八幡side
チーム・ポラリスを率いる事になってから、また新しい春が訪れた。チームは相も変わらず好調で、先週の高松宮記念もチームのウマ娘が勝利を収めた。チームリーダーのエアグルーヴも俺が居ない時にはよく動いてくれるし、フジも副リーダーとして支えてくれている。そして新年度に入ってから新しい辞令が理事長から下された。現在チームは15人とかなり大所帯になったのだが、ウチのチームはトゥインクルシリーズとドリームトロフィーリーグ、大体半々で分かれている。ドリームトロフィーリーグの方が少し多いくらいだ。なので理事長は俺に新しく3名の担当を加えるようにと辞令が出たのだ。まぁ他のトレーナー達にも色々と辞令があったり無かったりと色々だったが、俺なんて毎年あるからちょっと代わってほしいまである。
八幡「はぁ………」
フジ「おや、溜息なんてついてどうしたんだい八幡さん?」
八幡「言われなくても分かるだろ?新しい担当の事だよ、またこれで新学期早々に頭抱える事になるとはって思ってただけだ。」
フジ「八幡さんがチームに居れたポニーちゃん達は皆、順調に育っているしね。良い事だと思うよ?」
八幡「そうなんだろうが、気の休まる時間が段々と減ってきているのも確かだ。チームがまだ7人だった時が懐かしく感じる。」
フジ「あの頃だって大変だったと思うよ?だってチームが結成された年に私の3冠で、その次の年にはシービー先輩のアイルランド3冠とライスの2冠、その次はアローの米国3冠にバクシンオーの春秋スプリント2大制覇にモーリスも春秋マイル制覇に加えて香港マイルも勝ったんだから盛りだくさんだったと思うなぁ。」
八幡「……最初から飛ばし過ぎてたのかもな、俺。」
フジ「今も充分飛ばしてると思うよ。この前の高松宮記念なんてレコード勝利だったじゃないか。加えて去年のスプリンターズSと香港スプリントを勝ってGⅠを3連勝、どこが飛ばしてないのかな?」
八幡「俺が悪かったからそれ以上はもう言わないでくれ。」
フジ「じゃあそうするよ。さっ、そんな顔じゃ新しい仲間になるポニーちゃん達に顔向け出来ないよ。いつものカッコ良い八幡さんになってくれるかい?」
八幡「俺のどこがカッコ良いんだよ……まぁとりあえず普通にする。」
にしても本当に十人十色だな、ウマ娘ってのは。分かっていた事ではあるがマジで色々だ。
「あ、あのっ!」
八・フ「?」
「チーム・ポラリスのトレーナーの比企谷さんですよねっ!?」
八幡「あぁ、そうだが……君は?」
「あっ、はい!俺……じゃなくて僕はこの年から中央のトレーナーに配属になりました〇〇です!」
八幡「ほう、新人か……知ってるみたいだが一応自己紹介しておく、トレーナーの比企谷だ。んで隣に居るのが……」
フジ「フジキセキだよ、よろしくね。」
「よろしくお願いしますっ!あぁ~まさか出勤初日に最初に声をかけたのが比企谷さんだなんて……っ!」
八幡「?なんかあるのか、俺に声をかけると?」
「だって!今やこの日本を代表する超一流のトレーナーといえば比企谷さんだって皆口を揃えてそう言いますよ!トレーナーやトレーナーを志す人なら誰だって知ってますよ!俺、比企谷さんに憧れてこの世界に入ろうって決めたんですっ!」
八幡「そ、そうか……なぁ、俺って有名人ってわけじゃないんだよな?」
フジ「有名人だと思うよ?八幡さんは知らないと思うけど、世界のトップトレーナーランキングっていう雑誌があるんだよ。八幡さんはその中でもトップ10入りしているくらい凄いんだから。」
八幡「………マジ?」
ウッソ俺全然知らなかったんですけど。何そのランキング、しかもトップ10ってホントに?
「確か6位になってましたよ。やっぱり3冠とトリプルティアラの他にアイルランドとアメリカで3冠を達成しているからだと思いますよ。それに日本国内のGⅠ全制覇まで後もう少しっていうのもプラスされていると思います。でも俺は比企谷さんが1位だと思ってます!だって3ヵ国で3冠制覇なんて比企谷さん以外に誰も成し遂げていないじゃないですか!それをただ若いからって理由だけじゃ納得出来ませんよ!」
八幡「(随分と分析されてんな、俺……)そのランキングがあった事には驚きだったが、別にどうでもいいわ。まっ、とりあえずよろしくな。」
「はい、よろしくお願いしますっ!」
………
フジ「君にもファンが居るみたいで良かったじゃないか。」
八幡「トレーナーにファンなんて要らんだろうに……それに毎年の事だけどよ、チームで写真撮影する依頼があるだろ?アレ、もう俺「行かない、なんて言わないよね?」……必要無いだろ、トレーナーの俺まで目立つ必要性なんて無いだろ。」
フジ「そうかな?ネームバリューは必要だと思うよ?現にチーム・ポラリスは世界でも有名になっているくらいのチームだからね。」
八幡「……メディアへの露出、もっと抑えるわ。」
フジ「メンバーの皆が勝ち続ける限りは難しいと思うけどね。」
八方塞がりだ………
アルダン「フジさんに兄様、此処に居らしたのですね……?お疲れですか?」
フジ「アルダン先輩、ちょうど良いところに。八幡さんの写真撮影の事でご相談なんですけど、八幡さんは今後は参加しない方が良いと思いますか?」
アルダン「いえ、私はそうは思いません。もしそうなってしまえば、チーム全員から猛反発が起きる上に士気低下にも繋がると思いますので。後々苦労されるのは兄様になるのは明らかです。」
フジ「だそうだよ、八幡さん?」ニコッ
八幡「どの道、俺にはどうする事も出来ないってのが分かったよ。チームの為に行動し過ぎたのが裏目に出た結果かもしれないな……エアグルーヴに言っても同じ回答が出てくるよな。」
フジ「間違い無く、ね。」
だよなぁ……1番最初の撮影会で俺の参加も聞いたのはフジとエアグルーヴだしなぁ~。そりゃそうだ………
八幡「1度、提案だけでもしてみるか。」
どうやら新人トレーナーの〇〇は八幡に憧れてトレーナーを目指した模様。