アルダンside
アルダン「兄様、大丈夫ですか?何だか顔色があまり良くありませんが……」
八幡「あぁ、ちょっとな。やらなくちゃいけない事があるから、それを詰めるのに忙しくてな。」
アルダン「重要な事だというのは分かりましたが、ちゃんとお休みになってくださいね?兄様の疲れた表情はあまり見たくありませんので。」
八幡「あぁ、気を付ける。」
アルダン「そう思うのでしたら、今だけでもお休みになってください。」
八幡「担当に言われちゃ世話無いな。」
トレーニング以外ではカフェテリアとトレーナー室でしか見なくなっているこの頃、兄様からは聞いていますが、▲▲社との裁判の準備でお忙しいみたいらしく、あまり休めていないみたいです。
八幡「とりあえず昼食を食べ終わったら、トレーナー室で休むから大丈夫だ。」
アルダン「……絶対ですからね?」
八幡「あぁ、絶対だ。」
………心配です。私も自身の所用を済ませたらトレーナー室に行って様子を見に行きましょう。
???「ふぅん………」
ーーー数時間後ーーー
アルダン「1……2……3……はいっ!」
ドーベル「……うん、バッチリでした。ズレは無かったですよ。」
アルダン「ありがとうドーベル、ダンスレッスンも少しはしておかないと感が鈍りますからね。」
ドーベル「でも、動きを見る限り大丈夫そうでしたけどね。あたしもダンス頑張らないと。」
アルダン「エアグルーヴさんに教わっているところをよく目にしますが、ドーベルもよく踊れていると思いますよ。」
ドーベル「いえ、先輩に比べたらあたしはまだまだです。それに、レースで1着を獲ってセンターで踊れるようにしないとですから。」
アルダン「……ふふふ、変わりましたね。」
前までは人前に行くだけで不安な表情になっていたのが、今ではこうして言葉だけでも力強さを感じます。
ドーベル「今日のダンスレッスンはこのくらいですね、もう時間も迫ってますし。」
アルダン「そうですね、ありがとうドーベル。」
ドーベル「い、いえ!あたしの方こそありがとうございましたっ!」
……さて、着替えたら兄様の所に行きましょう。きっと兄様の休むというのは1時間程度の短時間の筈……せめてもっと長い時間の休養を取っていただかないと。
ーーートレーナー室ーーー
コンコンコンッ
アルダン「………あら?」
返事がありません……留守、でしょうか?
ガラ…
アルダン「開いてる……失礼いたします。」
ラモーヌ「あら、いらっしゃいアルダン。」
アルダン「………姉様。」
ラモーヌ「分かっているとは思うけれど、大声を出しちゃダメよ。比企谷さんは今、休憩しているのだから。」
兄様のトレーナー室の中には姉様が入室していたのですが、あろう事かソファーに座りながら兄様に膝枕をしていました。当の兄様は熟睡しているみたいです。
アルダン「……兄様はどのくらいお眠りに?」
ラモーヌ「2~3時間よ。私が来た時から寝ていたのだけど、休憩した時間は30分で椅子に座って目を瞑る程度だったわ。だから私がこうして膝を貸してからは、ずっと眠っているわ。」
アルダン「兄様………」
ラモーヌ「本当、自分の事になると鈍感ね……これだけ疲れているのに、それすらも放置するんだもの。」
アルダン「……姉様、場所を交代いたします。」
ラモーヌ「いいのよ。今日は予定も何も無いから暇をしていたの。だからこうやって比企谷さんの寝顔を眺めているのも、良い暇潰しになるわ。貴女は見た事あって?意外と子供っぽい顔をしているのよ。」
………姉様は私を挑発しているのでしょうか?いいえ、姉様は意味も無くそのような事をする方ではありません。
アルダン「では質問いたします。姉様はその場から動くつもりは無い、その解釈でよろしいでしょうか?」
ラモーヌ「だって比企谷さんがこんなに気持ち良さそうに眠っているのよ、邪魔をする方が無粋だと思わなくて?」
アルダン「しかしおよそ3時間もの間同じ体勢でお疲れでしょうし、私が引き継ぎます。」
ラモーヌ「それじゃあ言い方を変えようかしら。私がしたくてしているのだから、いくら貴女でもそれを強制する事は出来ないのではなくて?」
アルダン「脚が痺れて動けなくなっては元も子もありませんよ?」
ラモーヌ「その代わりに比企谷さんの寝顔を見られるのだから、良い対価だと思っているわ。」
これは梃子でも動かないつもりみたいですね……
ガラガラ~!
シービー「八幡~来た~………って何してるのラモーヌッ!?」
ラモーヌ「大声を出すのは止めてくれるかしら?比企谷さんが起きたらどうするのよ?疲れて眠っているのだから。」
シービー「じゃあラモーヌはもういいからあたしが代わるね~。」
ラモーヌ「勝手な事を言わないでくれるかしら?私は好きでこうしているのだから。」
シービー「へぇ~珍しっ!君がそんな事を言うなんて。けどあたしも八幡に膝枕したいっ!」
ラモーヌ「だから大声を出さないでもらえるかしら?」
それからも姉様とシービーさんの言い争いが続いていたのですが、そのせいもあって兄様が起きてしまいました。
八幡「……膝を貸してくれた事に関しては感謝している。だがもうしなくていいから。」
シービー「いやだっ!!あたしも八幡に膝枕したいっ!!」
アルダン「兄様、私も兄様に膝枕がしたいです。」
八幡「したいしたくないの問題じゃないから。」