八幡side
あの姉妹と出会ってから1日が経過した。変な時間を過ごしたもんだと適当に片付ける事にして、先輩に昨日の特別展示会場の感想を一応伝えた。そんで今は数ヵ月に1回行われる選抜レースが開催されているコース場に来ていた。まだデビューしていないウマ娘達が集まって走るのだが………
オルフェ「………」
アイツも居た。しかも体操服を着ていてゼッケンまで付けているから、レースに出るんだろう。
同期2「なぁなぁ比企谷、次に勝つウマ娘ってドイツだと思う?」
同期1「アンタまたその質問?比企谷君の予想が百発百中してるからってそんなに聞く?」
葵「でも凄いですよね、全部当ててるっていうのも。」
同期2「それでそれで!次に勝つのって誰よ?」
八幡「……アイツだな、オルフェーヴル。」
同期2「それって……あの偉そうにしてる栗毛の?」
葵「あっでも私知ってます!あのウマ娘は姉にドリームジャーニーさんが居るんですよ!実力はよく分かりませんけどね。」
同期1「ドリームジャーニーって……確か宝塚記念と有マ記念を同じ年に優勝したウマ娘だよね?」
まぁそれだけでも箔が付いちまうよな。自分の姉妹が実力があるだけで周りもそれに反応するからな。
同期2「とりあえずオルフェーヴルな?よし覚えた!」
八幡「これも当てたら飲み物な。」
同期2「まぁここまで全部当ててるしな、よし乗った!」
そしていよいよ選抜レースが始まった。
実況『さぁ、先頭集団が横に広がったまま最後の直線に入る!後ろのウマ娘は抜け出す事が出来るのかっ!?』
オルフェ「……笑止。これで我が道を塞いだと?身の程を知れっ!」
実況『オルフェーヴル、突っ込んできた!切り開くっ!!前に出る!先頭に並ぶ!そして……かわした~っ!!』
同期2「おいおい、何だよあの走り……」
同期1「あんな走り、見た事無い……」
……圧倒的な走りだった。あの中のウマ娘では相手にもなっていなかった。寧ろオルフェーヴルの引き立て役にしかなっていなかったようにも見える。
そう思っていると、オルフェーヴルの周りには先輩達がオルフェのスカウトをしに行っていた。まぁあれだけの走りだ、スカウトしない手は無いだろう。
オルフェ「………」ブツブツ…
けど何でだろうな、あれだけの走りをしたってのに全く喜んだ様子も無い。
「オルフェーヴル!本当に、素晴らしい走りだった!貴女なら必ず頂点に立てる!私と一緒に、挑戦してみない?」
「君の素質は圧倒的だ!過去のどんなウマ娘にも劣らないっ!私と共に、輝かしい戦績を打ち立てようじゃないか!」
すっげ……あそこだけ花畑状態だ。
オルフェ「………貴様等は、何を勘違いしている?貴様等ごときが
『っ!?』
オルフェ「【王】に相応しきは、此処には在らず……選抜などとは、名ばかりだな。」
……先輩達はオルフェの威圧で完全に委縮してしまっていた。そのまま学園の方向に向かっていくオルフェを追いかける事さえしていなかった。
ーーー数日後ーーー
八幡「さて、それじゃあやってくぞ。」
ライス「うん、よろしくお願いします!」
カレン「お願いします、お兄ちゃん!」
ヴィブロス「お願いしま~すっ!」
俺は今日、この3人のトレーニングを見る約束をしていたので、このコース場に集まっている。見事に皆さん適性バラバラなのだが、何故か放っておけない連中だ。
八幡「じゃあ最初はアップから始めていくぞ。」
カレン「は~い……あれ?お兄ちゃん、後ろ。」
八幡「ん?」
後ろには見覚えの無いウマ娘が居た。すると突然、恭しく礼をしてきた。
「突然申しわけございません。私は、オルフェーヴル様の臣下が1人です。」
八幡「……臣下って本当に居るんだ。」
「【王】が貴方をお呼びです。ご一緒に来ていただけますか?」
八幡「……因みにその用件は?」
「……私はただ、連れて来いと命令を承っただけですので、詳細は「ならお断りだ。」………え?」
八幡「見ての通り、俺には先約がある。コイツ等を放置して行くわけにはいかない。それともう1つ、理由も分からないのに連れて来いとか身勝手にも程がある。そんな奴に割く時間なんて持ち合わせていない。」
「そ、そんな奴………っ!?」
八幡「呼ぶ事以外に用が無いのならもう行ってくれ……悪かったなお前達、始めるか。」
ライス「で、でもいいの?」
八幡「いいのいいの、俺にとってはこっちの方が大事だし。」
カレン「じゃあ、始めましょうか!」
ヴィブロス「じゃあ行こぉ~♪」
八幡「怪我するなよ~。」
「………」スタスタ…
アイツ、なんかすげぇ顔色悪かったな。もしかして命令遂行出来なかったら拷問でもされんの?
八幡sideout
オルフェside
「………王よ、失礼致します。」プルプル…
オルフェ「………」
「申しわけございませんでした!王命を遂行する事が出来ずっ!!」プルプル…
オルフェ「……訳を申せ。」
「………王の言っていたトレーナーにお話を持ちかけたのですが、先約があるからと。それから……い、いえ、何でもございません!」プルプル…
オルフェ「よい、申せ。」
「っ!!?し、しかし!!」
オルフェ「構わぬと言っている。」
「………トレーナーはこう言っていました、『理由も分からないのに連れて来いとか身勝手にも程がある。そんな奴に割く時間なんて持ち合わせていない。』………っと。」ブルブルブルブル
オルフェ「………」
「……お耳を汚す発言、本当に申しわけございませんっ!!」ドゲザッ!!
オルフェ「………構わぬ、頭を上げよ。大義であった。」
「………え?」キョトン
余の誘いをこのような形であしらうとは………やはり、あの者だけだ。1人違う光を宿していたのは。
オルフェ「フッ………思わぬ収穫だ。」
臣下・生「お、王が笑った………っ!!?」