ドーベルside
比企谷さんが担当トレーナーになってから1ヵ月半が経った。今では皆、普通にトレーニングしているし、担当になる前と比べても格段に強くなっている事が分かる。だって前まではアルダンさんに着いていくのがやっとだったのに、今では隣で走る事が出来てる。あのトレーナーが担当になってから色々あったけど、やっぱり他の男の人とは違う。トレーナーだからグイグイ来る人は多かったし、メジロだからって色眼鏡で見てくる人が殆どだった。でも比企谷さんは初対面でもそんな顔をしてなかったし、普通の1人のウマ娘として見てくれてた。
トレーニングでもそう。見た時から理解してたけど、見るのと実践するのとでは全く違った……アルダンさんがあんなに強くなれたのも頷けるって思っちゃったし。教官がくれるメニューや他のトレーナー達がやってるトレーニングとも全然違ったけど、驚くくらい強くなってる。だって……
「はぁ……はぁ……あああぁぁぁ~また負けたぁ~!」
「は、速いよぉドーベルゥ~……直線に入ったらすぐに差されちゃう~!」
ドーベル「別に……いつも普通にトレーニングしてるだけだし。」
「やっぱりあのトレーナーさんのおかげ?」
ドーベル「え?」
「だってそうじゃん?
「だよね~。10月の天皇賞は勝てなかったけど、オグリさんとタマモさん相手に2着だからね~。」
ドーベル「元々アルダンさんはそれだけの実力を持ってる人だから。あたしはあのレース、アルダンさんが勝ってもおかしくないレースだと思ってたし。」
あのレース、本当に凄かった……私もいつかはあんな風に走れるように………
スズカ「ドーベル、次の併走は私と走ってくれないかしら?次こそは勝ちたいわ。」
「えぇ、ドーベルってスズカさんにも併走で勝っちゃったの!?」
ドーベル「い、一応……」
スズカ「一応じゃないでしょう……完敗だったわよ。このクラスで相手になるのってブライトくらいじゃないかしら?」
「あぁ~同じチームだもんねぇ~。良く走ってるとこ見るけど、いつも五分五分の勝負だもんね~。」
スズカ「当の本人はフクキタルと併走してるけど……あっ、もう来るわね。」
ブライトはフクキタルともう1人の3人で併走していたんだけど、ブライトが2バ身くらい先に先着した。
「はぁ……はぁ……また、速くなってる。」
フクキタル「ブライトさん、また更に速くなりましたねっ!何かラッキーアイテムを身に付けているのですかっ!?」
ブライト「はぁ~………あぁ、昨日のお風呂上がりにアイスを頂いたのですが、溶ける前に食べ切る事が出来ましたの~。」
フクキタル「そ、それは至極当たり前の事では?」
ドーベル「そうでもないわ。この子、家でもよくアイスを溶かしていたもの。だからいつも棒状のアイスを食べさせないようにしていたくらいだもの。絶対にこぼすから……」
スズカ「それじゃあドーベル、併走に行きましょう。」
ドーベル「えぇ、分かったわ。」
ーーー高等部1-Aーーー
「なので、クラシッククラスでは3冠路線とティアラ路線が主な目標先となっている。他にもスプリント路線、マイル路線、ダート路線と進む方向は様々だが、他にもローテーションがある。」
「え、他にもあるんですか?」
「忘れられがちだが、海外にもクラシックレースは存在する。中でもアメリカのクラシック3冠第1弾のケンタッキーダービーとヨーロッパ3冠の第1弾イギリスダービーは世界でもトップクラスのウマ娘が集結するレースになっている。」
……海外のレースかぁ。
「そして日本同様に各国で3冠レースは盛んに行われているが、ヨーロッパはその中でも異色を放っている。ヨーロッパ間で開催されている一定のレースを3つ制する事で3冠を達成する事が出来る。分かりやすい例で言うと、イギリス・フランス・アイルランド、いずれの2つと最後のセントジェイムズパレスSを制する事が出来たら、ヨーロッパクラシック3冠マイルを達成した事になる。」
ドーベル「あの、ティアラ路線は何があるんですか?」
「先も述べたが欧州では国毎とヨーロッパとで別れている。国だけの括りならアイルランドティアラ3冠、イギリスティアラ3冠、フランスティアラ3冠の3つ。ヨーロッパ全体ではヨーロッパクラシックティアラマイルにヨーロッパオークス3冠がある。」
そんなにあるんだ……
ーーー授業後ーーー
ブライト「ドーベルは海外のクラシックに興味がありますの~?」
ドーベル「そういうわけじゃないけど、どんなレースがあるのか気になったから聞いてみただけ。」
ブライト「挑戦してみてはどうでしょうか~?お婆様や叔父様方、トレーナー様も喜んで協力してくれると思いますわよ~。」
ドーベル「……その前にデビューしないと意味無いんだから、最初のデビュー戦を勝ってからでしょ。」
ブライト「うふふ、そうですわね~。まずはデビュー戦、ですわね~。」
この子ったら、本当に能天気なんだから。