比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

1049 / 1584
今日の糧を次の舞台に

 

 

八幡side

 

 

9月最終週の阪神レース場。俺とシービーは菊花賞のトライアルレースの神戸新聞杯に出走する為に関西に訪れている。シービーと俺にとっては初めての関西になる。これまではずっと中山と東京の2つのレース場だけだったが、今回初めての関西で遠征も初めての経験だ。

 

 

シービー「あぁ〜今まではこんな移動無かったもんね〜。今までとちょっと違う感じかも……」

 

八幡「済まない、これに関しては俺のミスだ。もっと移動の事も視野に入れるべきだった。」

 

シービー「あはは、まぁ誰にでもそういう事はあるよ。それに初めての夏合宿でしょ?誰だって張り切るに決まってるよ。そのせいで調整が上手くいかなかった、でしょ?」

 

八幡「あぁ……」

 

シービー「まぁでも仕方ないって。八幡だって出来る限りはやったんでしょ?」

 

八幡「出来る限りは、な。」

 

 

そう、今日はシービーのレースなのだが、あろう事か調整に失敗してしまった……より正確には調整はしたのだが、夏合宿のトレーニングの疲労が抜けきれないまま今日のレースに参加する事になったという事だ。それに加えて関西の遠征も入ったからより厳しい状況になってしまった。

 

 

シービー「まぁでも、やるだけやってみるよ。」

 

八幡「悪いな。」

 

シービー「ううん、こういう状態で走る事もあると思うしさ。」

 

 

なんかシービーに全て押し付けるようになってしまったな……なんかダービー以来だな。

 

 

八幡「じゃあ、行ってこい。」

 

シービー「うん、行ってくるね。」

 

 

ーーー観覧席ーーー

 

 

実況『さぁ、本日のメインレースの神戸新聞杯がスタートします。このレースの1着〜3着に菊花賞に優先出走権が与えられます。3着内に入って菊花賞の優先出走権を手にするのは誰だっ!?』

 

 

ガッコン!!

 

 

実況『ゲートが開いてスタートしましたっ!内2人が出遅れ気味となりました!さぁ先行争い何が行くのか……カツラギエースが行くのか?外からドウカンヤシマ!リードホーユーが行った!リードホーユーが行った!ミスターシービーはちょうど中間辺りを走っています!1コーナーをカーブしてリードホーユーが先頭を走っていきます!』

 

 

エース(どうしたシービー?何でそんなに前に居る?お前なら後ろから一気だろっ!?)

 

シービー(やっぱりちょっと走りづらいかも……今日は後ろじゃない方が良い。)

 

 

……やっぱシービーは中団の位置まで上げたか。だが今回はそうでもしないと前に残れない。今日のシービーの状態からして、掲示板に残ってくれれば御の字だ。けど何とか3着以内には入ってくれ……

 

 

実況『さぁ前が飛ばしている展開ですが、先頭はリードホーユー!その外ピッタリとドウカンヤシマが続いています!その後ろにカツラギエースが3番手!半バ身差でヒミノプリンス、ワイトオーとマックスルーラーも並んでいます!後ろからはスズカカバンも上がって来る構え!ミスターシービーはまだ中団でジッとしている!まだ動かないミスターシービー!』

 

 

エース(前も段々へばってきたな……このペースならあたしにも勝機があるっ!!)

 

 

エース「………」

 

 

実況『さぁ第4コーナーだ、第4コーナー曲がって直線コース!ミスターシービーは進路を内に変えた!届くのかどうか!?先頭はリードホーユーだが外からカツラギエース抜き去るっ!一気に先頭を捉えたっ!ミスターシービーも良い脚で追い込んで来るが、先頭はカツラギエースだっ!!ミスターシービーは2〜3着争い!!抜けたカツラギエース先頭でゴールインッ!!2着には追い込んで来たミスターシービー、3着に粘ったリードホーユー!ミスターシービーまさかの敗北、この神戸新聞杯で連勝がストップしました!勝ったのはカツラギエースです!!』

 

 

エース「はぁ……はぁ……」

 

シービー「はぁ……はぁ……ふぅ………」

 

エース「……なぁシービー、今日のあのレースは何だったんだよ?」

 

シービー「………ごめんね、今日はちょっと調子が出なくてさ。またね。」

 

エース「………シービー!」

 

シービー「?」

 

エース「今日のレース、預けといてやる!あたしはこのレースでお前に勝ったなんて思ってねぇ!!次の菊花賞、そこでケリつけようぜっ!!」

 

シービー「……うん、分かった。」

 

 

………迎えに行ってやらないとな。

 

 

ーーー控え室前ーーー

 

 

八幡「……シービー、入っても大丈夫か?」

 

シービー『いいよいいよ、入って〜。』

 

八幡「……お疲れさん。」

 

シービー「いやぁ〜……見事に負けちゃったね。」

 

八幡「……済まん。」

 

シービー「もう謝らないでよ。あたしも自分の管理が出来てなかったんだからお互い様……それにさ、今日のレースを走って感じたんだ。」

 

八幡「何を?」

 

シービー「自由に走れないって、こんなにもつまらないんだなぁって……こんなのはもう御免かな。」

 

八幡「……そうだな。お前の走りを見てたが、窮屈そうに感じた。」

 

シービー「やっぱり八幡は分かってくれると思ったよ!だからさ、今度からはこうしないようにする。八幡もあたしの事、しっかり見ててよ?」

 

八幡「あぁ、そうだな……とりあえず、今日の反省は調整ミスと遠征による負担だな。この次は京都だからこういうのは起こさないように対策練っておく。」

 

シービー「あたしも色々調べておくから。それにエースからも次の菊花賞でケリつけようって言われたから、菊花賞では万全で行きたいんだ。」

 

八幡「分かった。」

 

 

その日はいつもの雰囲気ではなく、次の菊花賞は確実に万全な体勢で臨もうという感じで1日が終わった。俺としては、シービー本来の力を出してやらなかった事に謝りたい気持ちがあったが、シービーが『それはあたしにも悪いところがあるから。』と言ってそれを拒んだ……

 

次は確実に勝つ。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 




シービー、初めての敗北。しかしこれで菊花賞は盤石な体勢に?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。