八幡side
………どうも、トレーナーやってる比企谷八幡だ。気にしても仕方のない事だったのはもう分かってるんだが、最近ちょっとした悩みがある。うん、これは本当に気にしても仕方ないっていうか、今更そんな事?って思うかもしれないんだが、俺もこれはどうなんだって思い始めた事だ。
ヴィブロス「どしたのお兄ちゃん?何か悩み事?」
八幡「いや、別に何でもない。」
ヴィルシーナ「そうですか?表情を見ててもどこか悩みを抱えているように見えたのですが?」
うん、君達関連でね。掻い摘んで説明するとだ、俺はシュヴァルグランというウマ娘と担当契約をした。それで何故かシュヴァルから姉妹と両親を紹介され、ある程度は仲良くなったみたいな感じになった。シュヴァル本人は紹介する気は無かったらしいのだが、親に報告したところ『是非トレーナーを家に連れて来てほしい。』と説得させられたみたいだ。押しに弱いシュヴァルだから断り切れなかったのだろう。まぁここまではいい、問題はその後だ。
シュヴァルの姉のヴァルシーナと妹のヴィブロスがよく俺の所に来るようになったのだ。それ自体は別になんて事は無いのだが、俺が気にしているのは2人の呼び方だ。
ヴィブロス「ねぇねぇお兄ちゃん、シュヴァちまだかなぁ〜?」
ヴァルシーナ「確かに遅いわね……兄さんは何か聞いてる?」
何故か勝手に兄扱い&兄呼びをされているのだ。いくら気心の知ってる仲になったとはいえ、姉妹の担当という事を除けば俺達ってまず他人なわけ……よくたった1回の紹介だけでそんなに心打ち明けられるものだと感心させられる。特にヴィヴロス、君はくっつき過ぎです。
シュヴァル「トレーナーさん、お待たせしまし……って!何でヴィヴロスと姉さんが居るんだよっ!?」
ヴィブロス「うんとね〜シュヴァちと一緒にトレーニングしようと思ったんだ〜♪」
八幡「ちょっと待って、それ初耳なんだけど?」
ヴィルシーナ「ごめんなさい兄さん、言ったら断られると思ったから。それにシュヴァルをGⅠ勝利まで導いたその腕を見込んでお願いしたいの。」
八幡「理由は理解したが、今日はダメだ。いきなり過ぎるし、今日のメニューだってもう決めてる。いきなり変更するのは流石に無理だ。前もって言ってくれればこっちだって調整出来るんだから、その時は教えてくれ。」
ヴィルシーナ「……そうね、確かに兄さんの言う通りね。ヴィヴロス、今日は諦めましょう。」
ヴィブロス「ぶぅ〜……」
シュヴァル「それよりもヴィヴロスは早くトレーナーさんから離れてよ!僕のトレーナーさんなんだぞっ!」
ヴィブロス「えぇ〜いいじゃ〜ん!シュヴァちだけズルいじゃん!それに私、こんなお兄ちゃんが欲しかったんだも〜ん!」
八幡「俺はそのお兄ちゃんに関して何も許可してないんだが?勝手に呼んでる件に関してはどう思う?」
ヴィルシーナ「後付けの理由になってしまうのだけど、兄さんをトレーナーさんって呼ぶのってなんだか違和感があるっていうか……ヴィブロスが『お兄ちゃん』って呼んでるのを見て、凄くしっくりする呼び方だと思ったの。」
何ともまぁらしいっちゃらしい理由だな……
八幡「成る程……んじゃシュヴァルに聞くが、俺を兄呼びする気はあるか?」
シュヴァル「えぇ!?ト、トレーナーさんを!?そ、そんな馴れ馴れしい事、僕には……出来ないよ。」
ヴィブロス「えぇ〜!?1番長い際付き合いなのにその距離感なの〜っ!?」
八幡「寧ろお前は近過ぎるんだよ。シュヴァルはまともな方だ。ヴィルシーナは………呼び方のせいで少し歪に感じる。」
ーーー数十分後ーーー
八幡「やれやれ、やっと行ってくれたか……」
シュヴァル「あの、トレーナーさん……姉さん達がすみません。」
八幡「いや、親しくしてくれる分には全く構わないんだが、あれは少し範疇を超えてるっていうか……何であそこまで懐かれるようになったのか未だに理解出来ないでいる。」
シュヴァル「でも、1番の理由は……GⅠを勝たせてくれた事、だと思います。嬉しかったなぁ………クラシックは思うように結果が出られなくって悔しかったけど、春最初の大阪杯はキタサンを差して……」
八幡「堂々の優勝だったな。俺もご両親と一緒に観戦させてもらったが、泣いて喜んでたしな。なんてったって娘のGⅠ制覇なんだからな。」
シュヴァル「はい……姉さんとヴィブロスからも泣きながらおめでとうって言われました……それに、父さんと母さんからも。」
こうやって話してみるとシュヴァルの家族は家族愛がかなり深く、親も子供もお互いを大切にしているのがよく分かる。それに俺が何度目かは忘れたが家にお呼ばれされた時なんて、『息子が出来たみたいで嬉しい。』まで言われちまったし……そっからだっけか、あの2人の態度が変わったのは。
シュヴァル「でも2人共、ちょっとトレーナーさんにベタベタし過ぎな気がします………」
八幡「俺も言ってはいるんだが、聞き入れてはもらえてないみたいだ。だって未だに兄呼びをやめてもらえてないしな。」
シュヴァル「えっと、僕から言っておきましょうか?」
八幡「いや、なんかもう……いっかなって。」
今更みたいな感じもするしな。それにお兄様って呼んでくれてる生徒も居るしな。
シュヴァルが担当だった時の世界線?