ーーーーーー
実況『中山レース場にお集まりの皆様、テレビの前の皆様、長らくお待たせいたしました。春の宝塚記念から約4ヶ月、この時間がやっと訪れました。しかしその訪れた時間というのもあっという間の65~75秒の決戦!中山の芝6ハロン、1,200mの短距離女王決定戦です。去年同様に海外からも参戦しているウマ娘も居ますが、注目を集めているのが1番人気のカレンチャンです。このレースを勝てば、史上初の短距離3連覇を達成する事になります。2,000mの高松宮杯から1,200mの高松宮記念、そして秋のスプリンターズS、この2つのGⅠ戦線が出来てからは短距離路線も大きく賑わいを見せています。何と言ってもカレンチャンの史上初の短距離3連覇がかかっていますからね。』
解説『彼女もこのレースにかける想いは強いでしょうからね、走りが固くならない事と緊張し過ぎないように走れるかが決め手になりそうですね。』
実況『成る程。しかし今年もまた侮れないメンバーが揃い踏みしています。2番人気のロードカナロアはその最たる実力者とも言えるでしょう。その辺りはいかがでしょうか?』
解説『シルクロードSからは1度も勝ててませんけど、走りの内容的には悪くありませんからね。この中山レース場でも実力を発揮してくれるでしょう。』
実況『楽しみが広がりますね。さぁウマ娘達が和久入りを始めました。瞬きする間も無い芝の6ハロン戦がいよいよ始まります……これまでで1番速い電撃戦がトロットスターの1.07.0のタイム、長らくこのタイムを破ったウマ娘は居ません。今年はその記録を打ち破る快速ウマ娘は現れるのでしょうか?』
カレン「………」
カナロア「………」
カレンとカナロアはどちらも偶数番号でしかもカナロアは大外枠の為、ゲートインが最後になる。両者目を閉じて時が来るのを待っている様子だった。
カレン「………」パチッ
カレン(……他のメンバーはもうゲートの中。後はカレンとカナロアさんだけ。)
カレン「じゃあ、先に行くね。」
カナロア「うん、すぐに追いつくから……」
カレン「抜かさせないよ、絶対に。」
実況『さぁカレンチャンとその後ろにロードカナロアが続くようにゲートへと向かって……収まりました!上位人気2人がゲートに入って体勢完了です!さぁ3連覇か!?それとも下剋上か!?飽きの短距離最強決定戦スプリンターズS!」
ガッコン!!
実況『ゲートが開いてスタートッ!!さぁ1,200しか無いぞ、誰が前に行くのか!?パドトロワが行くか!?連れて上がって行くのがマジンプロスパー!ダッシャーゴーゴーも上がって行く構え!更にはエーシンヴァーゴウとリトルブリッジ、その外から3連覇を目指すカレンチャン!今日も前目からの展開!その後ろからマークするかのようにロードカナロアとブルーミンバーそしてドリームバレンチノが続いているっ!600の標識を通過して残り半分っ!』
カナロア(さぁどこから動くのかな?こっちはいつでも準備出来てるからね?)
カレン(まだ……まだ仕掛けない……)
実況『さぁ後方集団も追い上げにかかっているが、人気2人はまだ動かないっ!どこで仕掛けるのか!?どこで勝負をするのかっ!?さぁ第4コーナーを曲がって直線に入りますっ!!』
カナロア(まさか直線勝負だなんてね……望むところっ!!!)
実況『さぁ先頭はパドトロワとマジンプロスパー!しかし外からカレンチャンとロードカナロアが勢い良く突っ込んでくる!!』
カレン「やあああぁぁぁぁぁ~!!!」
カナロア「はあああぁぁぁぁぁ~!!!」
実況『さぁ先頭入れ替わってカレンチャン先頭!カレンチャン先頭!その外ロードカナロアも良い脚で追い込んできているっ!さぁ中山の急坂、此処からが本当の勝負!!』
カレン「くっ……っ!!(まだついて来る……凄い。でもカレンだって!!)」
カナロア「んんんぅ~っ!!(坂で追い越すつもりだったのに……流石
実況『さぁ坂を超えた!!粘るかっ!?差すかっ!?両者横一線!!並んでゴール~ッ!!!』
カレン「はぁ……はぁ……はぁ……」
カナロア「はぁ……はぁ……はぁ……」
実況『今年のスプリンターズSは大接戦となりましたっ!!王座を守ったかカレンチャン?それとも世代交代を告げるかロードカナロア?どちらも譲らない素晴らしいレースでした!しかも驚きのタイム!!掲示板には赤くレコードの文字っ!!タイムは何と、1.06.7!!!』
パパ「………」
ママ「ど、どっちが勝ったのかしら?」
弟「ねぇトレーナーさん、どっちが勝ったの?」
八幡「此処からだと分からないな。それに掲示板でも審議のランプが点いてる。これは俺達じゃ分からない……カレンが勝ってるかもしれないし、相手が……ロードカナロアが勝ってるかもしれない。そのくらい際どいんだろう。」
スプリント戦線では珍しい接戦となり、場内はどよめいていた。そしてターフには未だ肩で息をしている2人の姿があり、その雰囲気はまるで自分が勝ったと言わんばかりの雰囲気だった。