アルダンside
アルダン「デビュー戦の予定を早める、ですか?」
八幡「あぁ、けどこれはあくまでも提案だ。現状、ここまで順調に事が運べている。それにお前自身も気付いているとは思うが、体質の改善には成功していると言っても過言じゃない。だからデビュー時期を少し早めて来年のクラシックに向けて本格的に動き出しても良いと思ってな。アルダン、お前の意見を聞きたい。」
アルダン「……そうですね。私も兄様の言うように来年のクラシック3冠のレースで勝利を挙げるのが今の私の最大の目標。であるならば、その可能性を少しでも伸ばしたいと思うのが必定……兄様、正直にお答えください。今の私がレースに走ったとしましょう、その脚は砕けるとお思いですか?」
八幡「思わないな。これまで何度か模擬レースをしてきたが、全て無事に走り終えている。だから本番のデビュー戦でも最後まで走り切れると思っている。」
アルダン「……でしたら兄様、私もかねがね思っていたところです。私も早くデビューしたいと思っていました。」
八幡「よし、じゃあ決まりだ。流石に今すぐってのは無理だから……11月にするか。距離は2,000mで行くぞ。」
アルダン「はい、承知しました。」
兄様からこんな提案をしてくるという事は、私の脚は思っている以上に改善が見込めているという事……と解釈してもよろしいのでしょうか。先程兄様も体質の改善に成功していると言っていました。
アルダン「兄様、体質の改善については分かりました。私の脚についてはどうでしょうか?」
八幡「4月の頃と比べると確実に強くなっていると断言は出来る。ただしレース間隔が短くなるのは少し遠慮したいところだな。最低でも1ヶ月は欲しいところだ。」
アルダン「でしたら11月2週目のデビュー戦を走り終えたら、次に走れるのは12月2週目以降という事になるのですね?」
八幡「そういう事だ。」
アルダン「分かりました。【急いては事を仕損じる】と言いますからね、焦らずに参りましょう。」
ーーー美浦寮・自室ーーー
チヨノオー「それじゃあデビューが決まったんですね!」
アルダン「えぇ。日程はまだ未定ですが、11月にデビューする事になりました。」
チヨノオー「おめでとうございますっ!私、絶対に応援に行きますからねっ!」
アルダン「ありがとうございます。では私もチヨノオーさんのレースを応援に行きますね。デビュー戦は行けませんでしたので。」
お婆様や他の方達にもデビュー戦の事をお話したら、レースの日が待ち遠しいご様子でした。お父様とお母様はレースの日程が決まったら教えて欲しいとも言われました。
姉様はいつも通りの反応でした。けれど、尻尾が少しだけ多く振っていましたので、楽しみにしてくださっているのだと思います。そしてばあやも……
ばあや『アルダンお嬢様、トレーナー様から言われている事とは思われますが、どうかご無理はなさらぬように。デビュー戦は私も微力ながら私も精一杯の応援をさせていただきます。デビュー戦の日を心待ちにしております。』
っとお電話をいただきました。皆様、私のデビュー戦を心待ちにしてくださっていたのを知って、改めて嬉しく思いました。
アルダン「デビュー戦が早まっただけでこんなにも舞い上がってしまうなんて……ふふっ、私もまるで子供みたいですね。」
チヨノオー「でも嬉しいじゃないですか、予定よりも早くデビュー出来るんですから!私だったら喜んじゃいますよ。」
アルダン「ふふっ、そうですね。それにヤエノさんとクリークさんとも共に走るのが楽しみという話もしましたから。チヨノオーさんと走る日も楽しみです。」
チヨノオー「はいっ!あっでも、その時は負けませんからねっ!」
アルダン「えぇ、お手柔らかに。あっ、そうそう。兄様からお菓子を頂いたのですが、よかったらご一緒にどうですか?」
チヨノオー「いいんですか?」
アルダン「勿論です。プリンなのですが……チヨノオーさんは食べられますよね。」
チヨノオー「プリン大好きですっ♪」
アルダン「ふふっ、では一緒に食べましょうか。」
チヨノオー「……あの〜アルダンさん、コレって普通のプリンじゃないですよね?」
アルダン「兄様曰く、色々な味のプリンを試作しているみたいなのです。まずは普通のプリンにチョコ味、いちご味、抹茶味、かぼちゃ味を作ったと言っていました。」
チヨノオー「そ、そんなに作ったんですかっ!?アルダンさんのトレーナーって本当に色んな事が出来るんですね〜。」
アルダン「えぇ、自慢のトレーナーです。チヨノオーさん、選んで構いませんよ。私は今日の昼食に1ついただいてますので、食べたいのをどうぞ。」
チヨノオー「そ、そうですか?じ、じゃあこのいちごのプリンを貰っちゃいますね?」
アルダン「えぇ、どうぞ。」
その後は2人で夕食のプリンをいただきました。チヨノオーさんはとても美味しそうに食べていて、目をキラキラさせながら頬を落としていました。ふふっ、頬が落ちるというのを初めて見ました。