八幡side
11月に入り、現在朝の9時頃。アルダンは体操服に11番のゼッケンを付けて俺と一緒に控え室で待機している。そう、今日は待ちに待ったアルダンのデビュー戦だ。この日がやっと来たと俺も思っている。なんか、来年まで待たなくてよかったとさえ思っているくらいだ。アルダンの身体や脚はかなり良くなっていて、調子もすこぶる良い……今日のレースも余程の不利を受けなければ確実に勝てるだろう。
アルダン「ふふふっ、学園で模擬レースをさせていただいた事もありますのに、何だか緊張しますね。」
八幡「そのくらいの緊張感なら問題は無いだろう。それが行き過ぎたら身体が固くなってレースどころじゃなくなるけどな。まぁアルダンなら大丈夫だと思ってる。」
アルダン「はい、ご期待に添えられるよう全力を出します。やっとこの舞台に立つ事が出来るのですから。」
八幡「……そうか。まぁ初めてのレースなんだ、作戦は先行で道中は脚を溜める事に専念しろ、後はお前の思うように走ってくればいい。」
アルダン「はい、承知しました。」
きっとアルダン自身もこのレースにだけは勝ちたいと思っている筈。最初のレースだからな、ここは勝って勢いをつけたいところだろうしな。それに俺もこのレースの内容次第で次のレースを決めるって言ったから、きっとその事も考えているだろう。
アルダン「では兄様、そろそろパドックの時間ですので行って参ります。」
八幡「ん、じゃあ俺も移動する。頼もしい応援団も来てる事だしな。」
ーーー観覧席ーーー
八幡「お待たせしました。」
ヒリュウ「いえいえ、娘のデビュー戦ですから。」
父「しかし今日は随分と人が居るな……何かイベントでもあっただろうか?」
八幡「きっと娘さんがデビューするからだと思います。」
父「……どういう事かな?」
八幡「史上初のトリプルティアラを達成したメジロラモーヌの妹ともなれば嫌でも注目を浴びるものです。人が人を、噂が噂を呼ぶものです。重賞の無い土曜日でしかも朝のデビュー戦にも関わらずこの人の多さ……間違い無くアルダンを注目していると言っていいでしょう。」
ヒリュウ「そういう事でしたか……ラモーヌの妹がデビューするという事でこのような形になったのですね。」
八幡「平たく言えばそうなります。まぁでもアルダンなら大丈夫ですよ。このくらいの事で狼狽える程、肝は小さくありませんから。」
実況『このレースの1番人気をご紹介します。6枠11番、メジロアルダン!」
解説『見ただけでも分かります、今日の調子は抜群に良さそうですね。加えて今レース圧倒的1番人気です。きっと良いパフォーマンスを見せてくれるでしょう。』
ヒリュウ「……確かにトレーナーさんの言う通り、アルダンは大丈夫そうですね。」
八幡「雰囲気に呑まれた様子もありませんので、きっとトレーニングの成果を出してくれるでしょう。」
父「思えば、アルダンの本気の走りを見るのはこれが初めてだな……楽しみだ。」
お父様の言う通り、確かに楽しみだ。
チヨノオー「アルダンさん、頑張ってください……むぅ〜っ!」ギュ∼!
ヤエノ「チノヨオーさん……お気持ちは分かりますが、緊張し過ぎでは?」
クリーク「ふふふっ、これから走るアルダンさんよりも緊張していますね〜。」
チヨノオー「ううぅ〜だってぇ〜………」
タマ「まぁええんちゃう?ウチの隣におるコイツよりかは大分マシや。」
オグリ「
タマ「コイツ、ホンマ何しに来たんや………」
………うん、頼もしい応援団で合ってるよな?
八幡sideout
ーーーーーー
ーーー数十分後ーーー
実況『さぁ、もう間も無く東京2レース芝2,000mのメイクデビューが発走されます!1番人気は11番メジロアルダン、2番人気は14番カタトラソロン、3番人気は4番テツノハヤブサです。さぁ各ウマ娘がゲートへと入っていきます。』
1「なぁ、誰が勝つと思う?」
2「そんなの1択だろ、メジロアルダン以外に考えられない。」
1「だよなぁ〜何てったってあのメジロラモーヌの妹だし、ここを落とすとは思えないしなぁ〜。」
2「東京2,000mは来年のクラシックに向けてだろうな。」
観客は既にメジロアルダン1強ムードになりつつあった。しかしそのくらいアルダンの実力は抜けていると思われているのだ。
ガッコン!!
実況『スタートしましたっ!揃った綺麗なスタートを切りました!まずは最初のコーナーを曲がって直線に抜け出します!メジロアルダンは中団前目の先行策です!」
アルダン(このレースでは本番の日本ダービーを想定した走りをしたい……ならば仕掛けるタイミングは4コーナーをカーブした辺りからっ!)
八幡「………」
父「………」
ヒリュウ「………」
実況『3〜4コーナー中間に差し掛かりましたっ!まだ誰も仕掛けないっ!互いに様子を探り合っている!』
アルダン(此処っ!!)
実況『おぉっと此処でメジロアルダンが動き出しましたっ!!一気に先頭を捉えるかっ!!さぁ直線を向いたっ!!他のウマ娘達も一気にスパートだっ!!しかしメジロアルダンがグングン引き離しているっ!!2バ身、3バ身、4バ身、まだまだ引き離すっ!!』
ヒリュウ「これが、アルダン………」
父「病弱だった頃と全く違うじゃないか……」
八幡「………」
実況『メジロアルダンが今1着でゴールッ!!やりましたメジロアルダン、メイクデビューを圧勝で制しましたっ!!これは強いっ!!』
アルダン「はぁ……はぁ……ふぅ……(兄様、やりましたっ!)」
八幡「………」フリフリ
アルダンさん、無事にメイクデビューを勝利っ!!