比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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上半期総決算

 

 

エアグルーヴside

 

 

エアグルーヴ「すぅ〜……ふぅ………」

 

 

大丈夫だ、落ち着いている。足に不安も無いし重さも無い、そして前走のような感じも無い。大阪杯での失態は同じ阪神の舞台の宝塚記念で拭い取る!

 

 

実況『さぁ、メインレースの大本命!圧倒的支持を集めたのはこのウマ娘、5枠6番エアグルーヴ。今年はまだ1走しかしていないものの、それを含めて未だ無敗。前走はこれまでのようは走りは不発でしたが、今日は炸裂するでしょうか?』

 

解説『彼女は阪神での成績は4戦4勝、キャリア的には申し分ありません。これまで1,600m、2,000mの距離を走って今回は1番長い2,200mの挑戦ですが、2,400mを走り切っている彼女であればスタミナの心配は要らないでしょう。追い出しのタイミングが勝利の鍵を握りそうですね。』

 

 

エアグルーヴ「………」

 

 

ーーー控え室ーーー

 

 

エアグルーヴ「………」

 

 

大丈夫だ、いつも通りの走りをすればいい。無駄な事は考えるな、邪心は捨てろ、前走を思い出せ……あのような走りはもうしない為にも、このレースは負けられない!

 

 

八幡「なぁ〜に1人で百面相してんだ?」

 

エアグルーヴ「っ!?ノ、ノックをせんか!!」

 

八幡「したぞ?したけど返事も何も無いから心配になって覗いてみたら………今に至る。」

 

エアグルーヴ「そ、そうか……それは済まない。もう時間か?」

 

八幡「いや、まだ大丈夫だ。それよりも考え事か?」

 

エアグルーヴ「いや、前走のような走りはしないようにと思っていただけだ。何度見直しても酷いものだったからな。特に最後の直線は。」

 

八幡「何が良くなかったのかは俺にも分からんが、俺の出来うる範囲でお前の力を発揮出来るようには仕上げてある。負けたら俺を言い訳にするくらいの気持ちで行ってこい。」

 

エアグルーヴ「そんな事出来るか!」

 

八幡「冗談だ。まぁ本当にそうされたら敵わないから、勝利くらいは祈っておく。それと作戦だが、位置はいつも通りで大丈夫だが、3コーナーで仕掛けろ。前走と同じ流れならマーベラスが早めに仕掛けるだろう、そしてお前を追う形になる。どんな風に来るかは分からないが、マーベラスは後方からの追込みが得意な脚質だ。それに呑まれたら追い上げるのは難しい。抜かれないように前を維持しろ。」

 

エアグルーヴ「あぁ、分かった。」

 

八幡「逃げるのは京都記念で走った時と同じでシーグレイス。その後に先行勢が固まってって所だな。」

 

エアグルーヴ「ならば私は少し前目に位置取るとする。その方がマーベラスサンデーの動きも掴みやすい。なるべく内回りでな。」

 

八幡「……なんな性格悪くなってるな、お前。」

 

エアグルーヴ「お前程ではない。」

 

 

……っ!今気付いたが、普通に会話をしているではないか。良い感じだったぞ!

 

 

八幡「話し過ぎたな、時間だ。」

 

エアグルーヴ「あぁ、行ってくる。」

 

 

心なしか、足が軽くなったように感じる。ふっ、これならば良い走りが出来るだろう。

 

 

エアグルーヴsideout

 

ーーーーーー

 

 

フジ「おかえり八幡トレーナーさん。いやぁ〜やっぱり凄いね、生で聞く武勇伝というのは。」

 

マンノウォー「そうか?だが今のウマ娘ならば私のした事くらい造作も無いだろうに。それに、八幡が育て上げたウマ娘ならば、3冠制覇は軽くこなしてくれなければなっ!!」

 

八幡「……3冠の話をしてたのか?」

 

フジ「うん。でも本当に凄いのは、レース名にまでウマ娘の名前が使われてるっていう事だね。」

 

八幡「それだけ評価されての事だからな。プロフェッサーはそのレースで先生を見て卒業後に自分の弟子にするって決めたんでしたっけ?」

 

マンノウォー「その通りだ!」

 

フジ「へぇ〜じゃあ今年も見に行くのですか?」

 

マンノウォー「要らん事だが、毎回主賓として招かれるからな。名を使わせてるだけなのに主賓扱いだ。私としては時間を使わされて迷惑この上無いがな。」

 

八幡「断れないんですか?」

 

マンノウォー「自分で言うのは気分が悪いが、向こうでの私は伝説扱いだ。そんな奴が来ないと分かってみろ、周りがどんな反応をするかなんて火を見るよりも明らかだ。」

 

 

マンノウォーの苦労を通り越して呆れ半分面倒臭さ半分といった表情にフジと八幡は苦笑いを浮かべた。

 

 

フジ「苦労されているのですね。」

 

マンノウォー「意外だろう?それよりもそろそろレースが始まる。」

 

八幡「………」

 

 

実況『さぁ各ウマ娘ゲートに入ってスタンバイ完了です!では参りましょう、上半期総決算のグランプリレース宝塚記念………スタートしました!!出遅れの居ない綺麗なスタートでした!まず誰が行くか?外ナリタキングオーとシーズグレイスが上がって行くか?この2人がペースを作りそうです!その後ろにセトステイヤー、ゼネラリストとタイキブリザードの2人が並んでいます。そのすぐ後ろにエアグルーヴここに居ました!半バ身後ろにラフォリア、内からローゼンカバリーとユウトウセイが続いて1コーナーカーブに差し掛かります!間が空いてマーベラスサンデーは後ろから3人目、その後ろにダンスパートナーが居て、最後方にヤシマソブリンという体勢です。』

 

 

エアグルーヴは少し前目、前から5人目のポジションに付けており、マーベラスサンデーの追い出しにいつでも反応出来る場所に居た。

 

 

実況『依然先頭はシーグレイスが前を行きます!その3バ身後ろにタイキブリザードとセトステイヤーが続く!ゼネラリストと半バ身内にエアグルーヴ、外にはナリタキングオー!その後ろ3人並んで中ユウトウセイ、内ローゼンカバリー、外ラフォリアが並んでいます。そして後ろからジワジワと上がってきました!マーベラスサンデーが今先行勢に襲い掛かってきました!!』

 

 

エアグルーヴ(そろそろ仕掛け所だ、後ろからはマーベラスサンデーが追い上げている頃だろう。ならば私も……そろそろギアを上げていくぞ!!)

 

 

実況『さぁ先頭のシーグレイスは差が詰まってきた!すぐ後ろにタイキブリザード、ゼネラリストとセトステイヤーも追い上げてタイキブリザードの後ろにエアグルーヴが様子を伺いながら脚を溜めています!まだ動かないまだ動かない!マーベラスサンデーは中団の中に居ます!さぁ4コーナー曲がって直線に入って真っ向勝負の始まりです!!』

 

 

エアグルーヴ(よし、此処ならば……っ!!)

 

 

実況『先頭タイキブリザードに代わるが、内から一気にエアグルーヴが抜け出した!先頭エアグルーヴに代わって2番手タイキブリザード!外に回ってマーベラスサンデーとダンスパートナーの2人が上がってくる!!エアグルーヴ2バ身のリード!!追ってくるマーベラスサンデーとダンスパートナーはどうだ!?届くか!?届くか!?エアグルーヴが良い脚で粘る!残り50mこれはもう届かない!!エアグルーヴ今ゴールイン!!今回のレースも余裕勝ち!春のグランプリ、宝塚記念を制しました!!』

 

 

エアグルーヴ「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

勝った……前のような悪い感触は無かった。だが………クラシッククラスで走った時のような爽快感は無い。未だ苛まれたままというわけか。

 

 

エアグルーヴ「っ!そうだ、トレーナーは………」

 

 

エアグルーヴは密かに感じていた担当トレーナーである八幡の視線を感じ取ろうとしていたが、その視線は既に消えていた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 




エアグルーヴ、勝てはしましたが物足りない様子。
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