八幡side
トレーナー室でいつものように過ごしていたのだが、息抜きに学園の外に出て辺りを散歩してみる事にした。とは言っても、学園周辺の事は既に周知済みだから本当に散歩する程度だ。コース場には授業で走っているウマ娘とその様子を見守っている教官達。他のコース場の整備をしている用務員の人達。そして校門前で何やらこっちに顔を覗かせている不審者………ん?不審者?
八幡「アレって………ウマ娘、だよな?」
校門前に居るウマ娘は黒鹿毛の短髪で恰好は黒がメインカラーで黄色の差し色が特徴的な服装をしていた。
八幡「あの、何してるんですか?一応此処は関係者以外は立ち入り禁止なんですけど……」
???「うん?あぁいや気にしないでくれ、ちょっと立ち寄っただけだからよ。それに今は入る気なんてねぇから安心しろよ。」
八幡「(今は?)はぁ………」
???「でもちょうど良かったぜ、話し相手が欲しかったところなんだ。ちょっと付き合ってくれねぇか、トレーナーのお兄さん?」
門前のウマ娘は俺の手を引っ張ってその辺りのベンチに座った。
???「ほい、コーヒーで良いよな?」
八幡「はぁ……ってブラックかよ。」
???「何だぁ?もしかして微糖派かぁ?なっははは!お子ちゃまな舌だなぁ~!」ケラケラッ!
普通に揶揄われてしまった……でも何でだろう、不思議と嫌な気分にはならない。
???「よっこいせっと……なぁお兄さん、1つ聞いてもいいか?」
八幡「はい?」
???「お兄さんにとって、旅ってどんな存在だ?」
八幡「……旅、ですか?」
???「そっ、旅。どんななのか教えてくれよ。」
八幡「………」
旅………抽象的過ぎて何にも分からん。だが相手はウマ娘、単純に聞いたわけでは無いんだろう。けど俺にとっての旅かぁ………
八幡「………」
???「………」ジィ∼…
八幡「………すみません、よく分かりません。けど、それはきっと自分にしか見えてない世界だと思います。」
???「へぇ~……その心は?」
八幡「旅にだって色々種類はありますけど、俺なりの見解でお話します。俺にとっての旅は、『果てしない何か、それを見つける為の手段。』ってところですかね。」
???「手段……面白い例えするね~。じゃあお兄さんはこれまででどんな旅をしてきた?楽しい旅だったかい?そして果てしない何かっていうのは見つかったか?」
八幡「何かは見つかっていませんね……それに楽しい旅でも無かったですね。でも、この世界に入ってからは何か見つかるかもしれませんね。まぁ、ただ就職したってだけなんですけどね。」
???「随分と現実的だね。君は現実主義なのか?」
八幡「割とそうではあります。ダメだとは言いませんけど、短距離向きのウマ娘に長距離のレースに出ろなんて非現実的ですし、本人の為にもなりません。それでも本人が走りたいと言うのであれば話は別ですけどね。話が逸れましたけど、俺にとって最初の手段がこのトレーナーって事になりますね。」
???「成る程ねぇ……それじゃあ1つ聞くぜ?ウマ娘は道具かい?」
八幡「……それ本気で聞いてますか?」
???「悪い悪い、ほんの冗談だよ。でもそうだな、お兄さんは良いトレーナーさんになると思うぜ。これは私の勘だけどよ。」
八幡「はぁ……どうも。」
って言われても、どう答えていいのか全く分からなかったから言ってる事すげぇ曖昧な気がする。
ーーー昼休み・カフェテリアーーー
八幡「………」
ジャーニー「……どうかされたのですかトレーナーさん?何やら上の空のご様子。」
八幡「ん?いや、何て言ったらいいのか………変な時間を過ごしたなって思って。」
ジャーニー「変な時間……っと、言いますと?」
八幡「ある人と話をしてたんだが、抽象的な質問をしてきたと思ったら突然違う話をし始めたりと、よく分からない人と1時間くらい話してた。」
ジャーニー「ふむ………」
オルフェ「………」モグモグ
八幡「まぁ気にしても仕方ないか。」
オルフェ「……馳走になった。」
八幡「相変わらず食うの早いな……まぁお気に召したって解釈をしておく。」
オルフェ「比企谷、貴様に話がある。」
八幡「ん?」
オルフェ「貴様、余のトレーナーとして仕える事を許す。」
八幡「……それってお前のトレーナーになる事を許されたって事か?」
オルフェ「………」
無言でこちらを見てくる、つまりは肯定という事になる。すると昨日と同じように周りがザワザワと騒ぎ始めた……最早これは鶴の一声だな、オルフェが何か発言しただけで反応するんだから。
八幡「……少し、時間を「どういう事だオルフェーヴル!」…?」
先輩1「今のは一体どういう事だっ!!」
八幡「……先輩?」
「また貴方ですかっ!スカウトの件はお断りした筈ですっ!」
先輩1「お前達には関係無いっ!俺は今オルフェーヴルと話をしている!」
オルフェ「……比企谷、答えを聞こう。」
八幡「あぁ~……」
先輩1「おいオルフェーヴル、こんな新人よりも実績のある私の元に来るべきだ!たかが新人のこんな「その煩わしい口を閉じよ。」なっ!?」
オルフェ「貴様など、余のトレーナーとして相応しくない。それに、貴様ごときが比企谷よりも優れていると?笑わせるな……貴様程度のトレーナーが比企谷の上を行くなど、笑止……身の程を弁えぬ者程、不愉快な事は無い。早々に立ち去れ……」
おいおい、火に油を注ぐような事を言うなよ……