アルダンside
ヤエノ「アルダンさん、最近はとても調子が良さそうですね。体調を崩して保健室へ行く事も見なくなりましたので、嬉しく思っています。」
チヨノオー「実技の授業では、最後まで参加していますもんね!」
アルダン「えぇ、これも兄様のおかげです。兄様のサポートあってこその成果ですね。」
チヨノオー「あはは……でもやっぱり慣れませんね、その兄様呼びだけは。トレーナーさんの事をそう呼ぶのはアルダンさんくらいですよ。」
アルダン「そんな事はありませんよ?同じ美浦寮のライスさんも兄様の事をお兄様と呼んでおられますし、中等部のカレンさんもお兄ちゃんと呼んでいるのを先日お見かけしましたよ。」
チヨノオー「い、意外と居るんですね………」
ヤエノ「ですが、トレーナーと良好な関係を築けているのは良い事です。」
アルダン「えぇ、そうですね。」
私は学園の中庭で同じクラスのチヨノオーさんとヤエノさんの3人でお話をしています。このお2人とは入学当初から仲良くさせていただいていて、今もこうしてよくお話をしているのです。私が体調を崩した際もよくお手伝いをしてくださる、とても良い方達です。
チヨノオー「あっ、そうだ!私、遂にデビュー戦が決まったんです!今年の8月に函館レース場の芝1,800mに出走します!」
アルダン「まぁ、おめでとうございます!」
ヤエノ「この中ではチヨノオーさんが1番乗りみたいですね。」
チヨノオー「お2人のデビュー戦は決まっているんですか?」
アルダン「私はまだ身体の事がありますので、来年の1~3月と決めております。ヤエノさんは?予定では同じ函館レース場でデビューすると聞いておりましたが。」
ヤエノ「当時はその予定でした……しかし過度なトレーニングを課してしまった影響か、脚に炎症を起こしてしまい、来年まで休養する事になってしまいました……」
チヨノオー「えっ!?今普通に歩いてお話してますけど大丈夫なんですかっ!?」
ヤエノ「日常生活を送る程度であれば問題無いとの事でしたので、トレーニングも脚を酷使しなければ問題ありません。」
アルダン「そうでしたか、それは何よりです。しかしデビュー戦が遅れてしまったのは残念でしたね……」
ヤエノ「ですが、早く完治させて一刻も早くデビューしてみせます。」
チヨノオー「無理だけはしないようにしてくださいね。」
ヤエノさんのお怪我は残念ですが、幸いにも選手生命は絶たれていません。1日も早い怪我の完治をお祈りしておきましょう。
クリーク「あら、こんにちは~。3人お揃いのようで~。」
オグリ「やぁ、3人共。」
チヨノオー「クリークさん、オグリさん、こんにちは!」
クリーク「何のお話をしていたんですか~?」
アルダン「デビュー戦の事です。お2人は……っというよりもクリークさんは決まってるんですか?」
クリーク「私は函館2,000mに出る予定ですよ~。8月にデビュー予定です~。」
チヨノオー「私と一緒のレース場ですね!」
アルダン「やはり今年の夏にデビューする予定の方が多かったみたいですね。私も早くデビューしたいところですが、慌てても仕方ありませんね。」
ヤエノ「私も今は怪我を治す事だけを考えます。」
オグリ「私は既に笠松でデビューしているが、この中央ではまだ走っていない。」
クリーク「オグリちゃんの場合、今年は走れないから来年まで待つしか無いでしょうね~。」
グウウウゥゥゥ∼…
オグリ「むぅ、お腹が空いたな……」
クリーク「じゃあ、カフェテリアに行って何か食べましょうか~。皆さんもご一緒にいかがですか?」
チヨノオー「ちょうど良い時間ですし、行きましょうか!」
それから私達はカフェテリアで一緒に食事を楽しんだ後に教室に残りの授業を受けてから、部室へと向かいました。
ーーー部室ーーー
アルダン「兄様、お待たせ致しました。」
八幡「よう、授業お疲れさん、それにそんなに待ってないから大丈夫だ。」
アルダン「……何を読んでおられるのですか?」
八幡「ん?負担の少ないトレーニング方法をもう1回読んでいるところだ。負荷が少なく高い効果を得られるトレーニング方法を見逃しているかもしれないからな。」
アルダン「ですが、兄様のトレーニング方法は一般的なトレーニングとはかけ離れたもの。兄様のトレーニング方法とその本の内容がマッチするとは思えないのですか……」
八幡「何もそのままそっくり組み込むわけじゃない、俺なりに改良してから入れるつもりだ。それに1度は自分で試してからだ。」
アルダン「試す?」
八幡「いきなりやらせるのはリスクが高い上に現実的じゃない。実際に見る側がやる側よりもやり方を理解していないと意味が無いしな。だから最初は俺がやる、それから他に良い方法がないかを模索してからお前にやらせる。だからこの本に載ってるのはあくまでも土台、そこから新しいのを作る。さっき言った負荷が少なくて効果が高いのをな。」
アルダン「そんな事が可能なのですか?」
八幡「可能だ。だってこれまでのトレーニングがそうだからな。」
アルダン「っ!」
これまでのトレーニングも全て兄様が改良したトレーニング?という事は始まりから終わりまで完全に兄様が作り上げた独自のトレーニングという事になる……それを私は1ヶ月も知らずに?
アルダン「……あの、兄様。」
八幡「ん?」
アルダン「お休みになられていますか?」
八幡「……どうした急に?」
アルダン「その、今のを聞いて兄様がちゃんとお休み出来ているのかと思いまして……」
八幡「もしかして夜遅くまで起きて模索していると思っているのか?そんな事は無いから安心しろ。それにこれは時間があったから読んでいるのであって、普段は少しだけしかやっていない。今はアルダンの身体を強くするのがメインだからな。」
やはりとても頼もしい……兄様の担当になれたのは本当に上々でした。