シービーside
いよいよ明日は菊花賞………やれる事は全てやってきた。そのおかげで今のあたしは前の神戸新聞杯よりずっと調子が良いし、寧ろ皐月賞やダービーの時よりも絶好調!
今のあたしなら3,000mは楽勝!何度もライスと走ってスタミナもスピードも最後まで待たせたままゴール出来ちゃう!今日が京都の現地入りなんだけど、走れないのがなぁ〜……ちょっと残念だけど明日まで我慢。明日に備えるのが今日のあたしに出来る事、だね。
シービー「ねぇ八幡、こんなに早く京都に行く理由ってあるの?レースを見るとか?」
八幡「いや、個人的に行きたい所があるからだ。お前はレース場や宿泊施設の周辺に行ってて構わない。」
シービー「……怪しい。」
八幡「はぁ?何でだよ……別に行きたい所の1つや2つあってもいいだろ。」
シービー「だって八幡、今までそういう事を言った事無いじゃん。だ・か・ら〜……あたしも八幡の行きたい場所に連れてって?」
八幡「一応言っておくがその場所はお前にとって酷くつまらない場所だぞ。ついて来る事はオススメしねぇぞ?」
シービー「堂々とつまらないって言う事は本当につまらないって事だよね……じゃああたしはレース場に行こうかな。」
まぁ、その方がシービーにとって良いだろうしな。
ーーー商店街ーーー
宿泊施設に着いてから、俺とシービーはそれぞれの目的地に向かった。シービーはレース場、俺は……
八幡「こんにちは、店主さんは居ますか?」
「おや、お孫さん!お久しぶりやなぁ〜!此処に来たっちゅう事はそういう事かい?」
八幡「はい。1ヶ月遅れちゃいましたけどね。いつもの花をお願いします。」
「あいよ、ちょっと待っててな〜。」
八幡「……変わりありませんか?」
「ん〜?せやね、僕もクリちゃんの所に行く時あるけど、入念に手入れされとるよ。」
八幡「そうですか。」
「はい、コレいつものね!」
八幡「ありがとうございます。じゃあずっと来れてなかったので、その分も含めて色々と報告してきます。」
「うん、いってらっしゃい。きっとクリちゃんも首を長くして待っとると思うから早よ行っといで。」
八幡「はい、ありがとうございます。」
ーーー藤森神社ーーー
八幡「………」
やっと来れた……最後に来たのは高校2年生の修学旅行の時だったからなぁ………随分と久しぶりに感じる。大学の時は先生の指導とかで行く暇無かったし、その時間すらも惜しいって思ってたっけ?多分それは無いと思うが、本当に久しぶりだ。
神主「おや、君は確か………クリフジさんの……」
八幡「っ!はい、比企谷です。」
神主「そうそう、クリフジさんのお孫さんだ。久しぶりだね。数年ぶりじゃないかな?」
八幡「はい、ちょっと忙しくて来れてませんでしたがやっと来る事が出来ました。」
神主「そうですか……っ!そのバッジは……成る程、トレーナーになられたのですね。おめでとうございます。」
八幡「いえ、こちらこそ祖母の墓をいつも綺麗にしていただいてありがとうございます。」
神主「私も彼女の走りに心を奪われた身、このくらいの事であれば喜んで。さぁ、どうぞ会いに行ってあげてください。きっと貴方の事を待っていたと思いますので。」
八幡「はい、では失礼します。」
花屋の人といいこの神主さんといい、婆ちゃんのファンは本当に良い人が多い。
八幡「……久しぶり、婆ちゃん。長い間会いに行けなくてごめん、やっと来れた………話したい事がたくさんあるから、ちょっと時間もらってもいいか?」
八幡「ってな感じで俺は今トレーナーになったんだ。担当が1人居るんだが、これがまた癖のある奴でな。自由が好きとか言いながら俺に抱き着いてずっと一緒に居る変な奴なんだよ。走りに至っても自由なんだけど、頑固な一面もあって面白い担当だよ………っ!もう日が暮れてる。はぁ、楽しい時間とかって本当にあっという間だな。じゃあ俺もう施設に行くから。明日の菊花賞、よかったら婆ちゃんも見に来てくれ。俺もまだ分からないんだが、シービーの奴また何かやらかしそうな予感がするんだよ。きっと退屈はしないと思うから。」
皐月賞では大雨の中1番後ろからの展開でバ場の悪い内側からの追込勝利、ダービーでは靴のストラップが切れただけでなくダービージンクスを破っての勝利、もしかしたらだが、またアイツが何かをやらかす予感がしてならない。
ーーー宿泊施設ーーー
シービー「あっ、八幡お帰り~。」
八幡「シービー、何でロビーに居るんだ?部屋には行かないのか?」
シービー「八幡待ってたから。それにしても日が暮れるまで何してたの?」
八幡「数年分の報告をしてただけだ。じゃあ俺は晩飯の時間まで部屋でゆっくりするわ。」
シービー「じゃああたしも~♪」
ーーー八幡の部屋ーーー
八幡「なぁ、何で?」
シービー「さっき言ったじゃん、八幡を待ってたって。」ギュ∼!
八幡「いや、部屋に入っていいとも言ってないし招待した覚えも無いんだが?」
シービー「そんなの気にしなくていいじゃん♪細かい事気にし過ぎちゃうとハゲちゃうよ?」ギュ∼!
八幡「20代でハゲるか。とにかく自分の部屋に戻りなさい。」
シービー「ヤァ~ダァ~八幡と居るぅ~!!」ギュウウウ∼!
八幡「あぁやめろ抱き着くな!キツくするな鬱陶しい!」
婆ちゃん、俺の言っていた意味が理解出来ただろ?こういう奴なんだよ、俺の担当は。
八幡にとって大切な人であるのは間違いありませんね。