比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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走るお嬢様

 

 

八幡side

 

 

迎えた選抜レース当日。この日は出走直前まで降り続いた豪雨の影響でバ場状態は最悪になっていた。今も降り続いているから芝もダートもどんどん酷くなっていってる、ところどころダートに水溜まりも出来ている始末……こりゃ相当荒れるレースになりそうだ。

 

 

八幡「生憎の天気になっちまったな……天気もバ場もコンディション最悪、本当なら見送って欲しいところだが……その気は無いんだろ?」

 

アルダン「はい、今日を逃せばもう2度とチャンスは来ません……数ヵ月も先まで待てません。」

 

八幡「……駿川さんにも同じ事を言ってたな。」

 

アルダン「はい……今日を逃せば、もう次はありません。今日しか無いんです……」

 

八幡「そうか……まっ、健闘を祈るとだけは言っておく。」

 

アルダン「はいっ!」

 

 

短い会話をした後に俺はアルダンを見送った。いつもとは違ってアルダンからは覇気を感じる……今日この選抜レースで自分の今持っている全てを出し切る、そんな表情をしていた。

 

 

八幡「……ん?」

 

ラモーヌ「………」

 

八幡「お前の事だから濡れる場所には来ないと思っていたが、妹の走りが気になったのか?」

 

ラモーヌ「……そうね、走りを見たくなったのは嘘じゃないわ。けれどそれだけじゃない。」

 

八幡「……そうか。」

 

 

とりあえず、レースを見れば分かるって事かもな。

 

 

実況『さぁ本日最後の選抜レース、ダート1,200mが間もなく発走です!』

 

 

ガッコンッ!!

 

 

本日最後のレースが始まった。メインのレースが終わって今日の天気がこれだけの雨という事もあってか、レース場にはあまり人は集まっていなかった。だがトレーナーは残っていた。最後まで可能性のあるウマ娘は取りこぼさないようにしたいって思うのは普通だしな。

 

 

実況『さぁ最後の直線コースに向いたっ!!メジロアルダンが行った!!11番のメジロアルダンが行った!!ゴールは目前、先頭目掛けてメジロアルダンが猛追っ!!』

 

 

アルダン「はっ…はっ…はっ…はあああぁぁぁぁぁ~!!!」

 

 

実況『届くかどうかっ!?アルダン届くかっ!?差した、差したっ!!メジロアルダン今、ゴールインッ!!僅かな差でメジロアルダン!!差後の1歩、踏み切りましたっ!!ダート1,200mの選抜レースを制したのはメジロアルダンですっ!!』

 

 

八幡「……勝ったな。」

 

ラモーヌ「………」

 

八幡「……傘、いいのか?」

 

ラモーヌ「だって、身体中が熱くなって仕方ないんだもの。身体を冷やすのに1番良い方法は今、これしか無い。」

 

八幡「………」

 

生徒1「何なの、あの走り………」

 

生徒2「充分にトレーニング出来ない身体なのに。どうして……」

 

生徒3「ウッ……ソでしょ。適性、全然合ってないんじゃなかったの!?」

 

 

アルダンの事を見誤り過ぎだなあの3人。アルダンは適性外であってもあのくらいの走りは出来て当然だ。寧ろ適性の芝中距離だったら、もっと走れてる。

 

おっ、噂をすればだな。アルダンの所にトレーナーが集まり始めた。適性外のコースにバ場、距離でこれだけの走りが出来るんだからな。

 

 

男トレ「メ、メジロアルダン!済まない、少しいいか!?」

 

女トレ「私も……今の走り、素晴らしかったわ。良かったらウチにっ!」

 

 

……これで、俺はお役御免だな。

 

 

ラモーヌ「あら、もう行くの?」

 

八幡「あの中には優秀なトレーナーがたくさん居る。それに俺は今日までの仮トレーナーだ、選抜レースが終わればこの関係は終わりだ。」

 

ラモーヌ「濡れている学生を放置して何処に行くの?」

 

八幡「……自分から濡れに行ったんだろうが。はぁ……ついて来い。」

 

 

ーーートレーナー室ーーー

 

 

八幡「ほら、これで拭け。」

 

ラモーヌ「あら、拭いてくださらないの?」

 

八幡「俺はお前の召使いじゃねぇ、自分で拭け。ボサボサになっても構わないんだったらやってやるよ。」

 

ラモーヌ「……それじゃあ、お願い出来るかしら?」

 

 

………え、俺がやるの?いや、やってもいいって言ったの俺だけどさ。

 

 

コンコンコンッ

 

 

八幡「ん?どうぞ。」

 

 

ガラガラッ

 

 

アルダン「失礼いたし……姉様?」

 

ラモーヌ「あら、スカウトのお話はもう終わったの?」

 

アルダン「はい、なのでこちらに……それで、姉様はどうしてこちらに?」

 

ラモーヌ「雨に濡れてしまったから、今から拭いてもらうところなの。」

 

アルダン「………」

 

八幡「おい、俺はまだ拭くとは「させません。」………は?」

 

アルダン「その方は私のトレーナーさんです、私が先です。」

 

八幡「………」ポカン…

 

ラモーヌ「ふぅん……それじゃあアルダン、貴女のトレーナーにお願いしてれる?貴女の髪が拭き終わったら、次は私のをお願いするって。」

 

 

………え、俺が髪拭く流れなのコレ?

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

八幡「んで、どういう事?トレーナーになるって話もさっき聞いたばかりなんだが?」

 

アルダン「申しわけありません。私なりに色々試行錯誤してみたいのです。これからトゥインクルシリ-ズを共に駆ける上で必要なトレーナーは誰なのか……それに、こんな落ち目の私を周りの目も気にせずトレーニングを付けてくださった貴方であれば、私も心置き無く信頼を置き事が出来ます。」

 

八幡「………」

 

アルダン「トレーナーさん、どうか私を担当にしてくれませんでしょうか?」

 

 

さて、どうするか……

 

 

 




アルダンも八幡に逆スカウトしましたね~!
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