八幡side
ライスに美味いシチューの作り方を教える事になってから週を跨いて、今頃はきっと調理自習の最中だろう。料理中のライスはトレーニングと同じで余計な事は一切せず、真剣に俺からやり方を盗んでいた。しかも何故か俺の後ろをついて歩くもんだから、調味料持って振り返ってライスが居た時はビックリしたもんだ。因みにその調味料は宙を舞ったんだが、キャッチしたから中身が床に散乱する事は無かった。
カレン「どうかしたの、お兄ちゃん?」
八幡「ん?いや別に……そろそろ始まってる頃だと思ってな。」
カレン「何が~?」
八幡「修行の成果。」
カレン「?」
余程の大きな事故が無ければ大丈夫だろう。
カレン「ねぇお兄ちゃん。次の函館スプリントSなんだけど、いつぐらいに函館に行くの?」
八幡「特に何も予定が無ければ前日移動にしようと思ってる。何でだ?」
カレン「だってせっかくの北海道だからさ、ちょっと早めに行って観光したいなぁ~って。」
八幡「遊びに行くわけじゃないんだぞ?それに早めに向こうに行ったとしても、必ず調整とかやるから、どの道トレーニングはするからな?」
カレン「勿論分かってる!けどお兄ちゃんだって気になるでしょ?イカ墨ソフトッ♪」
……何だ、その微妙に何味か気になるようなネーミングセンスは?っていうか何だそのいかすみそふとって?イカ墨パスタのソフトクリーム的な?
カレン「ねぇねぇいいでしょ?アヤベさんにもお土産買っていきたいし、ウマスタにも載せられるからさ~。お願いっ!」
八幡「本音それだろ……まぁいいか、別に断る理由も無いしな。断って俺の悪口を投稿されても困るしな。」
カレン「そんな事しないよ~!お兄ちゃんはカレンの事誤解し過ぎ~っ!」
コンコンコンッ
八幡「?どうぞ。」
シービー「やっほ~八幡、来ちゃった。」
八幡「……何で此処に来るんだ?カレンが授業の一環で此処に居るってのは理解してるが、お前は?」
シービー「音楽の授業だったんだけど、教室でやるのは気分が乗らないから此処に来たんだ~。」
八幡「そうか……よし、回れ右して出てけ。」
シービー「ヤダッ!」
八幡「大体何で此処に来たんだよ?来る理由無いだろ。」
シービー「いやいや、八幡が居るなら此処に来る理由としては充分じゃん。」
理由になってねぇよ。てか音楽の授業ならはよ戻れよ、此処に居る場合じゃねぇだろ。
八幡「そもそもカレンもだが、教室に戻らなくていいのか?もう時間だぞ。」
カレン「あっ、ホントだ!それじゃあお兄ちゃん、また放課後にね~!それと、函館には早く行こうねっ!」
シービー「……八幡、函館ってどういう事?」
八幡「カレンの次走が函館スプリントSだから現地入りを早くしようって話だ。」
シービー「なぁ~んだぁ~あたしてっきりデートかと思っちゃったよ~。」
八幡「脳内お花畑な情報ありがとよ。はい、さっさと教室戻れ。」
シービー「1曲歌わせて?そしたら帰るからっ!」
八幡「分かった、じゃあイヤホンするから終わったら部屋から出てくれよ~。」
シービー「聞け~っ!!!」
ーーー数十分後ーーー
八幡「やっとうるさいのが居なくなった……」
シービーの奴、最後まで聞いてくれないと此処に居座るって言い出すもんだから、聞かないと俺だけでなく教師にまで影響を及ぼすから仕方なく聞く事にした。けどまぁそうだな……流石は【3冠ウマ娘】の歌声だと言っておこうか、普通に上手かった。
八幡「続々と来始めたな、ライスは……その内来るだろうから此処で待つか。」
オグリ「トレーナー、来たぞ。」
八幡「お呼びじゃない。」
スぺ「トレーナーさん、今日こそお願いしますっ!」
八幡「君でもない。」
ブライアン「今日の肉は何だ?」
八幡「シチューだから肉は少ない。」
シービー「はちま「盛り付け中だからやめなさい。」はいは~い。」
ライス「お兄様~!」
八幡「ん、パンかライスどっちがいい?」
ライス「ふぇ?じゃあライス?」
八幡「ほい、ビーフシチューとライスな。前に作ったのよりも旨味とか色々増えてると思うから食ってみてくれ。」
ライス「い、いいの?ライス何も言ってないのに。」
八幡「お前の顔見て分かった、調理自習は成功したんだろ?そのご褒美だ。」
ライス「ありがとう、お兄様っ!」ニコッ!
この笑顔……うん、良い。100点満点だな。
オグリ「今日はビーフシチューなのか……とても美味しそうだ……」ジュルリ…
八幡「何だ、そんなに食べたいのか?」
オグリ「あ【ギュルルルルル…】……そうなんだ。」
八幡「返事を腹の虫で返されるとは思わなかったぞ。」
シービー「八幡八幡、あたしにもちょうだい?」
スぺ「私もトレーナーさんのビーフシチューが欲しいですっ!」
八幡「そんな事言われてもな、コレは俺とライスの昼食用に作ったのだから誰かにあげるつもりは無いんだが?いつの間にかブライアンどっか行ってるし。(絶対に野菜入ってるからだろアイツ。)」
ライス「お、お兄様。ライスなら大丈夫だから……」
八幡「けどなライス、もしも満足に昼食が食べられなかったせいで授業中に腹が鳴ったらどうすんだ?シービー以外の腹の虫が鳴るのは日常茶飯事だろうが、お前は違うだろ?鳴った時の恥ずかしさ、耐えられそうか?」
ライス「うぅ~……ごめんなさいっ!」パクパクッ!
君が謝る事じゃないぞ?
八幡「じゃ、そういう事だから諦めなさい。」
オグリ「またなのかっ!?いつになったら私はトレーナーの料理が食べられるんだっ!?」
担当トレーナーにでもならない限り、お前に進んで料理を作ったりはしねぇよ。
ーーーおまけーーー
ライス「あっ、お兄様!調理自習でお兄様と一緒に練習した時みたいにシチューを作ってみたんだ!そしたら先生、驚いてたんだ!すっごく美味しいって!」
八幡「そうか、じゃあ良い評価をもらえたみたいだな。」
ライス「うんっ♪お兄様といっぱいお料理の練習をしたおかげだよっ!ライスもつい先生にお兄様のお料理はとっても美味しいって言っちゃった~……えへへ。」
八幡「おん?」
ライス「そうだよね!だって今日のビーフシチュー、練習して作った時のよりもっと美味しいもんっ!たくさんお代わり出来ちゃうくらい美味しいも言っちゃったんだ~。」
八幡「おん?」
ライス「あっ、もう無くなっちゃった……お兄様、お代わりしてもいい?」
ライスちゃん、済まんが言わせてくれ。余計な事まで言わないでくれ。