ライスside
ライスがイギリスに来てから5日が経って、残すところ後2日だけになっちゃった。やっぱり楽しい時間ってあっという間だよね、短く感じちゃう。お兄様ともお話する時間はあるんだけど、向こうではトレーニングについて毎日すっごく質問されてるんだって。お兄様の先生はセクレタリアトさんとマンノウォーさんだから余計にそうさせちゃってるのかも?でもライス達、フランス語もだけど、英語まで普通に話せるようになっちゃったんだよね。英語は何となく分かってたんだけど、フランス語はとっても大変だったなぁ~……
八幡「そうだライス、一応聞いておくがまだこっちに居たいとかってあるか?」
ライス「こっちって……イギリスに?」
八幡「あぁ。イギリスでは1週間って事になってるが、今でも予約の変更は可能だってミスターアップルが言ってた。お前がもし希望するなら残る事も出来るぞ?」
ライス「それはお兄様もイギリスに残るの?」
八幡「流石にそれはちょっと無理かもな。イギリスのトレーナーからの要望とはいえ、日本を1週間も空けてるんだ。俺のトレーナー室の机の上には書類の束が何枚かあると思うしな、俺がこっちに残るのはちょっと無理だ。だからお前をこっちに預けるって形になる。」
ライス「うぅ~ん……それだったらライスも一緒に日本に帰るよ。お兄様だけお仕事でライスだけ遊んでるわけにはいかないから。」
八幡「ライス、これは遊びじゃないぞ?お前の友人の心のケアだ。お前のやっている事は立派な仕事だ。」
ライス「そ、そうなの?」
八幡「イギリスに向かう時にも話したと思うが、お前はクローネの為に呼ばれたみたいなものだからな。」
そう言われれば、そうなの……かも?
ライス「それでもライスは日本に帰るよ。」
八幡「そうか……分かった。じゃあ2日後の飛行機で日本に帰ろうか。クローネもそれはきっと分かってるんだよな?初日でミスターアップルが1週間滞在するって言ってたし。」
ライス「うん、分かってると思うけど……空港でまたくっついて離れてくれなさそう。」
八幡「俺も予想してた。」
ザワザワ……ザワザワ……
ライス「……ねぇお兄様、なんだかちょっと騒がしくなってない?」
八幡「そうだな……何かイベントでもあるのか?」
ライス「でもライス、クローネさんからもルプルーさんからも何も聞いてないよ?」
八幡「それを言うなら俺だってミスターアップルからは何も聞かされていない。」
アップル「ミスター比企谷っ!此処に居たんだね!」
八幡「どうも、ミスターアップル。どうしたんですか?何だかさっきから周りの様子が変っていうか落ち着きが無いっていうか……」
アップル「落ち着いて聞いてほしいんだ。今この学園にイギリス国王、ダンシングブレーヴ王が来ているんだ。」
八幡「はぁ………?驚く要素って何かありました?」
アップル「説明が足りなかったね……要するに、君達に会いに来てるんだよ!」
八幡「………………Que?」
お兄様が驚き過ぎて言語がフランス語になっちゃってりゅ!?あっ、ライシュもなんだがかみきゃみになってりゅ!!
八幡「あの、俺って今正装じゃなくて……普段来てるトレーナーの恰好なんですけど?」
アップル「身だしなみについてはそれでも問題は無いよ。それよりもブレーヴ王はこっちに向かって来ている。君達も心の準備だけはしておいてほしい。」
八幡「準備ってどんな?国王に会うのにどんな準備しろって?」
アップル「君はこの前もアイルランドの国王と王妃様に会ったそうじゃないか、その気構えで行けば大丈夫だよ。」
八幡(何も大丈夫じゃないんですけど?っていうか何しに来たんだよっ!?)
ブレーヴ「此処かな、ミスター比企谷トレーナーとミスライスシャワーが居るという場所は?」
ふぁっ!!?き、来たぁっ!!?
アップル「ブ、ブレーヴ王!わざわざご足労いただかなくともこちらから「彼等は遠い日本からこの地に来たのだろう?それに比べたら王城から学園までの距離は実に短いものだ。それに彼等は客人も同然、そんな者達に苦労をさせる方が無礼というものだ。」っ!お、仰る通りです……」
ブレーヴ「急な訪問で済まない。数年前のトレーナーとウマ娘がこの国に来ているという情報を耳にしたから飛んできたのだ。改めて名乗ろう、私はダンシングブレーヴ。この国を治める者だ。」
八幡「(ヤバいな、纏ってるオーラが半端じゃない……これが最高峰の舞台を最高のメンバーで競って世界最強の座に着いたウマ娘の気迫か、ルドルフやスピードさん以上だ。)お初にお目にかかります、日本のトレーナーの比企谷です。隣に居るのが担当の「ライスシャワー。」っ!」
ブレーヴ「私も天皇賞・春、そして宝塚記念を観戦させてもらった。天皇賞・春では心の無い声に憂いを感じたが、それはすぐに消え去った……君のあの演説でな。」
八幡「………」
ブレーヴ「そのおかげでこの欧州や周辺諸国のレース環境は大きく変わった。人気が無くとも勝利を掴み獲ったウマ娘に賛辞を送る風習が付いたのだ。そして宝塚記念……ライスシャワー、君にとっては実に痛ましい思い出だろう。だが君が現役を続行すると聞いた私は耳を疑った……だが君は2年ぶりに再びあの舞台へと戻ってきた、その結果が宝塚記念の勝利だ………君にはその時の光景はいつも見えている以上に美しく、より鮮明に彩られていた事だろう。そして私も久々に心が熱くなったと同時に君から諦めない心を改めて教わった。君達はレースの常識を覆すだけで無く、人々の心までも動かしてしまう程に素晴らしいトレーナーとウマ娘だ。勝手だが、君達の雄姿を見て感謝を伝えたくなったのだ……本当にありがとう。」
八幡「っ!?あ、あの……頭を下げるのはやめてくれませんか?そういうのはアイルランドの国王と王妃様だけで……あっ。」
ブレーヴ「ほう……アイルランドの国王殿とも面識があるのか。君は存外、人脈があるな。彼とは友人関係でね、君の祖国、日本の話もよくするのだよ。」
八幡「は、はぁ………」
ど、どうしよう……さっき国王様すっごいライスとお兄様の事褒めてたよね?ライスもう気絶しちゃいそう………
ブレーヴ「どうだろう、連絡先を交換しないか?何、堅苦しく考える必要は無い。プライベートの連絡先ならば構わないだろう?」
八幡「は、はい………」
ブレーヴ「それからこれは要望なのだが、私の事はブレーヴで構わない。様もさんも要らない、君達は国境を越えた友人なのだからね。」
ライス何にも話してないのに勝手に友人になっちゃったっ!?
八幡「あの、どうしてもブレーヴと呼ばなければダメでしょうか?流石に目上の方にさん付けしないというのは日本人としてはちょっと………」
ブレーヴ「そうか、ふむ……分かった。さん付けならば許そう。」
ライス「よ、よかったぁ~………」
ブレーヴ「ふっ、フランスの地で長距離GⅠを2勝したウマ娘とは思えないな。」
ライス「ふぇ!?み、見てたんですかっ!?」
ブレーヴ「注目しているウマ娘のレースは見るようにしている。国内国外問わずにな。」
す、凄い………
ダンシングブレーヴさん、ホントに急過ぎますって。