八幡side
弁護士「では、次の質問をさせていただきます。」
なんか、何も言い返せない相手が惨めに思えてきたな。まぁそれでも手加減なんてものは加えてやるつもりは無いけど。これまでの質問、全部最後には無言で終わってるから肯定って事になっちまってるし。これじゃ他に何をしなくても勝負がつきそうなんだけど?
弁護士「この雑誌に記載されているメジロアルダンさんの事でお聞きします。本雑誌にはメジロアルダンさんの事が記載されていましたが、ボイスレコーダーの中身には彼女の事を話した会話が一切ありませんでした。これはどこからの情報源なのでしょうか?」
「……そ、それに関してはレース後のインタビューで発言したのを書かせていただきました。」
弁護士「分かりました。しかし取材前の打ち合わせによる内容ですと、今回の取材以外の内容は一切載せないものとすると記載されていますが、インタビューについてはどうお考えなのでしょうか?取材の中にはメジロアルダンさんの身体面の事は聞いていなかったように思えるのですが。」
「………」
「▲▲社のジャーナリストは、質問された事に明確に答えるように。」
八幡「裁判長、質問の途中ですが発言よろしいでしょうか?」
「発言を許可する。」
八幡「ありがとうございます。そちらのジャーナリストさんは数年前にメジロ家でも取材を行っていたと、メジロ家現当主のメジロアサマ氏より確認が取れています。因みに取材に関する書面もコピ-ではありますが預かっています。そして会社の評判が傾いてからはお断りをしたとも聞いています。これはあくまでも過程の域をでませんので、憶測という形で述べさせてもらいます。その時に自分の担当であるメジロアルダンの事を知り、記事にしたのではないかと思われます。理由としては、これまで自分と担当ウマ娘が行ってきたインタビューで身体面の事を話した事は1度も無いからです。以前から密着して取材を受けているのならまだしも、今回が初めての取材でしかも担当の事は一切話していない、インタビューでも明かしていない、学園関係者ともなればお話はしているかもしれませんが、その場合は個人情報の流出という事にもなります。しかし当学園にそのような事をする生徒やトレーナー、教職員は居ないと思っております。なので、自分は数年前のメジロ家での取材の際に得た情報だと推測します。以上です。」
1回も噛まなくて良かった……けど久しぶりにこんな長文で話した気がする。
弁護士「ありがとうございます、比企谷トレーナー。では再度質問に移らせていただきます、メジロアルダンさんの身体面についてはどこから得た情報なのでしょうか?」
「………」
うわぁ~あの顔見ただけで分かったわ、事実なんじゃん。これはもう、黒以外の何物でもないな。しかも何も言えてないし。
弁護士「……こちらからの主張は以上となります。」
「他に質疑のある者は?」
八幡「よろしいでしょうか?」
「発言を許可する。」
八幡「ありがとうございます。その前に証人をこの場に連れてきたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」
「許可する。」
八幡「ありがとうございます。皆さんお待たせしました、どうぞお入りください。」
何人ものトレーナー達と元トレーナー達が入ってきた。だがアイツは知らないだろうな、この人達が誰なのかを。
八幡「▲▲社のジャーナリストさんに伺います。この方達をご存知ですか?」
「い、いや……あまり見覚えがありません……」
八幡「そうですか?貴方が甘い汁を吸っている時に苦虫を噛んでいた方達なのですが?」
「?………っ!……っ!!?」
八幡「お気付きになられたみたいですね。その通りです、この方達は現職のトレーナーと元トレーナーの皆さんです。共通している点としては、1度貴方が書いた雑誌の記事と言えばご理解していただけますよね?」
「ソ、ソイツ等が何だって言うんだ!?証人として連れて来たと言っていたが、何の証人なんだよ!?ソイツ等はこの裁判には何の関係も無いだろっ!!この場に関係の無い連中を連れてくるなっ!!」
「静粛に。ジャーナリストの異議に関しては取り下げるものとする。」
「はぁ!!?何で……おかしいじゃないですかっ!?」
八幡「何もおかしくはありませんよ。そもそもこの裁判はそういう形で行っていますから。」
「な、何だと?」
八幡「やっぱり裁判に関する書面は見ていなかったみたいですね。説明は面倒なので単刀直入にお聞きします、貴方はこの方達に取材を行ってから書いたであろう記事に事実とは異なる情報を記載し、当人達の名誉を傷付けただけでなくトレーナー業務に支障または退職にまで追い込んだ……間違いありませんよね?」
「そんな事実はどこにも無いっ!!それにこれまでの裁判でもこっちが正しいと判断されたんだ、ソイツ等の勘違いだっ!!俺は聞いた情報をそのまま記事にしただけだっ!!」
八幡「では自分の取材もそうしたと?それにしては自分の発言した覚えの無い文言が記載されているみたいなのですが?」
「ぐっ……それとは関係の無い事だっ!!」
……もういいか。
八幡「裁判長、自分の携帯に保存している音声データを流したいと思うのですが、よろしいでしょうか?」
「許可する。」
八幡「ありがとうございます。この音声は裁判が始める前に録音した音声です。」
八幡『その記事に問題があるからこうして話しているんですが、そうしてそのような事になったのか自覚はありませんか?それともこれまで何度も同じような事をしてきたから、それが悪いという事に気付いていないという事でしょうか?』
『おやおや、まるで私が悪いと『そういう喋り方はしなくていいですよ、最初に会った時から本性は知ってますから。』………チッ、気付いてたのかよ。』
「っ!!!?」
八幡『えぇ。それで、訴訟を起こしますけど、問題ありませんよね?』
『好きにしろよ、こっちには当時の取材した証拠だってある。逆にそっちは何も無い!あるのは精々肉声と持ってる雑誌だけ……あぁ、まだ居たか!今もせっせと働いてるトレーナーと元トレーナーがっ!』
八幡『………』
『まぁソイツ等も証人に連れて来てくれても構わないぜ?最も何の役にも立たないだろうけどなぁ~!』
八幡『そうですか……ではそうさせてもらいましょう。ではこちらは貴方を……いえ、この▲▲社を訴えさせていただきます。』
『好きにしろよ!』
八幡『言質は取らせていただきました、社長もそれで構いませんね?』
『こちらは何も悪い事をしていないのだから、裁判を受ける理由は無いが、まぁいいだろう。これまでも同じような事は何度もあったからな。』
八幡『分かりました。では訴えさせてもらう分こちらも容赦はしませんのでお手柔らかに。』
………書いた本人が認めてるようなもんだよな。っていうかこれってもうオーバーキルか?だって向こうのアイツ青い通り越して白くなってるし。
八幡「自分からは以上となります。」
その後、最早誰が見ても勝敗は明らかで、俺達トレセン学園側の勝利で閉廷した。しかも現職退職関係無しにアイツから被害を受けたトレーナー全員に損害賠償金が支払われる事になったのも戦利品として受け取れたから良しとしよう。しかもそれだけじゃない、他の学園に対しても賠償金を払わなくちゃいけないから、会社なんてすぐに潰れるだろう。更に記事を書いた張本人は20年の懲役となった。
「比企谷さん、本当に……本当に、ありがとうございます……っ!!」ポロポロ
「感謝するに絶えません……」フルフル…
「本当に、なんて言えばいいのか………」ツー
八幡「いえ、自分は何も……皆さんが俺を信じてくれたから、此処に来る決断をしたからこそ、この結果になったんだと思っています。なのでこれは、皆さんが得た勝利です。俺はただ証拠を出しただけですので。」
俺は裁判が終わった後にトレーナー達と元トレーナー達に挨拶にしに来たのだが、その場に着くなりいきなり何人ものトレーナー達から泣きながら握手を求められた。しかし、俺にしては柄にも無い事を言っちまったな……でも、この人達もこれで少しは心の楔が取れたと思う。きっとこの数年間、ずっとモヤモヤがあったと思う。それが少しでも取れたのなら、同じトレーナーとして少しは役に立てたのではと思う。
裁判については全く詳しくないので、「はいはいそんな感じね~。」感覚で読んでいただけると嬉しいです。
それに頭が弱い自分には感想蘭でガチの事を書いてくださっても、何のこっちゃ理解出来ないと思いますので。