八幡side
日曜日の午前だというのにこの人の数……すげぇな。やっぱオグリとタマモクロスの2強対決が呼び起こしたものだろう。これまでの歴史では『芦毛のウマ娘は走らない。』とまで言われていたのだが、去年の10月から急激に力を伸ばして7連勝に加えて重賞は5連勝のタマモクロス。方や地方出身にも関わらず、中央に移籍してからは無敗の6連勝で地方を含めれば13連勝のオグリキャップ。走らないとまで言われていた芦毛のウマ娘がこれだけの成績を出しているのだ、定説化さえされていた『芦毛のウマ娘は走らない。』という言葉はもう通用しないだろう。
おかげで他のウマ娘達はGⅠを勝利しているウマ娘であってもおまけ扱いだ、GⅠを3勝しているアルでさえもだ。GⅠ未勝利のオグリよりも人気が下なのだから、それだけオグリの実力が抜けているという事だった。
六平「よう、早いな。」
八幡「六平さん、おはようございます。」
六平「どうだ、そっちのご令嬢の調子は?」
八幡「GⅠを勝ってないウマ娘に人気で負けているので、燃えていますよ。」
六平「はははっ、そいつは何よりだ。ウチの爆食もかなり上向きだぜ。」
八幡「そうですか、それなら倒し甲斐がありますね。」
六平「負けるつもりはねぇぜ?」
八幡「その為にも、昼にはオグリを昼飯に誘いますが、いいですよね?」
六平「いいわけねぇだろ!それのせいで着外にでもなってみろ、全部お前のせいだからなっ!!」
八幡「え、俺のせいなんですか?」
六平「当然だろうがっ!その時はお前にメシ代を持ってもらうからな!」
八幡「じゃあ大丈夫ですね。今日は大量の量の弁当を作ってきてますので、屋台巡りをする予定は無いので。」
六平「オメェ……頼むから常識的な量を食わせてくれよ?」
八幡「いえ、そもそも大量の弁当というのが嘘ですので。俺とアルの2人分しかありません。それをオグリの目の前で食べるだけです。」
六平「性格悪いぞお前……」
そんなこんなと話をしながら、俺達は場内へと向かった。その間にターフィーショップを覗いてみたのだが、オグリのグッズがバカみたいに売れていた。
ーーー観覧席ーーー
六平「しかし朝からすげぇな……天皇賞までまだ6時間もあるってのによ。」
八幡「少しでも良い席で観る為でしょう。それに見ました?俺も何度かしかレース場に来た事はありませんけど、中央地方問わず芦毛のウマ娘達の数がかなり増えています。最早異常とも思えるくらいの人数さですよ?」
六平「お前さんも気付いていたか……オグリやタマモクロスの影響だろうな。でなければこんな朝からレース場に人はおろか芦毛のウマ娘が集まるとは思えねぇしな。」
アルダンが来るのは午後からだから、それまでに作戦やレース展開の事をまとめておくか。
八幡「六平さん、少し出てきますね。」
六平「あぁ。」
ーーー場外ーーー
八幡「………」テクテク
今日のレースに出走するウマ娘とトレーナーが忙しなく動いている。午前のレースに出るメンバーは今から少しでも身体を動かしておかないと本番で走れないからな。今の季節は冷えるのも早い、身体を動かすのなら少しでも早い方が良い。
「おや、これはこれは比企谷トレーナー。ご無沙汰しております。」
八幡「………えぇ、ご無沙汰しております。」
このタイミングで話しかけてくるとはな。色々とこっちも話したいところではあるが、まだその時じゃない。
「今日の天皇賞はとても楽しみにしていますよ、取材の際はお手柔らかにお願いしますね?」
八幡「えぇ、その時が来ましたら。」
「私は準備がありますので、後程。」
……出来れば見たくはなかった顔だが、そういうわけにはいかない場所だしな。気分は少し悪くなったが、早めに居なくなってくれたからそこまで酷くはなっていない。
八幡「さて、気晴らしに何か食べるか。」
ーーー数時間後ーーー
アルダン「兄様、こんにちは。只今到着しました。」
八幡「おう、来たみたいだな。少し気になってはいたが、問題無さそうだな。」
アルダン「はい、やる気に満ち満ちております。」
八幡「そうか……一応聞くが、昼は食べてきたか?」
アルダン「いいえ、楽しみにしておりましたので。」
八幡「なら食べるか。」
アルダン「はいっ♪」
バァン!!
オグリ「トレーナー、それにアルダン!
八幡「……それならこれも聞いてるよな?お前の分は無いって事も。あるのは俺とアルダンの2人分だけだ。それとお前の担当トレーナーが
オグリ「そんな事よりもだっ!」
そんな事よりもって……
オグリ「トレーナー、本当にお弁当は無いのか?隠していたりはしていないのか?」
八幡「隠してない、この2つしか無いから。だからお前は他の飯で頑張れ。」
オグリ「………
八幡「食べ過ぎなければ大丈夫だろう。常識的な量だったら文句は無いだろう。」
オグリ「全部のお店のメニューを1品ずつではどうだろうか?」
八幡「うん、食い過ぎ。」