ラモーヌside
金曜日が明けた翌日……今日は待ちに待ったレースが開催される日。この日に恋焦がれる事5日間は本当に長く感じる……けれど、その2日間は長いようであっという間。余韻に浸れるのはレースが終わった夜だけ。そしてその熱を冷ませるのも、その夜だけ。そしてまた、5日間という時間が焦らすかのように長く続く………
ラモーヌ「今日はどんなレースが見られるのかしら。」
ルドルフ「やぁ、ラモーヌ。此処で会うのは中々珍しいな。」
ラモーヌ「御機嫌ようルドルフ……貴女、もう視察はいいの?去年までは各地を渡り歩いていたみたいだけれど。」
ルドルフ「あぁ、一通り済んだからね。今年はトゥインクルシリーズに活力を取り戻せるように力を注ぐよ。」
ラモーヌ「ふぅん……」
ルドルフ「興味無さそうな反応をするね。」
ラモーヌ「興味が無いもの、当然でしょう?」
ルドルフ「やはり君が真に興味があるのはレース、それに勝るものは無いという事か。」
ラモーヌ「どうかしら、ね。確かに私がいつも恋をしているのはレース、それに変わりはないわ。けれど……違う角度で見るレースも良いと思っているの。」
ルドルフ「ほう、君がそんな事を言うなんてね……それはどんなレースなんだい?」
ラモーヌ「……教える気は無いわ。少し前まで独り占め出来ていたのに、その熱を教えてしまってせいで見る事が難しくなってしまったんだもの。」
あの子には教えるべきでは無かったわね……けれど、ダービーを走るアルダンを見るあの人の目は一体、どんな風に映るのかしら?
ラモーヌ「今から楽しみね。」
ルドルフ「興味はあるが、それはまた機会を改めるとしよう。私も、今日のレースを見させてもらうさ。」
ラモーヌ「そう……では、御機嫌よう。」
さぁ、今日はどんなレースが見られるのか、楽しみだわ。
ラモーヌsideout
八幡side
アルダンのトレーニングを終えた俺は東京レース場に来ている。何度か来ているが、何度来ても足りないくらいだからな。それに俺はまだ1度も日本ダービーの現場に来た事が無い。去年の今頃はアルダンの体質改善の為に色々と動いていたから、レース場に行くという考えそのものが無かった。だから少しでも空気を知っておこうという事で現地に赴いている。
だが思った事がある、俺はこれまでレースに出走する以外の目的で東京レース場に来た事は1度も無い。だから場内を見て回るのも良いのかもしれないと思っている。
八幡「当日はゆっくり出来ないんだし、下見という事で色々見るか。確か……成る程、ショップが此処で食べ物とかが売ってるのが此処ね。んで向こうに行くと博物館と子供向けの遊具施設があると……試しにショップでも見るか。」
ーーーターフィーショップーーー
八幡「色々あるんだな……ぬいぐるみに耳カバーやお菓子に耳飾り、写真集まであるのか。これは来てみないと分からなかった世界だな……しかし、やっぱGⅠで活躍したウマ娘達ばかりだな。」
ん?へぇ~……優勝レイのレプリカを作れたりもするのか。ハンドタオルサイズだが人気だろうな。まぁ、お値段もかなりするみたいだが。
ーーーホールーーー
八幡「此処で大画面で見られるってわけか。んでこっちに行ったら……歴代の名ウマ娘達のポスターが飾られているってわけか。」
殆どが有名なウマ娘達ばかりだ。ほら、あのちゃらんぽらんだってこんなに立派にデカデカと飾られている。しかも【ターフの演出家】って……まぁ確かに凄かったしな、アイツの年のクラシック。泥んこに最後方、そして超ロングスパートだからな。確かにすげぇ演出だった。
八幡「……っ!」
あった………『不況下を駆けた無敗の名ウマ娘』。そうだよな、あれだけの実績を持ってて載らないわけ無いよな、婆ちゃん。
八幡「………」ジィ∼…
ラモーヌ「………///(偶々見つけたと思ったらこの輝き、あぁ……去年以来の輝き。本当に、いつまでもずっと見ていられる………)」ジィ∼…
ーーー10分後ーーー
八幡「……っと、マジで見入ってた。「あら、残念……」え?」
ラモーヌ「私はもっと見ていたかったのに……貴方の情熱が込められたその瞳を///」ジィ∼…
八幡「お前……もしかしてずっと?」
ラモーヌ「えぇ。気付かない貴方も貴方だけれど、この人の事がお気に入りみたいね。前に話してくれたものね、この人のレースの事を。」
八幡「……そうだな。切っても切れないくらい、このウマ娘と俺は繋がっているからな。」
……っ!ヤバい、冷静になってみたら周りに人が集まってる。俺、もう行こっと。
ラモーヌ「あら、もうお帰り?」
八幡「下見の予定だったからな。」
ラモーヌ「なら、一緒に来てくださる?貴方の愛、もっと知りたくなったわ。」
うわっ、コイツの発言のせいで周りがどよめき始めた……くっそどうしてくれんだよ!
八幡「因みに拒否権は?」
ラモーヌ「今晩、貴方の部屋に行くかもしれないわね……」クスクス
八幡「お前、俺の部屋知らないだろ。」
………いや待て、コイツの事だ。トレーナー寮に押しかけに来ても不思議じゃない。
八幡「はぁ……分かった、ついてくから案内しろ。」
ラモーヌ「ふふふ、退屈せずに済みそうね///」ジィ∼…
今その顔をするのはやめろ、周りに変な誤解されんだろうが……いいや、もう手遅れか。