アルダンside
……緊張、しているのでしょうか。スカウトを……それも自分からトレーナーにするのは初めての事。何となく身体が強張っているのが分かります。
八幡「コース場に居たトレーナー達からのスカウトはどうしたんだ?あの中には新人からベテランのトレーナーまで大勢居たと思うが?」
アルダン「お気持ちは大変嬉しく思いましたが、お断りさせていただきました。失礼な物言いになってしまいますが、もし私が競走能力を左右される怪我を負ってしまったら、簡単に手放してしまうでしょう。復帰の可能性すらも考えずに……でも、貴方は……比企谷さんは違うと判断しました。比企谷さんと共に過ごした期間、充実した時間を過ごしたと共に、この方が私の担当トレーナーだったらどれだけ心強いかと。」
八幡「………」
アルダン「こちらからも質問させていただいてもよろしいでしょうか?」
八幡「何だ?」
アルダン「比企谷さんだったらどうしますか?競走能力を左右する怪我を負ってしまったとしたら。」
八幡「とりあえずは担当の子に正直に言う事からだな、その上でどうしたいかを相談する。俺達はトレーナーだからウマ娘を走らせる事は出来るが、最終的に判断するのは当の本人だ。まぁ厳密に言えばトレーナーにも決められる権利はあるが、俺は自分からそれをするつもりは無い。最終的な判断はウマ娘にさせるつもりだ。俺はウマ娘最優先重視だからな。」
アルダン「………」
八幡「どうだ、答えになったか?」
アルダン「はい、益々比企谷さんに担当トレーナーになってもらいたいと感じました。」
八幡「いいのか?何お実績も無いただの新人トレーナーだぞ?」
アルダン「はい、比企谷さんにお願いしたいのです。」
八幡「……分かった、その話を受ける。」
アルダン「ありがとうございます。それでは改めまして……メジロアルダンと申します。これから何卒、よろしくお願いいたします。」
八幡「あぁ、よろしく。じゃあ早速最初のお願いだ、そろそろ着替えてこい。いつまでもその格好だと風邪引くぞ?」
………そういえば、コース場からそのままこちらに来ましたので着替えていませんでした。
ーーー十分後ーーー
アルダン「失礼いたします、お待たせ致しました。」
八幡「おう、おかえり。コレ、一応契約書。俺の部分は書いてあるから後はお前の分を書けば、俺が出してくるから。」
アルダン「はい。それと、私も比企谷さんにお願いがるのですが、よろしいでしょうか?」
八幡「俺に出来る事であれば構わないぞ。」
アルダン「簡単な事ですので、身構えなくて大丈夫ですよ。今週末に少しお付き合いしてほしいのです。」
八幡「今週末……あぁ、分かった。時間は?」
アルダン「午前10時に学園校門前に。申しわけありませんが、当日になるまでは目的は伏せさせていただきます。」
八幡「まさかとは思うが、いきなりメジロ本家とかに連れ込むとかしないよな?」
アルダン「いいえ、そのような事はいたしませんのでご安心を。」
八幡「とりあえず了解した。」
それからは今日のレースの反省とこれからの事を少し話してから解散となりました。
ーーー美浦寮ーーー
チヨノオー「おめでとうございますアルダンさんっ!今日の走り、見てましたよ!とっても凄かったです!!」
アルダン「ありがとうございます、チヨノオーさん。」
チヨノオー「それで……トレーナーさんは決まったんですか?」
アルダン「はい。幸いにも比企谷さんに担当トレーナーをお願いいたしました。」
チヨノオー「それじゃあアルダンさんを選抜レースまでトレーニングを見ていたトレーナーさんが担当になったんですね!おめでとうございます~!」
アルダン「ふふふっ、そんなに喜んでくれるとこちらも嬉しくなりますね。」
チヨノオーさんのこういうところ、とても素敵です。
チヨノオー「いよいよアルダンさんもレースにデビューする事が出来るんですね!本当に良かったです~!」
アルダン「はい、良かったです。」
チヨノオー「でもレースが終わった後のトレーナーさん達の動き、凄かったですよね。皆してアルダンさんの所に集まっていきましたから。」
アルダン「お気持ちは大変嬉しく思ったのですが、既に心に決めておりましたので。」
チヨノオー「……それってもしかして、私がトレーナーさんを担当にしたらって言ったからですかっ!?」
アルダン「さぁ、どうでしょうか?」
チヨノオー「ア、アルダンさ~ん!意地悪しないでくださいよ~!」
アルダン「さぁ、もうすぐ夕食のお時間ですよ。」
アルダンsideout
八幡side
同期2「そっかぁ~メジロアルダンを担当にしたんだな。」
八幡「あぁ。」
同期2「まぁ当然なんじゃないか?だって選抜レースまでお前が面倒見てたんだろ?それなら向こうからスカウトが来たって不思議じゃないしな。」
八幡「それだとあんまり理由になってない気はするけど、まぁそういう事にしておく。」
同期2「それに先輩連中、悔しそうにしてたなぁ……」
八幡「確かにそれは俺も思った。まぁ何となく気持ちは分かるけどな。欲しいのを取られたわけだから。」