八幡side
アルダン「はっ……はっ……はっ……っ!」
八幡「そのままスピードを維持したままゴールしろっ!」
アルダン「はいっ!」
ピッ!
八幡「……よし。」
アルダン「はぁ……はぁ……どう、でしたか?」
八幡「また自己ベスト更新だ、良い調子だな。」
アルダン「っ!本当ですかっ!」
八幡「あぁ、良い感じだ。それに、お前の調子も良さそうだしな。」
アルダン「はい、おかげさまで。体調が崩れる事も減りましたので良い事だらけです。」
八幡「そうか。よし、じゃあ今日はこれで終わりだからダウンに行ってこい。」
アルダン「承知しました。」
さて、俺は今の内に片付けだな。
ーーートレーニング後・部室ーーー
八幡「今日もお疲れさん。今日も無事に最後までやり遂げたな。」
アルダン「はい、とても喜ばしいです。」
八幡「力をメキメキ付けてきているから今年にデビューしても問題は無さそうだが、1度決めた事はあまり曲げたくない。この調子のまま来年まで行くぞ。」
アルダン「はい、よろしくお願いします。」
八幡「んじゃ、寮に帰っても構わないぞ。俺はもう少し作業してから帰るから。」
アルダン「……あの、兄様。少々お願いがあるのですが………」
ーーー休日ーーー
『お帰りなさいませ、アルダンお嬢様。』
アルダン「えぇ、ただいま。兄様、ようこそメジロ家へ。」
八幡「………」
外観と敷地だけでも普通に分かったんだが、めちゃめちゃデカい………豪華過ぎる。そして執事達やメイド達も列も角度も乱さずにお辞儀してくれている。俺なんかにすみませんね、ホント。
アルダン「さぁ兄様、お婆様の居る書斎までご案内します。」
「アルダンお嬢様、私が先導致します。」
アルダン「ありがとう、よろしくお願いします。」
俺はアルダンの……っというよりもメジロ家の当主のお呼ばれによって休みの日にメジロ家に赴いている。何で呼ばれたのかは分からないが、とりあえず会いに行く事になった。
そして目の前に聳え立つ門のような扉。
「奥様。アルダンお嬢様および担当トレーナー様をお連れしました。』
アサマ『入れて差し上げて。』
「かしこまりました……では、失礼致します。」
アルダン「………」
八幡「………(何も言わずに入ってもいいのか?)」
アサマ「遠路遥々、ご足労いただき感謝いたします。メジロ家現当主のメジロアサマと申します。」
八幡「ご丁寧な挨拶、痛み入ります。メジロアルダンさんのトレーナーをさせていただいています、トレーナーの比企谷です。この度はご招待、ありがとうございます。」
アサマ「堅苦しい挨拶はこのくらいにいたしましょう。アルダン、久しぶりですね。」
アルダン「はい、お久しぶりですお婆様。今年の年末年始以来です。」
アサマ「どうぞお掛けください。人数分のお茶をお願いします。」
「かしこまりました。」
………所作の1つ1つが一々上品なんだよなぁ~。俺には真似出来ない。
八幡「少々答えを急かす形になりますが、何故自分は呼ばれたのでしょうか?」
アサマ「……まずは謝罪を。貴方の事を勝手ながら調べさせていただきました。小中学校は一般校ですが高校に関しては県内の進学校、その後の国公立大学へ進学。そして4年後にトレーナー試験を主席で合格して、トレセン学園に赴任。1年目にして担当を持つ事を許された数少ない例をお持ちだと……謎が多く残る経歴です。」
八幡「………」
アサマ「比企谷さんの進学された大学ではトレーナーに関する科目は存在しておりません。それなのにどうしてトレーナー試験に合格……それも主席で。最初から知識があったにしても、名門桐生院家を凌いで主席を座を取るのは至難の業。貴方は謎が多過ぎる……そこで、よろしければ貴方の事を教えていただけませんか?」
八幡「……よく調べましたね。それだけ調べたのなら、俺が教える事は何も無いと思うのですが?」
アサマ「調べたとはいっても、細かな事までは分かりませんでした。それに、そのような得体の知れない方が孫娘の担当をしていると知れば、黙ってなどおられませんから。」
アルダン「っ!」
八幡「成る程、確かにそちらの言う事は最もです。そうですね………お話出来る範囲でなら構いませんが、どうです?」
アサマ「……よろしくお願いします。」
俺は自分の言える範囲でこれまでの事を話した。勿論だが先生やプロフェッサーの事は話してない。トレーナー知識の豊富なウマ娘から手解きを受けたとだけ伝えた。
アサマ「千葉の大学にそのような方が居るとは存じませんでした……それで、その方のお名前は?」
八幡「それは自分からはお話出来ません。師匠自らの願いでもありますので。恩師の願いを無碍にする事は俺には出来ません。」
アサマ「ふむ……その方のおかげで試験を主席で合格出来たと。」
八幡「はい。普通のトレーナー志望の方がどのくらい勉強するのか自分には分かりませんが、先生から本格的にトレーナーとしての知識を教わったのは入学して1年が過ぎてからでした。なので自分は約3年で試験を主席合格出来るだけの力を得ました。大学の必修科目も並行しながら、です。」
これだけ言えば理解してくれるだろう、3年と言ったが、実際には3年以下の時間で俺をここまで育て上げた人だ。普通に考えても、その指導レベルは逸脱していると考えるだろうな。
アサマ「そんな方が無名だとは考えられないのですが……」
八幡「先生は自分の事を話したがらない人ですので。先生自らが正体を明かさない限りは自分もお話する事は出来ません。」
アサマ「そうですか……事情は分かりました。これ以上詮索するのはやめましょう。それにこれまでの会話で分かりましたが、貴方はとても誠実な方のようですね。そんな方であれば安心して孫娘をお預けする事が出来ます。」
とりあえず納得をしてもらえたようだ。まぁ確かに名門ならその辺りの事は調べるだろうしな。もしこれで俺が孤児だったり最下位合格者とかだったら、担当契約を破棄されていたりして?