八幡side
学園に取材陣が来てから3日経った今日の放課後。今日の朝も懲りずに校門前に居座っていて、この数日のトレーニングでも遠巻きに覗かれていた。そのせいか、他にトレーニングをしているウマ娘達やトレーナーはあまり集中出来ていなさそうだった。申しわけなかったから一応、謝りに行ったが、『トレーナー(比企谷)のせいじゃないから気にしなくていい。』って言ってくれた。それとは別に、先日にアルダンがああ言ったにも関わらず、許可を取りに来た会社は2社のみだった。俺はその2社だけ許可を出し、後から許可を求めてきた会社はお断りした。だからもし、この2社以外で俺の事を記事にしたら、すぐに訴えるつもりだ。因みに▲▲社に関してはまだ材料が揃ってないから、まだ動かない。
アルダン「はぁ……はぁ……」
八幡「……うん、調子は良さそうだな。スピードも良い感じに乗れている。これなら本番でも1着を狙える……使い心地にも慣れたか?」
アルダン「はい、日常で履いていても問題無いくらいには。」
八幡「ん、ならいい。じゃあ今日は後もう1本走ったら終わりにする。」
アルダン「……あの、兄様。」
八幡「?」
アルダン「このままで、よろしいのでしょうか?」
八幡「………」
アルダンが言っているのは、きっと学園の外に居るマスコミ連中の事だろう。確かにこのまま人が引くのを待つのはウマ娘達にとっても環境に悪い……学園でも駿川さんが対応してくれているみたいなんだが、あまり効果は無いみたいだ。
八幡「……何とかしたいのは山々だが、俺じゃどうする事も出来ない。ほとぼりが冷めるまで待つしか出来ない。」
アルダン「………」
八幡「……仕方ない、あそこの会社にだけでも伝えるか。」
アルダン「よろしいのですか?そんな事をしてしまえば、兄様のこれからの人生が危ぶまれる事になるかもしれません。」
八幡「流石にそこまで行ったら、俺は国外に逃げるかもな。まぁでも、ちゃんと誓約はしてもらうけどな。」
アルダン「兄様……」
八幡「俺だってこの状況は好ましくない、なら少しでも事態を好転させる為にも動くしかない……アルダン、ダウンとストレッチが終わったらそのまま上がってくれ。俺は理事長の所に行く。」
アルダン「いいえ、私も共に行きます。私は兄様の担当ウマ娘です、ご一緒させてください。」
……言っても聞かないか。
八幡「分かった、じゃあダウンに行ってこい。」
俺はアルダンがダウンに行ってる間に学園に入っている2社に時間を貰えるかどうかの確認を取った。どちらも大丈夫との事だったので、後は理事長の説得だけとなった。
ーーー数十分後・理事長室ーーー
秋川「………確認、比企谷トレーナーはそれでいいのだね?」
八幡「もう3日です、これ以上この状況が続くのは生徒達にも悪影響が続きます。それにアルダンも今週レースに出ます、出来る限り不安材料は取り除きたいと思っています。」
秋川「……了解。だがその席には私とたづなも同席する事が条件だ。」
それからも色々と条件を付ける事で、2社のみの臨時会見を行った。
秋川「感謝。まずは君達の貴重な時間を我々の為に使ってくれた事に感謝する。この場に君達を招いたのは、君達を信頼しての事だと思ってほしい。内容は比企谷トレーナーの事についてだ。」
たづな「ご存知の通り、比企谷トレーナーはある事情で世間を賑わせていると言っても過言ではありません。そこで、〇〇社と〇◎社の皆様には比企谷トレーナーの事についてお話すると決断いたしました。」
○○「っ!」
〇◎「お話を聞く前に質問があります。そのお話はおそらく様々な誓約があるかと思われます。きっとその中には情報を秘匿する内容もあるかと思われます。勿論私達は全てに承諾するつもりです、細かく教えていただいてもよろしいでしょうか?」
〇〇「私達も〇◎社さんと同じ考えです。とは言っても、こんままでは信用する事は出来ないと思います。なので……」
〇〇社のリーダーらしき人が前に出てきて、自分の持ち物であろうメモとボールペン、スマホにボイスレコーダー等を俺達の机の上に置いた。因みにスマホとボイスレコーダーは俺達の目の前で電源を切った。
〇〇「この場では一切、声の録音や映像を撮るような事はしません。おい、お前達も自分の持ち物を此処に置け。自分が持っている持ち物全てだ。」
〇◎「……私達も〇〇社さんの行動に倣いましょう。皆さん、機材の電源をトレセン学園の皆様の前で電源を切ってから机の上に置いてください。他の持ち物も1つ残らずです。」
………逆に驚いている。一面を飾れる可能性のある記事を作る事が出来る絶好の機会なのに、それを捨ててまで話を聞いてくれると言っているのだ。だがこの人達は一時の記事よりも信頼を選んだ、それだけでもこちら側からすれば信用の出来る人達だと分かっただけで充分だった。
〇◎「お待たせいたしました、お時間をいただいてしまってすみません。」
秋川「結構。寧ろその行動のおかげで、より貴殿達の事を信頼する事が出来そうだ。」
〇〇「いえいえ、このくらいは当然の事です。」
たづな「それでは比企谷トレーナー、よろしくお願いします。」