八幡side
シービーが3冠を達成した事で、俺とシービーの取り巻いている環境が一気に変わった。例えば菊花賞明けの翌日の俺のデスクの上にはテレビ、雑誌、ラジオ、取材、撮影、その他の依頼が数多く置いてあった。どれもこれも3冠達成による影響だと思われる。次にシービー本人のぬいぐるみや優勝レイ、シルクハット等をUFOキャッチャーの景品化やレース場に販売の打診があった。これは本人の意思によるものだから、俺にはあまり関係無い。最後にこれが1番厄介かもしれない……トレセン学園にシービーを一目見ようとやって来る一般人達だ。月曜日のトレーニングを休みにしていたからシービーはそのまま家に帰宅しようとしてたらしいのだが、その連中に捕まって相手をしていたらしい。これには本人も少しウンザリしていた様子だった………だがそれ以外の理由も相まってシービーは現在、絶賛不機嫌モードだった。
シービー「………」ムッスゥ∼…
八幡「シービー、元気出せって。仕方ないだろ?それにお前は爪が弱かったんだから無理が祟ったんだ、今は安静と治療に専念するんだ。」ナデナデ
シービー「それは分かってるよ……」ムッスゥ∼…
八幡「……ここ最近の事に関しては俺も出来る限りの事はするつもりだ。それに、お前の今の爪の状態じゃ年内のレースへの参加は難しい。だから今の内に来年のレースの事とかを考えるってのはどうだ?」
シービー「………そうする。後、ナデナデ止めないで。」
八幡「はいはい、悪かったよ。」ナデナデ
こんな感じで、シービーは走れない状態にあるのと自由にさせてもらえない状態のせいで、明らかに不機嫌だった。それにかなり退屈そうだし。
シービー「……ねぇ八幡。」
八幡「ん、何だ?」ナデナデ
シービー「八幡だったらさ、来年どのレースに出たい?」
八幡「……怪我の具合にもよるが、宝塚記念は出たいと思ってる。今年の有マ記念は無理そうだから来年の春のグランプリを視野に入れてる。」ナデナデ
シービー「宝塚記念かぁ……他には?」
八幡「他?そうだな………これも怪我によるが、大阪杯とか天皇賞・春だな。だから春のシニア3冠だな。」ナデナデ
シービー「春の3冠かぁ……」
八幡「まぁ最終的にはお前の出たいレースにするつもりだから俺は何でも構わない。流石にシービーレベルがGⅢとかオープン、リステッドはやめてほしいけどな。」ナデナデ
シービー「……ん、分かった。とりあえず考えとく。」
八幡「あぁ、そうしておいてくれ。」ナデナデ
コンコンコンッ
八幡「ん?どうぞ。」ナデナデ
ルドルフ「失礼するよ比企谷君………君は相変わらずだな。」
シービー「いいじゃん別に。此処なら誰にも見られてないし迷惑かけてないんだから。」
ルドルフ「比企谷君にかかっているとは思わないのかい?」
八幡「いいルドルフ、今は仕方ないって。それよりも何か用事か?」ナデナデ
ルドルフ「あぁ、君にまた負担をかけてしまうのが申しわけ無いのだが、また依頼の書類が来ていてね。先程駿川氏から預かったんだよ。」
八幡「それはご苦労さん。はぁ……シービーが3冠を獲ってからは窮屈な感じになっちまったな。」ナデナデ
シービー「ホントにそれ……今からでも3冠達成返上出来ない?」
八幡「おいおい、気持ちは分かるが滅多な事は言うなって。するなら引退だろ。」ナデナデ
ルドルフ「君も中々な事を言っているぞ?」アキレ…
仕方ないだろ、俺だって『今は依頼をお受け出来る状態ではありませんので、お見送りさせていただきます。』って依頼を断ってるってのにこうしてまた催促してくる連中のせいで若干腹立ってるんだから。シービーの爪の事も発表したんだから察しろよって思うのも仕方ないだろ。
ルドルフ「ところで、シービーのそれはまだ続くのかい?」
シービー「それってどういう意味?八幡はあげないよ。」
ルドルフ「いや、そういう意味で聞いたのではないさ。ただ、やはり私から見ても少々過激に見えるのは否定出来ないからね。」
八幡「ルドルフ、言っても無駄だ。それに3日前はもっと酷かったし、これはまだ良い方だ。」ナデナデ
ルドルフ「……参考までに聞いてもいいかい?」
八幡「3日前は此処に来たと思ったら急に抱き着いて頭を撫でろと言うだけでなく近くにあった俺の上着を着てまた抱き着いてきたからな。」ナデナデ
ルドルフ「………」
八幡「一昨日は上着は着なくなったが、それ以外は継続。膝枕とかもしたしな。」ナデナデ
ルドルフ「………」
八幡「んで昨日は……今日と同じだな。」ナデナデ
ルドルフ「………シービー、君はもっと比企谷君に感謝すべきだ。ここまで献身的なトレーナーは他に居ないぞ。」
シービー「してるよいつも。」
八幡「それとシービー、貰った書類の整理したいから1回腕離して膝行ってくれる?」ナデナデ
シービー「ナデナデは延長してもらうからね?」
八幡「分かってる分かってる。クッキー食べるか?」ナデナデ
シービー「……食べる。」
ルドルフ「……比企谷君、シービーが本当に済まないね。」
八幡「いや、もう慣れたから気にするな。それに、静かなコイツを見てても違和感しかないから早く元に戻ってもらわないとな。」
シービー「八幡、ルドルフはいいから早く書類整理して頭撫でて。」
八幡「はいはい分かったから。」
この状態のシービーは少なくとも1週間は続きそうだな。はぁ……爪だけでも治ってもらいたいものだ。
シービーさん、怪我と不自由のせいで不機嫌モードに………