八幡side
数日が経った日曜日。今週はとても1日が長く感じた……始まりはあのショッピングモールの窃盗未遂、それから学園には色々な取材陣が押しかけに来た。見学のみを許可した2社には、俺の身体能力の事について話したのだが、あの2社は自分達の耳で聞いたにも関わらず、記事にする事はなかった。それどころかあの日で見学を終えてくれて、俺が話した内容を絶対に外部に漏らさない約束までしてくれた。それも向こうから書面まで書いて送ってくれる誠意も見せてくれた。
八幡「ああいう人達からインタビューを受けたいよなぁ~。」
アルダン「先日の事ですね?確かにあの2社はとても良い会社だと私も感じましたし、兄様のその意見にも同意します。」
八幡「お前もそう思うか。目の前に超高級ステーキを用意されてるのに、手を付けずに前菜を選ぶくらいだしな。」
アルダン「ですがそのおかげで、私達やたづなさん、理事長からの信頼を得られたのです。それはとても大きい事だと思います。」
八幡「そうだな。もし今後あの人達からの依頼が来たら、真っ先に受けるかもな。」
アルダン「相当高く評価されていますね。」
八幡「そりゃそうだ、利益よりも信頼を取ったんだから。俺からすればこの上ないくらい信頼出来る人達だ。」
とりあえずあの人達から早く何かの依頼が来ないかなって思うこのところだ。きっと無茶な依頼じゃなくてちゃんとしたのを厳選して持って来てくれると思うんだよな。
八幡「まぁその話は今は置いておこう。目の前のレースの事だ、NHKマイルCの作戦を伝える。」
アルダン「はい、お願いいたします。」
八幡「今回のNHKマイルCでは先行策は当然だが、前目の位置で攻めろ。もし可能だったらお前がレースを操作しても構わない。」
アルダン「私が、ですか?」
八幡「逃げの作戦を打ってくるウマ娘は今のところ2人だから、その2人のプレッシャーを与えながら走れ。流れ的にはスローが望ましい。」
アルダン「操作すると言いましたが、どのように?」
八幡「例えば後続のウマ娘達に余分に脚を使わせるとかだな。使わなくていい場面でスパートをかけたり、あえて後ろとの差を詰めたり離したりするとか、だな。」
アルダン「……もしやるのであれば、後ろへのプレッシャーですね。マイルレースなので後ろから末脚を使わせないようにしたいので。」
八幡「どうやら他のメンバーの事も調べているみたいだな。その選択が正しいと思ってる、ペースがハイペースになったとしても、お前なら追い上げられる脚は持ってるしな。」
アルダン「かしこまりました。」
八幡「よし、じゃあ行ってこい。」
アルダン「はいっ!」
ーーー観覧席ーーー
八幡「……それで、どうしてお前達が居るんだ?」
マックイーン「あら、良いではありませんの。」
パーマー「そうそうっ!別に減るものじゃないんだしさっ♪」
ドーベル「アルダンさんの晴れ舞台なんだから観に来るのは当然でしょ。」
八幡「はぁ……まぁいいか。それにもうすぐ始まるし。」
パーマー「ねぇトレーナー、アルダンさんはどんな作戦で走るの?」
八幡「先行策で行くのはいつもと同じだ。後は少し作戦を少々ってところだ。」
マックイーン「そうですのね……」
ドーベル「アルダンさんの調子は?」
八幡「良い感じだ。中距離が本適性のアルダンでも、駆け引きが上手くいけば1着は確実だ。」
ガッコンッ!!
実況『スタートしましたクラシッククラスの最速決定戦NHKマイルCっ!!さぁ気になる先行争いはチョウカイパールが行きました!それに続いてギャラントリーダー、その後ろに単独3番手にメジロアルダン!2番人気のサッカーボーイは中団外目の位置に居ますっ!』
ドーベル「……ちょっと前過ぎない?あれって大丈夫なの?」
八幡「寧ろあのくらいの位置の方が良い。スピードに乗れててある程度前に居た方が都合が良い、あのメンバーの中だったらアルダンが1番スタミナがあるしな。」
実況『先頭集団変わらないまま3コーナーカーブに向かいます!3番手集団にはテンシンリュウモンとメイブレーブが並んでいる。その後ろにピッタリとメジロアルダンが5番手!マイネルロジックも外に並んでいる。3~4コーナー中間で残り800mを通過っ!』
アルダン(プレッシャーをかける事には失敗しましたが、皆さんのスパートのタイミングを上げる事には成功しました。さぁ、ここからです!)
実況『4コーナー曲がって最後の直線コース!!逃げるチョウカイパールとギャラントリーダーの差があっという間に詰まった!後ろからはウマ娘達が追い上げてきているっ!さぁ先に先頭に立ったのは………』
アルダン「はあああぁぁぁぁぁ~っ!!」
実況『メジロアルダンだっ!!メジロアルダンが今、先頭に立った!!さぁ後続を引き離しにかかる!その外からはマイネルグラウベンとサッカーボーイも追い上げてきているっ!しかしメジロアルダンが良い脚で粘っているっ!!大外、コクサイトリプルも末脚勝負だっ!!しかしメジロアルダン粘る粘る、外から追い上げている3人も良い脚だが差が縮まらないっ!!メジロアルダン、2バ身のリードで今ゴールイイイィィィンッ!!』
アルダン「はぁ……はぁ……はぁ……」
実況『距離短縮は関係ありませんでしたっ!!スピード勝負でも独壇場っ!!今年のクラシッククラス最速のウマ娘はメジロアルダンですっ!』
アルダン「はぁ……はぁ……ふぅ~……やりましたっ♪」