八幡side
現在、日本時間でいうところの2時半、俺はトレーナー寮の共同スペースでドバイのレースを観戦している。日本のウマ娘は2レースに出ていずれも敗北している。残すはもうすぐ始まるドバイワールドカップのみだ。そして今はゲート前に居てもうすぐ発走の時刻となっている。俺の他にも数人程、此処で観戦している。
同期1「はぁ~……いよいよかぁ~。」
八幡「だな。」
同期1「このレースに出る3人って比企谷君も関わってるんでしょ?」
八幡「あぁ、遠征に出る1週間前に少しだけな。テレビ越しではあるが、全員良い調子みたいだ。」
後輩「ドバイかぁ~……僕も1度行ってみたい国の1つなんですよね~。ドバイワールドカップデーの内の1つだけでも勝ちたいって思ってるんですよ。」
同期1「良い目標じゃない、それにドバイは招待されないといけないレースでもあるし、ウマ娘だけじゃなくトレーナーの腕も確かじゃないとね。」
後輩「はい、頑張ります!」
同期3「まぁ今のままじゃ無理だろうな。まだ研修止まりなんだろ?」
同期1「何言ってんのよ、アンタだってそうじゃない。私と同期2はもうサブを卒業して1人立ちしてるわよ?同期で遅れてるのアンタだけじゃない。」
同期3「お、俺は先輩からまだまだ教わる事が多いんだよ。」
……それってつまり、まだ1人立ち出来るレベルじゃないっていう裏返しだぞ?
実況『いよいよチーム・ジャパンがスタートの時を迎えています、メイダンレース場ドバイミーティングメインレース、ドバイワールドカップ。オールウェザー2,000mで争われます。』
八幡「おう、始まるから口ケンカはその辺りにしておけ。」
同期1「……比企谷君がそう言うなら。」
同期3「……このくらいにしといてやる。」
実況『過去15回挑み続けてきましたが、日本のウマ娘がこのレースを勝った事はありません。今年日本からは3人が出走します。昨年の年度代表ウマ娘ブエナビスタ、グランプリウマ娘のヴィクトワールピサ、日本のダートGⅠ2連勝、日本のダート王トランセンド、まさに最強と言っていい布陣です。あの日、日本に不幸が襲うまでは日本陣営は自身の勝利を第一に考えていたかもしれません。しかし今の想いはたった1つ、日本に希望の火を灯したいっ!さぁゲートイン完了!ドバイワールドカップ、日本ウマ娘初制覇なるかっ!?』
ガッコン!!
実況『スタートしましたっ!!ヴィクトワールピサ、トランセンド、ブエナビスタの3人っ!好スタートを切ったのは……トランセンドが行くか?トランセンドが行きました、先頭に立ちます!2番手にはアイルランドの強豪ケープブランコ!その後ジターノエルナンド、内からモンテロッソが4番手を追走!注目の日本の後2人ですが、ブエナビスタが後ろから2番目、ヴィクトワールピサが最後方を追走する形で第1コーナーをカーブしていきます!さぁトランセンドが世界の強豪13人を引き連れて、自分のスタイルへと持ち込みました、逃げますっ!』
同期1「比企谷君、どう思う?」
八幡「3人共、自分の走りが出来ていると思う。特にトランセンドは良い感じだな。けどまだ最初だからこのまま最終コーナーまで持ち込んでいけるかが鍵になる。」
後輩「後ろ2人はどうですか?」
八幡「ブエナはちゃんと進路を見つけてくれればって感じだな。ピサには有マと同じ走りを教えた。」
同期1「同じって……えっ!?」
実況『おっ!ここでヴィクトワールピサが外々を通って一気に上がってきました!!中団から好位、そして前を行くトランセンドと並びましたっ!一方ブエナビスタは依然として最後方からの展開となりました!ヴィクトワールピサ、トランセンドの2人が先頭2番手になりました。3コーナーに入ります!3番手にはケープブランコ、その後ろジターノエルナンドが4番手。アメリカの強豪ジオポンティが外に持ち出そうとしているっ!最内のモンテロッソも追い上げ体勢!プリンスビショップも真ん中から上がって行く構え!ブエナビスタは外に持ち出している!先頭まで6バ身くらいで最後の直線、400mに入るところです!』
同期3「おいおい、このままだと追いつかれるぞ!?トランセンドのあのペースじゃ後方に飲み込まれるぞ!」
後輩「でもペース的には普通ですよね?」
八幡「残り300mが本当の勝負だな。」
実況『日本の2人が先頭2番手!ブエナビスタは既に外から追い込んできている、300を通過っ!さぁヴィクトワールピサだ!ヴィクトワールピサ、トランセンド、日本の2人が先頭2番手っ!!トゥワイスオーバー、外からジオポンティが来るっ!更に外からブエナビスタも良い脚っ!!しかしヴィクトワールピサだ!!後100だっ、頑張れ日本!!ヴィクトワールピサ、トランセンドのワンツーなるかっ!?ヴィクトワールピサ、トランセンド日本ワンツーッ!!!!!』
ピサがゴールした瞬間、ヴィクトワールピサが右手で観客席側に向けてガッツポーズを見せた。日本が初めてドバイワールドカップを勝利した歴史的な瞬間だった。
この時の盛り上がりは凄かったなぁ~……リアルタイムで見ていたわけではありませんが、勝った時は凄かったです!