八幡side
ピッ!
カレン「はぁ……はぁ……」
八幡「……よし、良いタイムだ。じゃあ上がりにするぞ。少し休んでからダウンに行け。」
カレン「う、うん……分かったぁ~……」
もうすぐ葵Sというところまで日は迫り、今日はその追い切りをしたところだ。カレンもこの2ヵ月で大きく成長を遂げたと感じる部分が多い。特に誰かと併走した時には自分から進路を探しに行ったり、進路が塞がれない内に前に出たりと色々なパターンを試すようになっていた。前までは直線に入ってからが勝負という感じだったが、今ではその固まった考えが抜けて良い感じに成長を遂げた。
カレン「お兄ちゃ~ん……今日の追い切りってお兄ちゃんから見てどう?」
八幡「80~90点くらいだな、そのくらいこの2ヵ月の間で走りが良くなっている。今の状態ならきっと1着を獲れると思うぞ。」
カレン「でも、この前のようには絶対にならないから……カレン、自分だけじゃなくて、しっかり周りも見るから。」
八幡「だから1着を獲れるって言ってるんだよ。フィリーズレビューを走る前のお前ならそんな事は絶対に言ってない、だから次のレースは勝てる……その確信もある。」
カレン「じゃあもし勝てなかったら、お兄ちゃんがカレンのウマスタで謝罪文書いてね?」
八幡「負ける事を見越しての言動が少しアレだが、いいだろう。今のお前にはそのくらいの実力が備わっているからな。」
カレン「勿論、カレンも負けるつもりなんて無いからね!次はカレンも勝ちに行くからねっ!」
カレンもやる気は充分の様子だし、後は本番まで調子とパフォーマンスを維持する事だな。
ーーー部室ーーー
アヤベ「……お疲れ様。」
八幡「おう、お疲れさん。待たせて済まないな。」
アヤベ「いいえ、寛がせてもらっているもの。それに何だか居心地も良いから。」
八幡「それは何より。」
カレン「……やっぱりお兄ちゃんとアヤベさんの会話って自然ですよね~。」
アヤベ「………そうかしら?」
八幡「いや、そんな事なくね?普通だよな?」
アヤベ「えぇ、普通に会話しているだけよ。」
カレン「ほらそういうとこですよっ!聞き方も返し方も自然だし、カレンが話す時と全然違うじゃないですか~!」
八幡「ん~何だろうな……別に何かを意識しての会話をしてるつもりなんて無いんだが、アヤベと話してるとなんか不思議と自然体になるんだよなぁ~。」
アヤベ「トレーナーさんも?私もトレーナーさんと話してると何だか落ち着くというか、気を遣う事が無いから。」
八幡「あぁ~そうそう、そんな感じ。」
カレン「それってカレンとお話してる時は気を遣ってるって事ですか?」
八・ア「だって、勝手にウマスタに載せられてるかもしれないから。」
あっ、ハモッた。
カレン「そんな事しませんよぉ~!」
八幡「……ホントか?」
アヤベ「過去に1度、私がカレンさんを気遣った事があるのだけど、その事をウマスタに上げられた事があるわ。あの時は色々な人達が反応して少し困ったわ。」
八幡「成る程………よし、これからも発言には気を付けよう。」
アヤベ「そうね、そうしましょう。それからウマスタの確認も忘れずに。」
八幡「あぁ、そこは徹底してるから大丈夫だ。」
カレン「息ピッタリじゃないですかぁ~!!」プンプンッ!!
ーーー校門ーーー
カレン「むぅ~……」
アヤベ「そろそろ機嫌を直しなさい、気にしても仕方ないでしょう。」
カレン「だって2人がカレンの事を仲間外れにするからっ!」
八幡「そんなつもり無いって、俺達のメンタルの問題だから気を付けようって協力してるんだって。」
アヤベ「トレーナーさんの言う通りよ、不用意な事で私達の事を載せられても困るもの。合意の上なら結構だけれど、私もトレーナーさんもきっとそんな事は殆どしないでしょうし。」
八幡「だな、自分から進んでやろうとは思わないな。」
カレン「ほら、仲間外れにしてるじゃないですか~!」
八・ア「誤解だ(よ)。」
すっかりへそ曲げちまってるな……でもこれは俺達の為でもあるからな、妥協は出来ない。
八幡「そういえばアヤベ、クッションの使い心地ってどうだ?」
アヤベ「とてもよく眠れているし、使い心地も良いわ。」
八幡「そうか。」
カレン「クッションって最近アヤベさんが抱き枕にしてるあの茶色いクッションですか?」
アヤベ「えぇ、トレーナーさんのお知り合いにそういうのが得意な人が居るみたいだから作ってもらってたの。言っておくけれど、私からお願いしたわけじゃないから。」
カレン「カレンも欲しい~!ねぇお兄ちゃん、カレンにも作ってってお願いしてもらえないかな?」
八幡「そうだな、じゃあ次の葵Sに勝ったら頼んでみる。一応どんなのが良いかのリクエストも貰えると助かる。この色が良いだとか中身はビーズが良いだとかそんな感じな。」
カレン「じゃあじゃあ、アヤベさんとお揃いのが良いなぁ~!どうせならカレンはワインレッドの色違いでっ♪」
八幡「濃い赤かぁ……無かった場合の第2希望は?」
カレン「じゃあ黒っ!」
八幡「黒ならありそうだな。」
これで少しはレースのやる気も出してくれるだろう。