八幡side
ヒリュウ「トレーナーさん、ウチの娘をもらってはいただけませんか?」
父「私の目から見ても、アルダンはとても良い子ですのでオススメしますよ。」
八幡「………」
居間、この状況を正確に伝える事にしよう。俺は今、自分の自宅に居る。そこにラモーヌとアルのご両親がいつの日かのように突然アポ無しで押しかけに来た。一応おもてなしとして、紅茶とお茶菓子を用意して俺も対面して落ち着こうと思ったわけなのだが、何故か突然アルをもらってくれ発言をされた………これが今である。
八幡「……あの、どうしてそのようなお話になったのか、理由だけでも聞かせてもらえませんか?流石にいきなりもらってくれ、オススメだと言われても混乱するだけなので。」
ヒリュウ「っ!失礼いたしました、少し先走り過ぎました。」
いや、先走り過ぎですから……先に理由が聞きたかったですよ。
父「トレーナーさんもご存知だとは思いますが、トレセン学園を卒業した後のウマ娘の進学先は多岐に渡ります。より良い成績を収めたウマ娘であれば尚の事、将来の事が注視されます。アルダンもその例に外れる事は無いと思えるくらいの実績はあると確信しております。ただ、私も親です。娘の将来を心配するのは、憎まれながらも親心だと思っています。」
八幡「成る程……」
父「なので娘の気持ちを聞かずにではありますが(本当は確認しているけど……)、こうしてトレーナーさんに娘を紹介しにきたという訳です。」
八幡「お気持ちは理解しました。しかし私は一介のトレーナーという事を除いても成人という立場、幾ら異性であっても学生相手にそのような気持ちは抱いていないというのが返答になります。」
ヒリュウ「それは当然の事だと思われます。しかしあの子達ももうすぐトレセン学園を卒業する身、そうなれば嫌でもお見合いの話が各方面から出てきます。身贔屓に聞こえるかもしれませんが、親の目から見ても娘2人の実績はメジロの中でも群を抜いていると自負しております。それを何処のウマの骨とも知らぬ方に嫁に出すか婿に来てもらうよりも、信頼を置ける殿方の方が私としましては安心なのです。」
八幡「お母様、自分は「まぁ、どちらの娘をもらっていただけるのですか?」……そっちの意味ではありません。自分はメジロ家とは違って名家の生まれではありません。そのところは当主のメジロアサマさんからは許可を得られるのでしょうか?」
ヒリュウ「トレーナーさんの疑問は最もですね。ですがご安心ください、妻はメジロ家で私もそれなりの家の出身ではありますが、パーマーちゃんの母親は一般の方との見合いとなり、結婚に至りました。他にもドーベルちゃんの父親も元を辿れば一般の出ですから。」
以外にもその辺りは自由恋愛なのか?でも最終的な判断は
父「答えは急ぎません、ですが身を固めるのであれば早い方が良いと思ってこうしてトレーナーさんに娘を紹介しています。学園を卒業すれば必ずお見合いの話が来るのは目に見えていますからね、先に信頼出来る方にお願いしておこうと思ったのです。」
ヒリュウ「因みにお聞きしますが、トレーナーさんはご結婚にご興味は?」
八幡「お恥ずかしい話、この職に就くからにはそういうのは諦めていますので。」
ヒリュウ「でしたら是非、ウチの婿に来ませんか?」
父「トレーナーさんであれば、皆きっと歓迎するに違いありませんから。」
……俺、婿養子に行くの?抵抗は別に無いけどさ、何でこんなに必死なの?必死に見えるのは気のせい?
八幡「すみませんが、自分1人では何とも……それに幾らご両親からのお願いとはいえ、本人達の意志も聞かずに勝手に決めるというのは流石に抵抗を感じますので。せめて本人の意志を聞かない限り、俺の答えは出せません。」
ヒリュウ「成る程、アルダンの意志を尊重するという事ですね。」
父「お考えは分かりました。それとこの事は口外しないと必ずお約束します、その点はご安心ください。」
八幡「はぁ……分かりました。」
ヒリュウ「ではこの話は終わりにいたしましょう。トレーナーさん、単刀直入にお聞きします。アルダンの事をどう思いますか?」
父「あの子は気遣いの出来る良い子だと、親の目線からでもそう思うのですが……トレーナーさんの率直な評価を聞きたいのです。」
全く話終わらせてねぇじゃん。寧ろ続いてんじゃねぇか……何でこの両親はアルをすすめたがるんだ?俺とアルをくっつけようとでもしてるのか?
※ピンポーンッ!
八幡「そうですね……お父様が言うように「お義父様、良い響きだ……」そっちじゃありません。戻しますけど、気遣いの出来る点は私も認めます。思慮深く、聡明で、誰にでも同じように接する優しい心を持っている。良い女性だと思っています。ご両親の素晴らしい教育の賜物だと思っています。」
ヒリュウ「そう言っていただけると嬉しいですね。」
八幡「これはただの自分の偏見によるものですが、ラモーヌはお母様の美しさを、アルダンはお父様の気高さを受け継いだのではないかと勝手に思っています。」
父「また、お義父様と……」ジィ∼ン…
ヒリュウ「甘美な響きね……」ニコォ∼
八幡「そういう意味じゃねぇっつってんだろ。」
この言葉が引き金になったのか、何故かご両親からはいつも通りの口調で話して欲しいと懇願され続けた……なんかシービーを相手した時以上に疲れた気がする。