比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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経験と計算

 

 

エアグルーヴside

 

 

入学式から早1ヶ月が経ち、新入生達もある程度は学園に馴染めた頃だ。今ではチームに入っている者、入っていない者、スカウトされた者されてない者と分かれているが、まだ焦る時ではない。慎重になるべきだと私は思う。早くチームに入るのが正解だとは限らないからだ。そして私の目指す宝塚記念まで残り1ヶ月と3週間を切った。今のところ調子は悪くはない。足りないとするならば………トレーナーとの時間、だろうか。

 

 

エアグルーヴ「……ふぅ。」

 

ドーベル「どうかしたんですか、先輩?」

 

エアグルーヴ「ドーベルか。いや、何もないぞ。」

 

ドーベル「そうですか……何処か寂しそうな顔をしていたような気がしたので。」

 

エアグルーヴ「それを言うのであればお前の方だろう。この前の桜花賞は残念だったな。」

 

 

ドーベルはクラシック第1弾の桜花賞を2着で敗れているのだ。敗因は外を回った分のロスだと言っている。私から見てもそうだと感じていた。

 

 

ドーベル「はい。でも次は負けません。オークスでは勝ってみせます!私だってメジロのウマ娘です、最優秀ジュニア級だけじゃ終わらせません!」

 

エアグルーヴ「ふっ、その意気だ。」

 

ドーベル「先輩は宝塚記念でしたよね?調子はどうですか?」

 

エアグルーヴ「今のところ大きな問題は無い。順調なトレーニング・調整をしている。まぁ遠巻きから様子を見ている新入生や新人トレーナー達が少し気になっているところではあるが。」

 

ドーベル「あぁ……確かにこの1ヶ月、先輩達の周りに大勢居ますよね、見てる生徒やトレーナー達。」

 

 

カメラを回さないだけ幾らかマシだが、いつも同じ時間で同じように見られていると、流石に自分の時間は大丈夫なのかと気になってくる。後少しだけ迷惑だ。トレーナーも気付いてはいるのだろうが、何も触れないからな。

 

 

エアグルーヴ「昼時だ、我々も食事に行こう。」

 

ドーベル「はい先輩。」

 

 

ーーー食堂ーーー

 

 

食堂に着いたのはいいが、何やら雰囲気が少しおかしい。一方向の様子を伺っているとでもいうのだろうか、ウマ娘達が緊張している様子だった。そしてその先に居るのは私のトレーナーと見慣れないトレーナーが1人対面して座っていた。おそらく後者は新人トレーナーだろう。

 

 

エアグルーヴ「おい、これはどういう状況なのだ?」

 

「あっ副会長!!それが私達が食事をしていたら2人が話している内容が気になったので、それで………」

 

 

どうやらこれを作り出したのは生徒達側らしい。だが私もその内容とやらは気になる。

 

 

ドーベル「その内容って聞き取れたの?」

 

「それが、その……副会長の事でして。今のトレーニングとかレースについての事とかを議論してるみたいなんです。」

 

エアグルーヴ「……何?」

 

 

私の事で話を?

 

 

「話的には今のトレーニング効率が何%とか怪我の可能性が何%って凄く難しそうな話をしてたんです。それを言ってるのがあの眼鏡をかけて背筋がピンと伸びてて、タブレットを持ってるトレーナーです。」

 

エアグルーヴ「あのトレーナーか………」

 

 

エアグルーヴsideout

 

八幡side

 

 

「それでですね、今先輩がエアグルーヴさんに行なっているトレーニングは実質40%しか実りは出ておらず、残りの60%は無意味となっています。更にはある程度強度の高いトレーニングも行なっているみたいですが、あれも同じと言えるでしょう。」

 

八幡「……それで?」

 

「このトレーニングを続けていると、次走は確か宝塚記念でしたね?そのレースで勝てる見込みは半分以下で37%です。幾らエアグルーヴさんの地力が高くても、無意味なトレーニングで勝てる程、GⅠの世界は甘くはありません。」

 

八幡「成る程……じゃあそのデータで出走予定のウマ娘全ての結果と照らし合わせた勝率は?」

 

「何を言うかと思えば、それは「自分で調べろとでも言いたいようだな?まさかとは思うが調べてないから逃げようって魂胆じゃねぇだろうな?」そんなバカはしませんよ。」

 

八幡「じゃあ今すぐ見せてもらおうか?」

 

「い、今はまだ数値化していないんです。」

 

八幡「ほう?あれだけ大きな事を宣っておきながらその計算もしてなかったのか?数字が友達みたいなお前がそんな事を忘れるなんて思えないな〜。じゃあ他の質問にしてやろう。エアグルーヴが宝塚記念のレース後に怪我をする可能性を言ってみろ。これなら答えられるだろ?さっきの質問よりも簡単だ。因みに言っておくが怪我の内容までハッキリと頼むぞ、その方が俺も対処しやすい。」

 

「………」ポチポチ

 

八幡「遅ぇよノロマ。」

 

「っ!!?」

 

八幡「黙って聞いてりゃトレーニングの効率だの怪我する可能性だの、お前は計算でしか物を決められねぇのか?そんなもんこっちはハナから頭ん中でフル回転させてんだよ。その中でメニュー組んでんだ、ただ数字合わせただけの合理的なトレーニングなんて俺は要らねぇよ。それにお前、ウマ娘を何だと思ってる?実験対象じゃねぇんだぞ、人の担当を勝手にあれこれ調べやがって………無意味なトレーニングで勝てる程GⅠは甘くないって言ったな?その言葉、お前にそのままそっくりお返ししてやるよ。確かに計算は大事だ。けどこの世界はな、計算だけでのし上がれる程単純じゃねぇんだよ。頭絞るだけなら誰でも出来るんだよ。」

 

「く、くぅ……!」

 

八幡「俺からも1つ言ってやるよ、もしお前がこれから担当を決めろと言われて担当にできる可能性は0%だ。数でしか物を決められねぇ奴なんかと誰が担当になりたがるかよ、メインのトレーナーの下で1から勉強し直せバーカ。」

 

「っ!」

 

 

はぁ〜無駄な時間食っちまった………あぁ〜メニュー考えねぇと。後でエアグルーヴとフジにも相談するか、知識と経験で組んだメニューと計算され尽くしたメニュー、どっちが良いか。

 

 

 




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