない狙いだったようだが、俺のスキルとの相性がわるすぎた。
「ここが宝物庫だよな。鍵も任せていいんだな?」
「まかせてよ!私の『解錠スキル』が火をふくよ!」
そういうとクリスは針金のようなもの2本で鍵穴をこちょこちょする。すると鍵からガチャリと音を立ち扉が開くようになった。
「さーてと、それじゃあおじゃましま....」
「む!待っていたよ、噂の義賊さん」
扉を開けた中には、青を基調とした鎧を着た、まるで勇者のような青年が待ち構えていた。