八幡side
1週間と3日が経ち、バブルの天皇賞がいよいよ目前にまで迫っていた。俺は今、エアグルーヴとフジキセキ、そしてバブルを含めた合同のトレーニングを行なっている。後輩に頼まれたからだ。レース2週間前になったら下手なトレーニングは行えない、ちょっとした調整程度だ。後輩曰く『自分では見れるところは全部見ましたけど、先輩にも見てもらいたいです。』との事だった。要はちょっとした動きの修正とかだろう。
後輩「先輩、どうですか?自分では直すところは直したつもりなんですけど。」
八幡「そうだな……前にも言ったが、バブルはもう少しスパートのタイミングを早めてもいい。あれでもまだ遅いくらいだ。4コーナーを曲がり切ったら先頭と並ぶくらいにはなってた方が良い。相手は今の3強とも言われてる奴等だって居るくらいだ。」
後輩「成る程……」
八幡「それからバブルの走りを見て思うところは1ヶ所ある。バブルはスパートをかけたとしてもエンジン掛かるのが遅い。さっき言ったみたいに早いタイミングでスパートをかけるように言っておけ。」
後輩「分かりました!」
バブル「くあぁぁ〜!!また負けた〜!!」
エアグルーヴ「大袈裟だな。」
バブル「でもさ、納得の強さだよね〜。流石は今乗ってるトレーナーとウマ娘だよね!」
フジ「そういう風に言われているのは私も耳にしているよ、トレーナーさんの腕は良いからね。」
バブル「そうそう♪でもさ、そうなると逆に悪い噂も目立つよね。学園もそうだけど、学園外からもあるでしょ?ほら、『賞金泥棒』って。」
エアグルーヴ「……そうだな、事実無根な噂だ。」
バブル「無責任だよね、その人達って。自分が言われたらどうなのかって考えた事無いのかな?」
後輩「どうしたの、皆?」
八幡「当人同士で反省会か?」
バブル「あっ、ううん!トレーナーの噂でちょっとね。流してる人達が無責任だなぁ〜って。」
八幡「そうだな。」
バブル「けどさトレーナー、安心していいよ!この学園に居る殆どのウマ娘達はその噂がデマだって信じてるから!」
八幡「?どうしてだ?」
バブル「だってトレーナーを見てたら分かるもん!エアグルーヴのトレーニングもそうだけど、未担当の生徒達のトレーニングメニューを作ったり、走り方のアドバイスをしたり、生徒会の手伝いをしたり、怪我をした子にもカウンセリングしたりしてるじゃん!トレーナーのウマ娘からの評判ってすっごく良いんだからね?私も病院でリハビリとか診てもらってたし、こうしてトレーニングにだって付き合ってもらってるから!」
そうだったのか……あまりそういうのは気にした事は無かったが、そう思われているのは何となく嬉しい。
フジ「私も栗東寮のポニーちゃん達が君の事を話しているのを聞いた事があるけど、悪口を言ってる子は1人も居なかったよ。ポニーちゃん達からの評価は絶大、だと思っても良いと思うよ。勿論、私もトレーナーさんの事は評価してるし、信頼もしてるよ。」
八幡「……そうか。」
バブル「ほらエアグルーヴも!」
エアグルーヴ「な、何だ急に?」
フジ「言ってないのは君だけだよ?ほらトレーナーさんに何か言わないと!」
バブル「そうだよ!ほらリピートアフターミー!いつもありがとう、大好きトレーナー!!」
エアグルーヴ「たわけ、言えるかそんな事っ!!!」
フジ「お世話になってるんだから、このくらいは良いと思うんだけどなぁ……」
エアグルーヴ「こんな恥ずかしい台詞、言えるわけが無いだろう!!」
八幡「いやいいって、気持ちだけで充分だ。それにエアグルーヴがそんな事言ったら……熱発でもあるんじゃないのかって真っ先に疑う。普段通りが1番だ。」
後輩「あはは………」
バブル「心配の仕方がアレだけど、まぁエアグルーヴがいきなり大好きなんて言ったら驚くよりも心配になるよね〜。」
エアグルーヴ「……だが、これからも頼りには、しているぞ。」
八幡「おう、分かった。」
フジ「トレーナーさん、もう少しコメントをして欲しいよ。エアグルーヴ渾身のデレだったんだけどね〜。」
エアグルーヴ「フジ!!」
フジ「まぁまぁ、冗談だから。けどねトレーナーさん。今のは私達の本心だよ。それだけは分かって欲しい。」
八幡「………あぁ。」
………
バブル「な、なんか変な雰囲気になったね!ねぇトレーナー、残りのメニューは?」
後輩「え?あぁ、もう終わりだからダウンに入っていいよ。ストレッチも忘れないようにね。」
バブル「は~い♪」
八幡「お前達もバブルと一緒に行ってこい。」
エアグルーヴ「了解した。」
フジ「分かったよ。」
3人はそのままダウンに行って、俺と後輩はその場に取り残された。
後輩「……先輩、この前先輩に悪口言ってたトレーナー達とは違って僕や僕のメインT、他にもおハナさんや桐生院先輩、沖野さん達も先輩の事はちゃんと見てますからね。」
八幡「………あぁ。」
後輩「じゃあ僕、片付けしますね。」
八幡「そのくらい俺も手伝うぞ。」