セレブな末女とオーバーな次女
八幡side
トレセン学園のトレーナーになってから何ヵ月か経った頃の休日。いつもは休日の日にもメニュー作りをしているのだが、やり過ぎたせいで次にやるメニューが無くなってしまったから、今日は何となく街を歩いている最中だ。街に来るのなんて買い出しくらいでしか来ないから、まだ道を覚えられてないし、何処に何があるのかなんて地図でも見ない限り分からん。周りに何があるのかを把握する良い機会だと思う事にして、のんびり街歩きに繰り出している。
八幡「この辺りなら何とか分かるんだよなぁ……」
ブロロロロ……ガチャッ
???「よととっ……ママ、送ってくれてありがとっ♡ねぇねぇ、次はいつデートしてくれる?」
高そうな車から1人のウマ娘が降りてきて、母親であろう人物と話をしている。しっかしアレだな、派手だな……
???「ホントだよ?お仕事頑張って、すぐに会いに来てねっ!ママ大好き~チュッ!ばいば~い♪」
……まぁ、俺には関係無いか。さて、行くか。
???「……ん?あれ?あの人……やっぱり!」
八幡「………」スタスタ
???「ねぇねぇ~!」
八幡「………」スタスタ
???「むぅ~ねぇってば~!」
八幡「っ!……俺?」
???「ゆ~!貴方、学園のトレーナーさんだよね?」
八幡「その通りだが……よく分かったな?」
???「うん!私ね~、今ね~トレーナーさんはみ~んなチェックしてるんだ!貴方にもちゃんと目を付けてたんだよ?だって……あっそうだ!私、ヴィブロスっていいます♪今から一緒に、お買い物しませんか?」
八幡「……買い物?何で?」
ヴィブロス「大丈夫、おねだりしないから!1人じゃなくて、誰かと一緒が良いの。本当はママと一緒の筈だったんだけど、お仕事で~……お願い、寂しいの……ねぇいいでしょ?ねぇねぇ?」
……何だろう、このヴィブロスって子は甘え上手なんだろう。そうでなければこんな風に他人に甘えたりはしないだろう。
ヴィブロス「ダメって言わないんだね?じゃあいいって事だよね!決まりっ!こっちこっち~!」
八幡「おい、まだ何も……ったく、仕方ないな。」
なし崩し的な感じで彼女の買い物に付き合う事にした………のだが。
ーーーとある店内ーーー
ヴィブロス「きゃ~!あのショルダーバッグかわい~!ねぇ、ちょ~良くない?他の形も見て見たいな~……ってトレーナーさん?だいじょぶ?」
八幡「(超ハイブランド……)庶民の俺には分からん世界だ。お前はこういうのが好きなのか?」
ヴィブロス「うん、大好き♡だって~デザインも素敵だし~すっごいセレブじゃない?」
八幡「セレブ………」
ヴィブロス「うん、セレブ!良いよね~カッコ良いよね~!華やかで、皆の憧れっ!私も早くセレブになりたいな~♪で~……あのバッグ、私にちょ~ピッタリだと思うんだよね!見に行こっ、トレーナーさん!ほ~ら、こっち~!」
ーーー数十分後ーーー
ショッピングを終えた俺とヴィブロスは一旦お店から出て、アイスを食べている。高級ブランドの店をいくつも回った後だと、このアイスの値段が安く思えるな……このアイスだって充分に良い値段の筈なんだが。
ヴィブロス「ねぇねぇ、次はコスメ見たいな~!今日は予定無いんでしょ?」
八幡「……何でそう思う?」
ヴィブロス「だって最初に会った時、当ての無い感じしたし~。予定あるけど切り出せないって顔は~……してないし~?」
ほう……ただの甘えん坊だと思っていたが、意外と人の事はよく見てる上に勘も鋭いな。
ヴィブロス「ねっ、大丈夫だもんね?アイス食べたら続き行こ!オススメのリップクリームとか、教えてあげる♪」
八幡「俺はリップ塗らないから遠慮しておく。」
ーーー数時間後ーーー
結局、ヴィブロスの買い物に1日中ズルズルと付き合う事になったのだが、俺の当初の目的でもあった街歩きも出来たから良いとしよう。店に関してはアイス屋さんと高級ブランドしか分からんけど。
ヴィブロス「はぁ~楽しかった♪ありがとう、トレーナーさん。」
八幡「いいや、俺も良い気分転換になった。」
ヴィブロス「ふふ、ずっと一緒に居てくれたね♪」
八幡「正直な事言うと別に付き合う必要なんて無かったが、俺に予定が無いのも事実だったからな。」
ヴィブロス「トレーナーさんやっさしぃ~♪じゃあね~トレーナーさ~ん♪」
ヴィブロスは大きく手を振りながら寮のある方向へ走って行った。
八幡「……少し、コース場を見てから帰るか。」
ーーーコース場ーーー
八幡「ちらほらとトレーニングしてる奴は居るみたいだな……ん?」
???「……げほっ、げほっ、けほっ!はぁ……はぁ……っ……あぁぁっ!」
……どんなトレーニングをしていたのかは分からないが、あれは明らかにオーバーしているな。それに息も整っていないのに走り出すなんて……ちょっと危ないな。
???「はぁ……はぁ……はぁ……」
八幡「おい、大丈夫か?」
???「っ!?え、あ、えっと……僕、ですか?」
八幡「あぁ、一部始終を見ていたわけじゃないが、かなり追い込んだトレーニングをしていると思ってな。迷惑とも思ったが声をかけさせてもらった。」
???「あ………その、すみません。大丈夫です。僕は、大丈夫、なので……では………」
……取り付く島は無かったか。