アルダンside
実況『上半期最後を飾るGⅠレース、宝塚記念がいよいよ幕を開こうとしています!ファンが選んだ17人がこの阪神レース場に集まって、春最後の激闘が繰り広げられます!レースの前に選ばれた17人のウマ娘のご紹介から参りましょう!』
チヨノオー「この3人が揃うのも1年ぶりですね。」
ヤエノ「えぇ、去年のダービー以来ですね。」
アルダン「懐かしいものですね。あれからもう1年も経つなんて……」
ヤエノ「ですが去年と違うのは同世代のウマ娘だけでなく、先輩ウマ娘達と戦うという事です。」
チヨノオー「はい。しかもオグリさんと同じで地方から中央に移籍してきたイナリさんも居ます。前走の天皇賞・春の走りを見るに、とてもお強い方というのは分かります……ですが、それでも負けません!」
アルダン「えぇ、私も負けるつもりはありません。」
イナリ「おうおう随分と良い気合いが乗ってんじゃねぇか!」
ヤエノ「っ!イナリさん……」
イナリ「アンタ達と走るのは初めてだけど、あたしは楽しみだぜっ!楽しみだけど、同じくらい負けたくないって気持ちも強ぇぜ?」
アルダン「勿論、その気持ちは私達も負けていないつもりです。本日はお手柔らかにお願いします。」
イナリ「おう、お互いに良いレースにしようじゃねぇか!」
クラスでお話していた通り、とても明るい方ですね。普段の時と変わらない態度、これはとてもありがたいです。
そして程無くしてパドックの紹介が終わって、私達は控え室に向かいました。そして最後の打ち合わせをする事となりました。
ーーー控え室ーーー
アルダン「………」
八幡「(落ち着いてるな。緊張した様子も無い、良い雰囲気だ。)アル、そろそろ時間だ。」
アルダン「……ふぅ~。ありがとうございます、兄様。とても落ち着いています。」
八幡「みたいだな。焦った様子も無いし呼吸も乱れていない、良い感じだな。」
アルダン「はい、とても良い調子だと自身でも感じています。」
八幡「そうか……春最後のGⅠだ、良い締め括りに出来るようにな。」ナデナデ
アルダン「……はい!」
兄様から頭を撫でていただきました……とても久しぶりです。これで今日は負けなくなりましたっ!
ーーー本バ場ーーー
実況『さぁ、ゲート前には既に17人のウマ娘達が集結して今か今かと合図を待っております。この春のグランプリレースの1番人気に支持されたのはGⅠ4勝の昨年のダービーウマ娘のメジロアルダン!2番人気には今年の天皇賞ウマ娘、大井から移籍してきた新星イナリワン!3番人気は昨年の皐月賞ウマ娘ヤエノムテキ!この3人が上位人気でございます。』
解説『現役でオグリキャップに先着した唯一のウマ娘ですからね、この人気も頷けるでしょう。イナリワンも天皇賞での走りが評価されての事でしょうから、きっとこの宝塚記念でも良い走りをしてくれるでしょう。ヤエノムテキと4番人気のサクラチヨノオーもイナリワンみ負けず劣らずの実力を兼ね備えていると思いますので、今日はとても楽しみですね。』
実況『さぁ時間となりました!宝塚記念のファンファーレですっ!』
♪~♪~♪~
実況『正面スタンド前右側にてゲートへ向かうウマ娘達、いよいよ始まる激闘の130秒っ!勝つのはメジロの新風か?大井の新星か?不動の流星か?サクラの横綱か?はたまた他の実力者達か?さぁ最後に17番ニシノミラーが収まりました!夢のグランプリがいよいよ開きます!刮目せよ、宝塚記念。』
ガッコンッ!!
実況『スタートしましたっ!!17人が横に並んでおりますっ!まず外からニシノミラーが懸命に出て参りました!ミスティックスターとサクラチヨノオー。内からダイナカーペンターが一気に先頭に変わりましたっ!2番手にはサクラチヨノオー、外から一気にシヨノロマン。ミスティックスターとシヨノロマンが4~5番手で1コーナーをカーブしていきます!人気のメジロアルダンはちょうど中間、イナリワンは中団少し前目、ヤエノムテキは後方の位置につけています!』
驚きました……イナリさんの脚質は差しか追込だと思っていましたが、今日は先行策。私達の心を揺さぶる算段だったのでしょうか……
実況『2バ身空いてバンブーメモリーその内からミスターシクレノン!キリパワー、スルーオダイナ、チュニカオー、ゴールドシチーがひと固まり!1バ身差でコスモドリームとフレッシュボイス、最後方にヤエノムテキという体勢で3コーナーへと曲がっていきます!』
イナリ(何でぃ、他の連中が全く動かねぇじゃねぇかい……不気味だねぇ?)
ヤエノ(此処から一気に……位置を上げていくっ!)
まだ、まだ脚を溜めます……でも少しずつ、少しずつ位置を上げて………
実況『さぁ先頭はダイナカーペンター2バ身のリード!その後方にはシヨノロマンとイナリワンが上がってきている。後方から一気にヤエノムテキも中団まで上がってきている!そして内からはミスターシクレノンと共にメジロアルダンも共に上がってきているぞ~!!』
脚は充分、前までには充分届きます……さぁ、勝負ですっ!
実況『さぁ直線コース!イナリワンが来たぞ、イナリワンが外からグングン上がってきている!更にその外からはミスターシクレノンとメジロアルダンが上がってきているが、メジロアルダンが良い脚だ!イナリワンが先頭!イナリワンが先頭!!しかし外からメジロアルダンも迫るっ!大外からはフレッシュボイスも来ている!!』
イナリ「こっからだぜぇ~!!」
アルダン「っ!!」
イナリさんが先行策を取ったのはこういう事でしたか……先行が残りやすいペースを刻む事で後方の皆さんに追込ませないようにさせたのですね。その作戦、お見事です………私は兄様から教わりました。教科書通りの作戦を実行するタイプと何をするか分からないタイプがあり、私は後者のタイプに弱い傾向があると。実際に私はイナリさんが後方でレースを進めるとばかり思い込んでいました。そういう意味では少し動揺してしまったとも言えるでしょう………
ですが、ドーベル達との併走のおかげでその弱点は克服しましたっ!!
アルダン「はあああぁぁぁぁぁ!!!」
実況『メジロアルダン抜いたっ!!メジロアルダン抜いたっ!!メジロアルダンがイナリワンを抜き去ってゴールインッ!!メジロアルダンがギリギリ差し切りました!ウチのイナリワンは2着、3着にはフレッシュボイスが入りましたっ!』
アルダン「はぁ……はぁ……」
イナリ「はぁ……はぁ……かあああぁぁぁ~負けちまったぜ~!やっぱ良い走りをするじゃねぇか~アルダンよぉ~!」
アルダン「ありがとうございます、イナリさん。イナリさんの先行策には驚かされましたが、何とか捉え切る事が出来ました。」
実況『メジロアルダン、これでGⅠ5勝目で歴代2位の記録となりました!後2勝すれば、【皇帝】シンボリルドルフと並びます!今後のレースが楽しみになりますっ!!』