本編へどうぞ
「買い物にでも行くかな」
ギルバリス騒動から数日が経った
疲労感も完全に消え、街も平和そのものだった
「そういえばこの猫に名前をつけていなかったな」
俺は黒く、艶のある体毛を撫でた
不意にウルトラマンの懐古厨野郎の存在を思い出し、名前を思いついた
「お前の名前はノワールだ」
頭をひと撫ぜすると了承するかのように鳴いた
「じゃあ買い物に行ってくるからこの空間でおとなしくしててくれよ」
俺は次元の歪を作り、そこにノワールを入れた
「よし、行くか」
今日はかなりの猛暑日だ
ジリジリとした日差しが差し込み、アスファルトでは陽炎が起こり空間が行かんで見える
「アチいな…。バレないようにレイキュバスの力を使うか…?」
そんなことを考えていた矢先、どこかから悲鳴が聞こえてきた
「なんだ?」
俺は悲鳴の聞こえた方向へと走った
そこは小さな公園だった
中をのぞくとクソ暑いというのに黒いスーツを着た男性が女の子に掴みかかっていた
俺はその男に見覚えがあった
「何をやっているんだ、イカルス星人ムスカリ」
「よぉガイストじゃねえか‼ダダ星からのご依頼でよぉ、地球人の幼児を集めるように言われてんだ。お前も手伝え」
彼は女の子に手を当て気絶させた
「てっきりお前がロリコンに目覚めたとかと思っちまったぜ。残念だがその誘いは断らせてもらう。あいにく別の依頼でこの星の文明に手を出さないように言われててね」
「そりゃあ残念だ。じゃあ俺はとんずらさせてもらうぜ」
「待て。そいつを置いてけ。この星での宇宙人に対するあたりが強くなると俺に支障がでる」
「そいつはできねえ約束だな」
「じゃあ戦闘で決着をつけようじゃないか」
俺は怪人態へと姿を変える
「望むところだ」
彼も本来の姿であるイカルス星人へと姿を変えた
「オラァ‼」
先に仕掛けたのはムスカリだった
ムスカリは走ってこちらにその青い腕で殴り掛かってきた
それを左腕でガードし、右腕でみぞおちを狙う
しかしそれを読んだムスカリは俺の足を払い体勢を崩し一度距離をとった
「やるねぇ」
「そっちもな」
ムスカリの言葉に俺は返した
近接戦に関してはオリジナルの状態だとかなり拮抗している
だが怪獣の力を使うには一瞬の隙が生まれる
ムスカリはそれを逃さないだろう
さて、どうやって倒すか…
「これで終わらせてやるよ」
ムスカリは全身から無数の白い針のような光線を出した
アロー光線だ
俺は周りへの被害を抑えるために大きめにバリアを張る
しかし数本の光線がバリアを外れ、公園の樹木に当たる
樹木はたちまち灰へと変わってしまった
「周囲を気にするなんて正義の味方のつもりかぁ?なら好都合だ。こうすりゃいいんだからよぉ!!」
ムスカリの全身が白く光る
「全方向に放射するつもりか!?」
「さあ今回はどう対応する?喰らえ!」
ムスカリはアロー光線を放射した
俺は咄嗟にムスカリの周りに半休状のバリアを張った
ムスカリはバリアを割るために光線の威力を上げる
「チェックメイトだ」
バリアを割ることに集中しているうちにギャラクトロンmk2の力を纏う
身体が白い鎧が構成される
「喰らえ!!」
俺はヒビの入り始めたバリア内に複数の魔法陣を展開し光線を放った
「カ"イ"ス"ト"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"」
ムスカリの断末魔が聞こえ数秒後に聞こえなくなった
俺がバリアを解くとアロー光線によって焦げた地面に蜂の巣のように穴の空いたムスカリが倒れていた
「ガディバ、回収しろ」
手のひらからガディバを召喚し、ムスカリと同化させた
「さて、この娘をどうするか…」
地面に倒れている女の子を抱き上げ、土をはらう
そしてベンチに寝かせた
「流石に放置は出来ねぇよな…」
俺は女の子の横に座った
しばらくすると1人の青年が公園に入ってきた
「アオイ?そろそろ帰るぞぉ」
「この子のお兄さんですか?転んで泣いていたのでベンチであやしていたらそのまま寝てしまいまして…」
「そうでしたか。ありがとうございます」
青年と会話をしていると機械を持ったストレイジのつなぎを着た女性が入ってきた
以前に出会った宇宙人によく似ている
「あれ?クゼ君じゃん久しぶり‼何してるの?」
「久しぶりオオタさん。妹を迎えに来てたんだよ。そっちこそ何をしてるの?」
「この付近でエイリアン出現の反応があって調査してたところ。そういえばそちらの方は?」
「あぁ、妹の面倒を見てくれてたんだ」
「へえ。ところで宇宙人見なかった?見たなら情報提供してほしい」
「見れるものなら見てみたかったなぁ。少なくとも僕がここに来たときはいなかったよ」
「なるほど…。そちらの方は見られました?」
正直に話すべきだろうか?
ここでストレイジとやらと協力関係を築くことができればいち早く様々な情報が手に入る
しかし、あそこにはジャグラスジャグラーがいる
それに下手に監視下に置かれれば自由な行動ができなくなってしまう
ここはごまかすべきだろう
「申し訳ないが俺は見てない」
「そうですか…。あれ?地面が焦げてる?」
しまった
戦闘後の後始末をやるのを完全に忘れていた
オオタは焦げている箇所で機械で何かを調べ、クゼはその横でまじまじと見ていた
「仕方ない…。ガディバ」
小声でガディバを召喚する
「ムスカリに変身しろ…。あの女をうまくまいて、元の姿に戻って帰ってこい…」
「了解」
ガディバはムスカリと同化したことによって得た声帯で返事をし、物陰に隠れた
そしてイカルス星人の姿に変身して物陰から現れた
「あっ‼イカルス星人だ‼とっ捕まえて解剖しなきゃ‼じゃあねクゼ君‼」
オオタは逃げるイカルス星人のもとへ走っていった
「じゃあ僕もこれで。ありがとうございました」
クゼは女の子を負ぶって公園を出ていった
「大丈夫かなガディバ…」
オオタは目をきらめかせながらかなり物騒なことをつぶやいていた
自分の正体をさらさなかった過去の自分をほめてやりたい
二十分ほど待つとガディバが帰ってきた
「お疲れ。戻っていいぞ」
「もうこんな役回りはごめんだね。あの女怖すぎる…」
ガディバはそう呟いて俺の手のひらに消えていった
「とりあえず買い物にいくか…」
俺は近所のスーパーへと足を進めた
第一話以来の完全オリジナル回でした
今回登場したクゼ君はウルトラマンメビウスに登場したクゼ・テッペイの並行同位体です
いろいろと調べているとユカの中学時代の同級生に怪獣マニアのクゼ君がいたという設定を見つけたので起用しました
そしてオリキャラのイカルス星人ムスカリも登場しました
こちらは主人公の同業者という設定です
評価や感想お待ちしております