八幡side
暮れの中山レース場。有マ記念も終わって残すGⅠは今日のホープフルSのみとなった。アルダンの調子はこの日に合わせて調整してきたから万全とも言える状態だった。だが他のライバル達はたかが1勝した俺達とは違って確実に1勝以上しているウマ娘達ばかりだ。だがアルダンも能力では負けてはいない、寧ろ上位にいると思っている。
アルダン『兄様、準備が出来ました。』
八幡「おう、じゃあ入るぞ。」
俺は着替えを済ませたアルダンの声を聞いて、中に入った。今日はGⅠに出走するから体操服ではなく勝負服を着用しての出走になる。
アルダン「あの、どうでしょうか?」
八幡「あぁ、丈も裾もピッタリみたいだな。よく似合っている。」
アルダン「ありがとうございます。そう言ってくださると安心します。」
八幡「メジロ家がお前の為に作った勝負服なんだ、似合わないわけが無いだろう。」
アルダン「ふふふ、デザインの案を出したのも私自身ですからね。」
……気丈に振舞ってはいるが、少し緊張しているな。表情が少し硬い……まぁ無理も無い、重賞を飛ばしていきなりGⅠに出走だからな。けど、その解消法なら簡単だ。
八幡「アルダン……楽しめよ?」
アルダン「え?」
八幡「楽しまなければいつもの走りも出来なくなるぞ?GⅠの大舞台でそうなる気持ちも分からなくもないが、まずは自分が楽しまなきゃ意味が無い。」
アルダン「楽しむ……」
八幡「そうだ。お前の姉のラモーヌやシービーなんかはレースを思いきり楽しんでいただろ?そりゃいきなりは難しいとは思うが、楽しまなきゃ損だぞ。」
アルダン(……そういえば、GⅠを走っていた時の姉様は笑っていました。楽しそうに、嬉しそうに。)
アルダン「ありがとうございます、兄様。では少しレベルの高いかけっこを楽しんできますね♪」
八幡「……ふっ、かけっこって……それはぶっ飛び過ぎだ。まっ、そのくらいで充分だ。」
それからパドックに行く時間となり、俺は観客席へと向かった。
ーーー観客席ーーー
実況『大外8枠15番、メジロアルダンです。』
解説『前走はデビュー戦でしたが、他のウマ娘を寄せ付けない圧倒的な走りでした。その走りが評価されて、今日は5番人気に推されました。仕上がりに関しても前回同様素晴らしい仕上がりとなっていますね。』
八幡「………」
パーマー「アルダンさん出てきたっ!アレがアルダンさんの勝負服かぁ~!」
ドーベル「綺麗……」
ライアン「いつか私達もこの舞台に立ちたいなぁ~。」
マックイーン「きっと出られますわよ。勿論、私も目指しますわ。」
ブライト「アルダンさま、今日も凛々しいお姿ですわね~。」
ヒリュウ「……こうしてアルダンの姿を見られるなんて。」
父「あぁ、感慨深いものだな。」
………俺が今居る観客席はトレーナー専用の席なのだが、何故かその部屋にメジロのお嬢様5人にアルダンのご両親が来ている。この人達ならもっと良い席取ってるだろうに、どうしてこの部屋に来ているんだ?
パーマー「ねぇトレーナー!アルダンさんの調子ってどんな感じなの?」
八幡「あぁ、まぁ前回と同じかそれ以上だ。まぁでも100%ではなく85%くらいの調子だ。それでも自分の持ってるものは全て出し切ってくれると断言する。」
ライアン「それじゃあ、勝つ可能性があるって事ですか?」
八幡「寧ろ勝つ可能性が無ければこのレースを選んではいない。勝機があるからこそこのレースを選択したんだ。それに、このレースを選んだのはアルダンだしな。」
マックイーン「アルダンさんが……」
父「トレーナーさん、率直に聞きましょう。今日のレース、勝つ可能性はどのくらいでしょうか?」
八幡「……今は何とも。走りを見ればある程度なら、とだけ言っておきましょう。」
ドーベル「そんなのあり得ない……走っただけで分かるなんて。」
八幡「まぁ信じてもらわなくても構わない、普通なら信じないしな。(まぁでも本当は分かってるんだけどな。)」
ラモーヌ「それは本当かしらね?」
八幡「っ!」
ヒリュウ「あらラモーヌ、貴女も来ていたのね。」
ラモーヌ「ご機嫌よう……それで、今のは本当の事かしら?貴方の目からは違う言葉が聞こえたのだけど。」
八幡「………」
ヒリュウ「……トレーナーさん?」
八幡「……はぁ、分かったよ。正直に言う。アルダンの勝つ可能性だろ?普通に100%だ。」
マックイーン「えっ!!?」
ドーベル「………」キッ
ブライト「ほわぁ~?」
八幡「そうだな……付け加えるなら、4枠7番の子が2着で1枠1番が3着ってところだな。2番人気と3番人気はギリ掲示板に入るか入らないかくらいだ。」
ライアン「そ、そこまで言っちゃうんですかっ!?」
ドーベル「いくら何でも当てずっぽうが過ぎる……適当に言っただけでしょ?」
八幡「いや、ちゃんと見て判断したんだが?」
パーマー「それで10番人気が2着に来るの?」
八幡「そう読んでる。まぁそれでもアルダンが1着になるのは変わりないけどな。」
ラモーヌ「……ふふふ、やっぱり良いわねその瞳。」
八幡「ん?」
ラモーヌ「本当、いつもでも見ていられるわ。」ジィ∼…
八幡「近い近い、見るなら俺じゃなくてパドック見ろ。」
ラモーヌ「ふふふ………」ジィ∼…
アルダン、遂にGⅠに挑戦!